Z 400mm f/4.5 VR S(以下 Z445)を予約、発売日に手に入れてから3ヶ月。前回記事では8月に書いた初期の雑感から多少の追記を行った以外は、ほぼ(Z445 のスペックに対する)愚痴オンパレードで心の隅にあった汚泥を吐き出すだけになってしまいました。

で、続く今回は、

「Z445 を買うからには懐具合的に、手持ちの望遠レンズから1本売却必須だったけど、どれも必要に思えて結局何も売れなかった」
「似たようなレンズ、似たようなレンジのレンズばかり持っているけれど、それぞれのレンズを使い分けていて、どれも手放せなかった」

という話…の予定でしたが、友達から

結局 Z9+Z445 は D5+556PF の代わりになってるの?


と以前聞かれた件についても併せて書こうとしたら長くなりすぎましたので、まず今回は、そのことについて記しておこうかと思います。(556PF = AF-S 500mm f/5.6E PF ED VR)



最初に結論的なことから述べておくと、当方の Z445 購入の目的は

D5 + 556PF を Z9 + Z445 でそれなりに置き換えられたらなぁ…
ナイトゲームのサッカー撮影で D5 + 556PF と同程度の撮れ高、クオリティがえられたらなぁ


といった目論見であり(なぜ全てを解決する?ヨンニッパ 400mm F2.8 じゃなく Z445 を使わざるを得ないのかは後述)、その用途において 3ヶ月使ってきてどう感じているかと言えば、

ダメとまで言わないが
満足とも言えない


というのが正直なところ。(観客席からのスポーツ撮影、特に J1 のプロサッカー、それも主にナイトゲーム撮影での個人的印象ですので念の為)

けれども、今なお使っている、という事実は、

妥協込みでZ445を受け入れている


ということです。後述する事情もあって、現状はある程度止むを得ず、という感じではありますが。

これが本当に全然ダメなら、例えば Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S(以下 Z100-400)レベルの AF 速度だったら、速攻で Z445 は売却していました。懐のやり繰りはかなり厳しい状態で買ったこともあって、最初の1ヶ月はチラッとそれも過ぎったのも事実。私にとっては 556PF や Z100-400 と比べると使い所も限られてもいるレンズですしね。

でも、自分なりに色々と比較検証してみて、従来から大型レンズが使えず 556PF でスポーツ撮影していた条件では(妥協込みだけど)Z9 + Z445 という組み合わせを使っていくことにしました

(正直言って D5 よりナイトゲームでの AF の信用は低い Z9 をメイン機に据えた理由は幾つかありますが、一番は利便性を優先した、特に老眼が進んでしまって背面液晶での画像確認が辛くなり EVF による画像確認に頼らざるを得なくなった点が大きいです。詳細はいずれ記事にします)

Z445VRS01


今シーズンは、いつものガンバ大阪以外の Jリーグの試合へ多く足を運び、Z9 の習熟訓練、設定の詰め、レンズのテストをしていましたが、今夏はナイトゲームで D5 と Z9、そして 540FL(AF-S 500mm f/4E FL ED VR)、556PF、Z445 といったレンズの組み合わせを同じような条件で試し、同じ試合で機材を入れ替えながら使って直接比較して、納得いくまでチェックしていました。

現状の Z9 + Z445 の組み合わせは、D5 + 540FL はもちろん、D5 + 556PF や Z9 + 540FL と比べても撮れ高やクオリティという点では不満はあります。

特に、開放F値が 1/3段しか変わらない Z9 + 540FL とは撮れ高もクオリティにも結構な差があったのは、Z445 の仕様からして想定内だったけど、「ここまで違うかー」という思いは正直ありました。

Z9 + 540FL の組み合わせにおいては、撮影設定や後処理のワークフローも含めてナイトゲームでもある程度納得できる撮れ高とクオリティを確保できるところまで詰めているのですが、Z445 との組み合わせでは妥協してもいささかストレスは溜まるのが現状。

(Z9 + Z445 はどうしても従来の組み合わせより食いつきの弱さ遅さが露呈するので、被写体の初動一発目と不規則に速く動く動いた瞬間の撮れ高で差が出てしまう)

とはいえ、

D5 + 556PF には少々足りてなくとも
Z9 + 556PF の組み合わせよりはマシかな


という個人的な印象、結果でありましたから(主に画質面で)、

物足りないところもあるし、40万円超も出した割には…感があって、556PF を買った時のような満足感はないけれど、今後 D5 ではなく Z9 をメインに据えるなら必要なレンズだろうなぁ…


