カメラ機材系では数少ない信頼できるレビュワーと勝手に思っているプロカメラマン豊田慶記氏の写真展「孵化」が東京に続いて富士フイルムイメージングプラザ大阪@難波で開催中。来週月曜日12月27日まで開催。
富士フイルムのショールームは、メーカ系ショールームにしては珍しく土日もオープンしてるので、興味ある人は週末にでもどうぞ。(イメージングプラザは来店予約制となっていますが、写真展見学は予約不要です)

■ 豊田慶記写真展 「孵化」
実を言うと、開催初週に行ったつもりが、昔からある本町のフォトサロンじゃなく移転した難波のサービスセンター/ショールームの方だと気づかず、場所を間違えてしまっての出直しでした。本町のフォトサロンには先月も行っていたので、うっかり先入観😅
で、難波ならまた何かのついでに寄れるだろう、レンズの調整も出したいからそのついででも…と思っていたら、気がつけば残り1週間を切っての訪問になってしまいました😓
ショールーム/サービスセンターが本町から難波に移転してからそちらには行ったことがなかったので、ショールームの方でも写真展スペースがあると知らなかったんですよねぇ…orz
■ FUJIFILM Imaging Plaza
写真展を精力的に見る方ではありませんが、小洒落た独立系ギャラリーは敷居が高くてもメーカー系のショールーム併設ギャラリーには近くを通る際に立ち寄ってみることは、ちょくちょくしてます。(生活圏内の梅田から移転したメーカーが多くて頻度は下がってますが)
もっとも、およそアートの感覚というものを持ち合わせていない身であり、連れ合いに連れられていく美術館同様、見て何か感じたり、自分の血肉になるようなことは(おそらく)ないのですが、年に何度かは何かしらのインパクトはもらっています。
で、年イチくらいで行った写真展の感想も書いていることが多いので、今年一番インパクトが強かった、この写真展についての雑感をば。
富士フイルムのショールームは、メーカ系ショールームにしては珍しく土日もオープンしてるので、興味ある人は週末にでもどうぞ。(イメージングプラザは来店予約制となっていますが、写真展見学は予約不要です)

■ 豊田慶記写真展 「孵化」
実を言うと、開催初週に行ったつもりが、昔からある本町のフォトサロンじゃなく移転した難波のサービスセンター/ショールームの方だと気づかず、場所を間違えてしまっての出直しでした。本町のフォトサロンには先月も行っていたので、うっかり先入観😅
で、難波ならまた何かのついでに寄れるだろう、レンズの調整も出したいからそのついででも…と思っていたら、気がつけば残り1週間を切っての訪問になってしまいました😓
ショールーム/サービスセンターが本町から難波に移転してからそちらには行ったことがなかったので、ショールームの方でも写真展スペースがあると知らなかったんですよねぇ…orz
■ FUJIFILM Imaging Plaza
写真展を精力的に見る方ではありませんが、小洒落た独立系ギャラリーは敷居が高くてもメーカー系のショールーム併設ギャラリーには近くを通る際に立ち寄ってみることは、ちょくちょくしてます。(生活圏内の梅田から移転したメーカーが多くて頻度は下がってますが)
もっとも、およそアートの感覚というものを持ち合わせていない身であり、連れ合いに連れられていく美術館同様、見て何か感じたり、自分の血肉になるようなことは(おそらく)ないのですが、年に何度かは何かしらのインパクトはもらっています。
で、年イチくらいで行った写真展の感想も書いていることが多いので、今年一番インパクトが強かった、この写真展についての雑感をば。
前述のようにカメラ機材系では数少ない、信頼できると思っているレビュワーの豊田氏、その理由は語る言葉に濁りがないことと評価軸のバランスの良さにあります。
氏のレビューは(掲載メディア側の理解もあって)忖度なく、できるだけ率直に書く姿勢を読み手に感じさせるのが売りですが、それ以前に好みも含めた自身の立ち位置をハッキリさせて書いているため、読む方もレビューの受け取り方を明確にでき、自身に取り込む際の取捨選択がしやすいと感じています。
レビュワーのレビュー機材へに対する接し方、立ち位置が曖昧だと読み手が評価軸を捉えにくく、そのレビューを通して自分がその機材をどう捉えるかへの推測のヒントが掴みにくくなりますが、そこが明確なレビュー、自分の経験からくる良さ、懸念も伝えてくれるレビュワーは納得感があります。
そして、もう1点。カメラ、レンズ評価で最も難しい点である、定量的評価とアーティスティックな感性部分での評価、そのどちらにも傾きすぎることがない、そう思わせるところが私が説得力を感じる点です。
CP+ のステージなどで見られるような実戦的な状況をテーマにした機材レビューは一点突破ですから話は別ですが、総合的なレビューとなると、やはり両方の観点からバランス良く知ることができてこそ、その機材に対する参考値が上がるというもの。
素人が書くレビューにせよ、プロカメラマンのレビューにせよ、(好みや信条などによって)どちらかに比重が置かれがちですが、好みと客観的評価を混同しないことと合わせて、そのバランスの良さは金の取れるレビューだなぁ、と感じています。
とまぁ、豊田氏への私の勝手な印象はともかく、レビュー記事などを読むかぎり、良い意味で理系的な部分も伺える方が写真展を開くということで、仕事とは別の部分ではどのような写真を撮るのかは興味がありました。(レビュー記事からして作り手側の経験もある方と思っていましたが、写真展の案内における経歴を見て納得)
作例写真にも多いスナップ系の写真なのか、もしくはあまり普段は表に出てこない個人的に追求しているカテゴリーがあるのか…
そう思っていたところ、写真展告知の写真を見て、
と。おそらく、観た人の 99% がそう感じるはず。(↓)

