
リーグ戦10試合ぶり、今季3度目のスタメン起用に応えて2ゴールを決めた岸本武流選手。その1発目を決めてひとしきり喜んだ後に、上を向いて大きく息を吐くシーン。
徳島時代の監督だったポヤトス監督に請われて昨季移籍してきた時はすぐにスタメンの座を勝ち取ったものの、同じく昨季移籍してきた山下諒也選手が怪我から復帰したのちは、徐々に山下選手がファーストチョイスとなることが多く、今季も山下選手の陰でリザーブに甘んじることが多かった彼。
ゴールデンウィークの過密日程のなかで、ようやく手に入れたチャンス。ここで結果を出さなければ……という思いは、きっと強くあったはず。
そして前半10分で、まずは1つ結果を出して、サブに甘んじていた中でも努力してきた成果が1つ報われた、よしやれる、そんな思いとともにあったのかもしれない、この表情が何とも印象的だった。
何気ない一瞬の選手の表情が、とても心に来る。


その後すぐに2ゴール目を決めたあとは、ベンチに向かってきて感無量の表情でポヤトス監督とハイタッチ。すぐにポジションに戻ろうとした岸本選手を今度はポヤトス監督が後ろから抱きしめて、もう一度強く抱きしめていた。
徳島時代に見ていてガンバに呼び寄せたものの、このところはファーストチョイスにできなくて、それでも腐らず努力していた選手をスタメン起用して結果を出してくれた。単なる得点ではない喜びがこちらまで伝わってくるようなシーンだった。
まぁ、岸本選手がファーストチョイスになると必然的に山下選手の出番が減るわけで、今季17番ユニを着て応援している私としては、それを考えると複雑な気分になるけれど、それでもこういう競争、腐らず努力した人が結果を出すことが、タイトル獲得、上位進出に必要なことだから、嬉しい結果であった。