ニコンの新時代ミラーレス・フラッグシップ機 Z9 が昨年末クリスマスイブに発売されて半年、売れ行きは相変わらず絶好調のようで、相変わらず納期は遥か先、いまヨドバシ.com で見ると来年3月下旬となっています。

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ヨドの納期は余裕を見てるようで、海外の有名ショップ B&H では 11月くらいと表示されているのを見ると実際は半年くらいなのかもしれません。にしても、遥か先。救いは予備バッテリーなどのアクセサリー類が、納期未定から待てる程度の納期になったことでしょうか。

いずれにせよ、世界的な部材不足で生産増強できないこともありましょうが、他社と違って動体撮影で信頼して使えるニコンのミラーレス機が Z9 しかない故に、一定層の需要が Z9 に集中していることも大きな要因でしょう。

かといって、Z9 の需要が捌けないほどあるのに、わざわざ値段の安いレッサー Z9 を出して平均単価を落とすのは中期経営方針にも反しますから、とりあえず Z9 の需要を捌けなければ当面サブ Z9 的なカメラの登場は難しいように思います。



ただまぁ、当方の手持ちのニコンマウントボディは D5 と Z9 の2台。どちらもバッテリーグリップ付きの重量級ボディ。Z9 はメカシャッター、ミラーを取っ払った割には軽くならず(EOS R3 が羨ましいことの一つ)、重量級レンズとのバランスはこの方が良いから〜なんて言っても、こう暑くなってくると持ち出す気力に影響を与えるのは否めません。

ボディだけがデカく重いだけならまだしも、デカいと使えるバッグも大きくなって総重量はボディ重量以上に増えてしまい、夏場は特に嫌になります。気合が入る時はバッテリーグリップ付きボディで良いのですが、いつもいつもそうではありませんから。(お散歩・ドライブスナップ程度なら富士フイルム機はありますが)

また、手持ちレンズも超望遠単焦点以外は Z レンズが主体となってしまった今(Fマウントレンズは望遠系3本のみ)、Z マウントボディの予備機がないのも不安。なので、Z ボディのサブ機が欲しいところですが、動体撮影に安心して使える Z ボディが Z9 以外にないジレンマがあるわけで…

かといって、2台目の Z9 購入は先の「バッテリーグリップ付きじゃないボディが欲しい」要望に反しますし、

正直今の Z9 には満足できていないから2台目買う気にならないし、もし今から予約しても届くのは来年になるのだったら、来年にはレッサー Z9 的な機能性能を持った Z7 III とか出てもおかしくないから、なかなか手を出すのは難しいなぁ…


という感じで、懐具合も込みで Z9 予備機購入のハードルは高すぎます。まぁ、趣味のモノなので「同じカメラを2台買うのは面白くない」という気持ちも強いわけですが😅

こういうところは他社と比べて選択肢の差を感じます。当面は、Z9 に何かあったら D5 でできる範囲と必要に応じてレンタルで、と思っていますが、悩みは尽きません。(他社に手を出すのはお金が回らないし、過去の経験上 3つ目のマウントは維持できないので)


(Z7 IIは高画素フルサイズ機としては安いんだけど…)


さて、Z9 発売日に購入してから半年近くは(比較撮影する時を除いて)D5 は敢えて防湿庫の中でお眠りいただき、ほぼ Z9 だけを使ってきました。Z9 に慣れるため、Z9 の挙動を知るため、Z9 で自分なりの最適な設定を掴むため、です。

そんな中、Z9 について思うことは山ほどあります。SNS でたまに愚痴っていたりもしますが、それすら最小限。本ブログで何度も言及しようと記事を書きかけては収拾がつかないほど長くなり、まとまらず没に下ことは 5回や 6回では効きません。

本ブログはある意味、自身のストレス発散の場でありますから、はっきり言えば Z9 にそれだけストレスを溜めていたことにもなります。ニコンの新世代フラッグシップ機として称賛されるべき点は多々ありますが、動体撮影用フラッグシップ機として諸手を挙げて賞賛には程遠いです。

そんな自身の不満点をブログで事細かに説明するため、AF の挙動を中心にダメ事例の写真も数十枚以上もピックアップして、D5 との差を説明しようかと思ったのですが(Ver.2 で AF の挙動は多少変わったが根本的な問題は変わらず)、先にも書いたように毎度収拾つかないままになるので止めました。

というか、時間をかけて場末ブログに事細かに書き連ねようが、判らない(&判ろうとしない)人間は判らないんだから、お金になるならともかく、ならないことに時間をかけるのは時間の無駄であります。