あまりにも奇抜。
「ビルの写真に何かしらを加えたのかな…」とは想像できるし、これもまたゲージュツの一つなのかもしれないけれど、そちらの素養、知識、センス全てがない私には当初、ぶっちゃけ「うーん、なるほどねえ(何もわかってない)」が第一印象。
とはいえ、
とは思っていました。
もちろん、こういう写真は見たことないし、どう撮って、どういう後処理をされているのか全く推測できなかったわけですが、
などと安易に考えるのが私。
そう思っていたら、東京の写真展が始まって間もなく、
であることが、氏によって語られてビックリ!

写真というものが、巷で撮影者の一部がよくマウント気味に語る「JPEG 撮って出し」であることにさほど意味を感じない私ですが、これには驚きました。
となると、
ということで急に興味が湧くわけです。
作品そのものより撮り方に惹かれるというのは写真家の方に大変失礼だと思うのですが、さすがにこれは止むを得ないと思うんですよね……
と同時に、(撮って出しに意味を感じないと言いつつ)私自身もこれらの作品が急に
に見えてくるから勝手なものです😅

写真展告知の冒頭にあるひと言、「きっかけは1枚の歪んだ失敗写真だった」がヒントになるわけで、もしかして…と思うことはありましたが、とは言えなぁ…という感じで謎は謎のまま。
そして、大阪展開催が始まってから実物を鑑賞すれば…と思いつつ行けないままの中、豊田氏の note で写真展の作品を撮るきっかけから手法、写真展開催までの経緯が公開されました。
■ 1日1枚 Vol.357 12月15日 告知ときっかけ|豊田慶記|note
■ 1日1枚 Vol.358 12月16日 告知ときっかけ2|豊田慶記|note
■ 1日1枚 Vol.359 12月17日 開催が決まってから|豊田慶記|note
「なるほど、やっぱりなぁ〜」と思っても、実際には半分も理解できていないというか、想像はつかないこともないけれど、こういう歪みを面白いと思えて撮影の糧にしてしまうこと、さらに作品として撮るところ、撮る気力体力根性までは想像の外。
富士フイルムの中判デジタルカメラ GF シリーズだからこそ、想定外の使い方によってこういう歪みが出る(出やすい)のでしょうけれど、私だったら「あー、こういう撮り方は向かないカメラだよねー」的に終わってしまいますからねえ。
で、ウェブ上の画像で見ると、奇抜な、突拍子もない、不思議な写真なんだねー、で終わってしまいますが、写真展で現物のプリント写真に接すると、なんとも言えない迫力があり、この手の写真がズラッと並んでいる写真展はちょっとした圧力を感じました。

写真は横浜や東京のビルを題材にしたものが多いのですが、私自身、東京に住んでいたこともあるし、横浜には何度も遊びに行っているので、題材のビルは全て知っているだけに、写真を見て、キャプションを見て、
「あ〜確かになぁ」
「はー、あのビルがこれか…いや分かるけれど」
という感じで、感嘆とも感心ともつかない感じで鑑賞させていただきました。
そして写真を鑑賞しながら思ったのは、この歪んだ写真を撮影するのに、イメージどおりに歪むまでひたすらトライ&エラーを繰り返したであろうことで、どれだけの体力が必要で、どれだけの根気が必要で、何より都会の真ん中で極めて変な動きで撮影を繰り返した根性、集中力には敬服しかないですね。
観光地でもない都会の真ん中でスナップを撮る時も、スマホじゃなくカメラを出すのは気恥ずかしいとすら感じてしまう自分には 200% 無理すぎですからねぇ。

