昨日に引き続き、ちょっと前に購入した 10.5インチの小型 USB ディスプレイの話、今日は細かい仕様と使ってきた感想をば。
■ 薄い!軽い!お手頃価格!付属品も充実の小型 USB ディスプレイ VisionOwl XL-105【前編】〜 USB ディスプレイの進化と低価格化を実感
前回書いたように、普段使っている MacBook Pro でもゲーミング PC でも使うつもりで購入。冒頭の写真にあるように Mac では主に Lightroom Classic での写真整理現像時のサブ画面用途。大量の写真整理を少しでも迅速にしたい、少しでも手間が省けるなら、という投資。
デジタルカメラは写真を撮るだけでなくパソコンに取り込んで処理するところまでがセットのワークフロー。だからカメラ機材にだけお金をかけて後処理する機材にはお金をかけないのは、いささか片手落ちのようにも思っています。
カメラボディだけお金をかけてレンズにお金をかけないのがアンバランスなのと同じように、カメラ機材だけお金をかけて更新して、撮影したものを処理する機材に投資しないのは(気持ち的には判るけど)デジタル時代にはちょっと違うんじゃないかなぁ、なんていうのは今回の無駄遣い?の言い訳であります😅
ともあれ、超薄超軽ゆえに当初あまり持ち出すことは考えていなかったのに気軽に持ち出したくなるくらいであり、1万円強の安価なのに付属品も充実、機能も十分、画質も USB モバイルディスプレイと思えばまずまず及第レベルの、この製品⬆️
前回はファーストインプレ的なことを記し、またサイズ違いの同種製品、さらに全く同じであろうけど別ブランドの安い製品もあるよ、といったことも紹介しました。今回は本製品を使ってみて仕様、付属品に関する細かいところの感想や、Mac のサブディスプレイとして使ってみた印象を紹介していきたいと思います。
まず、今回購入した製品の仕様(公称値)は、以下のとおり。
画面サイズ | 10.5インチ |
画面解像度 | 1920 x 1280 pixels |
リフレッシュレート | 最大 60Hz |
色域 | RGB 100% |
輝度 | 450 nits |
HDR | 対応(対応規格不明) |
コントラスト | 1500:1 |
視野角 | 上下左右とも 178度 |
パネル | グレア IPS (光沢タイプ) |
G-Sync / FreeSync | FreeSync 対応 |
スピーカー | 内蔵(出力不明) |
映像入力端子 | USB-C ×2、mini HDMI |
出力端子 | 3.5mm イヤホンジャック |
内蔵バッテリー | なし |
サイズ | 231 x 162 x 5〜10 mm |
重さ | 249 g(カバー込み 393g) |
付属品 | スタンド兼用カバー USB-C to C ケーブル USB-A to C ケーブル HDMI to mini HDMI ケーブル AC 用 USB 給電器 |
その他(公称仕様以外) | HDCP 非対応 反応速度 3ms(?) |
画面解像度は製品販売ページでも 1920x1280 だったり 1920x1080 だったり記述がブレていますが(中華ブランドの商品ページにありがち)、1920x1280 pixels です。入力解像度のアスペクト比に応じて上下左右に黒枠ができますので、3:2 以外の入力があっても写りが縦長になったり横長になったりすることはありません。今どき当たり前ですね。
実際に使っている時の表示例は、本記事最後の方で Lightroom Classic のサブ画面として使った話を記していますので、そちらを参照ください。
(1080p 入力時は上下黒枠)
パッと見で画面は小型軽量なモバイル USB ディスプレイと思えないほど明るいもので、本製品だけではないでしょうが、USB 給電のモバイルディスプレイが、ここまで輝度出せるようになってるのだと感心しました。
IPS パネルということもあり視野角も普段使う分には全く問題ありませんが、反射防止コーティングも何もない光沢タイプなので、持ち出して使うなら反射低減フィルムを貼った方が良いでしょう。私も最近貼りました。
発色については目立つ嫌な癖はないと思いますし、素人が使って色域がどうこうとは感じませんが、明らかに色乗りは浅めで黒の締まりはありません。コントラスト比 1500:1 という数値から想像できる画質とはちょっと違うと思います。
小型軽量薄型のモバイルディスプレイと思えば仕方ないですし、ビジネス用途で使うには全く問題ないと思いますが、スマホの画面を写すなどで有機 EL ディスプレイと比較すると、締まりのなさ、コントラストのなさは目立ちます。同時に見ると小さい画面でもスマホで見る方に戻したくなるくらいの差はあります(明るすぎる輝度を下げても)。
