マイクロフォーサーズ第一号機だった DMC-G1 から1年半、後継機 DMC-G2 が、一昨日の海外発表に続いて、本日国内でも発表。G2 の下位機種、廉価機の G10 は何故か発表なし。

このブログでも DMC-G1 については過去に何度も取り上げ、パナのマイクロフォーサーズ機には今後も期待したいと書いてきた。それゆえ、後継機 DMC-G2 はどうなるのか興味津々だったのは言うまでもない。

というわけで、DMC-G2 のスペック上の特徴を G1 と比較しつつ簡単にまとめると

  • 可動式液晶モニターがタッチパネルになった。フォーカスエリア位置やフォーカスエリアサイズをタップ一発で指定できるようになった(液晶の画素数・サイズは同じ)

  • 動画撮影機能が追加されたが、コンパクトデジカメと同じ AVCHD Lite 止まり(フル HD は GHシリーズを買え、ということか)

  • 画素数は据え置き。GH1 で採用されたマルチアスペクトでもない(旧来の素子のまま?)
    【追記】GF1 と同じ素子とのこと。

  • 最高 ISO 感度は1段広がって 3200 から 6400 へ(プレスリリースの文面から見ると、ソフト処理側で対応したっぽい?)

  • 連写が気持ち程度向上した(ほとんど意味ない程度)。

  • SDXC 対応になった(当然)

  • ファインダーは変化なしっぽい…【追記】トーンを下げる改良だけ行われてるらしい

  • 見た目その他は概ね G1 を踏襲

  • 【追記】マウントアダプターを介した全てのフォーサーズレンズで AF が可能になった(ファームウェアだけで旧機種に同様の対応をするのは難しい人のこと)

  • 【追記】手ぶれ補正の ON/OFF は本体でできるようになった。これについては旧機種全てに対応ファームウェア・アップデートを行い、今後のレンズは手ぶれ補正 ON/OFF スイッチは廃するとのこと


と言ったところだろうか。細かなブラッシュアップはしてるようだけど

えーと、これだけ?


としか言い様がないモデルチェンジ。完全にマイナーチェンジもいいところ。

DMC-G1 / GH1 の時の気合の入れようは、どこに行ったの?


  • タッチパネルと SDXC 採用以外はファームウェアに手を入れて終わりじゃないの?

  • 最高感度のアップは、プレスリリースを読むとソフトウェアで実現したっぽいけれど、素子レベルでの改善が必要じゃないの?

  • マルチアスペクトでもないし、やっぱり撮影素子はそのまま?

  • ファインダーの改善は結構求められていたと思うけど、完全スルーなの?


などと色々と言いたくなる。

もちろん、スペックだけで判断してはいけない。肝心なことは実写画質であり、実際に撮影しての AF 性能やファインダー周りの改良がちゃんとなされているかはスペックを見ただけでは判らない。

判らないけれど、

凄く評判の良かったキットレンズを安物に代えて
本体は微妙なマイチェンに留まって、Gシリーズをどうしたいの?


と思ってしまう。

G1 の使い回しばかりで、1年半蓄積してきた技術の投入みたいなものは全くない。DMC-G1 を使ってきて、パナのマイクロフォーサーズ機に将来の期待を抱いたものとしては

正直がっかり…


である。まぁ、勝手に期待して、勝手にガッカリされて、ブログでこんな文句を書かれては、パナとしても迷惑だろうが、やっぱりどう考えても DMC-G1 をリリースした頃の気概を感じることはできない。

だいたい、タッチパネルを一番のウリにしているが、

タッチパネル操作はコンパクトスタイルの GF シリーズにこそ相応しい技術


だ。背面液晶を見て操作するなら、EVF 一体型の G / GH シリーズではなく、コンパクトデジカメと同じスタイルの GF シリーズの方がずっと使える価値がある。

G2 のタッチパネルでフォーカス対象をタッチして指定できると言うが、EVF ファインダーを覗いていたらそんなことはできないわけで、EVF 一体型の Gシリーズで背面液晶のタッチパネルをウリにされてもなぁ…と思う。

開発の順序は勿論あったにせよ、G2 より E-PL1 対抗でタッチパネル搭載の GF2 を早急に投入する方が先だろう。そして「タッチ・ムービー一眼」なんてキャッチコピーはタッチパネル搭載 GF2 にこそ相応しかったはず

