予約しているニコン Z9 の発売日が決まったことを知り、先日の記事で「発売日も決まったからニコン Z9 に思うことをちょっと書いとくか」と思ったのですが、話があらぬ方向に脱線したまま戻らないまま終わってしまいましたので、仕切り直しというところであります。

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遅ればせながら Z9 の発売日決定を知ったわけだが
「Z 9」と関連製品の発売日決定および製品お届けに関するお知らせ | ニコンイメージング

Z9 に関する情報は、正式発表からしばらくファンの信仰心を満たすだけの大本営動画やお抱えカメラマンの話ばかりでしたのでほぼスルーでしたが、発売も近づいてきたこともあって海外を中心に(利害関係者以外の)レビューや実写画像を多く目にするようになってきましたので、多少なりとも目を通すようになってきました。

そんな中、私個人の Z9 に対する率直な印象を言えば、

期待3割、不安落胆諦感7割


というのが、正直なところ。

発表直後の期待と不安相半ばから、しばらく経って実写画像が出てくるに従って予想はしてたけど…という落胆さが支配的になり、今は

そりゃそうだよな、発表された仕様を見れば最初から判ってたよな、マジックなんてないよな


と、諦感の境地で購入する心境であります。(いつ手に入るかは知らないけど)

もちろん、実機を2度触ってきて EVF やグリップ感、(一部を除く)操作性については文句なしであります。AF も他社と比べてどうかという点は別にして D5/D6 より進化は確実だし、たとえ D5/D6 と同程度でもミラーレスならではの測距点の広さだけで欲しい、購入を決断できます。

ただ、私の主被写体であるスポーツ撮影においては、ただ1点、(高画素化ゆえに)高感度画質が💩 D5/D6 より大きく劣化することが確実である仕様を見た時点で、とても素直に welcome とは言い難いし、発表直後から続く信者さんたちのいささか狂気じみた ワッショイヽ( ´∀`)ノワッショイヽ( ´∀`)ノ 礼賛がより苦々しく見えてしまうものでした。

実写画像が出てきて想定通りであることを確認しながら、落胆だけでなく色々な対策を考えていますが、購入後に色々試して判断するしかないわけで、それによって個人的な評価も使える度も変わってくるわけですが、いずれ Z9 が手元に来て評価するにあたって事前の印象と比較するためにも、Z9 の発表から事前情報を得て、購入前の現時点で感じていることを記しておこうと思います。



最も評価したい点:3D トラッキング復活その他で D一桁機と同じ撮影手順をやっと使える Z

キヤノンも EOS R5/R6 以前はそうでしたが、ミラーレスにしたからといって従来のデジタル一眼レフで信頼できていた AF モードを撤廃してしまったのは本当に解せない話でした。が、ニコンもようやく思い直したようで、これでまず最低限の買えるラインはクリアです。

αに瞳 AF が搭載されて以降、新機種が出るたび被写体認識は進化してきて、Z9 でも9種類の被写体認識がトップでアピールされていますが、個人的には

どんな条件でも使えるとは限らない被写体認識が何種類あろうと、それより従来手法が使えるようになって進化してる方が遥かに重要

だと思っています。

被写体認識・世界最多9種類!とかアピールされても、一時期のエフェクトモードと同じで数を競うためだけにカテゴリーを細分化しても不毛であり、フラッグシップ機で最初にアピールすることかよ、って感じしかないです。

そもそも、複数人が交錯しない状況での顔・瞳認識であったり、単独で飛んでいる鳥、飛行機、走ってる車であるなら被写体認識も十分実用的でしょうが、動体撮影のカテゴリーによってはそんな単純なシーンは多くありません。

チームスポーツや多台数のレースのように複数の被写体が交錯する場面の多いカテゴリーでは、従来の 3D トラッキングですらフォーカスが「は?なんでそっちへ持っていかれるねん!?」ということがあり、3D トラッキングの素晴らしさは承知しつつ、自己責任で追えるダイナミック AF を選ぶことも少なからずあります。

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(狙う被写体は横向き、でも顔が正面の別選手がいるとかね…)


