その昔、VR お試し体験として Quest 2 を購入して最初は感動していたものの、ヘッドセットの重さその他諸々から半年〜1年くらいで放置プレイになり(有りがち)、しかしながら一昨年ゲーミングノート PC 購入後に Quest 2 の存在を思い出し、PC ゲームの VR プレイ用として Quest 2 大復活。

当時からずっと PC と Quest 2 は USB 3 ケーブルで有線接続して使っていました。Virtual Desktop や当時まだβ扱いだった純正 AirLink による Wi-Fi ワイヤレス接続の方法も当然知っていましたが、

転送速度に制限のあるワイヤレス接続は画質もフレームレートも落ちるし、接続安定性を考えても PC VR やるなら USB 3.x ケーブルで有線接続しかないでしょ!


と思っていましたし、今もそう思っています。

KayakVR1(Kayak VRのジャングルクルーズは気分転換満点)


ところが昨年購入した「Kayak VR: Mirage」というカヤックゲームをプレイしていると、

せっかく VR の没入感があるのに、パドルを漕ぐ時に PC と繋ぐ USB ケーブルが当たると興が削がれるなぁ…


と思うことが増えてきました。Kayak VR は両手の VR コントローラーを持って、あたかもパドル(オール)を持っているかのように漕いでいくのが基本ですから、両手を振る時にどうしても VR ヘッドセットに接続したケーブルに触れることが多いわけです。

そう思ったのがキッカケで、

今までずっと PC と Quest 2 を USB 3 ケーブル接続してきたけれど、Wi-Fi ワイヤレス接続で使ってみたらどんなもんだろ?試しもしてこなかったから、一度試すか〜


と思って、Quest 2 をWi-Fi 接続して色々なゲームの VR プレイを試してみたところ、Kayak VR のような身体を動かす VR ゲームでは快適性が圧倒的に違うことは勿論のこと、

MSFSもマッタリ遊覧飛行だけなら
ワイヤレス接続でも良いかな?


という結論に。

と同時に、比較のためワイヤレス接続からワイヤード接続に戻してみた際、

ヘッドセットに繋がるのはケーブル1本だけとはいえ、実は意外と鬱陶しかったんだなぁ😓


ということに気づいてしまって、それから PC と VR ヘッドセット (Quest 2) の接続は(色々妥協しても)すっかり Wi-Fi ワイヤレス接続メインになってしまいました。

ワイヤレス接続では別途給電しないとバッテリーが減るため長時間プレイが難しいことが欠点と挙げられますが、私の場合、長時間 VR ヘッドセットをかぶり続けるのは無理で、一度のプレイで長くても1時間〜1時間半ですからバッテリーのことは問題になりませんでした。


PC と Quest 2 のワイヤレス接続方法は Quest 純正の Air Link に加えて Steam Link、そして有料の Virtual Desktop も購入して試してみたわけですが、今のところ
  • 純正 AirLink を使っても Virtual Desktop を使っても結局 Steam Link が起動して経由するゲーム(Steam で買った大半のゲーム)は、Quest 2 から直接 Steam Link を起動接続してプレイ

  • Steam から買っても AirLink や Virtual Desktop から直接起動できる Microsoft Flight Simulator(以下 MSFS)2020 / 2024 は、Quest 2 で Virtual Desktop を起動接続してプレイ

当方の環境では、前者のタイプのゲームは AirLink や Virtual Desktop で Quest 2 と PC を接続してから Steam Link 経由でゲームを起動するとフレームレートがかなり落ちてしまってプレイアビリティが大きく損なわれて、Steam Link で直接繋いだ方が快適なので Quest 2 と PC の接続も Steam Link で行っています。

通常 Quest と PC は Steam Link で接続するより純正 Air Link や Virtual Desktop の方が効率良く快適だと言われていますので、当方の環境では何か問題があるのかもしれません。

が、今のところ Steam Link でも(後述する USB 有線接続と Wi-Fi ワイヤレス接続による差を別にすれば)Kayak VR も Assetto Corsa (Competizione) でもまずまず快適にプレイできているので、とりあえずコレでいいかなって感じです。

MSFS2024_202501_106(Steam Linkも時々落ちるけど😓)


