最初に断っておきますが、Google マップより Apple 純正マップの方が優れてる、などと腐敗レベルの林檎信者でも言えないような世迷言を書く話ではないので、念のため。

私自身も、iPhone や iPad の第一面に並んでいる地図アプリは Google マップ(とカーナビアプリ)であり、alternative map として使うのはヤフー地図。アップル純正マップはフォルダの奥に「使うことは殆どないけど念の為に」入っている状態であります。

はっきり言って、今でも普段使いの地図アプリとしては選択できるクオリティにはないし、経路探索は相変わらず使い物にならないクソっぷりであり、Google マップやヤフー地図とは比較できるレベルにはないです。

というか、地図情報量としては同じようにあまり使われない Windows のマイクロソフト純正地図アプリ(ゼンリンベース)にも完敗してる。マイクロソフトのは操作性がアレすぎるけど、せめて大してやる気の見えないマイクロソフトの地図には勝てよ…と思うところ。

AppleMap04_Satelite3DAppleMapMac


ただ、登場の頃に「使い物にならんわ」「Google マップの垢を煎じて飲みやがれ」という評価だったアップル純正マップも、徐々に、ほんの少しずつ改良されているのも事実で(改良の方向性が斜め上だが)、

実用性皆無で普段使う地図アプリには絶対無理だけど、良い点が全くなくはないので、ごくたまに使わないことはない


くらいにはなっていて、特に Mac では使うことがしばしばあるので、そのあたりを触れておきたいと思った次第です。

アップル純正マップの擁護をするつもりはないけど、人によっては無視しなくても良いのでは?と思ったのでね。あくまで、人によっては、であり、使う気になる人もごく稀なレベルで、とりあえず「Google マップやヤフー地図の垢を煎じて飲みやがれ」というのは、今もあまり変わってませんけど…😅

というわけで、個人的にアップル純正マップを使う、使いたくなるレアケースなポイントを以下に列挙しておきたいと思います。



1. 航空写真の3D表示にちゃんと高低差が表現されている

イマイチどころかイマサンから抜け出せないアップル純正マップの中で、個人的な2つのお気に入り機能のうちの1つが、この航空写真における 3D表示でちゃんと高低差が表現されていること。

Google マップで航空写真レイヤーを表示させて 3D 表示(というか俯瞰表示)にしても、航空写真地図は平面的なまま斜めになっただけ(↓)。

AppleMap01_Satelite3DGoogleMap


地形レイヤー表示だと地形が分かりやすく陰影表示されて、俯瞰表示にするとなんとなく高低差がついた形になっているけれど、正直分かりにくい(↓)。

AppleMap22_Satelite3DGoogleMap2


iPhone 上の Google マップを例にしてるけど、Android アプリでも同じだし、ブラウザ上の Google Map では地形レイヤーの俯瞰表示ができない。

AppleMap23_Satelite3DGoogleMap3


アップル純正マップだと通常の航空写真表示がこの状態↓

AppleMap02_Satelite3DAppleMap1


から 3D 表示を有効にすると、

AppleMap03_Satelite3DAppleMap2


このように高低差が表現された 3D 俯瞰表示になる。

Mac 上のアップル純正マップアプリで 3D 表示を有効にすると、より分かりやすく高低差が擬似表示された航空写真地図として表示できる。

AppleMap25_Satelite3DAppleMapMac2


TrackPad で 2本指を回転させると、この高低差が表現された航空写真表示のままクルクルと地図を回せて、なかなか楽しいし、裏側からみる感じもできたりして、諸々のコースやロケハンの参考になったりする。

AppleMap26_Satelite3DAppleMapMac3


ただ、Mac 上のアップル純正マップ 3D表示は視点の上下移動に対応していないので、それだけが残念。

ちなみに、ヤフー地図アプリでも↓以下のように擬似的な高低差表示のある航空写真地図が表示されますが、アップル純正マップほど航空写真の俯瞰表示が見やすくない印象。(それ以外の部分の情報量ではヤフー地図圧勝だけど)

AppleMap21_Satelite3DYahooMap


加えて、ヤフーのサイトにある地図機能では 3D 表示、俯瞰表示機能は今のところ無し。未実装の地形レイヤーが実装されたら実現するかも?と期待していますが。

あと、Windows 上のマイクロソフト純正マップアプリだと高低差が表現された航空写真の 3D 俯瞰表示が可能です(↓)。ただ、マイクロソフト純正マップアプリは操作性が悪いのと、文字ラベルがデカすぎて違和感が…全然変わらないけど、誰も問題にしてないのかな?

