SaitekFlightMultiPanel01

以前からあるオートパイロット関連+αを操作するハードウェアパネルなのに、今ひとつ話題になってなくて、評判も今ひとつな感じの Logitech / Saitek 「フライトマルチパネル」。

7月に手に入れて Microsoft Flight Simulator(以下 MSFS)で使ってみて、評判が今ひとつなところも、あまり話題になりきらない理由も実感したことは前回記事で散々書き記しました。

Logitech / Saitek Pro Flight Multi Panel 雑感【前編】 〜操作性に大問題あれど(条件次第で)無いより全然マシ

上記記事で書いたとおり、個人的な評価は「オートパイロット関連の操作を物理コントロールで大幅に改善快適にできるはずが、操作性その他に残念な点が多くて微妙」であり、良くも悪くも

機体によっては無いよりマシだが
使う気がしない/使えない機体も色々


というところ(本製品の使い勝手の悪い点は前編記事を参照)。

個人的にはセスナ 208B、ビーチクラフト King Air 350i、Daher TBM 930 といった小型ターボプロップ機で VR ヘッドセットを使わず、ある程度の距離を飛ぶ時は操作性の欠点より利便性が優って使うことが多いですね。

レシプロ機で近場を遊覧飛行的に飛ぶか訓練フライトならオートパイロット(以下 AP)は不要ですし、使うとしても短距離ちょい飛びならわざわざ本製品を使わなくても良いか、と思うのですが、景色を楽しみながらターボプロップ機で一定の距離を飛ぶ時は AP 必須ですし、その時は物理コントロールがあった方が断然楽です。



そして何より老眼が入ってくるなどして

目が悪くなってくると
画面上で細かい操作がストレス


になるので😅物理コントロールがあるのは(多少操作性が悪くても)便利に感じます。

目が若い時は、画面にコクピット全体を表示させたままでも細かい計器表示を読み取り操作するのも苦じゃなかったはずですが、今はもう難しいのが実情。
  • Garmin G1000 搭載機などでは(計器拡大画面にしないと)画面上のオートパイロット関連ボタンが小さくてマウスで操作しづらいのを改善できる
  • 画面を計器拡大表示に切り替えることなく正面を見たまま、FPD など計器や外の状況を見ながら AP を操作できる

というメリットを考えると前回はちょっと辛く書きすぎたかもしれません😅

老眼er には評価にプラス補正


ということは強く言っておきましょうか😓

旅客機だと後述するように使う気になれないし、また前回書いたように AP 関係の設定変更に二度手間が必要な形態では VR ヘッドセットをかぶってのブラインド操作は不可能ですので、VR プレイでは使えませんけどね。

(WINWING の FCU ユニットは実機同様にシンプルな操作ですから VR ヘッドセットをかぶったまま手探りで操作するのも難しくはありません。が、画質・解像度が高くない Quest 2 では細かな計器を見て操作することの多い旅客機で VR プレイするのは稀ですね…良い VR ヘッドセットが欲しいですけどねぇ)

Amazon_Pimax Crystal Light 1(PimaxのHMDは使ってみたいけど…)


さて、前回記事でも述べたように本製品 Logitec / Saitek 「フライトマルチパネル」の特徴は、使える機体が限定されず MSFS 2020 で収録された多くの機体で使える、操作可能なこと。

と言っても、どの機体で使えるのか、どの機体でどんな制限があるのかはサッパリ不明 ┐(´д`)┌ LOGITECH(日本ではロジクール)の本国サイトのサポートページを見ても何も情報がなかったので諦めました。

MSFS 本体にデフォルトで入ってる機体は(機体によって色々問題はあっても)概ね対応しているっぽいものの、FlyByWire や PMDG など私が所有しているサードパーティ製機体には(デフォルトでは)対応していないようです。

(SPAD.neXt Profile で使えるようにできるっぽいですが、旅客機には WINWING FCU ユニット+ MobiFlight の方が便利なので使っておらずよく分かりません)

ということで、私自身が試した限りであり非常に簡単ではありますが、機体毎に気づいたこと、感じたことを走り書きメモした内容を以下に記しておきます。チェックした時期はそれぞれ違うので、その後改善されている可能性はあります。

また、NAV ボタン、REV ボタンのように殆ど使っていない=チェックしていない機能もありますし(特に REV)、MSFS 初心者ゆえ間違っている点もあろうかと思いますので、その点はご了承ご容赦ください。


1)Garmin G1000 搭載機

私もよく使っているセスナ 172、208B やダイヤモンド社 DA62 など MSFS で収録されている機体には、ナビゲーションシステムとして G1000 を搭載している機体が多く、標準的なナビシステム的な扱いのせいか本製品での動作はほぼ問題なさそう。

