今週は家庭内諸々であまりニュースを追えていませんでしたが、昨秋開発発表されていたニコン、ミラーレスシステム初の望遠単焦点レンズ Z 400mm f/2.8 TC VR S が昨日、正式に発表となっていました。以前も書きましたが、私にとっては理想のレンズです。

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NIKKOR Z 400mm f/2.8 TC VR S  - 概要 | ニコンイメージング

いわゆるヨンニッパ (400mm F2.8、428)ですが、他社に先駆けてのテレコン内蔵というのが最大の特長であり、またソニーやキヤノンから周回遅れになっていた超望遠単焦点レンズの軽量化をようやく実現、ニコンご自慢の“ナノクリ”を越える新しいコーティング、新しいレンズ駆動方式と、新技術てんこ盛りになっています。

そして、最も話題になっているのが、

希望小売価格は税込 2,013,000円!


とうとう2百万円超になってしまいました。

ただ、個人的には開発発表時に SNS でチラッと呟いたように、

ソニー FE やキヤノン EF III型のヨンニッパやロクヨンが 160〜180万円だし、初のテレコン内蔵という付加価値、初採用の新技術てんこ盛りで加算、さらに言えば、このクラスのレンズで大きな比率を占める法人ユーザーの需要減(他社流出分含め)から新技術含めた開発費の回収を考えると200万前後行くだろうなぁ


と思っていたので、だいたい予想していた価格です。他社のノーマルなヨンニッパですら実売で 160万円してるのですから、付加価値を考えれば、希望小売価格200万円、実売 170〜180万円というのも決して想定外の価格、暴利な値段設定とは思えません。

特にニコンが今後「数(シェア)を追わない」方針で行くなら、コストダウンした Z9 を安く提供して売り倒して、利益率たっぷり乗せた Z レンズを買わせてガッツリ回収、というカメラメーカー王道の手段で儲けないとやっていけませんしね。

というか、いま見たら、正月明けの記事でも

テレコン内蔵ヨンニッパ Z 400mm f/2.8 TC VR S は理想のレンズですが、おそらく200万円近くなって(ゴーヨンその他手持ちのレンズを売り倒したところで)到底手の出せるレンズではないでしょう


と書いていましたね。

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とはいえ、予想どおりの価格だからと言って、真っ当な人間にはおいそれと買えないわけで…車が税金その他諸経費込みで買える値段。缶コーヒー買う感覚で買える富豪でもない限り、盗難を考えれば出先でおちおち目を離すこともできません😅私程度の遠征用機材一式でも出先ではかなり気を遣いますから。

ただ、高いのは承知の上で、

スポーツ撮影には理想的なレンズ


なのは確か。明るいヨンニッパ (400mm F2.8) と、ゴーヨン (500mm F4) /ロクヨン (600mm F4) 代わりになる 560mm F4 の両レンズが一発で切り替えられる、

明るさとレンジが同居した
2 in 1 の超望遠単焦点レンズ


は、マジ理想。(鳥や戦闘機相手の人には 400mm / 560mm は短いでしょうけれど)

「ヨンニッパはスポーツ撮影の標準レンズ」と長く言われてきましたが、実のところ、昨今のフィールドスポーツでは状況が変わっているのを見ると、このテレコン内蔵の仕様は今後他社も追随するのは必定のように思います。


近年、キヤノン EOS-1D X シリーズやニコン D 一桁機の高感度画質が上がって、スポーツ撮影でもロクヨンやニーヨンヨン (テレコン内蔵 180/200-400mm F4)の使用が増えており、Jリーグのナイトゲームでピッチサイドにいるカメラマンでもヨンニッパ以外が随分と多くなりました。

スポーツ撮影全般においてヨンニッパが基本であることは変わらないものの、フィールドスポーツでは反対側サイドのシーンは 400mm では(トリミングを考えても)いささか不足気味なこと、もっと寄りの迫力系写真を狙うことも増えてきたこともあって、昔のようにヨンニッパ一択ではなくなっています。

それを考えると、手前側サイドのシーンでは明るいヨンニッパ 400mm F2.8 で、反対側サイドのシーンでは画質は多少落ちてもゴーロクヨン 560mm F4 で撮れる、という 2 in 1 単焦点レンズってのは文句なしの便利レンズではないでしょうか。