ので、今回は Z9 購入から半年経っての思うところを、具体例の提示も何もなく、ただ単に思うところを、できるだけ長くなりすぎずに(無理か)、そして適当に3点書いておこうと思います。


【1】半年間集中的に使って Z9 に慣れた、というより慣らされた、D5/D6 を売る人の気持ちも理解できる

この春くらいから D5/D6 メインで使ってきた動体撮影系ユーザーで「Z9 に一本化して D5/D6 を売却した」という人をプロカメラマン含めチラホラ見かけるようになってきました。

最初は「え?もう?マジで?よく思い切ったなぁ」と思っていましたが、半年近くの Z9 習熟集中使用期間を過ぎ、最近 Z9 と D5 を併用し始めてから、そういう人の気持ち、判断を理解できるようになりました。

私自身、前述のように現状信用信頼できるのは D5 であり、Z9 は AF を筆頭に未だ信用できるカメラとは言い難いです。被写体の動きがシンプルなヒコーキ撮影やモータースポーツ撮影ならともかく、スポーツ撮影で「この機会では外したくない」と思った場合は D5 を選んでしまいます。(理由は後述)

とはいえ、Z9 を半年間集中して使ってきて、

Z9 に慣らされてしまった結果、あれだけ最高だと思っていた D5 が色褪せて見える点もあるんだなぁ…


と思うところがあったのも事実。

Z9 に慣らされてから D5 を再び使って色褪せた、不便に感じた点から特筆しておきたいのは、3点。

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まず第一に、久しぶりに D5 を実戦で使い始めて衝撃的だったのが、

あれだけ素晴らしいと思っていたファインダーが、こんなに見づらく感じるなんて…


日中屋外ではそんなことを感じませんが、サッカーのナイトゲームで改めて D5 を使い始めた際にそう感じたのは自分にとって衝撃でした。Z9 より D5 を選ぶのは、高感度画質が必要な& Z9 の苦手な夜の撮影ですから、余計にファインダーの見やすさの差が直撃します。

なんだかんだ言って、D 一桁機のファインダーは最高でした(過去形)。中級機は論外として、EOS-1D シリーズを使っていた時の経験からしてもより良好と思っていました。ですから、半年間の集中運用で Z9 の EVF に慣らされ、光量が少ない場面でも明るく見えて比較的自然な Z9 の EVF が、自分の基準になってしまっていたのには驚きました。

発売前後から書いてきたように、Z9 の EVF は(低速シャッター時のカクカク、フレームレート落ちなど幾つかの天を除けば)素晴らしい、という印象は半年経った今も変わりません。D5 からでもスムースに移行して使える EVF でした。

けれども、D5 のファインダーからスムースに Z9 の EVF に慣れたことと、逆に Z9 の EVF に慣れてから D5 のファインダーへ戻っても変わらず使えることとは同義ではない、可逆ではなかったのだな…と、今月 D5 を実戦に戻してから痛切に感じているところです。

もちろん、低速シャッター時の問題含めて未だ光学ファインダーの良さを感じる場面はありますし、ブラックアウトフリーに関してはあってもなくても大差ないわ、と D5 に戻した際に思ったりしたので、全部が全部、完全上位互換とはいきませんが、それでも(一部条件を除けば)D 一桁機を置き換えられる EVF というのが半年使ってきての実感です。

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加えて、もう一つ。これは Z9 に限った話ではなくミラーレス機全般に言える利点ですが、

背面液晶が見づらくなってきた老眼er には、撮影画像やメニュー操作を EVF で確認・操作できることが欠かせないレベルの利便性、操作性を提供するということ


を実感してしまいました。

撮影画像やメニュー操作を EVF で確認・操作できる、なんてことは、今に続くミラーレスカメラ初号機である DMC-G1 から散々ミラーレス機を使ってきて判っていたことです。が、人より老眼が入るのが遅かった私もここ数年急速に老眼が進んでしまったおかげで、その利点をより強く感じることになりました😭

まったりじっくり撮影するような被写体であるならば、背面液晶を見るときには眼鏡を外して〜が可能でしょうが、できるだけフィールドから目を離したくないスポーツ撮影でそんな悠長なことは難しいところ。良いシーンが撮れた?と思ったら、サッと確認してレーティング打ってすぐファインダーへ戻りたい。メニュー操作も同じ。