被写体認識 AF+トラッキングでカメラ任せに撮れれば楽できて良いし、おそらく飛行機なんかは私も被写体認識に任せると思うけれど、そういう条件ばかりではありません。

複数の同種被写体が入り混じる中でも被写体認識 AF が自分が追いたい被写体をミスなく確実に捕捉し続けられるならともかく、それが完全でない状況では、3D トラッキングがより確実ならそれを使いたいし、ダイナミック AF で自分の責任にて追う方が確率が高そう or 納得できるならそちらを選択します。

レンズを振りながらフレーム内に複数いる被写体から確実に特定被写体を狙いたい、追ってる途中で別の選手や車が絡んできても捕捉する被写体が変わって(乗り移って)しまっては困る、見えないところから飛び出しの一瞬を 0.001秒でも速くシャッターを切りたい。

そんな時はやっぱり被写体認識 AF が如何に優れていても、より確実に撮れる方を選びたい。今のところまだ、撮り手の意思までカメラは汲んでくれないわけですから、撮り手の責任をカメラ任せには、まだできない。(将来は可能だとしても)

だから、カメラが撮り手に撮影手法を強制しない、方法の選択肢があること、カメラの能力じゃなく撮り手の能力に、撮り手の責任で撮れる手段が使えてこそ初めて使える道具と言えるわけで、それがニコンでは Z9 でようやく実現してくれたからこそ買えるかな、と。

ミラーレス時代において最適な新しい撮影手法は(カメラの進化とともに)今後突き詰めていく必要はあるでしょうが、それを追求するのは、まずデジタル一眼レフ時代と同等以上の結果を得た上で進めていきたい、と思うわけです。

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そもそも、被写体認識 AF 云々関係なく、速度精度が改善されたダイナミック AF や 3D トラッキング AF が、フルサイズ一眼レフでは実現し得なかった測距点の広さ=構図の自由度が達成できただけでも買う価値はあると思っています。上下に狭いフルサイズデジタル一眼レフのフォーカスエリアの狭さは辛いものでしたからね…

ぶっちゃけ言えば、単体の飛行機とか GT 系レースの4輪車とかは別に被写体認識 AF なくても普通撮れるでしょ?と思うんですけどねえ。皆さん、今まで問題なく撮れてたのでは?と。

むしろ、Z9 では現状対応していない(とニコンの人が言っていた)フォーミュラーカーの HALO の奥にあるヘルメット認識のように、人間が合焦させるのに苦労するモノに対応してくれてこそ被写体認識に意味があるんじゃないか、被写体認識できる数の問題じゃないでしょ、と思っているので(瞳認識 AF が絶賛されたのもそこでしょう?)、今後のファームウェア・アップデートに期待したいところです。

そんなわけで、3D トラッキングの復活や従来 AF モードの改善を重要視せず、9種類の被写体検出スゲーみたいなことしか言えない人をネットで多く見ましたが、そういう人たちとは話が噛み合わないだろうなぁ、と思ったりした発表直後でもありました。


評価したい点2:AF 周りの使い勝手も Dシリーズ中上級機にあったものを復活

AF ロックオンのカスタマイズ、Fn ボタンによる AF モードの一時的切り替え機能 etc… D5 で常用している機能ですから、3D トラッキング 同様こちらも復活してちゃんと入ってくれていることに安心しています。というか、D500、D850 といった中級機にもあったのに何故 Z6, Z7 で…と意味不明でした。

ただ、AF モードの一時的切り替え機能はレンズボタンのあるレンズで試せていないので、その点を含めて AF やボタンカスタマイズ周りは製品が発売されてマニュアル PDF がダウンロードできるようになったら確認しなければなりませんが…

(個人的にはレンズボタンで AF モードの切り替えだけでなく、A〜D の静止画管理メニューセットを切り替えて欲しいんですけどねぇ。一瞬で露出モード、SS、絞りその他も変えて戻せると有難いのだけど…)

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ちなみに、再生ボタンを長年の液晶画面左上から右下の正反対の位置に変更されたのは最初「頭おかしいんじゃねーの?」と解せない変更だったのですが(カスタマイズでプロテクトボタン Fn4 に割り当てられる)、実機を改めて確認しに行って色々試して納得しました。