あと、豊田氏が SNS やブログで強調されていた、この写真展のプリント。ラムダプリントで銀塩のバライタ紙にモノクロプリントするという手法と言われても、プリントのことは全く無知な私にはさっぱり何のことやらですが、そんなド素人でも今まで見たことのあるモノクロプリントとは違う質感は判りました。
■ 1日1枚 Vol.319 10月20日 写真弘社|豊田慶記|note
個人的には、2次元の写真という平面さを突き詰めた超平面的というか、妙に色気のある質感で、何もわからない素人目にも業務用インクジェット系プリントとは違う印象を受けます。
ま、プリントについては無知すぎるので、これ以上書くと馬脚を100本くらい現しそうなので止めておきますが。
ともあれ、豊田慶記氏写真展「孵化」は、レビュワーとして好印象を持っている方の写真展だからと思っていきましたが、撮影方法も含めてなかなかぶっ飛んでいて、そして展示写真のクオリティも見事でインパクトがありすぎました。
12月27日午後2時までと残り会期は短いですが、土日も開催中で、難波駅から直結の御堂筋グランドビル2階にある富士フイルムイメージングプラザ大阪で開催中ですので、興味ある方は是非。
氏のレビューは(掲載メディア側の理解もあって)忖度なく、できるだけ率直に書く姿勢を読み手に感じさせるのが売りですが、それ以前に好みも含めた自身の立ち位置をハッキリさせて書いているため、読む方もレビューの受け取り方を明確にでき、自身に取り込む際の取捨選択がしやすいと感じています。
レビュワーのレビュー機材へに対する接し方、立ち位置が曖昧だと読み手が評価軸を捉えにくく、そのレビューを通して自分がその機材をどう捉えるかへの推測のヒントが掴みにくくなりますが、そこが明確なレビュー、自分の経験からくる良さ、懸念も伝えてくれるレビュワーは納得感があります。
そして、もう1点。カメラ、レンズ評価で最も難しい点である、定量的評価とアーティスティックな感性部分での評価、そのどちらにも傾きすぎることがない、そう思わせるところが私が説得力を感じる点です。
CP+ のステージなどで見られるような実戦的な状況をテーマにした機材レビューは一点突破ですから話は別ですが、総合的なレビューとなると、やはり両方の観点からバランス良く知ることができてこそ、その機材に対する参考値が上がるというもの。
素人が書くレビューにせよ、プロカメラマンのレビューにせよ、(好みや信条などによって)どちらかに比重が置かれがちですが、好みと客観的評価を混同しないことと合わせて、そのバランスの良さは金の取れるレビューだなぁ、と感じています。
☆
とまぁ、豊田氏への私の勝手な印象はともかく、レビュー記事などを読むかぎり、良い意味で理系的な部分も伺える方が写真展を開くということで、仕事とは別の部分ではどのような写真を撮るのかは興味がありました。(レビュー記事からして作り手側の経験もある方と思っていましたが、写真展の案内における経歴を見て納得)
作例写真にも多いスナップ系の写真なのか、もしくはあまり普段は表に出てこない個人的に追求しているカテゴリーがあるのか…
そう思っていたところ、写真展告知の写真を見て、
んんん?なんだこりゃ??
と。おそらく、観た人の 99% がそう感じるはず。(↓)

あまりにも奇抜。
「ビルの写真に何かしらを加えたのかな…」とは想像できるし、これもまたゲージュツの一つなのかもしれないけれど、そちらの素養、知識、センス全てがない私には当初、ぶっちゃけ「うーん、なるほどねえ(何もわかってない)」が第一印象。
とはいえ、
ビルの撮影した写真を Photoshop で加工して、こういう奇抜さを演出しただけでは個展、特にメーカー系スペースで写真展をすることはできないだろうし、きっと何か自分には判らないものがあるんだろうなぁ…
とは思っていました。
もちろん、こういう写真は見たことないし、どう撮って、どういう後処理をされているのか全く推測できなかったわけですが、
写真展は大阪でも行われるし、メディアを通して勝手に好印象を持ってるだけだけど、それだけに写真展を見に行くくらいはアリだから、写真の実物見たら少しくらいは想像がつくかも?
などと安易に考えるのが私。
そう思っていたら、東京の写真展が始まって間もなく、
この摩訶不思議な写真が撮って出し
であることが、氏によって語られてビックリ!