なお、デフォルトでは明るすぎるきらいのある輝度はもちろん調整可能ですので、私はメインで使ってるカラーキャリブレーション・ディスプレイのとできるだけ合わせる形で使っています(70% くらいまで落として同程度)。
が、あろうことか
輝度も音量も調整を記憶せず
使うたびに要調整の面倒さ
使うたびに要調整の面倒さ
があります。
電源を切ると調整内容は消去され、USB や HDMI を再接続する際には輝度、音量とも 100% MAX に戻るので、使うたびにいちいち右側面の小さいレバーで再調整する必要があります。超面倒です。本製品一番の欠点でしょう😩
(輝度と音量調節は1つのレバーで兼用)
HDR も対応とされていますが、使っていないので判りません。HDR の対応規格も書いてないのでお察し案件かもしれませんが、サブディスプレイ、モバイルディスプレイで HDR を使うことはないので気にしていません。
製品ページの宣伝にはゲーム機やスマホゲーム向けみたいなことが書いてありますが、最大リフレッシュレートが 60Hz ですから Nintendo Switch かスマホゲームでもアクション性の高くないものあたりが適当で、本気 FPS / TPS 系ゲーマーには向かない仕様です。
ま、モバイル利用を前提したディスプレイですからバッテリー食いの高リフレッシュレート仕様ではないのは当然と言えば当然でしょう。FPS / TPS 系ゲームは遅延を考えてもスマホ本体でやるのがベストですしね。
また、公称仕様にはないですが、レビューその他を見ると USB ディスプレイとしては珍しくない HDCP 非対応っぽいですから、コピーガードのかかった映像を見る場合は注意が必要でしょう。
とまぁ、モバイル用途も考えられた小型軽量薄型 USB ディスプレイですから、それなりに欠点はあります。しかし、ちょっと前の、暗くて発色もくすんでいた初期の USB ディスプレイを思うと、これだけ明るく、発色もだいぶまともになって1万円強で買えるとは驚かされましたね。
また、この薄さ軽量さでスピーカーも内蔵しています。こちらも
スピーカーは音が出るという程度
であって音楽を聴くレベルではありません。ニュース動画のナレーション、人の声ですから微妙な音質なので、大画面で動画見たり、ゲームをする場合でも、可能ならばスマホのスピーカーを鳴らす方が音は良いと思います。そのレベルです。
でも、この薄さ軽さで搭載したスピーカーですから無理は言えませんし、あるとないでは大違いですから内蔵してるだけで拍手ものでしょう。それにイヤホン端子が備わっているので、イヤホンで聞けばだいぶマシになるかと。
ちょっとネガティブ系が続きましたが、本製品の良いところの一つとして
超薄型軽量なのに入力端子が3系統
もあり、USB-C (DP-ALT) と HDMI (mini HDMI) のどちらでも OK なのは当然、USB-C 端子は2系統とも映像入力に使えて、mini HDMI 含めて3系統切り替えて使えます。製品の性質上、複数入力を切り替えて使うことは少ないでしょうが、制限があるよりは全然良いですね。
贅沢を言えば、接続端子3系統が全部左側面にあるので USB-C 端子2系統のうち1系統は右側面に欲しかったなぁ、とは思いますけれど、これだけの薄型を実現することを思えば難しい話なのは理解しています。
なお、電源は USB-C 端子から供給するタイプの製品ですので、HDMI 入力時はもちろん、USB-C 映像入力時でもスマホや(一部を除く)タブレットと接続する場合は映像入力とは別に、USB-C から給電する必要があります(なので、USB-C 端子が2系統ある)。
後述するように、製品には AC コンセントに刺す USB 給電器と充電用ケーブル(USB-A to C ケーブル)も付属しているので、スマホや Switch を接続して使う場合でも別途充電器やケーブルを買わずに済みます。
また、USB 給電器の代わりにモバイルバッテリーを接続して給電するのも可能ですが、その場合は 5V 3A 出力以上ある製品と対応ケーブルが必要になります。
以下のように付属している AC 給電器の出力仕様を見ても 5V 3A 出力となっています(当たり前ですが PSE マークも付いています)。
ただ、付属の AC 給電器を使う場合の注意すべき点として、出力端子が USB Tyoe-A で 3A 出力なので、付属の給電用ケーブル以外を使う場合は 3A 出力に対応した USB Type-A to C ケーブルを使う必要があります。百均などで安価に売られている USB Tyoe-A to C のケーブルは 2.4A までのことが多いので注意が必要です。