高感度体制も、実写画像次第ではあるが、ぶっちゃけ DMC-G1 の高感度耐性はもはやコンパクトデジカメの一部に迫られてる(S90 と比較すると一段差程度)と感じるし、逆に APS-C(7D とか K-x とか)と比べると2段+αの差があるように感じている。

撮影素子が GF1 と同じということだし、プレスリリースの文面を見ても ISO 6400 を実現したのはソフトウェアの進化に依るもの。それが悪いわけじゃないが、撮影素子レベルの改善なしの、小手先のノイズリダクション処理で済むようなレベルにないと思うのだが…

とまぁ、G2 に関しては何だかなーな気分で、内容を詳しく見ていけば見ていくほど、スペックを見る限り(動画が必要でなければ)安くなった DMC-G1 でも良いんじゃないの?と思えたりする。

実際に画質がどこまで向上しているかは実写画像を見てみないと判らないし、何だかんだ言って電子機器は新しい方がずっと良いのは事実だけど(DMC-G1 発売からは1年半近く経っているのだしね)、いま(2010年3月9日現在)なら



DMC-G1 のレンズキットは5万円台前半から売られている。この値段なら…と思う。付いてくる標準ズームは DMC-G2 のキットレンズと違って、コストダウン化されすぎてないし、テレ端が 45mm まであって望遠ズームとの繋がりもいい。

ダブルズームキットでも7万円から売られている。特に目的が限定されていなければ、ダブルズームキットがお薦め(それは DMC-G2 でも)。望遠ズームはサイズ重量値段を考えればかなり頑張ってる写りだと思うし、手ぶれ補正の効きも悪くない。



パナの 45-200mm 望遠ズームレンズは、レンズそのものは大きめけど、このサイズで 400mm の超望遠域までカバー、ってのはフルサイズ用の 100-400mm を使っている私にとっては衝撃的にコンパクトだったし、だからこそ今でも DMC-G1 +ダブルズームキットは手放せない。

もちろん、銘玉と言っても良いくらい素晴らしいレンズの



も合わせて、35mm換算14mm の超広角から 400mm の超望遠までが小さなカメラバックに収まるのは痛快でもあるし、それがマイクロフォーサーズ機の魅力。そして E-P1/2 や E-PL1、GF1 のような

コンパクトスタイルの筐体だと望遠ズームを使うのはしんどい


から(実体験)、45-200mm (90-400mm) のようなレンズを気軽に使えるのはやっぱり G / GH シリーズの長所。

だからこそ、コンパクトスタイルの GF1 とは違った方向に、もっともっと進化して欲しかったのだけど、今回の G2 は残念ながらそうでもないようだ。

ハイエンドは GH シリーズにして、G シリーズは EVF 一体型廉価機ということになるのかもしれない。本当の廉価機であるはずの G10 を国内発表してないのも不思議だが、国内メーカーが廉価機を国内だけで出さないなんてのは珍しくないからね…(ソニーのフルサイズ廉価機 α850 の国内スルーは酷いし、アホ過ぎると思ったが)。

いずれにせよ、ちょっとガッカリ感の強い DMC-G2 発表だった。海外発表の時のプレスリリースに何か見落としがあるかも…なんて淡い期待は淡すぎた。まぁ、とりあえず GH2 でパナの本気が見られることを期待しよう。

パナソニック、タッチパネル搭載のマイクロフォーサーズ機「LUMIX DMC-G2」を国内発表
世界初のタッチパネルネオ一眼、パナソニック「DMC-G2」
パナソニック、「LUMIX DMC-G2」の発表会を開催
デジタルカメラ LUMIX DMC-G2を発売 | プレスリリース | ニュース | パナソニック企業情報 | Panasonic
DMC-G2|Gシリーズ|デジタルカメラ LUMIX(ルミックス)|Panasonic(公式サイト)

OLYMPUS マイクロ一眼 PEN E-PL1レンズキット
OLYMPUS マイクロ一眼 PEN E-PL1レンズキット

コンパクトスタイルで一番いまお薦めなマイクロフォーサーズ機は、やはりコレかなぁ…


で、ここからは極めて個人的な意見。

続きを読む