PC と VR ヘッドセット間のワイヤレス接続を試すキッカケになった Kayak VR に関しては、Kayak VR 側の画質関連設定を全て HIGH(上から2番目)にしても 90fps 出ていて USB ケーブル接続時と変わらない感覚なので、Steam Link のワイヤレス接続で満足しています。

購入プレイしている VR 対応 PC ゲームは、MSFS とレースゲーム系を除けば、VR JAPAN とか AirCar とか 8番出口 VR とかゲームと言えばゲームな感じばかりなので、ワイヤレス接続でも十分かな、という感じです(レースゲームについては後述)。

AssettoCorsaCompetizioneVR1

VR プレイ時間の 7〜8割を占める MSFS 2020 / 2024 は、Quest 2 を Air Link や Virtual Desktop 経由で PC と繋いでデスクトップから起動した際に Steam Link を経由しないので、PC との接続には Virtual Desktop を使っています。

Quest 2 と PC を接続するときの Virtual Desktop のストリーミング転送設定は H.264+ でビットレート 400Mbps 固定。Wi-Fi の転送速度にはもっと余裕があるのですがビットレートは 400Mbps 以上に設定できず、Quest 2 の上限なんでしょうかねえ。

MSFS2024_202501_81VirtualDesktopStreamer(PC側設定)
MSFS2024_202501_83VirtualDesktopSetting(Quest 2側設定1)
MSFS2024_202501_82VirtualDesktopSetting(Quest 2側設定2)


純正 AirLink を と大きな差があるという印象はないのですが、
  • 当方の環境では Virtual Desktop の方が接続安定性が高かったこと(AirLink は接続開始の際に時々コケる)

  • AirLink の設定を Oculus Debug Tool で色々試しつつも Virtual Desktop の H.264+ 400Mbps 設定の方が画質の揺れが安定してると感じたこと

  • PC との接続開始から MSFS 起動までが迅速にできること(Virtual Desktop の Games タブが便利)

という理由から Virtual Desktop をメインに使っています。まぁ「有料アプリを買ってしまったから」という意識がないとは言いません😅

MSFS2024_202501_84VR

MSFS は DCS World やドッグファイト系のゲームと異なり激しい操作をすることは少なく、特に小型プロペラ機での遊覧飛行的なフライトの場合は速度も控えめですから、H.264+ & 400Mbps の Virtual Desktop 接続で大きな問題を感じることは少ないですね。

とはいえ、

フレームレートはケーブル接続より落ちる


のは言うまでもないことですし、

トーンの繋がりが微妙


で、Quest 2 の VR ヘッドセットとしての能力不足もあってか、グラデーションなど色の変化が不自然に感じられることもあります(掲載している MSFS の VR プレイのスクリーンキャプチャは全て MSFS 2024 のもの)。

MSFS2024_202501_88VR(ハイライトの描写が…と思うこと多々)

MSFS2024_202501_86VR(キャプチャで見るほど酷くはないが)

MSFS2024_202501_101VR(雲の描写は良くない)

MSFS2024_202501_102VR(とにかく白飛びが増加)

MSFS2024_202501_72VR(HEVC 10を試すが…)

MSFS2024_202501_70VR(言うほど改善せず解像感は落ちる)

MSFS2024_202501_90VR(結局H.264+ 400Mbpsに落ち着く)


他に遠方風景のちらつきは有線時より若干多めに感じるなどの差もありますが、解像感については H.264+ 400Mbps の設定ではまずまず不満なく、コクピット内の計器類も綺麗に見えています。

ただ、フレームレートで言えば、USB 3 ケーブルの有線接続で 40〜50fps 以上出る条件でもワイヤレス接続だと 30〜35fps まで落ちますし、そもそも Quest 2 で上記ワイヤレス接続設定だと 40fps あたりが上限かな、という印象です。負荷の高い条件だと 30fps を割ることも珍しくありません。

Ryzen 7 7800 X3D + GeForce RTX 4080 SUPER でも MSFS 2024 側の画質設定を ULTRA プリセットにすると、負荷の高い東京都心部ではセスナでまったり飛んだ場合でも動きのスムースさを若干欠くわけですが、それでも USB ケーブル接続だと 30 fps はクリアしますが、ワイヤレス接続だと 25〜30 fps 前後をウロウロする感じでしょうか。