Dシリーズと比べて小型化されて液晶左側の縦ボタンが全部なくなったため、個人的にレーティング設定をプロテクトボタン Fn4 に割り当てないと「レーティングボタン+メインダイアル」での迅速なレーティングができないし、縦位置のことも考えれば、再生ボタンもあの位置しかないかな、と。画像削除とレーティングは現場で頻用するので…

ただ、高感度画質問題で当分 D5 と併用することになると操作性の差が出てきて、その際の戸惑いは当分我慢することになりそうです。Z6 / Z7 シリーズとも再生ボタンの位置が変わってしまうので、将来の併用を考えると Z6 III / Z7 III からは Z9 に合わせて欲しいですね…

その点、D5/D6/D850/D500 はボタン配置含めた操作系がフラッグシップ機と中級機で共通という良さがありましたからねぇ。(D500/D850 と D5/D6 で左肩のモードダイアルボタンを含めた3ボタンの配置が無意味に違うという問題はあったけど)


実機触って安心だった点:縦グリップ含めたグリップ感、EVF

これは過去の記事でも触れたので繰り返しませんが、

カメラを握って構えて覗く、
撮る直前に萎える点、違和感がないのが
Z9 における一番安心材料


です。撮るテンションを落とさない、と言うのは道具として、ものすごく重要です。AF とコレがあるから、高感度画質が💩ダメダメでも買う気になったと言えます。

ただ、EVF に関しては実戦で使ってみて評価は変わるかもしれませんから、ニコンのショールームでちょっと試したくらいでは完全に安心、信頼はしていません。EVF には厳しい、暗所での 1/10秒レベルの低速流し撮りでの見え方とかも気になりますしね…

昨晩発表の ニコン Z9 体験会と触ってきた雑感

あと、いつも思うことですが、光学ファインダーと人間の眼というのはなかなか優秀で、慣れればレンズを振って被写体を追っていてもちょっとピン甘とか判っちゃうんですよね。

EVF も高解像化して光学ファインダー並みに細部までパッと見て判るようになったり、リフレッシュレートが上がってレンズ振ってもしっかり追従したりするようになりましたが、レンズを振りながらもピン甘を認識できる(そして時にはAFボタンを押し直してピントを合わせ直す)ことがしっかりできる EVF かどうか、どこまで納得できるかは使うのが楽しみです。


細かい点で嬉しいこと:バッテリーチャージャーの小型化など

まずはバッテリーが新型 EN-EL18d になりつつも従来の D5/D6 用の EN-EL18 シリーズが使えること、そして何と言っても

バッテリーチャージャーの小型化!


これは嬉しいですね。EOS-1D シリーズを使っていた時も D 一桁機でも、2本挿しの馬鹿でかいバッテリーチャージャーは遠征時の荷物として持っていくかどうか悩むところでしたから。

まぁ実際は、フラッグシップ機の大型バッテリーだと航空祭1泊2日で数千枚撮って撮影画像の取捨選択する程度なら1本あれば賄えるので、馬鹿でかいバッテリーチャージャーを持っていかなくても EN-EL18b を D5 に1本、D500 に1本、予備に1本という体制で十分でしたが、ミラーレスになればそうも言ってられないでしょうから嬉しい話です。

自宅でも2本挿しの馬鹿でかいバッテリーチャージャーにバッテリーを2本挿したことなんて EOS-1D 時代を含めて数回くらいしかないと思いますしねぇ。(キヤノンも追随して欲しいと思ってる人も多いはず)

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(1本挿しに縮小されたチャージャー)


細かい点では Z9 では Fn ボタンに複数機能を割り当てられ同時処理できるとか、フリック操作でのプロテクト、レーティング、送信指定が可能とかは自分で試して便利に使いこなせそうなので楽しみです。

信頼性という点では、ボディ内手ぶれ補正の VR ロックも素晴らしいところ。手ぶれ補正機構はレンズでも電源入れっぱなしはよろしくないわけで、こういう部分に配慮しているのは良いですね。(センサーダスト対策のシャッターは当然あるべき機能だと思ってるので割愛)



あと、RAW+JPEG 分割記録した画像の同時削除が可能になったのも嬉しい話。ただ、同時削除が可能なら、レーティングも同時設定できるようになっていたら嬉しいんですが、どうなんですかねぇ…そのあたり言及してるレビューは見つけられなかったのですが、ここまで発売が近づいてきたら、来て試せばいいや、って感じではあります。