という感じで(現状は妥協込みですが)今後の主力レンズの1本として扱うことになりました。

後述するように、来季からはJリーグ観戦での主力レンズとなるでしょう。D5 + 556PF よりは 300g ほど軽くなるのも、三脚が使えない条件で 90分間手持ち撮影時には大きな味方です。

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ちなみに、Z445 の名誉のため?に加えていうならば、Z9 + Z445 での不満において

原因はZ445よりZ9に多くある印象


なのも事実。

Z445 のレンズ駆動が STM である影響も少なからずありますが、Z9 の多発ダメ挙動の一つでもある急な避けられない背景抜け&戻らない現象も含めて、D5 + 556PF と Z9 + 556PF の比較から Z9 の AF 挙動により多く不信を感じざるを得ません。(被写界深度の深さによる AF への影響は 556PF と Z445 は同程度のはず)

ですから、無駄に前向きに捉えれば逆に言えば、

Z9 のクソッタレ癖のある AF が今後抜本的に見直されて改善されたり、Z9 II でライバル社に見劣りしないくらい AF が安定すれば、Z445 との組み合わせでスポーツを撮っていても不満はもっと小さくなるでは?


と考えられなくもないわけです。

決して、そう思うしかない(涙)という強がりとかではなく、ミラーレス時代のレンズ AF 性能はデジタル一眼時代よりボディ側に影響される部分は大きいので、その可能性はあると思っています。(過去に Xマウントで体験したことですし)

そんなわけで、

現状では妥協込みでギリギリだけど
将来に期待しておくか…


という思いもあって Z9 も Z445 も使い続けていく予定です。

もっとも、将来に期待と言ったところで私自身がいつまでスポーツ撮影をしていられるのか判らないですけどね。年々、動体視力も反射神経も少しずつ衰え、一瞬一瞬のシャッターチャンスを微妙に追いきれなくて辛い思いをすることも増えてきていますから、きっぱり諦めてカメラを置くまでの時間との勝負です。

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さて、スポーツ撮影で Z445 を買う、でも満足はしかねる、と言うと「そこまで言うならヨンニッパ 400mm F2.8 買えよ」というツッコミもされるのですが、観客席から撮る場合だと一般的に大型レンズは周りの迷惑になるので使える条件は限られます。

私だって常に大型レンズを使って撮影できる条件、環境ならば、他のレンズ、機材を全て売り払ってでも Z 400mm f/2.8 TC VR S を買いに走ったでしょうが、使用できる条件が整わなければ払ったお金に見合うだけの稼働率がなく、元が取れないようでは買う意味はありません。

(スポーツを一般人が撮影しても良いか否かはそれぞれのスポーツ団体によって異なり、また同じ団体管轄でも個々のスタジアム/クラブで異なる場合もありますが、撮影可能でも周囲に迷惑となる可能性のある機材の禁止、制限がある場合が殆どです。お金払って観に来るお客さんの快適な観戦に邪魔となる可能性を排除するのは当然です)

ですから、Jリーグその他のスポーツ観戦時の撮影では元々大型レンズを使う機会は限られ、程々の機材長、長すぎないレンズで撮っていました。周囲の席が友人知人であったとしても配慮は必要ですから。

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ただ、コロナ禍で従来の年間パス(の座席)が使えなくなり、それを逆手に取って、ここ数年はいつも観戦していた座席の代わりに大型レンズを使っても周りの迷惑にならない席&席数を確保して 540FL を使う機会が多かったのですが、それも今シーズンまで。

来季からはコロナ禍前の観戦環境に戻り、年パスが復活して観戦環境としてはベストだけど撮影には向かない、何よりも大型レンズを使うことは難しい座席に戻るので 540FL を使う機会は滅多になくなり、以前のように 556PF や 340PF (AF-S 300mm f/4E PF ED VR) のような長すぎないレンズを使うことになります。

そういった状況もあって、今後 D5 ではなく Z9 を主力として使っていこうと思えば、ナイトゲームで使うには画質的にも AF 的にも厳しくなる 556PFより、多少でも明るく何とかなりそうな小型超望遠レンズ Z445 購入は必然でした。

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そんなわけで Z445 の購入動機は、以前 540FL 持っているのに 556PF を買った時とほぼ同じで、
  • 556PF と同じく、スタジアム観戦時など周囲に人がいる環境でも迷惑がかかりにくいサイズで高画質な超望遠レンズ