ただし、機体自体にオートスロットルの機能がないので、オートスロットルや対気速度指定 (IAS) 関連の機能は動作しない(当然)。


2)Beachcraft King Air 350i、Daher TBM 930 など

これらの機体も、ほぼ前項の G1000 搭載機と同じで特に問題なさそうです。たまに本製品の LED の数値と画面上が一致しない場面もありましたが、設定調整ホイールを回して設定値変更しようとすると正常に戻りましたし、使っていてフライトへ影響する問題は今のところ経験していません。


3)Airbus A320 v1

初期から収録されている古い方の A320 ですが、こちらも概ね問題なく動作はするっぽいものの、例えば
  • なぜか速度や方角の数値が本製品 LED 表示と画面上の計器表示と違う(1つズレる)
  • 何かの拍子に指示大気速度 (IAS) が10単位ずつしか変更できなくなる時がある

そういった問題は経験しています。FlyByWire の A32NX をインストール後は殆ど使っていないこともあって確たることは言えませんが、大きなトラブルは経験していません。

ただ、WINWING の FCU ユニットを手に入れた今、A320 で本製品を使う意味は、ほぼないですね……


4)Airbus A320 v2

今年リリースされた新しい方の A320 neo ですが、こちらはちょっと試した際でも
  • オートパイロットのランプが連動しない
  • IAS や APP のランプが点灯しない(ダイアルで設定数値は動いて動作もするが、有効無効の状態が判別できない)
  • オートスロットルレバーが効かないので画面上で操作する必要がある

といった点はありました。この機体のリリースが FlyByWire の A32NX をインストール後だったので殆ど使っていない&WINWING の FCU ユニットを使い始めたので本製品を本機で使う意味がない、ということもあり、ちょっとした確認程度でしかありません。


5)Boeing 747-8

B747-8 自体をお遊び程度お試し程度にしか飛ばしたことがなくて細かくチェックし切れてはいないのですが、以下のように致命的とは言えない部分で使えない点はありますが、一定の AP 操作はできています。
  • オートスロットルレバーが効かない。というか、レバーを ARM 側へ倒すたびにオートスロットルのオンオフが切り替わり、OFF へ倒してもオートスロットルの状態は変化しない
  • 指示大気速度 (IAS) の指定は可能だが、IAS ボタンが効かず、画面上の SPD ボタンを押す必要がある

確認したのは上記2点であり、他にも不具合があるかもしれませんが(NAV、REV は未確認)、AP 時の対気速度、方向、高度、垂直速度の指定が可能で、フラップ、ピッチトリムなども問題なく動作しているので、実用には足ると思います。


6)ATR 42-600(おそらく ATR72 も同じ?)

MSFS 本体に収録はされてなくマーケットプレイスで販売されている追加機体ですが、一応マイクロソフト販売の純正機体。まだ習熟途中なので機体のことがよく判っていないこともありますが、本製品を試している限りでは概ね問題なく使えている印象です。

ただ、「セレクターノブで対気速度 ALT や垂直速度 VS に切り替えた際、本体 LED 上の表示が異常な数値となる場合がある」のは小さくない問題です。セレクターノブを回したらいきなり ALT 表示が 9999 になったり、VS の値が 5000 とかになると焦ります。

それ以外はフラップやピッチトリムダイアル含めて使えそうなので(NAV, REV は未確認)、怪しい挙動に気をつけていれば最低限のことはできるかな?って感じです。


7)FlyByWire A32NX

以下のように多々問題があるので、ぶっちゃけ画面内のオートパイロット機器を操作した方がストレスなく使えます。無理に本製品を使う意味はないし、WINWING の FCU ユニットの方が安いので、そちらお勧め。
  • IAS(対気速度)、HDG(方向)ボタン、APR(アプローチ)ボタンが効かない
  • VS(垂直速度)ボタンが何故か機体の HDG&TRK と V/S&FPA 切り替えボタンにアサインされてしまっている(ので VS は画面内のボタンを押すしかない)
  • 高度や垂直速度の指定値が、画面上の表示と本製品 LED の表示で異なる場合が多々発生する
  • 高度 (ALT) を指定する際、設定調整ホイールを回しても画面内の表示だけ変化して本製品 LED の数値は変化しないことが多い(高度指定が終わると本製品 LED にも反映される不思議)
  • ボーイング 747-8 と同じく、オートスロットルレバーはレバーを ARM 側へ倒すたびにオンオフが切り替わり、OFF 側へ倒しても何も変化しない