写真というものが、巷で撮影者の一部がよくマウント気味に語る「JPEG 撮って出し」であることにさほど意味を感じない私ですが、これには驚きました。
となると、
これ、どうやって撮ってんの??
ということで急に興味が湧くわけです。
作品そのものより撮り方に惹かれるというのは写真家の方に大変失礼だと思うのですが、さすがにこれは止むを得ないと思うんですよね……
と同時に、(撮って出しに意味を感じないと言いつつ)私自身もこれらの作品が急に
画像じゃなく写真
に見えてくるから勝手なものです😅

写真展告知の冒頭にあるひと言、「きっかけは1枚の歪んだ失敗写真だった」がヒントになるわけで、もしかして…と思うことはありましたが、とは言えなぁ…という感じで謎は謎のまま。
そして、大阪展開催が始まってから実物を鑑賞すれば…と思いつつ行けないままの中、豊田氏の note で写真展の作品を撮るきっかけから手法、写真展開催までの経緯が公開されました。
■ 1日1枚 Vol.357 12月15日 告知ときっかけ|豊田慶記|note
■ 1日1枚 Vol.358 12月16日 告知ときっかけ2|豊田慶記|note
■ 1日1枚 Vol.359 12月17日 開催が決まってから|豊田慶記|note
「なるほど、やっぱりなぁ〜」と思っても、実際には半分も理解できていないというか、想像はつかないこともないけれど、こういう歪みを面白いと思えて撮影の糧にしてしまうこと、さらに作品として撮るところ、撮る気力体力根性までは想像の外。
富士フイルムの中判デジタルカメラ GF シリーズだからこそ、想定外の使い方によってこういう歪みが出る(出やすい)のでしょうけれど、私だったら「あー、こういう撮り方は向かないカメラだよねー」的に終わってしまいますからねえ。
で、ウェブ上の画像で見ると、奇抜な、突拍子もない、不思議な写真なんだねー、で終わってしまいますが、写真展で現物のプリント写真に接すると、なんとも言えない迫力があり、この手の写真がズラッと並んでいる写真展はちょっとした圧力を感じました。

写真は横浜や東京のビルを題材にしたものが多いのですが、私自身、東京に住んでいたこともあるし、横浜には何度も遊びに行っているので、題材のビルは全て知っているだけに、写真を見て、キャプションを見て、
「あ〜確かになぁ」
「はー、あのビルがこれか…いや分かるけれど」
という感じで、感嘆とも感心ともつかない感じで鑑賞させていただきました。
そして写真を鑑賞しながら思ったのは、この歪んだ写真を撮影するのに、イメージどおりに歪むまでひたすらトライ&エラーを繰り返したであろうことで、どれだけの体力が必要で、どれだけの根気が必要で、何より都会の真ん中で極めて変な動きで撮影を繰り返した根性、集中力には敬服しかないですね。
観光地でもない都会の真ん中でスナップを撮る時も、スマホじゃなくカメラを出すのは気恥ずかしいとすら感じてしまう自分には 200% 無理すぎですからねぇ。

あと、豊田氏が SNS やブログで強調されていた、この写真展のプリント。ラムダプリントで銀塩のバライタ紙にモノクロプリントするという手法と言われても、プリントのことは全く無知な私にはさっぱり何のことやらですが、そんなド素人でも今まで見たことのあるモノクロプリントとは違う質感は判りました。
■ 1日1枚 Vol.319 10月20日 写真弘社|豊田慶記|note
個人的には、2次元の写真という平面さを突き詰めた超平面的というか、妙に色気のある質感で、何もわからない素人目にも業務用インクジェット系プリントとは違う印象を受けます。
ま、プリントについては無知すぎるので、これ以上書くと馬脚を100本くらい現しそうなので止めておきますが。
ともあれ、豊田慶記氏写真展「孵化」は、レビュワーとして好印象を持っている方の写真展だからと思っていきましたが、撮影方法も含めてなかなかぶっ飛んでいて、そして展示写真のクオリティも見事でインパクトがありすぎました。
12月27日午後2時までと残り会期は短いですが、土日も開催中で、難波駅から直結の御堂筋グランドビル2階にある富士フイルムイメージングプラザ大阪で開催中ですので、興味ある方は是非。