昨晩リリースされた Adobe Lightromm Classic 12.3。+0.1 のマイナーバージョンアップデートですが、幾つかの機能が追加され、中でも話題を呼んでいるのが新しいノイズ除去機能「AIを活用したノイズ軽減」。
(個人的にはマスクにカーブが適用可能になったのも結構大きな改善だと思っていますが)
Photoshop では一足早く搭載されていた機能ですが、より必要とされていたであろう Lightroom Classic に搭載され、昨晩のリリース直後から速攻アップデートかけて早速試す人たちが続出、深夜まで私のタイムラインでもその話題で賑やかになりました。
私も昨晩色々と試して Twitter にも投稿したのですが、幾つかの例をここで載せながら自分なりの第一印象を記しておきたいと思います。(最初に第一印象を述べて、後半に実例画像を載せていきます)
■ Lightroom Classic の 2023年4月のリリースでの新機能の概要
■ Raw 画像の微細なディテールの強化
■ New features summary for the April 2023 release of Lightroom Classic

この手の AI ディープラーニングを活用したノイズ除去機能を知らない人へ端的に説明しておくと、最近流行りのディープラーニング技術を活用することで、
といった新世代のノイズ軽減・除去機能です(メーカー、アプリによって適用される機能は多少異なる)。
例えば、暗いところで撮った写真で、人の顔にノイズがいっぱいだからと従来のノイズ軽減機能を強く適用すると、顔はツルツルになるけど髪の毛は1本1本が分離しなくなってベタっとなってしまいました。
それが新世代のディープラーニング型ノイズ軽減機能では、顔の皮膚の部分はできるだけ綺麗にノイズを除去をするけど髪の毛は1本1本分離したままノイズ除去する、と勝手に上手いことやってくれるわけです。
従来こういうことをやろうと思うと、Photoshop などでレイヤー組んで、それぞれの部分ごとにマスクして必要なノイズ処理その他を行なってやる必要がありましたが、ディープラーニングによって
のが、この手のディープラーニング系新世代のノイズ除去・軽減機能です。
簡単!綺麗!速……くはなくて、従来のノイズ軽減機能と比べるとメッチャ時間はかかりますし、処理速度は GPU または Neural Engine のマシンパワーに依存します(Lightroom は GPU 処理、DxO は Neural Engine または GPU 処理の選択制)。
以前、私が M1 MacBook Air から M2Max MacBook Pro に買い替えた理由として、大量の写真整理、RAW 現像の速度、レスポンスを上げるためと言いましたが、この手の新世代ノイズ軽減機能の速度向上も理由にありました。
■ M1 MacBook Air から M2 Max MacBook Pro に買い替えた話【1】ほとんど不満ないのに買い換えた、たった一つの理由

さて、ディープラーニングを活用したノイズ除去機能(以下 AI NR)は Adobe が初めてというわけではなく、むしろ後発。著名なところでは DxO Photolab / PureRAW や Topaz AI などがノイズ除去を得意とするアプリがあり、既に機能搭載から世代を重ねています。
特に DxO PureRAW は Lightroom Classic(以下 LrC)から呼び出してノイズ処理するために特化して作られたアプリで、特に夜間撮影や高感度撮影が多い人にとって LrC とペアで使う人もかなり多いアプリです。
とりあえず、最初に、今回の LrC 搭載の AI NR 機能を使ってみた印象を言っておくと、
という、それくらいのレベルに仕上がっています>Lightroom Classic の AI ノイズ除去機能。
昨晩リリース直後に試した方々の SNS での評価を見ると、LrC の AI NR の方が自然だ、好み、という人もいれば、DxO の DeepPrime XD の方が優秀だ、まだ上回ってる、という人もいました。
LrC の AI NR に関しては無料(追加料金不要)というメリット込みの思いもありましょうし、DeepPrime XD の方は「せっかく買ったのだから」的な心理的バイアスが入っている可能性もありますが、私自身がアレコレ試したところでは、
