表題の記事をソニーの発表会直後に書いて載せようと思っていたら、またすっかり忘れていて、この場末ブログがぺんぺん草記事すら生えない状態が1ヶ月も続いてしまいました。

最近すっかりカメラの新製品には心躍ることなく、それどころかカメラに対する自分の関心が急速に薄れていることを自覚する昨今ではありますが、ほんの少しだけ

ソニーだから(キヤノンと並んで)供給体制は真っ当な方だけど、とはいえ新製品はしばらく手に入らなくなるし、一応予約しておいて来年発売まで考えても良いかな?


なんて思ったのが、今回のソニー新製品の2つ。明日11月16日が予約開始なんですよね…

α9 III | デジタル一眼カメラα(アルファ) | ソニー
FE 300mm F2.8 GM OSS | デジタル一眼カメラα(アルファ) | ソニー
「α9 III」の体験イベントが開催…“連写速度ブースト”や歪みのない静止画・動画撮影など - デジカメ Watch

サッカー撮影がメインの私にとって α9 III のグローバルシャッター搭載というのは「ついに来たか!」という仕様ですし、と同時に AF、被写体捕捉の強力さは、いま某フラッグシップ機を使っていてスポーツシーンでは他社機との差を感じる身には魅力的です。

また、「サンニッパが 1.5kg 切り!?」というのもスゲー!でしかなく、どちらも強く惹かれるものはありました。先立つものはなくても、マウント移行の準備が整っていなくても、とりあえず予約だけでも…なんて思うくらいには。

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とはいえ、私の場合、観客席からスポーツを撮ることが一番多いわけで、それゆえ一番必要なモノは「コンパクトながら 400〜500mm 画角で画質、AF速度を担保できるセット」。

ヨンニッパ (400mm F2.8)、ゴーヨン (500mm F4) といった大型レンズを使えればベストではありますが(一定条件の整った席を除けば)周囲の人の迷惑になりますから、年間パスの席などで使うためにはレンズを一定のサイズ以内に収めるのは必須条件。

それでいて、被写体の動きの速さ、動きのランダムさ、ナイトゲーム含めた条件の厳しさを考えると、ボディ性能もそうですが、レンズ側にも(一定のコンパクトさを求めながらも)要求されるものは多くあります。

(加えて、スポーツの現場でも盗撮防止が声高に言われている昨今、チアガールなどにはレンズを向けない、フィールドを撮るときでもチアに被らないようにしていても、あまりにも目立つ大型レンズの使用は誤解を避けるため使用を躊躇うことが増えました)

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それを考えると
  • クロップ耐性のない 2,400万画素フルサイズ(α9 III)と 300mm レンズでは被写体が大きく捉え切れない
  • 低画素フルサイズ機だと以前愛用していた D5 + 500mm F5.6 PF のような組み合わせが出てくるのを待ちたいがソニーは回折系レンズが登場していないので期待薄
  • α1 II がグローバルシャッター機で出てくれば、APS-C クロップで FE 300mm F2.8 GM と組み合わせ使うのは十分あり

となって、α9 III も FE 300mm F2.8 GM も今の段階で手を伸ばす必要はないなぁ、と冷静になりました😅

むしろ、キヤノンから RF 400mm F4 DO IS USM が来年出るという噂(2度目)が流れてきたので、きっとグローバルシャッター機になるであろう EOS-R1 とセットで欲しい、と思ったり。まぁ合わせて 200万円を遥かにオーバーしそうですから、今の機材全部売り払ったところで懐が許さない気がしますけど…orz

Canon will bring an RF 400mm f/4 DO IS USM to the lineup in 2024

ちなみに AF-S 300mm f/4E PF ED VR、AF-S 500mm f/5.6E PF ED VR というニコン Fマウント時代の回折系レンズ2本を使う前に、初代 400m F4 DO もレンタルで1日だけ使ったことがありますから、画角と重量サイズのバランスは自分に割とマッチしてると思っています。

長く愛用した AF-S 500mm f/5.6E PF ED VR の後継になるかと思って買った Z 400mm f/4.5 VR S が、AF(食いつき)は遅いわ、開放での描写も超望遠単焦点で求めたいモノには及んでいないわ、というストレスがあるので、カメラ趣味を続けていくならそこから解放されたいのはあるんですよねぇ(Z 600mm PF は画角もレンズ自体も長すぎて out of 眼中)。



ともあれ、α9 III の方は情報制限を厳しくやっていたおかげか、ほとんど噂情報がなく、そんなこともあって特に関心もなかったのですが、直前になってリーク情報が出て「マジか!?」となり、製品発表中継を見ながら「おおおおっ!」と。そんなテンションを感じられるカメラの新製品なんて何時以来でしたかねえ…

待望のグローバルシャッターが製品化されたことは、このα9 III だけでなく先々の製品で、今回のα9 III に搭載された機能性能だけでなく、グローバルシャッター搭載ならではの応用が広がっていくわけで、