唯一最大の不安落胆要素:高画素化による高感度画質の劣化

SNS の反応を見ていると、元々「D850 の一桁機が欲しい」「高画素版 D5/D6 が欲しい」と言った声が多かったせいか、今回の Z9 の高画素機化については万歳三唱状態のようで、そういう意味では私は逆にマイナーなのかもしれません。

ニコンとしても 8K 動画はスペック上どうしても入れ込みたかった(この先スチルだけを考えて中上級機のカメラを売っていくのは無理ですからね)ことを思えば、高画素機化するのは当然だったとも言えます。

また、ソニーやキヤノンと違って、フラッグシップ級カメラを低画素機、高画素機両展開できるほど企業規模・体力もないですから、一つに絞るとなれば高画素機で行くのも納得です。

それにニコンの主力アマチュアユーザーを考えても、D850 のフラッグシップ機化の方がパイは広がりますし、「ニコンが最強スペックじゃないとヤダー」という人々にとってもウケはいいし、フラッグシップ機として重要なイメージ戦略にも適っています。

というのは重々承知の上だけれども、当然ながら高画素化すれば高感度画質が劣化するわけです。そこにマジックの存在する余地はありません。

正式発表時のスペックを見て、良くて同クラス画素数の Z7 II 程度、高速読み出しのことを考えると Z7 IIより厳しいかなあ…と思っていましたが、海外で高感度を使った実写画像が出てきているのを見るかぎり、やっぱりそんな感じですねorz

(メーカーお抱えプロは発売前から悪いことは言わないし、実写画像を比較すれば自明なことですから、ISO 6400 も使えますよ〜とか言っても、D5/D6 と変わらないですよ〜とかは言わないわけで)

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ナイトゲームのスポーツ撮影では ISO 5000〜6400、時には 500mm f/5.6E PF で ISO 10000 を常用する身として、今までの D5 の画質と比べた場合、話にならない高感度画質になってしまったのは、ホントどうしたもんか…であります。安心して使えたフラッグシップ機の高感度画質が、突然2世代ほど巻き戻った感。

スポーツ撮影の標準レンズと言えば 400mm F2.8 ですが、高感度画質の向上で最近はプロカメラマンでもテレコン内蔵の 180/200-400mm F4 や 600mm F4 が半分くらいを占めます。Jリーグでは照明が明るい方のパナソニックスタジアムにて、F4 & SS 1/1600 で適正露出で確保しようとすると ISO 5000/6400 程度必要になります。

それを思うと、

信頼性とともに高感度画質が必要だから D 一桁機を使っていた層をニコンは切り捨てていくんだねぇ


というのが Z9 のスペックから受けた第一印象でもありました。

先にも書いたように、ニコンの企業規模ではフラッグシップクラスで高画素機、低画素機の両方を展開するのは厳しいでしょうから、二者択一になって 8K 動画も考えるとこうなったのは理解できますが、極めて残念ではあります。

こういうことを言うと、2,000万画素に縮小したらノイズも同等以上になるだろ〜的なことを言う頭の弱い人が居られますが、ノイズは目立たなくなっても高感度で撮影した時点で失ってる情報は戻ってきませんし(今どき RAW でも一定の処理済み)、そもそも大量に撮影する中でそんな無駄なワークフローを言われてもアホか…って感じです。

とにかく、高画素なだけに小さなブレも目立ってしまいますから、ISO 感度を落とすためにシャッター速度を落とすわけにもいかないので(むしろ上げたい)、こればっかりはお手上げ。

D500 や EOS 7D 時代のようなノイズとの戦いが待ち受けているかと思うと、この点だけは買う前から憂鬱なのが本音。他のメリットや楽しみを全部覆い尽くすくらい気が重い話です。先行する EOS R3 の高感度画質の素晴らしさを見ると余計に…