であり、DxO や Topaz などのノイズ除去製品を持っていなければ何も考えずに満足できるクオリティではないかと思います。(それも人それぞれでしょうけど)
ですから、その点で決定的な差が出ることもありません。
処理時間は GPU 処理の場合 LrC AI NR の方が約3割速く、NR 処理後のファイルサイズは LrC AI NR の方が約3〜4割デカい、って感じですね。

LrC の AI NR が最初から一般的なベイヤーセンサー機だけでなく富士フイルムの X-Trans CMOS にも対応してきた点も考え合わせると、Adobe としても完全に DxO や Topaz のクオリティや機能をターゲットにして開発したのでしょう。
そういう意味では Adobe の狙いどおりか
というのが、私なりの結論。既に持ってる人は使い分けるなり何なりすれば良いですが、これから新たに1万5千円も払って PureRAW 3 買うのを勧められるかと言えば、それはなくなったかなぁ、と。
DxO で言えば、PureRAW 3 ではなくフル機能の Photolab 6 なら U-Point など魅力的な機能もあるレタッチアプリの別選択肢として価値はあると思いますけど、LrC 用のノイズ除去に特化した PureRAW の存在価値はだいぶ薄れた感ありです。
もっとも、私自身はレンズの補正機能は DxO の方が優秀に感じるし、LrC の AI NR の後にアンシャープマスクを掛けるより、DeepPrime XD で処理してから(レンズシャープネスをちょい掛けしてから)LrC で薄くアンシャープマスクする方が好みなので、今後も DxO Photolab 6 併用はしていくと思います。
が、それは既に持ってるから言えることであって、今から買うかと言われれば自分でも買わないと思います。

ということで、前置きが長くなったし、第一印象の結論は書いてしまいましたが、Z 9 で撮影したサッカー、飛行機の夜間撮影、モータースポーツの写真から、それぞれ自分が試してみた中より幾つかの実例を載せておきます。
それぞれの写真について、
の3パターンの画像を載せておきます。LrC の AI NR は適用量 50 の初期設定、DxO の DeepPrime XD は初期設定から若干変更した、私がいつも利用しているパラメーターとしています(初期設定からさほど離れていないはず)。
また、それぞれの処理に要した時間、処理前後のファイルサイズ比較、処理中の負荷の差を最後にまとめています。
(実行マシンは 12コア CPU / 30コア GPU M2 Max MacBook Pro、32GB メモリ、1TB SSD)
なお、等倍切り出しサムネイル画像を除き、ブログのアップロードサイズ制限およびサーバー側の再圧縮により、オリジナルの画像より劣化していることはご了承ください。
画質的なことを上記のとおりですが、個人的には処理速度や処理後のファイルサイズも重要な点です。以下、その点を比較してみます。
1枚あたりの処理速度は、だいたい LrC AI NR で 25秒前後、DxO DeepPrime XD で 30秒台前半。また DxO 系アプリを使う場合は、アプリ間のファイル受け渡しやライブラリ戻しの処理時間があるので+数秒かかることを思えば、
ことになります。ちなみに、アクティビティモニタで見ると LrC も DxO Photolab も GPU を 8〜9割くらい使っているので、まずまずの負荷はかかっています。
逆にファイルサイズは、LrC AI NR で全部 200MB 超、中には 250MB にも達しているファイルもありました。DxO DeepPrime XD は 150MB 前後。
ものになります。DxO の 150MB 前後のファイルにもウンザリしていたので、この点は Lr AI NR に対してだいぶ印象が悪いです。

(あとLrCのこのファイル名はちょっと…😩)
私の写真に対するスタンスは、自分が納得行った1枚を丁寧に仕上げて作品を作るスタイルではなく、「アートとか作品とか知ったこっちゃねえ、あくまで好きなものに対する記録だべ」であります。
なので、スポーツ写真なんかは撮影枚数が多いだけではなく、整理後の現像枚数も多くなっています。処理に時間がかかるので全部の現像写真にこういった AI ノイズ処理は適用できませんが、1試合で400枚の画像を現像して、その1〜2割に適用するだけでも結構な枚数=かなりの時間を費やすことになります。
