今週末の iPad 国内発売を前に、色々とニュースが出てきて盛り上がってきた今日この頃。2つほど記事を書きかけているのだけれども、先週短期入院した前後の体調回復がまだ途上で、なかなか記事が投稿できないわけですが、発表時に話題になった iPad アプリ「Air Display」が昨日リリース(1,200円)。

Air Display ? Avatron Software(公式ページ)
Air Display (iTunes URL)

この Air Display というアプリは、「iPad をパソコンのサブディスプレイにする」というもの。もちろん、タッチパネル付きのサブディスプレイである(但し現バージョンはマルチタッチには非対応)。

パソコンの USB 端子に接続する小さな USB サブディスプレイが去年から一部でプチ流行したけれども、その iPad 版である。もちろん USB 接続ではなく無線 LAN 接続になる。

現バージョンではパソコンは Mac のみの対応だが、近いうちに Windows パソコンのサブディスプレイも可能になるとのことで、上記の公式ページでは“Windows版ができたらお知らせメールを送る”ための説明もある。

【2010/10/6 追記】本日 Windows版が正式リリースになりました。WindowsXP / Vista / 7 で利用可能です。

さて、少し判りづらいが、Youtube に早速使用した動画が掲載されているので、百聞は一見にしかず。



上記の youtube 映像を見ると、ちょっと手間取ってるせいか微妙に感じる人もいるだろうが、USB 接続のサブディスプレイ同様、動画を見るのを始め、動きのある表示を行うのには不向きだが、ウェブページの表示や、書類の表示には全く問題ないどころか、使い方によってはかなり便利である。

広いデスクトップ Mac/PC を使っていれば、あまり必要性は感じないが、画面の狭いモバイルノートパソコン、例えば MacBook Air とか Let's Note の R, N, S とか、そういった機種を持って出かけていると「あ〜画面が狭いなぁ…」と感じることはあると思う。

今時 1920x1200程度の広い画面が当たり前のデスクトップ機をメインに使っていると、狭いノートPC で作業すると途端に効率が落ちたりする。

例えば、ググったサイトや客先から送られてきた参考書類を見ながら、別の書類を作成する時、広い画面なら両方同時に表示できるのに、狭いノートPC だとそれができず、ウィンドウを切り替えながら作業…なんて面倒臭すぎる、と。

そんな時に欲しくなるのが、サブディスプレイ。ま、安い USB 接続の7インチ程度のサブディスプレイを持って出るのも悪くないのだろうが、iPad は10インチ弱で XGA。おまけに横表示だけでなく縦表示も可能だから、書類やブラウザの表示には最適。

iPad なら元々、色々使えるから
ノートPC と一緒に持っていくのも便利じゃね?


なんて思えてしまう魔法のアプリ(言い過ぎ)。

それでも正直、今まで MacBook Air と iPad を一緒に持っていくなんて馬鹿らしいことは絶対にないな、と思ってきた私が、出張時には両方持っていこう、なんて思えてしまうくらい。Air は 1280x800pixels しかないですからねぇ…ホント、便利になります。



インストール方法は簡単。と言っても、通常の iPad アプリのように iPad アプリをダウンロードして終わりではなく、

  1. iPad アプリをダウンロードして iPad にインストール

  2. Air Display 公式ページから Mac 用のソフトウェア(ページ真ん中やや右上にあります)をダウンロードしてインストール(要 Mac再起動)

  3. Mac 側は再起動するとシステム環境設定とメニューバーに Air Display の項目が追加されるので、システム環境設定の Air Display でスイッチを ON にするか、メニューバーの Air Display アイコンをクリックして「Turn Air Display On」を選ぶ

  4. iPad 側で Air Display アプリを起動する(説明画面が表示される)

  5. システム環境設定の Air Display 内のセレクトボックス、もしくはメニューバーの Air Display をクリックしたら、使っているiPadの名前が表示されているので、それを選ぶ。


これだけで、iPad は使っている Mac のサブディスプレイになります。

言葉で書くと一見ややこしそうにも見えますが、実際は数ステップでサクっと終わります(ちゃんと無線LAN でつながっていれば)。

唯一注意すべきは、無線LAN で繋がってるパソコンのサブディスプレイにする場合は、無線LAN の設定で「無線 LAN で繋がってる機器同士の通信を許可する」という設定にしないといけない、ということです。