MSFS2024_202501_92VR

MSFS 2024 側の画質プリセットを1段落として HIGH END にすると H.264+ 400Mbps でも安定して 30 fps 台をキープ、負荷の高いエリアを抜ければ 40 fps 近くまで行く感じです。

なので、MSFS で VR プレイする場合にワイヤレス接続を使う場合は HIGH END 画質プリセットをベースに調整して飛んでいます。

MSFS2024_202501_93VRMSFS2024_202501_105VR

ちなみに、Google マップベースの高負荷なシーナリー MOD を使った上に F/A-18 ホーネットのような戦闘機で超低空をぶっ飛ばす、といった最高に負荷のかかる条件だとカクカクになった末にフリーズすることもあります😅

MSFS2024_202501_102VR(ヤバそうと思ってるうちにフリーズ)


こういう無茶な条件はどうなるか試してみただけですけれども、いずれにせよ

MSFSのワイヤレス接続VRプレイは
まったり遊覧飛行程度に限る


というのが私の結論です。それでもフレームレートは落ちて、フレームタイムの安定度も断然 USB ケーブル接続に劣りますから、VR に慣れていない人、酔いやすい人にまったり遊覧飛行の場合でもケーブル接続を推奨だと思います。

MSFS2024_202501_48VR

そして、ワイヤレス接続でフレームレートの割引以上に問題になるのは、

遅延の増大


Kayak VR や MSFS のマッタリ遊覧飛行程度だと、あまり激しく操作することがないため PC〜VR ヘッドセットのワイヤレス接続で増える遅延はあまり問題にならないわけですが、レースゲームになると話は別。

レースゲームは有線接続一択


という印象。下手くそでヌルプレイしかできない私でも遅延は気になります。というか、下手くそな分、Quest 2 とPC のワイヤレス接続で増えた遅延が、元々反応の遅い自分のコントロールをより遅くさせてしまっています。

もちろん、慣れれば遅延の分だけ先に入力を入れられるのでしょうが、如何せん Assetto Corsa や同 Competizione などレースゲームをプレイするのはそう多くなく、月に3〜4回(レーシングコントローラーを出してきて机に設置して配線するのが面倒なので😓)。

毎回雰囲気を味わうだけの数時間ちょいプレイですから上手くもならないし、慣れもしませんので、ただひたすらに下手っぴなまま、ですから、あまりアレコレ偉そうなこととは言えませんが、レースゲームの VR プレイは USB ケーブルを繋げましょう、と言うことだけは断言できます。当たり前ですよね。

AssettoCorsaCompetizioneVR2

それでもワイヤレス接続は便利というか楽チンなので、Competizione じゃない方のオリジナル Assetto Corsa で首都高 MOD などでまったり走るつもりで起動する時はワイヤレス接続で走っていたりします。

ヘッドセットをかぶるときにケーブルの取り回しを気にせず、サクッとかぶってサクッとプレイできますからね。PC とヘッドセットを接続する USB ケーブルも、長さも変えたり、L字コネクタタイプを買ったり、ケーブルの柔らかさを求めたり、ケーブルの取り回しを変えたりと色々やったのですけど、なかなかねぇ。

KayakVR2

年初に書いた今年の物欲展望記事でも触れたように、昨年一時期欲しい度がかなり高まっていた、なんなら懐具合も考えずにポチる寸前くらいだった Pimax Crystal Light の購入が激下がってしまった理由の一つが、今回の話でもあります。

YouTube でメーカーから貸与されたレビューばかり見かけて萎えたのもありますが、昨年終わりからワイヤレス接続の楽さを知ったのも大きな要因でした。

データー転送量の多い高解像度 HMD ではワイヤレス接続は無理ですし、たとえできたとしても高いデバイスの性能を随分とスポイルする使い方になって勿体無いお化けが出ます。画質を求めれば有線接続、それも USB ケーブル1本ではなく、Display Port ケーブルも含めた接続形態というのはやむを得ないこと。

と判っていても、

面倒くさがりで不精者の私には、「画質の綺麗さを追い求めて手間暇がかかるようになる」より「色々妥協しても気楽にヘッドセットをかぶることのできる形態」の方が合ってるよなぁ


という気持ちが、PC と VR HMD の接続をワイヤレス接続メインに変えたことで強くなった次第。

そうなると Pimax Crystal Light より Quest 3、もしくは Quest 4 まで待つのが正解かなぁ、と思う昨今です。