と同時に、元々の RAW 画像ファイルが 35MB そこそこに対して、LrC AI NR にせよ、DxO DeepPrime XD にせよ、処理後には 150〜200MB を超えるファイルサイズになります。
1枚1枚丁寧に、さほど現像枚数の少ない人なら処理時間もファイルサイズも大した問題ではないでしょうが、私の場合はそうでないため、特に LrC AI NR 処理後のファイルサイズの大きさはネックです。
なので、私の場合、
という感じ。
どっちつかずな結論ですが、今のところは
この使い分けで行こうかな?と。
DxO が半年放置しているバグを直して MacOS Venture で GPU 処理より高速な Neural Engine 処理が使えるようになれば良いのですが DxO は毎度動きが遅く、こうなると先々捨てる可能性も高くなりました。Z9 の高効率 RAW のサポートに1年以上かかり、未だ Z 400mm f/4.5 VR S の補正データーはないですし…
あと蛇足ですが、こういう高性能なノイズ除去が可能になったからといって、暗いレンズでも行けるんだ!という声もチラホラ見ましたが、止まりものならともかく、動く相手の場合はレンズが明るいことによる様々な有用性は変わらないですね…
(個人的にはマスクにカーブが適用可能になったのも結構大きな改善だと思っていますが)
Photoshop では一足早く搭載されていた機能ですが、より必要とされていたであろう Lightroom Classic に搭載され、昨晩のリリース直後から速攻アップデートかけて早速試す人たちが続出、深夜まで私のタイムラインでもその話題で賑やかになりました。
私も昨晩色々と試して Twitter にも投稿したのですが、幾つかの例をここで載せながら自分なりの第一印象を記しておきたいと思います。(最初に第一印象を述べて、後半に実例画像を載せていきます)
■ Lightroom Classic の 2023年4月のリリースでの新機能の概要
■ Raw 画像の微細なディテールの強化
■ New features summary for the April 2023 release of Lightroom Classic

この手の AI ディープラーニングを活用したノイズ除去機能を知らない人へ端的に説明しておくと、最近流行りのディープラーニング技術を活用することで、
- ノイズ除去処理の掛け方を画像の中身を見て、部分ごとに最適化して処理する
- 画像の内容、部分を見て細かいディティールをできるだけ潰さず残していくようにノイズ軽減する
- ノイズで潰れ気味になっている細部の表現を疑似復元して解像感を取り戻す
- ノイズに埋もれていた色を向上させる
といった新世代のノイズ軽減・除去機能です(メーカー、アプリによって適用される機能は多少異なる)。
例えば、暗いところで撮った写真で、人の顔にノイズがいっぱいだからと従来のノイズ軽減機能を強く適用すると、顔はツルツルになるけど髪の毛は1本1本が分離しなくなってベタっとなってしまいました。
それが新世代のディープラーニング型ノイズ軽減機能では、顔の皮膚の部分はできるだけ綺麗にノイズを除去をするけど髪の毛は1本1本分離したままノイズ除去する、と勝手に上手いことやってくれるわけです。
従来こういうことをやろうと思うと、Photoshop などでレイヤー組んで、それぞれの部分ごとにマスクして必要なノイズ処理その他を行なってやる必要がありましたが、ディープラーニングによって
被写体の特徴に応じて自動で
上手いことノイズ軽減をやってくれる
上手いことノイズ軽減をやってくれる
のが、この手のディープラーニング系新世代のノイズ除去・軽減機能です。
簡単!綺麗!速……くはなくて、従来のノイズ軽減機能と比べるとメッチャ時間はかかりますし、処理速度は GPU または Neural Engine のマシンパワーに依存します(Lightroom は GPU 処理、DxO は Neural Engine または GPU 処理の選択制)。
以前、私が M1 MacBook Air から M2Max MacBook Pro に買い替えた理由として、大量の写真整理、RAW 現像の速度、レスポンスを上げるためと言いましたが、この手の新世代ノイズ軽減機能の速度向上も理由にありました。