  • 556PF と同じく、小型軽量で気楽に持っていける、ビジネスバッグの底にでも忍ばせていける高画質な超望遠レンズ

が理由であり、主に前者でした。

ちなみに、後者については Z9 で 556PF を使う場合はマウントコンバーター FTZ II を挟む必要があることで 556PF のコンパクトさが若干スポイルされ、持った時のバランスも少し悪くなったことへの対応という意味もありました。

そして Z9 でナイトゲームのスポーツ撮影に使うことを考えると、
  • 焦点距離は短くなったが、そこは高画素機ゆえのトリミング耐性で十分カバー可能

  • 高感度画質や暗所 AF が弱弱な Z9 で使うのに 556PF より少しでも明るいレンズ

と考えれば、前回記事で書いたようにスペックにもう一声の不満はあるものの、買うしかない一手でした。

デジタル一眼レフ時代と比べると Zボディに不満があっても他社へ移行できなかったのは 556PF の存在でしたし、また Z445 というレンズが(完全に満足できるものではなくても)早期にリリースされたからでもあります。

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そういった理由から Z445 を購入し、そして3ヶ月使ってきた印象と今後については先に述べたとおりであります。

また、今まで書いてきたことと重複する点も多くありますが、3ヶ月使いながら使用感をちょこちょこメモしたものから抜粋すると、以下のとおり。
  • D5 + 556PF と比べて焦点距離が 500→400mm と短くなったが、高画素機 Z9 のトリミングの余裕でカバーできるのは目論見どおり。

  • レンズは Z445 と 556PF で大差ない長さだが、D5 と Z9 ではボディの薄さに若干差があるので、組み合わせたトータルとしては若干短くなり、また Z9 + FTZ II + 556PF とは FTZ II の分以上に差があるので、周りに人がいる状況での使用は少し気が楽に。

  • 556PF と比べて軽量でボディ側にやや重心が来るので、一脚を使えない長時間連続手持ちは明らかに楽になった。

  • 高画素ゆえ高感度画質が弱い Z9 でも、Z9 + 540FL ではギリギリ納得できるナイトゲームでの撮影設定&後処理レシピを構築できたが、Z445 ではたった 1/3段の差だけど(ナイトゲームではガチピン率の差もあって)苦労中。

  • 現状の Z9 + Z445 の AF 性能はサッカー撮影では足りない。食いつきの弱い&低照度では💩な Z9 の AF に(Z100-400 ほどではないけど)決して速いとは言えない Z445 の AF の組み合わせは、動きの速い不規則な被写体では満足できない。

  • D5 + 556PF や Z9 + 540FL と比べると、被写体に合焦後1コマ目の(使えないレベルの)甘ピン率が断然多く、2コマ目以降も被写体の動き方によっては甘ピン率高め。

  • 被写体(選手)が止まっていたり、ゆっくり動いているくらいでは AF に問題はないが、そんなの高いカメラとレンズを使わなくても撮れるんだから意味ない。

  • Z9 + 556PF の組み合わせとの結果を比較してみると、レンズの AF 速度も微妙だが主たる原因はむしろボディ側 AF 性能にあるのでは?という思いが強く、ボディが良くなればまた違ってくるのかもしれない。(淡い希望)

  • 軽量さという点では、D5 + 556PF、Z9 + FTZ II + 556PF よりだいぶ軽いので、暑い季節には一番持ち出したくなる望遠レンズだった。

  • Z9 + FTZ II + 556PF で FTZ の分だけ長くなって若干嵩張る&手持ち時の重量バランスが悪くなったことを思えば Z9 + Z445 は(ボディ側にやや重心があるが)バランスは悪くなく、バッグへの収まりも良い。

繰り返しで書いている点も多くありますが、3ヶ月のインプレは大体このとおりでありました。

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ということで、D5 + 556PF を使ってきた撮影では(不満はありつつも)Z9 + Z445 に変えていくことを決めた、この夏〜初秋でした。

となれば、

Z445 を買うなら超望遠・望遠レンズを1本売らないと懐が死ぬから、カード決済日までにどれを売るか決めないと…


という望遠レンズ売却計画の最有力候補は 556PF だったり、もしくはレンジ的に被る Z100-400 だったりしたのですが、結局どれも売れなくて今に至ります。

次回は Z445 絡みの最終記事として、「似たようなレンジのレンズを何本も持ってるけど、1本も売れなかった」という話になります😅