昨夏 EeePC 901-X を購入してしばらくの後、「ブラウザ選び、それが悩みどころ(EeePC 901 での表示画面比較)」という記事を書いた。ネットブックの 1,024x600 pixels という狭い画面解像度では、どのブラウザの使い勝手が良いのか?という自分の疑問をまとめるために、独断と偏見と適当で書いたものだ。

ところが、そんな場末ブログの適当記事にも時々検索に引っかかってやってくる人がいて、当時から大きく事情が変わった減債になっても、未だに迷い込んできてしまう人がいるようなので、改訂版でも書いておかなきゃいけないかもな…と思っていたので、今回も適当に書いてみる。

前回は Window XP 上だったこともあり、メイリオフォントを導入した時の見え方(メイリオを積極的に使う利点を語ったりもした)や Safari での独自フォント・アンチエイリアスについても比較したが、今回はフォントは全てブラウザのデフォルト設定のままとし、純粋にネットブック標準解像度(1,024×600pixels)でのブラウザの見え方(広さ)に照準を絞った。

前回記事を書いた昨夏の時点では Google Chrome はまだβ登場以前だったので比較せず、β登場後に「Google Chrome と EeePC 901(ブラウザ表示画面比較 Part 2)」という記事で触れたのだが、現在は正式版、Ver.2 と進化し、それなりのブラウザシェアも占めているので比較対象に含めることにした。

Opera も私自身がほとんど使わないし、一部の仕事絡みでは(互換検証が面倒だから IE 同様に)消えてなくなれ〜と思うブラウザだったので省略していたが、少し前に値段で釣られて激遅 Willcom 回線を復活させた関係で Opera Turbo(現 Opera 10 beta)を使うようになったので、今回は 9.6 で比較した(10 beta もほとんど変わりない)。

Internet Explorer は前回 Ver.6 を使っていたが、今回は最新の Ver.8 でやってみた。Chrome にしろ、Opera にしろ、IE8 にしろ、自分が使うようになったから比較に含めたのは言うまでもない。金にもならないことをするのに、自分の役に立たないものまでやってられんしね。

ということで、今回比較するブラウザは、IE8, Firefox 3, Chrome 2, Safari 4, Opera 9.6 の5つ(いずれも6月中旬時点で最新版を使用)。プラットホームは前回と変わって Windows Vista。Mebius PC-NJ70A 上で試した。

なお、Windows Vista ではウィンドウ最大化を行った場合には XP とは若干挙動が異なり、ウィンドウ枠がなくなって少し画面が広くなるので、通常ウィンドウ状態で画面いっぱいにウィンドウを広げた状態と、全画面モードがあるブラウザは全画面モードにした場合の2つに加え、ウィンドウ最大化を行った状態も比較するようにした。



さて、例によって前口上が長くなってしまったので、細かな話は抜きで最初から IE8, FF3, Chrome2, Safari4, Opera9 の5つを横並びで比較してみる。比較内容は

  • ウィンドウ最大化した時と、全画面モードにした時(全画面モードがない Safari4 はウィンドウ最大化のまま)

  • Yahoo! Japan トップページと、livedoor Reader の2サイト


の、それぞれを組み合わせた4種類を比較してある。

以下、4つの比較画像は記事上の小さな画像では全く判らないと思うが、クリックすると別ウィンドウに 50%縮小の画面が表示されるので、それぞれのブラウザにおける見える範囲が比較できると思う。

いずれの画像も左から Internet Explorer 8, Firefox 3, Google Chrome 2, Safari 4, Opera 9 の順となっている。

ブラウザ比較2 全ブラウザ比較 Yahoo! 最大化
Yahoo! Japan / ウィンドウ最大化状態


ブラウザ比較2 全ブラウザ比較 Yahoo! 全画面モード
Yahoo! Japan / 全画面モード状態


ブラウザ比較2 全ブラウザ比較 Livedoor Reader 最大化
livedoor Reader / ウィンドウ最大化状態

ブラウザ比較2 全ブラウザ比較 Livedoor Reader 全画面モード
livedoor Reader / 全画面モード状態


前述のとおり昨夏とは大きく状況が変わっている。Chrome や IE8 のリリースなどを別にしても、ネットブックでの利用で一番大きな変化は、全画面モードの普及だろう。今回は Safari 4 を除き、全画面モードを搭載している。全てのブラウザでショートカットキーは統一されており、全画面モードの ON/OFF は F11 となっている。

昨夏の記事でも書いたように、ブラウザ・デフォルト状態のままで全画面モードを使わなければ、Safari 4 の見える範囲が一番広いのは変わっていないけれども、縦 600pixels と狭苦しいネットブックでは積極的に全画面モードを使うべきであろうし、そうなれば全画面モードのない Safari の出る幕はない。