■ M1 MacBook Air から M2 Max MacBook Pro に買い替えた話【1】ほとんど不満ないのに買い換えた、たった一つの理由

さて、ディープラーニングを活用したノイズ除去機能(以下 AI NR)は Adobe が初めてというわけではなく、むしろ後発。著名なところでは DxO Photolab / PureRAW や Topaz AI などがノイズ除去を得意とするアプリがあり、既に機能搭載から世代を重ねています。
特に DxO PureRAW は Lightroom Classic(以下 LrC)から呼び出してノイズ処理するために特化して作られたアプリで、特に夜間撮影や高感度撮影が多い人にとって LrC とペアで使う人もかなり多いアプリです。
とりあえず、最初に、今回の LrC 搭載の AI NR 機能を使ってみた印象を言っておくと、
DxO の DeepPrime XD と LrC の AI NR の差は比べて初めて分かる程度であり、どちらが良いかは条件と好みによって変わる話
従来のノイズ除去機能と比べれば、DeepPrime XD と LrC の AI NR の差なんて極小
という、それくらいのレベルに仕上がっています>Lightroom Classic の AI ノイズ除去機能。
昨晩リリース直後に試した方々の SNS での評価を見ると、LrC の AI NR の方が自然だ、好み、という人もいれば、DxO の DeepPrime XD の方が優秀だ、まだ上回ってる、という人もいました。
LrC の AI NR に関しては無料(追加料金不要)というメリット込みの思いもありましょうし、DeepPrime XD の方は「せっかく買ったのだから」的な心理的バイアスが入っている可能性もありますが、私自身がアレコレ試したところでは、
被写体・撮影条件と好みで変わるレベル
であり、DxO や Topaz などのノイズ除去製品を持っていなければ何も考えずに満足できるクオリティではないかと思います。(それも人それぞれでしょうけど)
処理に時間がかかるのも
処理後のファイルが馬鹿デカなのも同じ
処理後のファイルが馬鹿デカなのも同じ
ですから、その点で決定的な差が出ることもありません。
処理時間は GPU 処理の場合 LrC AI NR の方が約3割速く、NR 処理後のファイルサイズは LrC AI NR の方が約3〜4割デカい、って感じですね。

LrC の AI NR が最初から一般的なベイヤーセンサー機だけでなく富士フイルムの X-Trans CMOS にも対応してきた点も考え合わせると、Adobe としても完全に DxO や Topaz のクオリティや機能をターゲットにして開発したのでしょう。
そういう意味では Adobe の狙いどおりか
PureRAWを買う理由は激減したのでは…
というのが、私なりの結論。既に持ってる人は使い分けるなり何なりすれば良いですが、これから新たに1万5千円も払って PureRAW 3 買うのを勧められるかと言えば、それはなくなったかなぁ、と。
DxO で言えば、PureRAW 3 ではなくフル機能の Photolab 6 なら U-Point など魅力的な機能もあるレタッチアプリの別選択肢として価値はあると思いますけど、LrC 用のノイズ除去に特化した PureRAW の存在価値はだいぶ薄れた感ありです。
もっとも、私自身はレンズの補正機能は DxO の方が優秀に感じるし、LrC の AI NR の後にアンシャープマスクを掛けるより、DeepPrime XD で処理してから(レンズシャープネスをちょい掛けしてから)LrC で薄くアンシャープマスクする方が好みなので、今後も DxO Photolab 6 併用はしていくと思います。
が、それは既に持ってるから言えることであって、今から買うかと言われれば自分でも買わないと思います。

ということで、前置きが長くなったし、第一印象の結論は書いてしまいましたが、Z 9 で撮影したサッカー、飛行機の夜間撮影、モータースポーツの写真から、それぞれ自分が試してみた中より幾つかの実例を載せておきます。
それぞれの写真について、
- ノイズ処理する前の画像(ノイズ処理以外は加工済み画像)
- Lightroom Classic(以下の LrC)の AI によるノイズ除去機能(以下 AI NR)を適用した画像
