スマホ (iPhone 15 Pro Max) での手持ち夜景撮り。
すっかり進化に乏しくなってきたスマートフォンで進化が感じられる数少ない点であり、廉価機とハイエンド機の差が出るところでもある(どれだけ確実に良い感じに撮れるか、という点で)。
レンズ交換式カメラを三脚に据えて撮ったものとは比べるまでもないけれど、ポケットから出してサッと撮っただけで、それなりに見られる「夜景写真」が撮れる。逆に言えば、カメラを三脚に据えてしっかり撮った写真との差を感じる人も増える、ということでもある。
自分で気軽に撮れるようになったことと、SNS へ大量に投稿される写真を通して、写真に興味を感じる人の数や、写真を撮ることの身近さは 10年前、20年前と比べてずっと増しているのは間違いないところ。
と同時に、スマホで気軽に撮るモノとカメラでしっかり撮ったモノの差を実感することもまた、SNS で身近にクオリティの高い写真と接するが故に実感できる時代でもある。
ただ、そのクオリティ差を感じたところで、カメラに手を出す人はどんどん少なくなりつつある。
自分が写真撮影やカメラが趣味だったり(仕事だったり)で、そのテリトリーの中でしか見ていない人は頓珍漢なことを言っていたりするし、中には母集団に統計的中立性のない我田引水な調査結果が発表されたり、それを元に話を展開する人もいる。
けれど、例えば内閣府の消費動向調査の結果を見れば年々所有率が下がっているのは明らか。
上記は今年3月時点の主要耐久消費財の普及・保有状況の調査結果(画像クリックで拡大)。デジタルカメラの横に続いているパソコンやタブレット、携帯電話、スマホも一緒に載せておいた。
「物価が上がっていると感じている人は前年同月に比べて◯%増えて〜」などと、ニュースでやっているのが内閣府・経済社会総合研究所の消費動向調査。普段は消費者の意識や物価見通しなどを毎月発表しているが、年に一度、主要耐久消費財の普及・保有状況や買替え状況を調査発表している。
生活必需品の携帯電話/スマホや生産性の高いパソコンと比較してもあまり意味はないが、普及とまでは普及しきれなかったタブレットと同じくらいかと思うと納得もできる。
そしてデジカメの 20代での普及率(所有率)の低さを見れば、一部の人たちの言う「若い人たちは小さな時からスマホで写真を撮ってるから、その中からカメラへ移行」的な論が(少なくとも今のところは)幻想に過ぎないことが判る。
過去の統計結果も探せばあるので合わせて見てば、普及率(所有率)が年々下がっているのも含めて色々と理解できるはず。
■ 消費動向調査 : 経済社会総合研究所 - 内閣府
ボトムの製品はスマホに食われて旨みがないからとカメラメーカーが高級化路線に走った結果でもあり、特に日本では所得に対してあまりにもカメラが高くなり過ぎた結果でもあり、またスマホで撮れる写真とカメラでしっかり撮った写真との差を実感できても記念写真/記録として残していくのにはスマホで十分、という時代になったからでもあろう。
こちらは買い替え状況の調査。母集団においてデジタルカメラを買い替えたサンプル数が少ないため、必ずしも一般論として通用できるかどうかわからないが、カメラの平均使用年数は8年以上であり、買い替え理由の6割は故障したから。
上位機/新型カメラへの買い替えも3分の1くらい居るけれど多数派ってわけでもない、という事実はヲタ的思考を持つ人間の偏りを均すのにちょうど良い(自分もね)。
こういうのを見ているとコロナ禍を過ぎカメラメーカーの業績が伸びたからといって、少なくとも日本において多くの人がカメラを持っていた時代が再び来るのは厳しい状況であるのは間違いないし、カメラや写真にまつわる一過性でもない虚飾のブームが本物のトレンドにはなれないことが実感できる。
とまぁ、以前ちょっと気になってカメラの普及率推移を自分でアレコレ調べていた時に、消費動向調査を「あとで読む」に保存していたのを見つけたので、今さらだけど改めて記してみた次第。