また Safari には、好き好きはあっても独自のフォント・アンチエイリアスによる表示される文字の綺麗さというものがあったが、Vista は勿論 XP でもメイリオフォントを導入することで、だいぶマシになることは前回記事で述べた。今回はフォントによる表示比較はしていないが、そのことも含め、MacOS X では Safari をデフォルトブラウザにしている私でも、Windows で Safari を使う理由は極めて少ないと思う。

さて、Safari 4 以外の4つのブラウザに搭載されている全画面モードではあるが、2009年6月現在では

同じ全画面モードでも、ブラウザによって使い勝手に大きな差がある


のも事実。この使い勝手の差は将来埋まっていくと思うが、現状では

全画面モードが使いやすいのは Firefox3 と IE8 だけ


と言っても良い。その理由は全画面モードにしてからの使い勝手の差にある。

各ブラウザとも全画面モードにすると、当然ツールバーやロケーションバー、タブ・バー、ボタン類は消える。IE8 を除いてはステータスバーも消える(IE8 が消えないのが不思議だし、少しでも表示領域を広げたいと思えばマイナス点だ)。

そんな全画面モードにしていても Firefox3 と IE8 はマウスカーソルを最上部へ持って行くと、ロケーションバーやタブバーなどが表示される。

ブラウザ比較2 Firefox3 Yahoo! 全画面モード
Firefox3 の全画面モード表示

ブラウザ比較2 Firefox3 全画面モード用ガイド
Firefox3 の全画面モードでマウスカーソルを画面上部へ持っていた場合
検索窓やボタン類を含めたロケーションバーとタブバーが表示される
(バーがプルダウン表示される時には、表示内容が下にズレる)


ブラウザ比較2 IE8 Yahoo! 全画面モード
IE8 の全画面モード表示

ブラウザ比較2 IE8 全画面モード用ガイド
IE8 の全画面モードでマウスカーソルを画面上部へ持っていた場合
全画面モードを解除しなくても、通常モードと同じ操作が可能
(Firefox3 と違って各種バーは表示内容上部に上書きされる)


Firefox3 と IE8 とでは若干挙動に違いはあるものの、使い勝手に大きな違いはなく(ブックマークを多用する人なら IE8 の方が断然使い勝手が良いかもしれない)、どちらも全画面モードをデフォルトに使っていてもストレスを感じない。

特に IE8 は、ブラウザを全画面モードのまま終了すれば、次回ブラウザ起動時に自動的に全画面モードになるし、全画面モードでも全ての機能をマウスからコントロールできる。全画面モードから通常モードに戻す必要がない。

ただ、IE8 では何故か全画面モードでステータスバーが消えない(もちろんステータスバーを常に表示させなくすれば、全画面モードでも表示されない)。このため、デフォルトでは IE8 だけ全画面モードにおける縦表示量が少ない。この点だけは注意が必要だ。

ともあれ、Firefox3 や IE8 と違って Chrome 2 や Opera 9.6 は、全画面モードを実装してきたのは良いけれど、何かしようとすると(ショートカットキーを使う以外は)全画面モードを解除して通常モードに切り替える必要がある。

ブラウザ比較2 Chrome2 全画面モード用ガイド
Chrome2 で全画面モード時に、マウスを一番上に持って行った際のガイド
これでは何の役にも立たない。Opera9 に至っては何も起こらない。


全画面モードでページを見た後、ページを戻ったり、ホームページに移動したり、別のタブに移動したり、ブックマークから次に見たいサイトを選んだり、場合によっては検索ボックスから検索をしたい、という時に、いちいち F11 で全画面モードを解除する必要がある。

ショートカットキーを使えば動作する機能もあるが、ウェブブラウジングする場合だと、なんとなくダラダラとマウス(or タッチパッド)でブラウズしていることも多いはず。その際に画面モードを切り替えるのは面倒なものだ。マウスカーソルを画面上部に持って行けば、サクッとバーが出てきて処理ができる、その快適さには適わない。

というか、Firefox3 が1年前に実装している使い勝手の良さを、Chrome や Opera が真似する際に、そこまでしなかったのは不思議だ。特に何でも取り込んでしまう Opera が 10 beta でも変わってないのは、腑に落ちない。



さて、Yahoo!, livedoor Reader における各ブラウザでの見え方について、通常状態、ウィンドウ最大化、全画面モードで画面写真を撮ってあるので、以下に掲載しておきたい。

最初に Yahoo! Japan トップページの見え方を、各ブラウザごとに通常状態、ウィンドウ最大化、全画面モードの順でどう変わっていくか(ネットブックにおける全画面モードの優位性が判る)を示し、次に livedoor Reader での見え方を画面モードごと(通常状態、ウィンドウ最大化、全画面モード別に)各ブラウザでの見え方を順に並べてみた。

これらを見ることで、ブラウザ選びで比較になるかも知れないし、ならないかもしれないし、まぁそんな単純なものではないけれど、何かの参考になれば幸いである。


続きを読む