- DxO Photolab 6 の DeepPrime XD を適用した画像
の3パターンの画像を載せておきます。LrC の AI NR は適用量 50 の初期設定、DxO の DeepPrime XD は初期設定から若干変更した、私がいつも利用しているパラメーターとしています(初期設定からさほど離れていないはず)。
また、それぞれの処理に要した時間、処理前後のファイルサイズ比較、処理中の負荷の差を最後にまとめています。
(実行マシンは 12コア CPU / 30コア GPU M2 Max MacBook Pro、32GB メモリ、1TB SSD)
なお、等倍切り出しサムネイル画像を除き、ブログのアップロードサイズ制限およびサーバー側の再圧縮により、オリジナルの画像より劣化していることはご了承ください。
- 【1】サッカー高感度撮影その1
完全なナイトゲームではありませんが、自然光は1割くらいでスタジアムの照明が主体となっているミックス光源な時間帯、コーナー付近というピッチの中では一番照度の低い場所、選手の顔は下を向いていないものの場所や照明の当たり方から陰になるので、後処理でガッツリ露光量を上げ、シャドウも上げて、結果暗部ノイズが目立つ例。
撮影時の露出、WBは固定ですが、白いユニフォームが飛びやすいのでピッチの明るい場所でも露出控えめになる設定で撮っています(特にアウェイゲームでは応援する自チームが白ユニなので飛ばしたくない)。
その状態で照度の低い、顔が陰になりがちな場所なので、露光量はがっつりプラス、シャドウ起こしで当然ノイズが目立ちまくるので普段から DxO 使用を前提としています。
Z9、ISO 4000、後処理は +1.6EV、ハイライト -30、シャドウ +50、白 -2、黒 -10、ダーク -5、アンシャープマスク45/1.0/25/2 など。
- LrC NR オフ(圧縮RAW 35.2MB)
(↑画像クリックで大サイズの等倍画像) - LrC AI NR 適用(ファイルサイズ 250.8MB)
(↑画像クリックで大サイズの等倍画像) - DxO DeepPrime XD 適用(ファイルサイズ 150.3MB)
(↑画像クリックで大サイズの等倍画像)
本写真だけ元サイズの画像をアップロードしようとしたら弾かれたので、横6,000pxにリサイズした画像を元サイズ画像の代わりに置いています(残る例では元サイズ画像)。リサイズした分、ノイズ感は圧縮されて軽減されています。念のため。
ノイズの消え方は LrC AI NR も優秀なのですが、まつ毛など髪の毛の分離で DxO DeepPrime XD の方が優秀な印象。逆に DeepPrime XD の感じが嫌だという人もいそうですが。
LrC AI NR の適用量とアンシャープマスクの掛け方を調整すれば DeepPrime XD に近い状態へ持って行けそうですが、そこまでは試していません(面倒)。
あと、この例では LrC AI NR 処理後のファイルサイズが DxO 処理後よりさらに 100MB もデカくて閉口しました。- LrC NR オフ(圧縮RAW 35.2MB)
- 【2】サッカー高感度撮影その2
前項の写真と変わらない時間帯ですが、反対側のタッチライン沿いで暗く、露出アンダーから戻すので暗部ノイズが出やすい条件。Z9 では少しでも顔が下がってると暗部ノイズが酷くてディープラーニング系ノイズ処理通しても使い物になり難いですが、顔が上がってる条件なので使えます。
が、こちらは AF が甘ピンの画像。Z9 は一定照度以下になると急激に AF 速度が落ち、精度も甘くなり、被写体認識で顔を合焦していてもピントは胸ロゴへ行っていたりして、甘ピンは珍しくありません(他の理由もあってダイナミック AF の方が安定)。
これはファームウェア Ver.3 になっても 3.1 になっても変わらないですね。照度があれば背景抜けはマシになった印象はありますし、動きが遅いものに対しては照度が下がっての AF 性能も多少改善してますが、サッカーでは正直微妙。
なので、甘ピンの画像でも「これは残したい」「良いシーンだから救いたい」ということはあるので、その場合に準じた例として本画像を取り上げました(これが頑張って残したい、救いたい写真ではないですけど)。