ただまぁ、今回の場合、

Z9 の高感度画質がダメで辛くなったら、ナイトゲームの撮影だけでも D5 に戻ればいいや


という救いがあるから気楽?に Z9 を試せるんですけどね。でも、Z9 が昼間専用機とかになったら勿体ない話です。


AF 関連 UI の進化・改善が欲しかった

動体撮影者にとって操作性の肝とも言える AF 測距点選択操作は、Z9 でも昔ながらの/伝統のマルチセレクター。すぐ上の AF スタートボタンと合わせて D5/D6 と変わらぬ操作感で安心して使えます。それはそれで評価したいところ。

ただ、EOS が 1D X Mark III で取り入れた AF スタートボタン一体型のスマートコントローラーは実に操作性に優れていて、羨ましく思った/思っている点の一つ。さらに EOS R3 では視線入力も復活させました。それを思うと、ニコンにももう少し動体撮影時のユーザーインターフェースについて進化を求めたくなります。

重要な点は、EOS 1DX3/R3 のスマートコントローラーが従来のマルチコントローラー(ニコンではマルチセレクター)の置き換えではなく追加であって、慣れなければ従来の操作がそのまま使えること。

EOS R3 の視線入力も上手く動作しない、使いづらいと思えば、スマートコントローラーでもマルチコントローラー(マルチセレクター)でも使って従来通りの慣れた操作が使えるわけで、そういった旧来との互換操作をスポイルさせることなく進化を追求する姿勢はニコンにも見習って欲しいところ。

(EOS R3 では視線入力ばかり取り上げられますが、R5/R6 で採用されなかった 1DX3 のスマートコントローラーが R3 で採用されたことも同じくらい重要だと思っていますし、視線入力が完全ではないからと言って評価を下げている人は何も判ってないとしか思えません)

はっきり言って、使いもしない 8K 動画のスペックで凄かろうと1ミリも嬉しくありませんし(使いもしない機能や買いもしないカメラで騒ぐ人の多さには閉口しますね)、そんなことより個人的にはボディサイズが変わったことでボタン配置も変わるこのタイミングでユーザーインターフェースの進化も欲しかったですねぇ。



あと、左手でレンズを支えているときには死ぬほど使いにくかったフォーカスモードレバーが、フォーカスモードボタンとなって少しはマシになったけれども、フォーカスモード/AFエリアモードを変えるのに左手でレンズを持ったまま操作できない、という根本的な問題は何も変わっていない。

i ボタンで液晶を介して変更はできるが、超望遠レンズを支えてファインダー覗きながらAFエリアモードを変えることが非常に困難なまま、ということが今回改善されなかったのは本当に残念(苦情が来ないのだろうか?)

Fn ボタンに指定 AFエリアモードへの変更を割り当てられるけれど、前面の Fn1〜Fn3 ボタンは D一桁機の頃から決して使いやすいボタンじゃないし、それで良いと思ってるのだろうか??

このあたり AF 周りの操作性はキヤノンの方が良いままでちょっと残念。超望遠レンズの三脚座に 90度クリックがない、マウントの回転方向が世の中と逆なことと合わせて、ニコンは使いやすいという意見にいつも納得しかねるところ。


(Z9 に限らず)軽量化の不足

Z9 は D5/D6 より一回り小さくなって、重量も少し軽くなりました。と言っても 1,450 → 1,340g ですから1割も軽くなっていません。

D5 で慣れていますからその重さが不快に感じることはありませんが、EOS R3 の軽さを体験すると、ちょっと物足りないですし、メカシャッターもミラーも削除したことを思うと軽量化はほぼ行われていないのでは?という印象です。

1.5kg 前後以上のレンズを使うことが殆どですから、Z9 の重さはバランスという点で決してネガティブとは言えませんが、それはニコンが望遠系レンズにも(PF レンズを除き)大した軽量化を今まで行っていないからでもあります。

こういうことを言うと「性能や信頼性を第一に考えているから軽量化には限度があった」「光学性能を突き詰めた結果だから」「軽量化は重要なことじゃない」などと、いつまでそんな寝言をほざいているのか?な人も少なからずいるわけですが、

小型軽量も性能のうち


ですし、望遠レンズを中心とする軽量化は確実なトレンドで、今後売っていくには必須なことでもあります。(特に新規ユーザーには)