使い方としてはテレコン内蔵のニーヨンヨン (180/200-400mm F4 with x1.4)に近いでしょうが、1段明るいのは限りなく大きなメリットですし(夜の高感度対策だけでなく被写界深度の浅さも)、よっぽど狙いがない限りズームが必須ということはないカテゴリーですから単焦点×2 で全く問題はなく、ズームの利便性より明るさと画質の方が遥かに重要です。

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また、今回の Z 400mm f/2.8 TC VR S は
  1. 本レンズに最適化された内蔵 1.4倍テレコンだけでなく、別途 1.4倍、2倍テレコンも使用可能
  2. ソニー、キヤノンと比べて遅れていた軽量化をようやく実現(3kg 切りは同じだがテレコン込みと考えると◎)
  3. テレコン内蔵で 560mm 相当まで延ばしているのに Fマウントの 500mm F4 より短い全長も素晴らしい👏
  4. ニコンご自慢のナノクリスタルコートを上回る新コーティング「メソアモルファスコート」初採用
  5. Zマウントになって望遠・超望遠レンズにまでレンズ駆動が(AF速度で不利な)STM を採用していたが、高速・高精度・静音が売りの新開発シルキースウィフト VCM を採用
    (ただし、ペースメーカーなど医療機器を使っている人は使用不可)
  6. SR レンズも蛍石レンズも贅沢に使っている構成

とまぁ、今まで他社に遅れを取っていた点を取り戻して、さらに追い抜いていったヨンニッパになりました。価格も追い抜いていったけれど、内容を見れば仕方ないかな、と思います。

ただまぁ、このレンズがキッカケになって、他社も含めて超望遠単焦点レンズがどんどん希望小売価格 200万円超のレンズになっていって、より限られてた人のレンズになっていきそうですけれども。

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ニコンの場合、現状ソニーやキヤノンのように動体がしっかり撮れて高感度に強いミラーレス機がないので明るい超望遠単焦点レンズは必須、またヨンニッパの本レンズは発表したもののロクヨン (600mm F4) がまだの状況ではそのレンジもカバーする本レンズにかかる期待(需要)は大きかろうと思います。

Z9 はα1 と同じく動画にも比重を置いたことで 8K 対応高画素機となって高感度画質は犠牲になっていますから、高速シャッターが必須の現場だと従来の D 一桁機のように F4/F5.6 レンズを使用するのはかなり制約が出てきますからねぇ。

また、FTZ 経由での Fマウントレンズと Z レンズの AF 速度精度の差は、レンズ自体の性能が同程度であるならば、光量が十分にある状況だったりヌルい動体なら実用上の差はほとんど出ないように感じていますが、夜間や AF 追従がギリギリの状況ではマウントの差は出るので、Z9 を買って Z レンズを使っちゃうと欲しくなるんですよねぇ。

(今まで撮影してみた印象では、FTZ 経由云々よりはレンズそのものの性能の方が重要だと感じていますが)

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あと、FTZ 経由で Fマウントレンズを使用すると、レンズによっては Fマウントボディ使用時より持った感じのバランスが悪くなったり、せっかくコンパクトなレンズなのにマウントアダプターの分で損ねたり。

D5 + AF-S 500mm f/4E FL ED VR の組み合わせがピッタリ入っていた thinktankphoto のバックパック Glass Limo は長く愛用しているカメラバッグですが、Z9 + FTZ II と組み合わせると、Z9 は大して薄くなっていないのに FTZ II の分があるのでゴーヨンFL を入れるのが厳しくなってしまった…なんてことも😩

こういうことがあると、どんどん Z レンズが欲しくなるわけですが、高画素機になってしまった Z9 では賄えない部分を D5 で補う必要があるかぎり&動体撮影用サブ機として使えるZボディが出てこないかぎり、Fマウントも併用しなきゃならず、D5 で使えないレンズばかり買っても…という思いもあります。過渡期ゆえの悩み。

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また、今回の Z 400mm f/2.8 TC VR S でニコンも 3kg 切りを達成して、560mm F4 としてはレンズ長も短くできたことで、ゴーヨン 500mm F4 が Zマウントで出ることはほぼ無いだろうな、出す意味がないな、と思います。

各社とも苦境の中で開発費の選択と集中を進める上で、数の出ない大口径単焦点レンズは法人需要のある 400mm、600mm(、800mm)を優先し、300mm、500mm といったレンズは後回し、ないし開発しないのは止むを得ないところでしょう。