従来こういった画像は、LrC 単体ではどうにもならなくても(シャープネスを強くすればノイズが浮くため)、DxO DeepPrime で処理した後にアンシャープマスクを強めに調整してかけたやると、パッと見はいける感じになることが多々ありました。(元々が甘ピン程度で等倍でガッツリ見ない前提ですけど)
そういった救済目的での LrC の新しい AI NR はどうかな?という事例。
Z9、ISO 4000、後処理は +1.5EV、ハイライト -30、シャドウ +30、白 -4、黒 -5、ダーク -5、アンシャープマスク60/1.0/30/2 など。
- LrC NR オフ(圧縮RAW 34.9MB)
(↑画像クリックで大サイズの等倍画像) - LrC AI NR 適用(ファイルサイズ 202.1MB)
(↑画像クリックで大サイズの等倍画像) - DxO DeepPrime XD 適用(ファイルサイズ 145.4MB)
(↑画像クリックで大サイズの等倍画像)
こちらは、その1の例より差が小さく、正直どちらでも良い気はします。個人的な好みでは若干 DeepPrime XD かな…ですが、パラメーター次第で変わる程度…かな?- LrC NR オフ(圧縮RAW 34.9MB)
- 【3】飛行機夜間撮影
私なんぞが夜撮ヒコーキの例を出すのは憚られるのですが、他の被写体も、ということで。ヒコーキ相手に関しては、そこらにたくさんいる強者が色々語られていると思うので、そっちを見ていただければ…😅
Z9、ISO 12800、後処理は +0.3EV、コントラスト +20、ハイライト -10、彩度 +10、ライト +10、ダーク -10、アンシャープマスク60/1.1/35/0 など。
- LrC NR オフ(圧縮RAW 33.5MB)
(↑画像クリックで大サイズの等倍画像) - LrC AI NR 適用(ファイルサイズ 206.7MB)
(↑画像クリックで大サイズの等倍画像) - DxO DeepPrime XD 適用(ファイルサイズ 139.9MB)
(↑画像クリックで大サイズの等倍画像)
ヒコーキ夜撮のこの事例では、個人的には LrC の AI NR の方が良いように感じました。LrC AI NR は DeepPrime XD よりシャープさがありますし、若干ノイズはあるのですがツヤ感が残っていて、DeepPrime XD の金属相手の時のノイズ消しまくる感よりは好感が持てます(元々ノイズは多少ある写真の方が好きですし)。
LrC AI NR でのノイズ量は適用量を 50 より増やせば消す方向に行くでしょうし、DeepPrime XD も処理パラメーターでレンスシャープネスを強めにかければシャープ感は出るだろうと思いますが、初期設定ないし私がいつも使ってる設定では LrC AI NR の好みで、逆に言えば LrC AI NR が DeepPrime XD と遜色ないのかな、と。- LrC NR オフ(圧縮RAW 33.5MB)
- 【4】モータースポーツ
モータースポーツ撮影は元々シャッター速度低めなことが多いので、日中は ND フィルターを使うことも多いくらいで、夕刻とか土砂降りで照度が下がることはあっても高感度を使う機会はあまりありません。
ので、今すぐ出せる(Lightroom の作業用ライブラリに入っている)写真で探してみたところ、昨年の鈴鹿8耐テスト時の夕刻に、二重フェンス越しで撮るために高速SSを使った際、高感度設定になっている写真がありましたので、それを題材にしてみます。没写真なんですけど…😅
Z9、ISO 6400、後処理はコントラスト +20、ハイライト -10、かすみの除去 +10、ライト +10、アンシャープマスク55/1.0/25/0 など。
- LrC NR オフ(圧縮RAW 34.0MB)
(↑画像クリックで大サイズの等倍画像) - LrC AI NR 適用(ファイルサイズ 220.1MB)
(↑画像クリックで大サイズの等倍画像) - DxO DeepPrime XD 適用(ファイルサイズ 165.5MB)
(↑画像クリックで大サイズの等倍画像)
こちらも飛行機の夜間撮影時と同じような印象。初期設定では DxO DeepPrime XD の方がノイズは消えてるけど、その分シャープさは不利。ただ、パラメーター調整次第で何とかなるレベルの差かな?という印象ですね。- LrC NR オフ(圧縮RAW 34.0MB)