重量が数割軽ければ、レンズをもう1本持っていけるかもしれないことを思えば、軽量さと言うのは決して軽視すべきことではないはずですし、そもそも軽量化と光学性能が必ずしも反比例しないことは、他社の最新レンズを見れば分かろうものです。

そういう意味では、軽量化という部分でももう少しニコンには頑張って欲しいと思いますし、その点で Z9 は少々物足りないと感じます。

ま、Z9 登場まで

カメラはスペックじゃないんだよ
数字に出ないところが凄いのがニコン


とか強がっていた人たちが、Z9 発表直後から

モンスタースペック Z9 スゲー!
他社をぶち抜きスペックだぜ〜


みたいなことを言ってたのを見ると、次機種や将来のレンズで軽量化されれば、軽量化素晴らしい\(^o^)/と絶賛するのは目に見えてますから、ニコンには軽量化も頑張って欲しいですね。(特に望遠レンズ)


Z9 は当初からコストダウンを考えた戦略機

Z9 の正式発表から一番注目されたと言っても良い価格。世代ごとにどんどん高くなって数寄者の道楽限定になっていくデジタルカメラですが、フラッグシップ機が 50万円くらいだったのも今は昔、そろそろその倍になろうとする頃合いに出てきた量販店価格60万円台。

Z9_YodobashiPrice


インパクトのある価格ですし、買う身としては有難いのですけれど、
  • ミラーレス市場でソニー、キヤノンの後塵を拝して、フラッグシップ機市場も相当ソニーに持っていかれている故に戦略価格が必要
  • 一眼レフのフラッグシップ機で、大きなコスト負担となるメカシャッターもシャッターミラーもない故にコストダウンが図られている

この2点を鑑みると、そんなに驚くこともないのかな、と。

フラッグシップ機では相当にコストのかかるメカ部分が大きく削除されているのですから(本来はもう少し高い価格にしたかったかもしれないにせよ)十分に見合う価格になっているはず。そもそも今の状況で利益を削ってまで、という余裕はないはずですし。

おそらく数年前に商品企画が立ち上がった段階から、メカシャッターもシャッターミラーも削って電子シャッターありきのミラーレス・フラッグシップ機を前提として開発が始まり、それがようやくフラッグシップ機として満足して出せる時期を待っていたがための最後発だったのでしょう。

そういう意味では、ミラーレス・フラッグシップ初号機でメカシャッターもシャッターミラーも削るという商品企画を立ち上げ、結果、他社ミラーレス・フラッグシップ機に多少遅れても大きく遅れないタイムスパンで実現させた開発陣には尊敬の念を禁じ得ません。

あとは、「安いのには訳がある」とはならないことを願うだけですね。ボタンとかボディの一部は素人目にも D一桁機ほどコストはかかってないのかな?と思わせるところがありますが、肝心な部分は従来のニコン品質、信頼性があると信じておりますので…

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というわけで、思うがまま書いたので異論反論ある人もいると思いますが、知ったこっちゃありませんな。実機が来て確認したら違っていたということも間々あろうかと思いますが、良い方に違っていることを祈りたいところです。

そうそう、上記で書き忘れましたが、酷い擬似シャッター音は発売までにマトモになっているか、幾つかから選べるようになっているか、最低限ファームウェア・アップデートで何とかしてくれるかを期待しています。マジでアレはない。

USB ポートも今どきフラッグシップ機で最古の USB 3.0 なの?USB 3.2 Gen2x2 対応とかじゃないの?とかツッコミたくなるところもありますが、年に数回しか使わないだろうと思うので、まぁいいかな、と。

いずれにせよ、手元の Fマウントレンズが使えて真っ当に動体撮影できる Z ミラーレス機が他にないし、当分「次」が出てくるわけもないので、高感度画質に不安落胆があっても選択肢はないですからね…

高感度画質以外は概ね楽しみなんですが、その点だけは購入後も愚痴りそうなので予め予告しておきます(笑)

あとは、Z9 購入資金というか、Z9 購入にあたって何本か追加したい Z レンズ購入のために、手持ちの機材を売っていかなきゃならないわけですが、Z9 だけでなく Z レンズも殆どいつ入荷するか未定、不明という話なので、本当に困ったものです。

 
(ひとまず100-400とこのあたりを…とは思うのだけど)