最近のカメラメーカーはオンライン発表会が主流になり、メディアの人を会場に来てもらう必要がないせいか、より多くの人が視聴してもらえる夜の時間帯に発表会を行う、発表会動画を公開するようになりました。

メディアよりユーザー(潜在的ユーザー含む)の方向を向いて製品発表を行う感じがするのは悪くないんですが、会場にきてくれた記者、ライターの方々に、発表した新製品の実機を見せたり、触ってもらって記事にしてもらうことがないのは良し悪しでしょうか。

あと、日本のカメラメーカーのオンライン発表会ってのは、どこも社員がプレスリリースの内容を読んでいるかのような、クソつまらない、見続ける気を失くさせるダメなオンライン発表会ばかりなのは何故なんでしょうかね。信仰心があれば楽しく見続けられるのかもしれませんが…

EOSR3_Release2


オンライン発表会はプレスリリースと紹介動画の焼き直しでしかない微妙なモノでしたが、正式発表の EOS R3 はかなり魅力的です。

撮影領域を拡大するフルサイズミラーレスカメラ“EOS R3”を発売:ニュースリリース|キヤノンマーケティングジャパングループ
キヤノン:your EOS.|EOS R3 特長紹介

「ウチもフラッグシップ・ミラーレス機作ってますよ」と開発発表しただけで今に至るまで音沙汰のないニコン Z9 と違って、キヤノンは開発発表時からスペックの一部を公開し、その後も追加情報を出し、東京五輪でも堂々と少なくない数のβ機が活躍していましたから、スペックはほぼ周知状態で、本日は確認作業。

そして、プロスポーツカメラマンにとっても4年に1度の大舞台で、結果を残して概ね好評だった的な情報も流れるくらいですから、キヤノンにとっても自信作なのか、

EOSR3_Release1
無双。


というキャッチコピー。強気です。

画素数の関係で 8K 動画がない(6K まで)こと以外はフルに積んできて、視線入力AF みたいな新機軸というか温故知新な飛び道具もあって、画素数が〜厨以外には隙のない仕様、高感度重視の動体撮影者向けにぴったりの仕様であります。

ミラーレス時代の先頭をいくソニーに対しては、画素数控えめのα1 もしくはα9 III の先行機といった感じでしょうか。

で、個人的に気になった点は以下のあたり。



1. 視線入力 AF の操作性

話題の視線入力 AF はどういう挙動、操作性なのか発表前には興味津々でしたが、公式サイトを読むと、
  1. 視線によって AF フレームが移動(この時点ではAFは始まらない)
  2. シャッターボタン半押し/AF-ON ボタンで視線を確定し、視線の先の被写体に対し AF 開始
  3. シャッターボタン/AF-ON ボタンを離さない限り確定した被写体を追従
  4. ボタンを離すと、また視線の先へ AF フレームが移動

という挙動のようですね。



公式の視線入力 AF 紹介動画だけだと判りづらいですが、公式サイトの記述と合わせて読むと判りやすいですね。

視線を送った方向のフォーカスフレームにずっと AF し続けるのかと思いましたが、ボタンとの併用で AF スタート位置だけ決める形は使い勝手は悪くなさそうで好印象。ジョグでフォーカスフレームを動かすのがもどかしいほど迅速に移動させたい時もありますからねぇ。

とはいえ、実際にどのくらい使えるのか?特にメガネユーザーでも大丈夫なのか?という心配はあります。実際、公式サイトにも以下のような注意書きがあります。色付きや遠近両用じゃないメガネなら大丈夫みたいですが、さて…

サングラスやミラーサングラス、ハードコンタクト、遠近両用メガネを使用した場合や、目の状態(目が細い/まつ毛が長い/まぶたが厚い)などの個人差、使用環境などにより、視線入力機能が使用できないことがあります。


まぁ、このあたりは実際にユーザーの声が届くのが楽しみです。キヤノンユーザーだったら一も二もなく予約して自分で試しているでしょうから、ちょっと悔しいです…


2. ヘルメットに対応した認識AF(マスクに対応した瞳認識AFも)

キヤノンの被写体認識は人物相手でも瞳や顔認識だけでなく、頭部認識、胴体認識があって、常に顔を向けてくれているとは限らないスポーツ撮影では有用そうだと思っていましたが、EOS R3 では人物や動物認識に加えてモータースポーツ対応\(^o^)/