ミラーレス機ならそれが EVF のなかで完結できるのは判っていましたが、いざ老眼er になってしまい、そして動体撮影用のメインシステムにミラーレス機を導入すると、その便利さ、老眼対策としての良さに慣らされ、ミラーレス機と比べたデジタル一眼レフの不便さがより強調されて感じる結果になりました…😐

あれだけファインダーが見やすくて、使いやすくて最高と思っていた D5 は、今でも撮影においては一番信頼できるけど、操作性ではちょっとだけ色褪せてしまった、そんな気持ちにもさせられている今だったりします。

現時点では未だ Z9 より D5 の方が信頼できると思っている私すらこういう気分になっていることを思うと、動体を撮らない人や動体を撮るとしても被写体の動きが複雑でない、または暗所で撮らない人のように Z9 の AF に強い不満がない人たち、もしくは 不満を自分で解決できる人たちが、Z9 に一本化するのも納得できるなぁ、と感じています。

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そして、最後にもう一つ、半年間 Z9 だけを使ってきて慣らされたこととして、

今でも Z9 でフラッグシップ機が高画素化して高感度画質が犠牲になったのは残念に思っているし、D 一桁機の良さを色々捨てたと感じているけれど、気がつけば高画素機ゆえのトリミング耐性、大トリミングしてもそこそこの画素数が残せることにも慣らされていたなぁ


と、2,000万画素しかない D5 に戻ってきて Z9 の時と同じような感覚でザックリ切ってしまって 600万画素以下にまでなってしまい、「ありゃ…」と画素数の違いによるトリミング耐性の違いを痛感することが多発しました😅

購入した座席1箇所からサッカーやアメフトを撮っていると当然ピッチ反対側のシーンは豆粒化するわけで、結果的に大きくトリミングすることになるのはやむを得ません。その点 4,000万画素以上ある Z9 では大トリミングしても画素数にはまだ余裕があります。

D5 ではトリミングしては到底残せないほど被写体が小さくなる遠くのシーンでも(諸条件による画質さえ許されれば)高画素機ゆえのトリミング耐性、大トリミングしてもそこそこの画素数が残せることで実用になりました。

Z9 でサッカーやアメフトを4ヶ月ほど取り続けて、大トリミングしても 1,200万画素くらい残る画素数の余裕さに慣れてしまっていたため、D5 に戻ってきた時に「画素数はもう一声欲しいなあ」気分が強くなったのも事実。

スポーツ撮影のように人物が被写体では使えたものじゃない高感度画質、1試合で何千枚も撮った後のデーターハンドリングの悪さを考えると、Z9 ほどの高画素機は今でも納得しかねますが、D5 と同程度の高感度画質で3千万画素くらいが理想…なんて😅

ニコンの状況を思えば 8K RAW 動画を売りにしたくて高画素化したことは仕方ないという気持ちとは別に、無駄な苦労をさせられてるとは思ってます。それもあって、私にとって Z9 というカメラは D5 のように信頼だけでなく好感も持てるカメラとして感じることはないでしょう。

ただ、それとは別にこの半年間、主に Z9 だけを使って、慣らされてきて、上記のような利点を享受した今となっては、

D5 は今でも信頼できるカメラだし、好きなカメラだけど、Z9 に慣れるとひと昔前のカメラ感みたいなものを覚えざるを得ないよなぁ


という思いに至っています。慣れとは恐ろしいものです。

逆の意味で言えば、Z9 は誠に正しくニコンの新世代フラッグシップ機であった、ということでしょう。私も次の AF の💩具合がなければ、もっともっと高く評価していたでしょうね…


【2】イマイチ遅くてイマジュウくらい信用できない Z9 の AF-C

冒頭で書いたように Z9 の AF に関しては書き始めると止まらなくて、必要以上に長くなるので簡潔に、以下3点。なお、Ver.2 では AF の挙動(特に被写体認識 AF のフレーム外での認識)が多少変わっていますが、基本的な問題点は変わっていません。
  • AF の食いつきが明らかに D5 と比べて遅い。被写体認識 AF はもちろん、ダイナミック AF でもレンズ振って不規則に動く被写体の掴みに 1コマ2コマの差がある。
    撮れたか?と思っても1コマ目にピンが来てないのが Z9、撮りきれていなかったかな?と思っても、若干ピン甘でも1コマ目からシーンを押さえられているのが D5。ジャスピン確率は Z9 でも、肝心要の初動一発目の AF に差がある。