AppleMap24_Satelite3DMicrosoftMap


とまぁ、大して使う人もいないかもしれない機能ですが、高低差が表現された航空写真の 3D 俯瞰表示が使いやすく見やすい形で実現しているのは、私にとってアップル純正マップの利点の一つだと思っています。超マイナーな僅かな利点ではありますが(>_<)


2. アップルマップのストリートビューが意外と広がっていて、Google ストリートビューで判りづらい時の補助になることもある

Google マップが地図アプリにおいて絶対的地位を確保した機能の一つが「ストリートビュー」。お世話になっている人も多いでしょうし、私も大変お世話になっております。

Google マップにない機能やレイヤーを提供しているヤフー地図もストリートビュー対抗機能だけは全く手がけることなく、マイクロソフト純正マップは Steetside という機能があるものの、こちらも日本国内は全くサポートすることなく放置されています。

そんな中、大手地図アプリの中で

ストリートビュー対抗機能がある
アップル純正マップ


ということは意外と知らない人が多くて、その点はもうちょっと評価されても良いような気がします。Look Around 機能。日本にも一応、コストかけてくれてます。先にもっと他にやるべきことはあるとは思いますけど、そこはそれ。

もちろん、アップルのストリートビュー対抗機能 (Look Around) のサポートエリアは Google マップに遠く及ばないのは事実で、現状 Look Around 機能が使えるのは、
  • 首都圏(圏央道より内側が中心)
  • 名古屋市および周辺(東名高速〜国道155号の内側)
  • 京阪神(大津市中心部〜神戸市長田区、泉南市)+奈良盆地
  • 仙台市
  • 金沢市
  • 高松市
  • 広島市
  • 福岡市

といった、ごく限られた地域のみ。

AppleMap28_LookAroundArea

AppleMap17_LookAroundAreaKansai


対象エリアでも細い路地をどこまでカバーしているかも、私が見る限り Google ストリートビューの方が細かくカバーしていることが多いと感じます。(ストリートビューがなくてアップル Look Around がある路地もありますけど)

そういう意味では

半端な Apple マップの Look Around 機能なんて使えないし、Google ストリートビューだけ有れば良いじゃん


と言われればその通りだし、私も普段見るときは Google マップであり、ストリートビューなのですが、「ストリートビューだけしかない」のと「場合によっては代替選択肢もある」というのは大きな差があると思うんですよね。

AppleMap19_LookAround1
(たまに笑えるのがあるのはストリートビューと同じ)


何よりも、アップル純正マップ Look Around 機能がサポートしている道路ならば、

ストリートビューでは判りづらいとか
邪魔されて見えない時にアップルの方で確認


という選択肢があるのは、時にかなり有用です。

Google ストリートビューで見ていて、看板や何かの標識を確認しようとしたら、たまたま対向車の車に邪魔されて見てない、撮影時のカメラの向きなどのせいで歪みが酷くて判別しにくい、なんてことを経験している人もいると思います。

そういった時に、別のストリートビューと同じような機能を提供しているマップアプリがあれば、そちらで確認することもできるわけで、その点を考えるとサポートエリアは狭くても、都市部の人にとってはそれなりに有意義な機能、予備的存在として価値はあると思っています。

まぁ、せめて県庁所在地とその周辺部の市町村くらいカバーしてもらわないと…とは思いますけどね。


3. 機能が少ない分、スマホアプリの地図「だけ」は見やすい

これは決してアップル純正マップの優位点として挙げるわけではないのですが、「機能の少なさが結果的に見やすさに繋がってる」ところはあると感じています。

というか、一時期以降、

グーグルもヤフーも地図で
銭儲け多機能化に走りすぎ


て、マップアプリの地図の上にゴチャゴチャと色んなものが乗っかりすぎだと思うんですよね。

AppleMap05_FunctionGoogleMapAppleMap06_FunctionYahooMap


決して広くないスマホ画面なんだから、アレコレと地図の上に色々なボタンやフォームを載せまくって地図の閲覧性を阻害するな、と私は言いたい。Google もヤフーも地図上の宣伝で商売するようになってから、ホント邪魔。

というか、機能が多くするのも色々表示できるのもいいが、最低限のボタンなど意外はスワイプで画面から出せるようにしたり(画面下部のボタン類ね)、Google マップの「コンビニ」やら「レストラン」やらのボタン類はオプションで消せるようにして欲しい。

誰も彼も Google マップ開いたらコンビニやラーメン屋を検索するわけちゃうぞ!


そう言いたい。Google マップが多機能化&ボタン氾濫化したら追随してしまったヤフー地図も、ホンマ勘弁してほしい。

その点、そもそも機能が必要最低限しかなくて地図で商売しようとも考えてないアップルの場合は、

AppleMap07_FunctionAppleMap


実にシンプルで見やすい。ある意味、古き良き地図アプリであり、iPhone 3G とか 3GS とかの時代の Google マップ初期を思い起こさせます。

アップル純正マップは地図の情報量が圧倒的に足りないので、これで良いんだよ!とは言いませんが、これくらいシンプルな表示も選べるようにして欲しいし、

店や経路を調べるわけじゃなく、地図好きとして何となく地図を見る時はこれくらいシンプルな方が緩やかに見ていられる


なんて思いもあります。

まぁ、1億回でも繰り返すけど、地図の情報量は少なすぎて実用性は低いけど、地図そのものの見やすさは好きですね。


4. Mac 上の TrackPad でのアップル純正地図アプリの操作性が最高に気持ち良い

本記事で書いているアップル純正地図の利点なんて枝葉末節であり、それを利点と思う人すら限られているだろうことは重々承知で書いているわけですが、ただ一つ、これだけは他の地図アプリより明確に優っていると言いたい点があります。

