巷では先日発売された Z 24-120mm f/4 S のレビューが華やかりし状況ではありますが、今さら本レンズについて少々。昨年末ギリギリに届いて元旦の朝に開封して使い始めた、初購入初使用の Z レンズ。

発売からそこそこ時間が経っているレンズですので、既に多くのレビューがあり、ユーザーも多い、評価の定まっているレンズですので、レビューとか細かなインプレッションではなく、1ヶ月軽く使ってきての雑感的なものを軽く述べる程度に留めます。(いつもそんなもんですが)


NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR - 概要 | ニコンイメージング

Z9 購入にあたって Z レンズを順次、何本か買うことは考えていて、Fマウント時代に(80-400mm が Sports VR のない古さで)買うのを我慢した 100-400mm クラスのレンズはまず必須として、標準ズームも買い換えようと思っていました。

AF-S 24-120mm f/4G ED VR はその昔使っていた EF 24-105mm F4L IS USM(初代)同様に、そこそこ便利ではあるけど良くも悪くも「それなり」でしたから、Z9 の高画素センサー、性能をスポイルすることになりかねない、広角側はミラーレス専用レンズの改善具合が大きい、と言うのが理由でした。

標準ズームレンズの購入候補としては、以下の3本でした。
  1. Z 24-200mm f/4-6.3 VR
  2. Z 24-70mm f/4 S(キットバラシの格安新同品狙い)
  3. Z 24-120mm f/4 S

AF-S 24-120mm f/4G ED VR の後継として考えるならば Z 24-120mm f/4 S を予約購入するのが順当でしたが、以前も少し書いたように、
  • テレ側が 100mm 域を超えるのにレンズ側手ぶれ補正 VR を省略したのは、手ぶれ大王としては少々残念
  • 2月発売予定で Z 100-400mm と同時に買うのは金銭的に辛い(実際は1週間早く1月内に発売)
  • 早めに Z レンズを1本買って試してみたかったので、すぐ入手できるレンズを優先したかった

という思いがあって、Z9 との同時予約レンズは Z 100-400 のみにして Z 24-120 は(ひとまず?)スルーとしました。

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そして、Z 24-200mm f/4-6.3 VR を選んだ、購入した理由としては、
  • 高倍率ズームレンズは買っては(結局写りに不満で)短期で売りを繰り返して、ここ10年は買うこともなかったが、評判がすこぶる良いみたいなので新世代の高倍率ズームに久しぶりにチャレンジしたかった。

  • テレ端 200mm は望遠馬鹿としては物足りないが、高画素機 Z9 なら DX モードで 300mm 相当の画角を(十分な画素数で)得られるので、十分に「高倍率」ズームとして扱える。

  • 体力の衰えもあって携行機材の軽量化を考える中で、主力の 500mm 単焦点レンズに標準ズームと望遠ズームの2本を組み合わせるのが常だったが、本レンズでテレ端 200/300mm 域までカバーできるなら、500mm 単焦点のサブには本レンズだけで行ける場合も少なくないのでは?と考えた。

  • 高倍率ズームゆえに心配される画質は既に多くあるレビューの作例を見て、過去に買ってきた高倍率ズームのようにすぐ(画質面で)嫌になるようなことはなさそうと判断。

  • 動体撮影は民間機の離着陸程度を想定しているので、AF 速度は特に速くなくても問題なしと判断。

  • 小型軽量ではないが、フルサイズ用高倍率ズームとしては妥当なサイズ&さほど重くなく、将来バッテリーグリップのないサブ機を買った際にもバランス的に悪くなさそう。

  • 値段的には安くないが、Z 24-70mm f/4 S の新品価格と大差なく Z 24-120mm f/4 S より若干安いので、標準ズーム購入予定金額内。

こういったところでしょうか。

ま、理由は色々書いても、とりあえず

評判がすこぶる良いので、高倍率ズームを
久しぶりに使ってみたかった


というのが8割9割ですけれども😅

反面、Z24-200mm 購入にあたっての心配事としては
  1. F4 始まりと言っても、ちょっとズームするとすぐに開放F値が暗くなるので、感度が上がると画質の落ち込みが大きい高画素機 Z9 に使うにはちょっと不安。

  2. どのレンズも画質には定評ある Z レンズとはいえ、高画質を標榜する S Line じゃないレンズなので高画素機 Z9 ではどこまで満足できるのか?
    (購入前にチェックしたレビューでは Z5/Z6 と組み合わせる例が多かったので)

  3. 望遠ズームレンズを Z 100-400mm だけしか買わないならともかく、Z 70-200mm f/2.8 VR S も買ってしまうなら画角レンジが完全に被る。

ということがありましたが、これらについては
  1. 100-400mm と同じく基本的に昼間専用レンズと割り切る。

  2. 高画素機で多少の不満が出るとしても従来の高倍率ズームと違って妥協の範囲内に収まるのでは?