オリンパス機で既にフォーミュラカー対応の被写体認識AF がありましたが、R3 では4輪2輪両対応で、ドライバーやライダーのヘルメットに対してスポット検出もするということで、それならアメフトのヘルメットにも対応してくれるのでは…なんて期待もしてみたり。

まぁ、アメフトではヘルメット野郎が縦横無尽に入り乱れるので、モータースポーツとは全然違いますから難しいかもしれませんが、マスクに対応した瞳認識も含めて条件の幅が広がってくれるのは有難いし、楽しみです。


3. すべての AF モードでトラッキング対応

これですわ。

トラッキングは〇〇モードのみ
とかアホみたいな使いにくさ


だと思うんですよね。なんで、そんな制約をするのか、しなきゃならないなら中途半端だと思うわけで。

このあたり、ちゃんと判ってるなぁ、やっぱり動体撮影カメラの歴史、スポーツ撮影カメラの歴史があるキヤノンやなぁ、と思うわけです。性能も大事だし、まずそれがあってだけど、やっぱり使い勝手、それも動体撮影時に変えたい設定を迅速に切り替えられたり、逆に切り替えなくても使えたり。大事です。


4. キヤノン初の裏面照射積層型CMOSセンサー

これは実写画像が、すぐにでも山ほど出てくるでしょうから楽しみです。特に五輪で撮影した画像も出してくれる海外プロカメラマンはいそうですしね。

ソニーと比べてどうなのか。追いついたのか、近くまで迫ったのか、まだ熟成が足りないのか。楽しみです。


5. そういや今回もまだ DIGIC X

画像処理エンジンは EOS-1D X Mark III 世代の DIGIC X のまま。DIGIC XI は EOS-1R からになるんでしょうか。どうでもいいけど、ちょっと気になっただけで。


6. 秒30コマ、ローリングシャッター歪み低減、ブラックアウトフリーEVFは当たり前

もう、これらは動体撮影を狙うフラッグシップ機と準ずるカメラでは最低限の機能になりましたね。R5/R6 あたりの中級機に降りてくるのは何年後、何世代後くらいになるのでしょうか?(2世代後くらいと予想)

フラッグシップ機ならではの力技の高速 AF 演算(フレームレート)、強力なボディ内手ぶれ補正、電子シャッターならではの超高速シャッター、電子シャッターでのストロボ同調撮影、あたりも、フラッグシップ機では当然の機能って感じになってきましたね。


7. メカシャッター秒12コマの意味

メカシャッター時の連写速度は、秒12コマ。EOS R5 と同じ。EOS-1D X Mark III より少なく初代 X と同じ。ちなみに当方の D5 とも同じ。足りないとまでは言わないが、物足りない。特に D5 は、よほど条件が良くないと秒12コマも出ないので。

ともあれ、メカシャッターにはもはや力を入れず、最低限これくらいあれば良いだろうレベルに留めているのは、α1/9 同様に、メーカーからの

これだけ電子シャッターのネガ潰して便利にしたんだから、そっち使えよ、メカシャッターは予備だよ


というメッセージでしょうな。EOS もいよいよ、そういう領域に来たか、って感じはしますね。まぁ数年以内に EOS-1R でグローバルシャッター時代が到来するのかもしれませんが。

とまぁ、こんなところでしょうか。先ほども書きましたが、

キヤノンユーザーだったら一も二もなく予約
自分で試して確認したい機能満載


のカメラですから、正直ちょっと悔しいです。

以前の記事で長々と書いたように、EOS R3 を予約して適当なレンズ買って試す心になっていた時期もあったのですが、さすがに冷静になるとね…。でも、ちょっと冷静でいられない魅力はあります。いいなぁ…

この秋の買い物について考えるどうでもいい話 1-3 〜R3か、Z9か、α1か、それともスルーか?