  • 被写体認識 AF で特に顕著だが、どのモードにおいても AF の背景抜けが多く、さらに問題なのはピントが背景に抜けた後、手前の被写体にピントが戻ってこない、即座に AF ON をやり直しても戻ってこない、被写体認識 AF で手前の被写体に認識枠が出ていてもなかなか戻ってこないこと。
    ずっと被写体を追えているはずでも突如抜ける不安定さがあり、抜けたら戻すのに時間がかかってシーン丸ごと捨てる羽目になるようなカメラは信用できるわけがない。(戻すコツはあるけど、レンズを動かす必要があるので1秒撮れなかったら、撮りたいシーンは終わる)

  • これは Z9 の欠点として周知されている問題だけれど、とにかく一定照度以下ではデジタル一眼レフ時代と比べて AF が💩。AF の速度精度の問題じゃなく、合う合わないのレベルなのはフラッグシップ機としてどうなのかと。
    一部条件ではスターライトモードにすることで合焦率が上がるけれども、そういう裏技でどうこうという時点でちょっと違うんじゃないの?という気がする訳で。(原理的に想像はつくけれども)

以上。

飛行機認識で機首を認識するのにコクピットの窓枠なんかを認識対象に選ぶから、背景にビルがあったとき誤認識でフォーカスフレームがすっ飛んでしまいがちになるので窓枠認識やめろや、とか細かいことで思うことは多々ありますが、言い出したらキリがなくなるので割愛。

いずれにせよ、判らない人には判ってもらえなくて良いです。「お前がそう思うなら、そうなんだろうな、お前の中では」で良いです、お互いにね。

なんか AF の改善が主となるファームウェア Ver.2.1 が近々出るとかいう噂もありますが、とりあえず半年使ってきた中で特に言いたいことは上記の点ですね。


【3】安い安いと称賛されるけど、5万円高くしてももう少しちゃんとして欲しかった

「フラッグシップ機じゃない」EOS R3 より5万円安い「フラッグシップ機」Z9 であるせいか、発表時から安い安いと絶賛されていますが、正直なところ、そのことが良いこととは思っていません。

はっきり言えば、

ライバルより5万円安くするより
5万円さらに頑張って欲しかった


ですね。

具体的には、シャッターフィーリング、前後ダイアルの造り、(ないに等しい)アイカップ、視度調整ダイアル(チープなダイアルが出っ張りすぎ)、軽量化、R3 のスマートコントローラーのような UI の進化、高画素高速連写機ゆえのもう一声のバッファ…

全部とは言わないけれど、やっぱり D5 よりちょっと退化した部分は納得できない。シャッターボタンの感触が D5 と比べて落ちているだけでなく、あの擬似電子シャッター音はどこの誰があの萎える音で OK を出したのでしょうか。あれで心地良く、気分良く撮れる音だと思ってるんでしょうか。5万円のカメラじゃないんだからさぁ…

前後ダイアル、特に背面ダイアルの形状も…と書こうとしたら、ちょうどプロカメラマン豊田慶記氏の note に思っていたことと同じことが書かれていましたので、そちらにて。(OM-1 の話ですが、記事途中に D6 と Z9 の背面ダイアルの話が写真付きで説明されています)

Vol.431 6月26日 OM-1(宣伝)|豊田慶記|note

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無論、Z9 で良くなったところもあります。横位置のグリップ感は D5 の方が好きですが(好み)、横位置と縦位置のグリップ感の差は Z9 の方が少なくて違和感がなく、縦位置時のグリップのしやすさは Z9。

AF-ON ボタンの位置も D5 では縦と横ではズレがありましたが Z9 ではほぼ同じ、縦位置のシャッターボタン周りに ISO ボタンが追加されたのも含めて、縦位置の撮影環境は随分と改善された、おそらくオプション含めた全ての縦位置グリップの中でベストではないでしょうか。

また、ボディサイズを詰めたせいか、AF-ON ボタンと十字コントローラーの距離が D5 より Z9 でだいぶ近くなりましたが、これは Z9 の方が好みです。スマートコントローラーのないニコン機の場合、親指の移動量はできるだけ少ない方が好ましいです。(親指 AF を使うので)

発売前に文句を言っていた再生ボタンが D5 と Z9 で対面の位置に移動してしまった件は、ボタンカスタマイズでレーティングボタンと干渉しない(再生ボタンとレーティングボタンが兼用でも問題ない)形で解決したので快適に使えています。