  3. 100-400 買ったら 70-200 F2.8 まで懐が回らないし、先のことは考えても仕方ない

と考えて(考えを放棄して)Z 24-200mm f/4-6.3 VR を購入しました。

ちなみに、様々な Z レンズの供給不足が言われる中、Z 24-200mm f/4-6.3 VR は割と在庫に問題ないレンズで、Z9 発売半月くらいまでは多くのショップで在庫があるのを確認していたのですが、Z9 需要というべきか、Z9 発売直前になるとどこも在庫がなくなって一度は購入を諦めました。

それで「Z 24-70mm f/4 S のキットレンズばらしの安い新同品でも買っておくかなぁ」と思っていたですが、Z9 が発売された後、年末ギリギリには入荷があったようで、ヨドバシとか一部のショップ以外では在庫が復活していたので無事購入、元旦の朝から1ヶ月使っております。

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とまぁ前置きが長くなりましたが、Z 24-200mm f/4-6.3 VR を使ってみた雑感を以下箇条書きにまとめておきます。


【良かった点】

  • テレ端 200mm は高倍率ズームにしては控えめだが、評判どおり過去に使ってきた高倍率ズームレンズとは一線を画す画質の良さ。

  • 最後に高倍率ズームレンズを購入したのは8年くらい前なので、当時のレンズと単純比較しても仕方ないかもしれないが、レベチと言える差があって、これなら普通に使っていけるわ、と納得&満足。

  • 高倍率ズームレンズを買って(妥協しなければならないと判っていても)すぐに嫌になるのは、高倍率ズームレンズの多くが酷いテレ側画質だが、本レンズは開放F値が暗いものの、テレ側も(中間域よりは多少解像や周辺描写が落ちるとしても)十分納得できるレンズ。

  • 高倍率ズームレンズは1段絞らないと緩いイマイチ画質のことが多いが、本レンズは絞り開放から割としっかりした画質で、ワイド端の歪曲も(自動補正が入ってるとはいえ)まずまず悪くない印象。

  • シャッター速度を稼ぎたいが ISO 感度は抑えたい、というような時でも画質担保のために一絞り、二絞りして使わなきゃ…ということがないため、開放F値が暗い欠点はある程度補える。
    (一絞りした方が画質が安定するけれど、必須というほどではないので)

  • 絞り開放時の周辺減光はそれなりにあるが、補正込みであまり気にならない。

  • 逆光体制は可もなく不可もなし、な印象。
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  • 絞り開放時の周辺減光はそれなりにあるが、補正込みであまり気にならない。

  • テレ端 200mm という短さは Z9 のような高画素機の場合、DX モードを使えば十分な解像度で 300mm までの画角レンジをカバーできるので、望遠馬鹿の私でも 200mm までという制約は(Z9 で使う限り)あまり気にならない。
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  • おまけレベルの酷い画質でテレ端が 300mm、400mm とあるより、テレ端を割り切って画質を担保してくれる方が(私にとっては)精神衛生上良い☺️

  • 手ぶれ補正 VR の効きはそれなりで特に強力とは感じられないが、100mm 超域ではレンズ側に VR のある方が安定安心できる。

  • AF-S 24-120mm f/4G ED VR とは入れ替えで購入したので並べて比較したわけではないが、全域で周辺画質はより安定しているし、全体的にヌケが良く、高倍率ズームだけど画質は向上した印象で満足。(開放F値は暗いけど)

  • すごく寄れるってほどでもないけれど、普段使いではまずまずの最短撮影距離で不自由はしない。
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  • AF 速度は決して俊敏ではないが、民間機の離着陸程度では全く不満なし。

  • 高倍率ズームなのにフォーカスブリージングが少なく、離着陸する飛行機をズーミングしながら AF-C で追った時のフォーカス追従が安定していて、ちょっと驚き。
    (過去に使った高倍率ズームはズームリングを動かすと、目に見える合焦し直しは必ずあったし、それが当たり前だと思っていたので)
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  • レンズの重心が後部にあってズームリングを回して鏡胴が伸びてもあまり操作感が変わらないことと、先のフォーカスブリージングの少なさと合わせて、操作感覚は廉価高倍率ズームレンズと思えないスムースさで気に入った。

  • ズームロックスイッチを使わずとも、レンズを下に向けたら自重ですぐビヨーンと鏡胴が伸びるようなことがないので扱いやすい。

  • フルサイズ用高倍率ズームレンズなので小型軽量とは言えないが、標準ズームと 200mm までの望遠ズームも兼ねていることを考えると十分に小型軽量で可搬性が高い。