あとは、ニコン Z9 が最低限でもこの EOS R3 を超えられるかどうか。EOS R3 はフラッグシップ機じゃないですからね。フラッグシップ機として Z9 を出すなら、視線入力 AF は別として、この R3 のレベルは超えてくれないと未来は見えてこないわけです。

Z9 が勝てるのは画素数だけ(でもα1に負けてる)では困るんですよ、ニコンさん。なーんにも音沙汰なしで、真偽不明の、信者が信じたいだけの都合の良い噂ばかりですけど、ホント頼みますよ。(半分諦め)

RF100-400_Release


で、キヤノンからは EOS R3 以外にも2本の廉価レンズが発表されました。

超望遠ズームレンズ“RF100-400mm F5.6-8 IS USM”を発売:ニュースリリース|キヤノンマーケティングジャパングループ
キヤノン:RF100-400mm F5.6-8 IS USM|概要

超広角単焦点レンズ“RF16mm F2.8 STM”を発売:ニュースリリース|キヤノンマーケティングジャパングループ
キヤノン:RF16mm F2.8 STM|概要

どちらのレンズも

小型!軽量!そして安い


と三拍子揃っていて、それだけではなく、
  • RF100-400mm F5.6-8 IS USM は最大撮影倍率 0.41倍と、望遠ハーフマクロっぽく使える
  • RF16mm F2.8 STM は超広角単焦点を標準単焦点並みのサイズに 165g の超軽量

という、なかなかビックリな特徴があって素晴らしいです👏

100-400 は私が EF マウント時代、初代 EF100-400 は長く愛用しましたし、2代目は発売前に予約して買ったくらいお気に入りのレンズであったため、最初は「F5.6-8 なんて暗すぎるわー」と思ったのですが、

被写界深度があまり関係ないヒコーキ撮影なんて夜撮でもなければ行けるし、接近戦に強いと静止体撮影では色々と融通も利くし、色々と有利な純正レンズでこの値段、何よりも重量が EF100-400 の3分の1強の軽さというのはホント素晴らしいわ


って感じです。RF では L レンズが 100-500 になったので、本レンズは L ではありませんが。

暗くて L ではない分、RF70-200mm F4L IS USM と合わせても EF100-400 1本分より軽いんですからねぇ。EF70-200mm F2.8L IS USM と EF100-400mm が常にカメラバッグに入っていて重かった時期が長かったので、隔世の感があります。

RF1628_Release


RF16mm F2.8 STM は最初噂が出てきた際は、特に気にもならなかったのですが(今はニコンだし)、リーク写真を見た時にビックリしましたね。写真は RF50mm F1.8 と間違ってるんとちゃうか?的な。

超広角単焦点としては驚きの小ささ軽さですが、キヤノンらしいミラーレスならではのレンズではあります。リア側を見ると結構、後玉が出っ張ってるわけで、ミラーレス機ならではのショートバックフォーカスを存分に生かした設計、それゆえの小型軽量だと判ります。

そして何より、

廉価レンズの2本目に
従来にはない16mmを選んだ戦略、心


が私にとっては印象深いことですね。

50mm F1.8 の次の廉価レンズを作るなら(少し価格帯が上だけど RF35mm F1.8 MACRO IS USM があるので)28mm F2.8 あたりを作るものでしょう。せいぜい 24mm。標準と広角。妥当。普通。

でも、そんなありきたりな商品設計をせず、ミラーレスなんだから超広角も小型軽量安価にできるぜ、というのを見せてくるのは、ホント好きですね。拍手したい。値段なりの周辺描写だったとしても全然良い。

私自身、超広角は使用頻度は低くても必要な時はあるので、毎回どのマウントでも超広角ズームを買ってしまうのですが、やっぱり使用頻度は低いし、ちょっと嵩張ることも多いので(特にフード)、だったらコレでもいいのでは?と思うんですよ。

もし、キヤノン RF へ移るときが来たら、超広角はとりあえずコレ買っとくと思います。不満が出たら F4 ズームでも何でも懐と相談して、で良いと思いましたね。

別にニコンのことを悪く言うわけではないですけど、Z 28mm f/2.8 に続いて Z 40mm f/2 を今日発表したニコンとあまりにも対照的で。ひたすらコンサバなニコンと、ミラーレスならではのレンズを出すキヤノン。どっちが良し悪しではないけど、保守的なまま生き延びれる時代じゃないと思うんですよねぇ。

というか、ニコンは Z 40mm f/2 より先に、Z 28mm f/2.8 が2ヶ月半前に発表しながら未だ出荷できていないわけで、今後 Z9 が正式発表されても発売時期がいつになるやら、じゃないですかねぇ。D6 でもやらかしてる実績はありますし、心配しかありませんな┐(´д`)┌


(ニコンもこういうマウントアダプターを…)