画質的なことを上記のとおりですが、個人的には処理速度や処理後のファイルサイズも重要な点です。以下、その点を比較してみます。
処理時間 | ファイルサイズ | ||
サッカー その1 | NRオフ | --- | 35.2MB |
LrC AI NR | 未計測 | 250.8MB | |
DxO DPXD | 未計測 | 150.3MB | |
サッカー その2 | NRオフ | --- | 34.9MB |
LrC AI NR | 23秒 | 202.1MB | |
DxO DPXD | 34秒 | 145.4MB | |
飛行機 夜撮 | NRオフ | --- | 33.5MB |
LrC AI NR | 24秒 | 206.7MB | |
DxO DPXD | 34秒 | 139.9MB | |
バイク | NRオフ | --- | 34.0MB |
LrC AI NR | 26秒 | 220.1MB | |
DxO DPXD | 33秒 | 165.5MB |
1枚あたりの処理速度は、だいたい LrC AI NR で 25秒前後、DxO DeepPrime XD で 30秒台前半。また DxO 系アプリを使う場合は、アプリ間のファイル受け渡しやライブラリ戻しの処理時間があるので+数秒かかることを思えば、
LrCがDxOの3分の2程度で処理を終えられる
ことになります。ちなみに、アクティビティモニタで見ると LrC も DxO Photolab も GPU を 8〜9割くらい使っているので、まずまずの負荷はかかっています。
逆にファイルサイズは、LrC AI NR で全部 200MB 超、中には 250MB にも達しているファイルもありました。DxO DeepPrime XD は 150MB 前後。
LrC AI NR処理後ファイルの方が3割ほど大きい
ものになります。DxO の 150MB 前後のファイルにもウンザリしていたので、この点は Lr AI NR に対してだいぶ印象が悪いです。

(あとLrCのこのファイル名はちょっと…😩)
私の写真に対するスタンスは、自分が納得行った1枚を丁寧に仕上げて作品を作るスタイルではなく、「アートとか作品とか知ったこっちゃねえ、あくまで好きなものに対する記録だべ」であります。
なので、スポーツ写真なんかは撮影枚数が多いだけではなく、整理後の現像枚数も多くなっています。処理に時間がかかるので全部の現像写真にこういった AI ノイズ処理は適用できませんが、1試合で400枚の画像を現像して、その1〜2割に適用するだけでも結構な枚数=かなりの時間を費やすことになります。
と同時に、元々の RAW 画像ファイルが 35MB そこそこに対して、LrC AI NR にせよ、DxO DeepPrime XD にせよ、処理後には 150〜200MB を超えるファイルサイズになります。
1枚1枚丁寧に、さほど現像枚数の少ない人なら処理時間もファイルサイズも大した問題ではないでしょうが、私の場合はそうでないため、特に LrC AI NR 処理後のファイルサイズの大きさはネックです。
なので、私の場合、
当分DxOとLrC AI NRは併用かな
という感じ。
どっちつかずな結論ですが、今のところは
- スポーツ写真は従来どおり DxO DeepPrime XD メイン
- スポーツ写真でも急ぎ作業でパッと素早くディープラーニング系NRをかけたい場合は LrC の AI NR をポチッとする
- 金属物系の被写体は LrC の AI NR で良いんじゃないかな?
この使い分けで行こうかな?と。
DxO が半年放置しているバグを直して MacOS Venture で GPU 処理より高速な Neural Engine 処理が使えるようになれば良いのですが DxO は毎度動きが遅く、こうなると先々捨てる可能性も高くなりました。Z9 の高効率 RAW のサポートに1年以上かかり、未だ Z 400mm f/4.5 VR S の補正データーはないですし…
あと蛇足ですが、こういう高性能なノイズ除去が可能になったからといって、暗いレンズでも行けるんだ!という声もチラホラ見ましたが、止まりものならともかく、動く相手の場合はレンズが明るいことによる様々な有用性は変わらないですね…
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