ゴーヨンユーザーとしては寂しい話ですが、ヨンニッパやロクヨンと比べると手持ちが楽で、手の出しやすいお値段だったのが、前者のメリットはなくなり、後者はメーカーとしてメリットがないと判断するのは理解できます。(2.5kg 切りのゴーヨンとか欲しいですけど)

そういう意味でも理想のレンズである Z 400mm f/2.8 TC VR S は、とっっっっても欲しいですが、さすがに 200万円は手が出ません…orz

それに何より、

死ぬ気で買っても
元を取れる自信がない


AF-S 500mm f/4E FL ED VR も 100万円を超える値段でしたが、十分に元を取ったと言える自信があります。けれども、これから自身の体力も気力も何もかも落ちていくであろう中で、さらに倍!のレンズを買って、それに見合うものを撮っていけるか?と言うと…全く自信がない。

あー、こんな高価なレンズを買ったけど、俺は一体何を撮ってるんだろう…


と落ち込みながら使いたくないですからね、不相応😅

もちろん、このレンズの性能を欲する場面はありますけれど、買った満足感より買った後ろめたさが先に来そうですし、何より

過渡期の今は高価なレンズは
Z9だけでなくD5でも使いたい


ですから、どちらにしても Z 超望遠単焦点レンズを買うのはもう少し先ですね。

Z 100-400mm みたいに、今さら Sports VR モードもない AF-S 80-400mm は買えないと思って我慢してきたレンズなら仕方ないですが、理想のレンズとはいえ、少なくとも今は、Z9 だけでしか使えないなら買えないかなぁ…って感じです。

まぁ、それ以前に、死ぬ気で買ったらマジ即死のお値段なので、こんなこと書いているのも、家族の大学病院付き添いの長い待ち時間に飽いて筆が滑った世迷言です。

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以前の記事でも書きましたが、とりあえず今は本レンズよりもレンズロードマップにある

もう1本の400mm単焦点レンズ待ち


であり、期待するのは回折レンズを使って小型軽量化されたヨンヨン、あれはきっと

Z 400mm f/4 PF VR S と信じてる


ので、今回の理想のレンズ Z 400mm f/2.8 TC VR S にも、ひとまず物欲は動きません。値段的に動きようがないけど。たぶん。

コロナ禍が明けるであろう(これも信じてる)来年以降の撮影環境を考えた場合、Z 400mm f/2.8 TC VR S より小型軽量な Z 400mm f/4 PF VR S の方が適切な選択にもなるはずなので(理由は説明すると長くなるので略)、まずは信じてるそちらを優先であります。

まぁ Z 800mm みたいに 400mm F4.5 と中途半端に暗くして出されると悩みますけど、それはないと信じたい…

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買えない、少なくともひとまずは買うことを考えない Z 400mm f/2.8 TC VR S ではありますが、理想的なレンズであり興味は尽きないので、このレンズが本気で活きる環境で使われた方の(大本営以外の)レビューは見てみたいですね。

高価なこと以外は欠点らしい欠点はない製品だけに、現行 Eレンズのヨンニッパを実際に使われている方がその差を(分かりきった軽量化やテレコン内蔵以外で)しっかり書いたレビューを見たいものです。

Z9 みたいに「え?コレ撮るのに、この機材を使う必要があるの?」みたいなの並べて絶賛するだけのレビュー、二言目には EVF は素晴らしい!的なド素人にも書けそうなワンパターンの話にはウンザリしてるんで…😅

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Z 400mm f/2.8 TC VR S の正式発表以外に、海外では発売されていたけど国内発売日は未定になっていた Z 24-120mm f/4 S や Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S に、Z 28-75mm f/2.8 の発売日も発表になっていたんですね。後から気づきました。

NIKKOR Z レンズおよびアクセサリーの発売日決定のお知らせ | ニコンイメージング

予約している Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S は 2月4日発売。既に発売されている海外のレビューを見ているかぎり、悪くはないけど 35万円まで値上げした程では…という気分は拭えないままですが、仕方ないですね。

9年前に発売されたレンズと比較して周辺描写は良くなってるとか言われても、そりゃ当然だろ、としか思えないんですよねぇ。ここまで値上げするなら SSVCM とか新技術を一つでも採用して欲しかった気が…


とまぁ、何を書いてるのか分からなくなってきましたので、このあたりで連日の病院付き添いで長い待ち時間に閉口しながら書いた与太話を終了させていただきます。



(10万円以上高く値付けした転売屋が跋扈するZ9)