  • レンズサイズに対しては、やや軽いと感じる重量感ので負担は少ない。
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  • バッテリーグリップ付きの Z9 と組み合わせた時のバランスはボディヘビーになるが、レンズ自体の重心が後部にあるせいか、持った感じが(レンズ長の割に)小型レンズ装着時っぽい取り回しになって悪くない。

  • AF-S 24-120mm f/4G ED VR のように Fマウントレンズを使うとマウントアダプター (FTZ) をかまさなければならず、レンズ部が長くなって Z9 装着時のバランスが悪くなるのが嫌だったし、元々レンズ長が長くない標準ズームだとその欠点が顕著に出ていたので、広角〜標準域は Z マウントにすべきだと実感した。

  • 前面レンズのフッ素コートは今どき安レンズ以外は当たり前の仕様になっているが、安心。

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【イマイチな点】

  • 判っていて買ったけれど、開放F値が F4-6.3 と言いつつワイド端からちょっと動かせば開放F値 F4 は終わり、50mm 域で F5.6、80mm 域で既に F6.3 まで行き着いてしまうのは幾らなんでも暗すぎやろ…と、やっぱり思った。

  • フィルター径をもう 1段階大きく 72mm にして、重さも +100g にしても良かったし、値段も+数万したかもしれないが、30〜35mm 域まで F4、50mm 域まで F4.5、80mm 域でも F5.6 を粘って欲しかった。

  • 高倍率ズームレンズとしては上々の文句ない画質だし、今まで使っていた標準ズーム AF-S 24-120mm f/4G ED VR の置き換えとしても(レンズの暗さは別にすれば)全く文句はないけれど、Z 70-200mm f/2.8 VR S のようなパーフェクトに近いレンズを使ってしまうと、S Line レンズとの差はド素人でも明確に感じられる。

  • 比べて見てしまうと、画質の繊細さの差だけでなく、やや線の太い描写、周辺部ハイライト付近のフリンジなどは気になってしまうかな…

  • Z 70-200mm f/2.8 VR S や Fマウントの単焦点レンズで撮影した画像と比べてみると、Z9 みたいな高画素機での使用ではちょっとレンズが負けてる感、高画素機の能力を活かしきれていない感は、どうしてもある。
    (高倍率ズームに何を求めてんだよ、って感じだし、割り切ることのできる画質はあるので問題ないが)

  • 開放F値の暗さから高感度画質の弱い Z9 で感度が上がりがちな問題よりも、Z9 のような高画素機を使っていると小絞りボケが早い段階で発生するので、安心して使える絞り値の範囲が狭いことの方が気になっているかもしれない。
    (実際には、NDフィルター忘れたら「小絞りボケがなんぼのモンじゃい」と言いながら撮ることになるんだけど😅)
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  • AF 速度と手ぶれ補正 VR の効きは、それなり。(私の目的としては十分に許容範囲内)

  • VR 入りだけど VR スイッチがレンズにないので、ボディ側でやらなきゃならないのはちょっと手間。(頻用しないから良いけど)

  • Z9 との組み合わせではボディヘビーな上、レンズの重心が後ろ側にあって全体的にレンズ先端部が軽くなりすぎるせいか、低速流し撮りにおいてはちょっと振りが安定しづらく気をつけなきゃいけない印象。

とまぁ、こんなところでしょうか。

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今回、下取りの一部に AF-S 24-120mm f/4G ED VR を出してリプレースしたわけですが、開放F値の暗さ以外はほぼ文句なしで、200mm 域まで使えることも含めて満足しています。

ただ、上記でも書いたように Z9 で使って、Z 70-200mm f/2.8 VR S のような高性能 Z レンズと比較すると差は感じますし、高画素機を活かしきるレベルではない印象もあるので、画質を優先するなら Z 24-120mm f/4 S とか Z 24-70 f/2.8 S とかを使うべきだということも実感しました。

ただ、私の場合、優先すべきは望遠レンズ、超望遠レンズですので、標準ズームはそれなりでも構わないかな、というところはありますし、

過去に使ってきた高倍率ズームと比べたら画質は雲泥の差、今まで使ってきた AF-S 24-120mm f/4G ED VR と比べても悪くない印象の上に、200mm までテレ端が伸びたと思えば十分に納得できる画質


であり、使っていけるレンズと判断しました。

DX mode で 300mm の画角をカバーできると、500mm 単焦点レンズメインで撮影する時の1本サブレンズとしてかなり重宝することが幾つかの撮影で判ったので、今後も結構便利に使っていけそうです。

もちろん、画質を優先したい時のために Z 24-120mm f/4 S や Z 24-70mm f/4 S も併用したい気持ちがないわけではないですが、限りある懐でそこまで手が回るかというと難しいですからねぇ。