(百均ケーブルでも数百円するケーブルだと 5V 3A まで対応可能と書いてある製品が売られています)
いずれにしても、バッテリー非搭載のモバイルディスプレイではスマホやゲーム機の映像出力先として使う場合に別途電源が必要となりますので、少々手間は必要になります。その点、映像出力と電源供給が可能な USB 端子を持つパソコンならケーブル1本で楽々ですから、一番向いているのはパソコンのセカンドディスプレイでしょう。
最後にこれも本製品の良いところである
付属品の充実
は文句ないところです。謳い文句に偽りなし。
この手の小型ディスプレイではスタンド兼用のケースが付属していることも多いのですが、本製品も付属しています。
本製品は入力端子やボタン操作部が側面にある 10mm 厚の部分が4割、残り 6割くらいの部分は液晶ディスプレイのみなので 5mm 厚、という段差のある構造になっていますが、ケースはその薄い 5mm 厚の部分に磁気吸着するようになっています。
背面側はケースを⬆️上記写真のように 5mm 厚のところに吸着しますので、ケース装着によって背面側の厚みが増えることがありません。そして写真を見て分かるようにケース自体も薄いので、表面側の厚みの増加も数mm 程度。
ですので、ケースを装着しても激薄な印象は変わらず、通常はケースを付けっぱなしにしていても気にならないですね。これだけ薄いのでケース自体に耐衝撃性はほとんどありませんが、持ち歩き時や保管時の画面保護には十分です。
液晶側を覆っていたケース面を後ろに回して途中を折り曲げてスタンドに、というよくある簡易スタンドで、角度の調整とかはあまりできません。立てかける時に多少折り曲げる角度を変える程度で、角度を浅くしてタブレットっぽく置いたり縦置きにしたりはできません。
ぶっちゃけスタンドとして使う場合の安定性も良いとは言えませんから、機内車内のテーブルなど振動のあるところに置いて使うには向きません。あくまで安定した平らな机で使うことを前提にした簡易スタンドです。
一番使うであろう、映像および給電対応の USB-C to C ケーブルは実測で 1.2m。短過ぎないので多少接続するものと距離があっても対応できるでしょう。モバイル用途では長すぎる場合もあるでしょうが、その場合は 0.5m など必要に応じたケーブルを買えば良いかと思います。
また、USB-C 接続が前提のモバイル USB ディスプレイなら mini HDMI 端子を備えていても HDMI ケーブルは別途自分で買ってね、という製品が多いのですが、HDMI - mini HDMI ケーブルも付属しています。
さらには、先に書いたような HDMI 接続や給電能力のないスマホなどとの USB-C 接続で使う場合に、別途給電するための AC 充電器と給電用の USB-A to C ケーブルまでも付属しています。
サブディスプレイを繋げるための USB-C ケーブルは複数持っていることもあって、購入前は付属品にあまり関心がなくてスルーしていたので、届いてから付属品を見て
これは何も詳しくない、判ってない人が買っても困ることのない、製品が届いてからアレがない、ナニを買わなきゃ、ということのないパッケージだなぁ
と感心しました。たくさんの付属品なんか要らんから安くせえよ、という糞ヲタ的な思いもないわけではないですが、これら付属品を削ったところで大して安くなるわけでもないので、充実している方が幸せになる人が多くて正解だと思いますね。
そして、この手の激安中華ブランド製品は、日本の Amazon で買っても未だに日本語の説明書がなかったり、あっても紙切れ1枚ということも少なくないのですが(私はそれを前提に買ってるけど)、本製品は割とちゃんと日本語の説明書および注意書きの紙がありました。
簡易な説明書だけでなく、一番最初に目がいくようデカデカと注意が書かれた紙が入っているのは国内メーカーの家電製品などでも見られることで、こういった日本語の注意書きが入っているところを見ると、かなり販売実績があってフィードバックされているブランドであるのかな?と思わせてくれます。悪くないです。
以上、機能まわり仕様まわりについて、しばらく使ってきた感想でした。ひとことで言えば、競争の激しいカテゴリーでの中華製品らしく安価なのに機能、付属品てんこ盛りという感じです。この詰め込んできた感は、中華製品の良さでもありましょう。
ただ、「安価な中華ブランド製品らしさ」としては、
開封品が届いたのか?と一瞬思うほどの外箱封印の雑さ。普通なら絶対「開封品だわ、Amazon にクレーム入れて返品しよっかな」となりますが、中華製品だと往々にしてこういう未開封だけど雑封印があります。
一応、中を確かめると開封品ではない、少なくとも出荷元で梱包されているし、中身にも問題がないことを確認したのでそのまま使っていますが、まぁ気分は良くありませんわね。ありがちなことと判っていても。