TrackPadとアップル純正地図アプリ
この組み合わせの操作性は最高に気持ち良い


です。この組み合わせの操作性に勝る地図アプリは、スマホだろうがタブレットだろうが、他の地図アプリだろうが、敵わない心地よさ。

あくまで個人の感想です、と書いておかないと、こういう感覚の問題は人それぞれだろうから面倒臭いけど、「お前の中ではそうなんだろうな、お前の中では、な」と言われようと、最高に心地よく操作できると感じてます。

AppleMap27_Operation3DAppleMapMac


この理由は簡単で、

地図の移動でドラッグする必要がない


わけです。TrackPad の上を2本指で上下左右に滑らすだけで、地図は上下左右にスクロールする。これが非常に気持ち良い、というか、地図のスクロールでドラッグしないことが本当に楽なんです。このことは強調しておきたい。

スマホだとタップした状態でないとスクロールさせるのはイベント処理上難しいですし、ブラウザベースの地図でも同じことが言えますから致し方のないところですが、Windows 上のマイクロソフト純正地図アプリなんかは見習って欲しいところです。

TrackPad の上を2本指で上下左右に滑らせてスクロール、2本指を回転させて地図も回転、2本指のピンチインピンチアウトで拡大縮小。後者2つは他の地図アプリでも同様ですから、2本指で上下左右に滑らせてスクロールさえできれば、2本指で操作は完結できて、実にスムースなんですよね。

そもそもブラウザの上下スクロールもパソコン上では2本指スクロールが割と普通だと思うので、それと同じと考えれば、ドラッグではなく2本指の移動で上下左右スクロールというのは、むしろ理に適ってる、自然だと思うのです。


5. 郵便ポストの位置が地図上に表示されている

これ、Google マップやヤフー地図では何故表示されていないんだろう?と思うのですが、郵便ポストの位置はそれらには表示がなく、地図の情報量が圧倒的に足りないアップル純正マップにはキッチリ表示されている謎。

AppleMap08_PostAppleMap1AppleMap09_PostAppleMap2


郵便ポストの位置データーは日本郵便で提供されているものを使っているはずですから、他の地図でも割と簡単に実現できると思うんですけどね。特に色々な地図レイヤー、情報レイヤーを実装しているヤフー地図にないのは、むしろ驚くくらいで。

郵便ポストの位置を探すのにわざわざ(普段は使えない)アップル純正マップで探すくらいなら、日本郵便のサイトで検索したが早い


と言われれば、それまでなんですけど、チラホラ地図を見ていて「お、こんなところに郵便ポストがあったんだ」なんて気づくこともあるわけで。だからどうなのか?と言われると、何もないですではどね😓

まぁ、私も

郵便ポスト表示する暇があるなら
バス停くらい表示せえや〜


とは思いますしね。

AppleMap11_BusStopYahooMapAppleMap12_BusStopGoogleMap
(ヤフー地図、Googleマップ)

AppleMap13_BusStopAppleMap
(アップルマップ)

とまぁ、こんなところですかね。万が一にも期待なんかして読んでしまわれた方には申し訳なく思いますけど、今のアップル純正マップで持ち上げるとすれば、これくらいしかないので致し方ありません。だからと言って、別に無理に持ち上げるつもりもないですが。

ストリートビュー対抗の Look Around 機能を搭載するくらいなら、もっと通常の地図の情報量を増やして実用に使える地図にしろや
経路探索が💩すぎて、ガラケー時代の乗換案内アプリでももっとマシだったわ!


とは思いますけど、最近は普通の地図アプリとしての実用性は捨てて、Look Around 機能のエリア充実など、ヤフー地図とは違う方向性での Google マップ代替アプリとなってくれれば良いや、と思ったりしています。

AppleMap14_FloorsGoogleMapAppleMap15_FloorsYahooMap
(都心部のフロア毎の情報表示もない機能の一つ)


ただまぁ、アップル純正の日本語入力メソッドの改良の歴史を見てきただけに、もしかしたら将来化ける可能性が皆無ではないかなぁ?と極めて望み薄い希望を持たないわけではありません。

iPhone (iOS) は長年、

iPhone はアップル純正日本語入力しか使えない上に、変換がアホすぎて使いづらい
Android は ATOK や Google 日本語入力(現Gboard)が使えるのに比べて iPhone は(以下略)
iPhone 最大の欠点は日本語入力


と言われ続けましたが、5〜6年前からは随分と改善され始め、今ではすこぶる快適になりました。Android で使う自分なりに辞書を追加した ATOK や Gboard と比べても変換ミスが少なくて快適なくらい。(口語メインのスマホの場合)

それを思えば、アップル純正マップももう少し改善されても良いというか、将来的には期待できないこともないと思いたいところではあります。正直期待するのは無駄だと判ってますけどねぇ。