8)PMDG Boeing 737-800

FlyByWire A320NX 同様、本製品を無理に使う必要はないかな?マウスで画面上でボタン類を頑張って操作した方がいいと判断しているレベル。
  • LED 下に並ぶ各ボタンは押しても一切点灯しないし、機体側で動作もしない
  • セレクターノブで選んだ設定対象の値を設定調整ホイールで変更することはできる
  • 設定調整ホイールで変更した値は画面上の表示には反映されるが、本製品の LED パネルの表示には反映されない
  • オートスロットルのレバーの挙動は 747-8 や FBW A32NX と同じだが、ARM 側にレバーを倒しても全く反応なしの場合もある


9)АНТК An-225 Mriya

ウクライナが誇った 6発エンジンの世界最大の飛行機(ロシアによって破壊)。再建のために売り上げを寄付するという名目でマーケットプレイスで売られていたのを購入。一応、マイクロソフト販売の純正機体。

少し試した時のメモ書きを見ると、
  • セレクターノブで選んだ設定対象の値を設定調整ホイールで変更することはできるが、変更した値は画面上の表示に反映されるものの、本製品の LED パネルの表示には反映されない
  • LED 下に並ぶ各ボタンは押しても一切点灯しないが、機体側では反映されている(ものもある)

というように、操作したことの機体側(画面上)への指示はできているものの、本製品側の LED 表示やボタン表示には全く反映されないパターンっぽい。機体側に設定指示ができて画面上の表示に反映できれば良い、という人もいるかもしれないが、目の前の製品上の LED やボタン表示に反映されないと分かりづらくて仕方ないので、使うことはないという判断をしたっぽい。

というか、本機体の購入は寄付のようなものだし、手動で飛ばして「めっちゃ重いわ〜」と言うだけなので、別にオートパイロット云々はどうでも良かったり😅


10)F/A-18 SUPER HONET

MSFS がトップガン・マーベックとコラボした際に追加された機体。DCS World に浸っている人たちにとってはオモチャ扱いだけど、私のような人間には雰囲気モノで十分😅

スイッチ、ボタン類に反応する部分もあるが、オートパイロットをオンにした途端、挙動がおかしくなるようですぐ断念。

そもそも私が F/A-18 を使う時は、VR プレイで都市部を超低空でぶっ飛ばしたり、ループしたり、機動飛行みたいな飛び方をして発散し、気分転換するだけなので、オートパイロットはどうでも良いのが正直なところ。

SaitekFlightMultiPanel07

以上、全く参考にならない Logitech / Saitek Pro Flight Multi Panel の機体毎に感じた問題点でありました。

レシプロ機やビジネスジェットは悪くない
が、ジェット旅客機には向かない


という私の印象、使い方が判ってもらえるかと思います。ですので、自身がよく使う機体によって本製品の有用性はかなり変わってくると思います。

多少の操作性の難に目をつぶれば、レシプロ機や小型ターボプロップ機では多くの機体で使えることもあってそれなりに有用だとは思いますが、昨日の前編記事で書いたように、

メルカリで今の新品価格の半額程度で買えるなら試してみても良いんじゃない?


が私の評価であり、円安時代が影響した現在の新品価格 3万円近くで買うほどのものかと言えば微妙であることは改めて申し述べておきたいと思います。

というか、本製品に3万円弱を出すならもう少し頑張って、6本の操作レバーに大きなピッチトリムホイール、フラップレバーにランディングギア切り替えもあれば、本製品と同じような切替式の AP 操作も可能な「Honeycomb Aeronautical BRAVO THROTTLE QUADRANT」を目指した方が良いと思うんですよねえ。



私もこの「BRAVO THROTTLE QUADRANT」は欲しいのですけれど、かなりデカい(意外と奥行きが大きい)ので置く場所が確保できないため、指を咥えて「欲しいものリスト」に入れているだけになっています。本製品と WINWING の FCU & EFIS ユニットの費用で買えちゃうんですけど(´・ω・`)

前回今回で載せている⬇️以下の写真ようなゴミゴミとした状態は今はなくなっていて、フライトスティックとスロットルは机の上に置かず、椅子の両サイドに吊って机上のスペースは確保できているのですが、ゲーム専用デスクトいうわけではないので、デカすぎるデバイスは置けませんね……同じことはヨークスロットルにも言えることですが(>_<)

SaitekFlightMultiPanel11

最後に話は逸れましたが、前回今回で7月に買った Logitech / Saitek Pro 「フライトマルチパネル」について書きたいことを書き倒しました。8月くらいには記事として載せるつもりで書いてあったのに、気がつけば冬の足音も聞こえる季節になっちゃってますけど😅

同時期に買ったフライトスティック&スロットル Thrustmaster TCA Officer Pack Airbus Edition についても感想を記す予定でしたが、そちらはレビューも多いメジャーなデバイスですから割愛ですね。

Amazon_Thrustmaster TCA Yoke Pack Boeing Edition(このデカブツも欲しいのですが難しいですねぇ)