で、最後に実際 Mac のサブディスプレイとしてはどんな感じで使っているのか、どういう設定にしているのかを記しておきます。
本ディスプレイのネイティブ解像度は前述のとおり 1920x1280 pixels ですが、MacOS 14 sonoma に接続した場合のデフォルト表示解像度は 960x640 pixels に設定されます(Retina Display 扱い)。
このデフォルト解像度で Lightroom Classic のいつもの設定、いつものカタログ画面のサムネイルサイズだと
横6コマ、画面全体で18コマしか表示されなくなって用を足さなくなるので、解像度を上げるかサムネイルサイズの設定をいつもより数段階小さくすることになります。
(サムネイルを3段階小さくした状態)
解像度を上げるならばディスプレイのネイティブ解像度 1920x1280 pixels に……と思うところですが、推奨解像度に 1920x1280 pixels はなく 1920x1080 pixels しかありません。
この解像度を選ぶと⬇️以下のように Lightroom Classic のカタログ画面を表示させても本来望む一覧性の良い画面になるのですが、当然ながら上下は黒枠ができます(以下のスクリーンキャプチャには上下黒枠は出ないので先に示した画面写真を参照ください)。
ただ、MacOS のディスプレイ設定で「すべての解像度を表示」のスイッチをオンにして、推奨解像度以外も表示させると 1920x1280 pixels の選択項目が出ます。
Lightroom Classic のカタログも画面いっぱいに表示され、1920x1080 pixels では縦6段だったのが 1920x1280 pixels では縦7段になり、使い勝手も上がります。
が、しかし、
Macで1920x1280 pixels設定にすると
Lightroom Classic で
ポインタの位置とクリック位置がズレる
Lightroom Classic で
ポインタの位置とクリック位置がズレる
という謎の現象がおきます。他のアプリでは問題が発生していないので、おそらくは Lightroom Classic 側のバグだろうと思いますが、さすがにその症状があると使えないので本製品のネイティブ解像度で使うことは諦めました。
というか、そもそも iPad をサブディスプレイ代わりとして使っている時から、Lightroom Classic のセカンダリディスプレイ周りは挙動不審なバグ多すぎなのに、一向に直らないので、使いやすいかと言えば微妙なところもありますからねえ。
とはいえ、Lightroom Classic でセカンダリディスプレイを使ってカタログ画面と現像画面を分けるのは結構便利なので適宜使っていきたいとは思っています。一応、本製品購入の理由の一つは「Lightroom Classic のセカンダリディスプレイ利用」ですからね。
(iPad は別に用途があったりするので、できればセカンダリディスプレイは独立して小型のものが欲しかった)
で、Mac のサブディスプレイとして使う場合の表示解像度設定ですが、私の場合は推奨解像度の中間 1280x854 pixels に設定しています。
デフォルトの 960x640 pixels だとちょっと表示領域の広さが物足りず、1920x1080 pixels では上下黒枠ができるので勿体無く感じるので、中間の 1280x854 pixels。
さらに 1280x854 pixels を試してみると、メインで使っている 27インチ WQHD (2560x1440 pixels) ディスプレイと似たような ppi になって文字サイズやウィンドウサイズなどが近いため、メインディスプレイとの表示差の違和感も少ないことが決め手になりました。
いつもの Lightroom Classic 設定ではカタログ画面の表示量が物足りないですが、適宜サムネイルサイズ設定を調整して使うことにしています。
というわけで、Mac 上での利用は 1920x1280 pixels ネイティブ解像度の利用が MacOS の推奨外だったり、Lightroom Classic と相性が悪かったりという問題はあったものの、Lightroom Classic での写真セレクト・現像時のサブディスプレイとしては問題なく使えそうです。
あとは、購入のきっかけになった「ゲーミング PC で Microsoft Flight Simulator 2020 プレイ時に計器を独立して大きく表示させておきたい」という目的が上手くやれたかどうか、ですが、それについてはまた改めて記すことにします。