α9 IIIの機能・性能はまだ
グローバルシャッター採用による恩恵の第一歩


に過ぎないのも事実。今後のカメラの進化が楽しみになり、それを思うと、久しぶりに刺激的なカメラ製品発表でしたね。

また最低感度の問題、高感度画質の低下などグローバルシャッター採用による弊害も取り上げられていますが、グローバルシャッターが先行して採用されていた監視カメラなどの事例から色や高感度画質については言われていた問題点ですので、今さらというか驚きはありません。

グローバルシャッター採用による弊害も
今後の進化の中で解決されていく問題点


であり、それはグローバルシャッター採用最大の難点であるコスト高についても同様でしょう。

今の積層センサー機のように一定の価格帯、一定の方向性を持ったカメラに採用されるだけ、という時期はしばらく続くとしても(10年タームで)競争の中で徐々にミドルクラスへの降りてくることになるのではないかと思います。ぶっちゃけ、スマホと同じく機能性能的には一定の行き詰まり感がある製品カテゴリーですからね。

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それに、ローリングシャッター歪みがなくなるとか、超高速連写 、超高速シャッター速度、対応ストロボでの全速同調…そういったα9 III で目立っている今までにない機能性能も素晴らしいわけですが、そこから応用されていく付加価値があるはず。

(ローリングシャッター歪みについては気になる気にならない、は被写体や背景、撮り方、個人の感じ方によりますから人それぞれ思うところはあるでしょうが、「気にならない/目立たない」と「ない」は天と地ほど違うし、ないことが本来の姿ですからねぇ。昔はそんなのがあったんだよ、と20年くらいしたら言われてるような😆)

例えば、スマホでは当たり前になっている1枚撮影なのに超高速連写による複数枚からの領域毎・被写体背景別のリアルタイム画像合成、HDR処理による露出・撮影結果の最適化なども、グローバルシャッターと搭載チップの高速化と合わせて実現されていくのではないかと。

そういったモノを良しと思わない人、好まない人もいるでしょうけれど、明暗差を補正する Dレンジオプティマイザー/アクティブD-ライティング/オートライティングオプティマイザと同じように、好みでオンオフできるけどあって当たり前の存在になるように思います。

グローバルシャッター採用機が増え、開発中を明言していたキヤノンなど複数メーカーで競争していく中で、様々な応用、付加機能が実現され、マイナーチェンジ程度でしかなかったカメラが新しい段階に進む、α9 III に興奮するというよりはカメラの進歩が開けたことが現実化されたことに楽しみを感じます。

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α9 III 自体はスポーツ撮影など一番グローバルシャッター搭載が生きるカテゴリーに特化したカメラゆえ、最初のグローバルシャッター搭載機として相応しいわけですが、一般的に売れるカメラではなく、多くの人がその恩恵を受けるにはまだ時間を必要とするでしょう。

けれど、デジタルカメラ時代になってから
  • フィルムよりラチチュードが狭い
  • CMOS センサーなんて色がおかしくてダメだ
  • ミラーレスはコントラスト式AFだから遅い
  • EVF は遅延は酷いし、見え味も悪い

等々、新しい技術に対して様々な批判はあった中で、技術の進歩がそれらを克服して、今ではデジタルも、CMOS センサーも当たり前になり、像面位相差 AF や見え方の違和感や遅延の少ない EVF、そういったものが当たり前になって皆使っている今があります。

グローバルシャッターも普及機に降りてくるまでには時間がかかるかもしれませんが、そうなった時、先にも書いたように、歪みなしとか高速連写とかそういった部分だけでなく、グローバルシャッター時代になったからこそ実現されるような機能性能が出てきて使われいる未来が来るであろうし、たとえその時にカメラ趣味を辞めていたとしても、楽しみではあります。

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ちなみに、α9 III の画質その他の評価はまだですけれど、ボタン周りの機能追加を見ているとスポーツなど動体向けの使い勝手も3世代目になってだいぶこなれてきたようですし、グリップも改善したというので、そこは興味深いですね。

特に連写ブースト機能は「判ってる」感じがして興味深いです。対応する新設の C5 ボタンがレリーズ中の同時押しにどれだけ対応できる(操作しやすい)のかは使ってみないと判らないでしょうが、以前よりはちゃんと考えられているなぁ、と思うことの一つです。

今までメインマウントを(連れ合いが使っている)αに移すことを考えたこともなかったのは、はっきり言って使い勝手が自分には論外だった故。ですが、近年メニュー構成も真っ当になり、グリップやボタン操作周りも改善されてきて考える余地が出てきました(将来もまだサッカーその他の撮影を続けていられるなら、ですが)。

あとはまぁ、どこのメーカーもロクなものをない(難しい)バッテリーグリップの形状や操作性ですね…。メイン機は携行性を犠牲にしてもバッテリーグリップ一体型ボディを愛用せざるを得ないのも、そこがどうしてもストレスになるからでした(あとはバッテリーの問題)。