Good Reader などのアプリを使っている人なら問題はないでしょうが、この手のアプリで繋がらない!使えない!という原因は、無線LAN の設定にあることも多いようです。

ともあれ、繋がれば、あとは単なるパソコンのサブディスプレイです。Windows版はどうなるかは判りませんが、Mac においては少々設定関係の制約以外は、普通のタッチパネル付きサブディスプレイです。

  • iPad は縦横自由。ただし、接続時と回転時にはメイン液晶を含む一瞬の切替処理あり。通常の追加ディスプレイを付け外しする時と同じ。

  • 通常のディスプレイを追加した時と異なり、システム環境設定のディスプレイ設定にiPadのサブ画面は出ない。よって、現バージョンでは iPad のサブディスプレイの位置も、色補正も不可。

  • タッチパネル付きサブディスプレイになるが、マルチタッチは非対応(拡大縮小などはできない)

  • 現バージョンでは1つの Mac に対して、サブディスプレイとして追加できるのは1台の iPad のみが対象。複数の iPad が LAN 上に存在する場合は、そのうちから1台を選ぶ形。

  • 既にデュアルディスプレイで運用している場合は、iPad は3画面目となる。

  • USB 接続ディスプレイと同じく、描画時にCPU負荷(とネットワーク負荷)がかかる。そのため、動きのある表示を iPad 側で行うと、母艦側の CPU 負荷が大変になる。が、書類やウェブを表示させたままなら、ほぼ無視出来るレベル@Core2Duo 2.4GHz(微妙に古めマシン)。

  • 文字入力くらいなら、文字描画の瞬間に微小な乱れが生じるが、実用上許容範囲内と言えるかと。Youtube 表示は CPU 負荷 50%超え&コマ落ちしまくり(当然)。

  • CPU パワー的に非力な MacBook Airで接続しても、書類やウェブ表示なら無問題。文字入力時の微妙な画面乱れが CPU パワーの有るマシンに比べて若干目立つが、問題ないレベル。

  • 出張先などで MacBook Airを使う場合に、iPadをサブ画面として仕事できるのは超便利に違いない!

  • 現状は、1台の Mac につき同時に1台の iPad のペアでしか使えないが、複数の iPad から1台を選んだり、また複数の Mac にサポートソフトウェアを入れておいて、必要に応じて iPad を別の Mac のサブディスプレイにすることは可能。

  • Safari のウィンドウを iPad 側に持っていっても問題ない動画ページが、何故か Chrome だと動画が表示されない…みたいなバグは多少残っている上、負荷をずっとかけてると落ちる(接続が切れる)状態になったりして、完全に安定して使えるわけではない。

  • 現バージョンでは、MacOS X の方が 32bit モードである必要があるらしい。

  • マイナーな問題はあるけど、まずまず実用的じゃないかな?これが最初のバージョンの割には悪くない。


ということで、1,200円という比較的にプライム価格ではあるものの、十分納得できる値段ではないかと思う。

もっとも、AirSharing がそうであったように、後から安い追従アプリが出まくる可能性はある。だから、欲しくないのに無理して買うようなものじゃない。待ってれば、もっと安くて良いものが出るかもしれない(し、出ないかもしれない)

Avatron Software はその昔 Air Sharing という素晴らしいアプリ(無線 LAN 経由でファイルを転送して、アプリ側で色々な書類・動画を再生表示できるアプリ)でデビューしたのだけど、最初のバージョンで有料アプリを間違えて無料にしてしまい、「次バージョンの審査が終わるまでの3週間は無料だから、好きに持ってけ〜!」となっていたのを思い出す。

その後すぐにもっと安価で同種のアプリが出てきて、ついには Good Reader という最低価格で多機能な定番ソフトが出てしまったわけで、そんなお茶目さんなところの新作だけに、私も AirSharing を無料でいただいて、散々使わせてもらったので、今回は 1,200円きっちり支払いましたが、それに見合うものはあるように感じています。

ま、第一印象なので今後変わる可能性はありますが、メジャーサイトのインプレッションが来るまでの適当レビューでした。