とまぁ、当たり前ですが Z9 で改善、良くなったことも少なくありません。

が、半年近くの Z9 使用縛り期間が明けて D5 と併用し始めると、(音も含めた)シャッターフィーリングやダイアル感触、アイカップ、RAW + JPEG での連写可能時間などで Z9 に今ひとつの物足りなさを改めて感じてしまいます。だから、別に5万円安くしなくても…と思うのです。

売れないと瀕死になりそうな場面で起死回生を狙ったフラッグシップ機ですから、売れるための価格設定第一だったのかもしれませんが、

フラッグシップ機なんだから、できるだけ妥協を減らして欲しかったなぁ


というのが、今でも思う本音です。

ミドルクラスのカメラならコストとの兼ね合い重視でも問題ないし、買う方も納得して買えます。が、

そもそも、(ヨドバシで)70万円のカメラを買うのに、たとえそれが75万円だったからと言って、買う買わないの購入の判断に何か変わってきますかね?


と思うわけです。安い安いで喜ぶより、ニコンのフラッグシップ機として細かい部分の操作感まで D5 から下げて欲しくなかったかなぁ、と思います。枝葉末節なことかもしれませんが、そこにこだわるのが(それゆえ高いのが)フラッグシップ機の存在意義でしょう。

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(時代とはいえ、コストダウンでマニュアルも随分簡素に)


また、上記のことが原因かどうかは別にして、ごく個人的に D5 と併用していると感じることがあります。それは Z9 と比べると D5 の方が 2つの意味でシャッターを押していける感覚があるということ。

1つはメカニカルシャッターの小気味良い音がリズムになってるのか、テンポ良く撮れて、たまにはレリーズハイみたいになることすらあります。が、Z9 では未だそういう感覚になることはありません。(RAW + JPEG だとハイになる前にバッファフルになったりしますけど)

気分が上がりきらない理由がブラックアウトフリーなのかと思って設定で擬似ブラックアウトを付けたり、ショボい疑似シャッター音の音量を最大にしたりしたものの変わらず。疑似ではダメなのか、そもそも別の原因かはよく分からないですが、撮る高揚感みたいなものがやや劣る部分があるのは否めません。

もう一つは、これまた理由は掴みきれていないのですが、Z9 より D5 の方が目と指の直結感があって、一瞬のレリーズの速さ、とっさの判断がほんの微妙に Z9 は遅れがちなことに気づいています。

ほんの微妙な、ごく僅かに意識できるかどうかの程度なのですけれども、どうも Z9 は未だ目と指先が直結していなく、途中で脳が介在しているような、そんな感じなんですよね。反射で反応できていないというか。

光学ファインダーじゃなく EVF だから云々というつもりはなくて、もしかして EVF に表示される情報量の問題なのか、それとも別の原因なのか。

これらは極めて個人的な感覚の話なので D5 が良いとか Z9 がどうとかの話ではないですし、撮影機器としての実用度には基本的に関係のない話。なので、どうでもいいことかもしれませんが、自分の撮れ高には無関係でもないので、色々と自分なりに原因を探っているところです。

未だ Z9 に慣れきれていないことだけが理由であれば良いのですが、設定その他で多少なりとも解決できて、撮影気分が上がるなり、反射でシャッターボタンをより押せるようになれば良いなぁ、と突き詰めているところであります。

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というわけで、簡潔に書くと言いながら、いつも通り無駄に長くなりましたが、今まで没にしてきたものはコレより遥かに冗長かつ細かにアレコレ書いていたので、この程度で我慢してください。

アホの子のままでイマイチ使い物にならない Wi-Fi スマホ連携については、キヤノンの爪の垢を煎じて飲めよ!レベルですし、仕方ないので有線で繋いで転送できるようにしたけれども有線の場合は別途有料アプリが必要だとか(無料使用もできるが制限付き)、そのあたりの不満も多々ありますけどね。

ま、少なくとも半年間 Z9 縛りで使って D5 に戻る、併用し始めたことで、Z9 の良さも十分に感じた購入半年後でありますが、如何せん AF 周りの不安定さ、信用できなさが解決しないことには何とも…

少なくともフラッグシップ機というのは条件が悪くなればなるほど真価を発揮する、ミドルクラス以下とは違う余裕が存在意義のはずで、良いレンズと好条件を揃えて賞賛するだけのようなことは私にはできません。

いずれにせよ、今後出るレンズ絡みのこともあって、この先どういう思いに変わっていくのか、どういう展開になるのかは分かりませんが、ひとまず噂の出ているファームウェア Ver.2.1 での AF 改善を期待しないで待ってみようかと今は思っています。