グローバルシャッターの開発はキヤノンも明言していましたから、これでいよいよ満を持してフラッグシップ機 EOS-R1 を後出しで登場させる舞台が整った感じでしょうし、買えるかどうかは別にして、こちらも楽しみです(現在使ってるマウントについては期待していないです)。

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(後付けバッテリーグリップを付けると超ダサになるのは全カメラ共通)


グローバルシャッター搭載で大きな話題になったα9 III の陰に隠れてしまっていますが、ソニーが(ようやく)出してきた E マウントのサンニッパ FE 300mm F2.8 GM OSS もまた凄い。

α9 III と違って、ソニーのサンニッパ発表は割と前から噂になっていましたから、

サンニッパ単玉は需要がもう少ないからニコンもキヤノンもズームに切り替えたのに、ソニーは単焦点で出してくるんだ…どこまで軽くなるかな? 流石にこの時代に出すのだから 2kg は切ってくるよねえ


なんて思っていましたが、

サンニッパが 1.5kg 切り!


マジかよ!?って感じ。思わず、DOレンズ、PFレンズのような回折系レンズを使っているのかと公式ページを確認しに行ってしまいました(当然使用せずに実現)。

EF300mm F2.8L IS USM の初代をレンタルで使い、軽量化された2代目を購入して長く愛用していた身としては、EF300mm F2.8L IS II USM の 2.3kg(だったっけ?)でもまずまず軽いと思っていたのですが、1,470g って手持ちの Z 100-400mm や Z 70-200mm f/2.8 と、ほぼ同じ。素晴らしい以外の言葉はないですね。

私がサンニッパをスポーツ撮影で使っていた時は、APS-H(1DX 以前の EOS-1D 系ボディ)、APS-C センサーでの使用でしたから、フルサイズ機であるα9 III と一緒に買いたい!使いたい!と思うことはできないのですが、画角レンジが該当する人にとってα9 III + FE 300mm F2.8 GM OSS は至極の組み合わせになりそうで羨ましいです。

FE300F2.8GM


とまぁ、先週のソニーα発表会直後に書いてた内容をちょっと編集して今さら載せておきました。ブログネタは全くないわけでもないし、他にも書きかけの記事はあるんですが…もうちょっと短くすぐ載せるようにしないと😅

ちなみに、現在のメインマウントであるニコン Z でも興味深い新製品が色々出ていますが、out of 眼中なボディだったり、ここ数ヶ月で発売された望遠レンズ群は(一部カテゴリーの人たちに)人気になるだろうし、便利そうに思えるものの、自分のポイントから少し外れていることもあって「無駄遣いせずに済むわ」と軽く流せていました。

先だっては八尾、明野と連続でヘリコプター航空祭に赴いて、どちらも Z 100-400mm で撮っていて DX モードも併用していたので「新しい Z 180-600mm があれば便利だろうなぁ」とは思いましたし、Z 100-400 には AF 速度も画質も(値段を考えると)満足には遠いので一瞬考えなくもなかったのですが、レンズ長を考えると 100-400 と同じ運用というわけにも行かないと冷静になってスルーできました。

(最近遠征先で自転車移動することも多くなり、気軽に動ける 70-200mm F2.8 や 100-400mm クラスのサイズ感は重要に感じています。デカいバッグを背負うなら超望遠単焦点レンズ持っていくか、となることもありますしね…)


(ここらもタマがないのでボッタクリ価格になることも…)


とりあえず昨年1年間 Z9 購入から Z レンズを一気に揃えて大枚かけた割には満足度が微妙だったため(かけた金の割に Fマウント最終期からのクオリティ上昇が少なかった)、カメラに金を費やす気がすっかり減退している今年なので、よほど心動くモノがないと何も感じなくなっていたのですが、α9 III にはちょっぴり心動きました。

X マウントもそろそろテコ入れ…と思っていたら、ボディ買い替え予定だった X-T5 が長い納期で様子見していたら受注停止(海外では普通に在庫あり)、そしてまた値上げ、とかで、Xマウントも今後どう扱って行こうか悩みどころです。

サッカーなどのスポーツを撮っていると、年々動体視力と反射神経が衰えていることを実感せざるを得ず、撮れていたはずのものが(より高性能な機材になっても)撮りきれなくなっているストレスを抱えるくらいなら、もう撮るのは止めちゃおう、本来の観戦するだけに戻ろう、と思うことも多く、その時になってもスナップ用 X マウントは維持していくつもりでしたが、富士フイルムのカメラ国内販売に対する扱いを思うと、この先悩ましいところです。



いずれにせよ、今回のα9 IIIは、パナソニック DMC-G1 登場で始まった今の

ミラーレス時代が新章に切り替わる第1号機


であり、エポックメイキングな歴史に残るカメラを出してきたことは、さすがミラーレス時代のフロントランナーメーカーだけあるな、って感じでした👏👏👏


(ソニーは妥協できるサブ機候補が多いのも魅力)