春先に「X-S10 購入から3ヶ月」というタイトルで、使い始めのテンションから冷却期間を置いたセカンド・インプレッションを書こうと思ったのですが、この春は腰痛に体調不良でボロボロ、家庭内諸々もあって、走り書きもままならぬまま過ぎていきました。

その後、「X-S10 購入から4ヶ月」「X-S10 購入から5ヶ月」とタイトルに変えて書こうとしてもタイプは進まず、さすがに半年を過ぎるとセカンドインプレッションもないので、大して内容がまとまらないまま、とりあえず思うところを書き殴る今でございます😓

XF35mmF1.4R_Again4


X-S10 について良し悪しを整理して書かれたレビューは巷に山ほどありますし、私自身、半年前に買いたインプレッションから大きく変わることなく印象良好のままですので、セカンドインプレでは「半年使ってきた雑感」とか「友達に勧めきれなかった」話を垂れ流してみる次第です。


富士フイルム X-S10 は昨秋発売以降コンスタントに販売ランキングベスト10に名を連ねており、2020〜2021年のベストセラー機種の一つと言って良いのではないかと思います。近年絶好調の富士フイルム機の中でも売れた、売れているカメラなのは間違いないところ。

ただ、最近になって幾つかのレンズとともに品薄のアナウンスがあり、一番の売れ筋商品だけに機会損失は痛いところでしょうね。

ミラーレスデジタルカメラと交換レンズの供給に関するお知らせ | 富士フイルムイメージングシステムズ株式会社

世界的に半導体および生産部品の不足は深刻化、様々な製品の品薄や価格上昇に繋がっていて、カメラ関連商品も今後各社で発売計画が後ろ倒しになったり、供給不足やそれに伴う値上げに繋がっていくでしょうから、カメラも買い時は難しくなりそうです。

私自身、35mm相当の単焦点レンズがないとストレスが溜まってきたので、 XF23mmF2 でも買おうかと思っていたところに品薄アナウンス、そして実売価格も上がり気味の状況を見て悩むところです。


(記事執筆時点のAmazon入荷時期も1ヶ月後)


ともあれ、X-S10 の売れ行き好調は、私自身が半年間使ってきて

手頃な価格とコスパの良さ
売れるのも当然でしょ!


と納得のところ。

最近はメーカーの施策もあってカメラ(やレンズ)は価格が上がるばかり、フルサイズかつボディ単体で20万円台以上が新製品の中心価格帯であり、もはや「カメラを始めようかな?」と思う人が、そうそう簡単に手を出せる金額ではなくなりつつあります。

1980年代以降、ウォークマンが出てきた後のコンポーネント・オーディオと同じく、近い将来はカメラもごく一部の、数寄者だけのマイナー趣味になるのでしょうが、それはともかく、いま現在、
  • レンズキットで10万円台前半〜半ばの比較的手頃な価格帯
  • なおかつレンズキット+αから先へ進むこともできるシステムが構築されている

そういった魅力のある製品は少なくなってしまった中で、富士フイルム X マウントの製品、X-S10(や X-E4)などは興味持ってカメラを始めたり、サブマウントとして購入するのに、ちょうど良い塩梅の製品、システムの一つに思います。

もちろん、値段的な魅力だけではなく、
  1. 独自センサー&エンジンが醸し出す富士フイルム独特の写り
  2. フィルムシミュレーションという他社が真似できない絵造り
  3. 小型軽量なのに非常にホールディング性の良いグリップ
  4. 防塵防滴など一部を除けば、上位機と遜色ない機能性能
  5. 富士フイルム機独特の操作性を緩和して一般的なカメラの操作体系に近づけた

といった多くの魅力が X-S10 にはあって、半年使ってきた今でも満足しています。サブのミラーレス機システムを買い直すにあたって、富士フイルム X マウントへ戻った決断は間違ってなかった、と思っています。

X-S10Testshot_2313


ただ、そこまで満足して愛用しているからには、

コスパも良いし、システム的な広がりもあるし、他社にない魅力もあるし、他人にも勧められるカメラだよ


と言いたいのですが、じゃあ誰にでもオススメできるかと言えば、ちょっとばかり微妙に思うところもあって、

コスパも魅力も高いカメラだけど
人に勧めるのは条件付きになっちゃう


というのが半年使ってきての率直な印象。勧めたいけど、安易に勧めきれない、もどかしさ有り。

もちろん、他人に勧められるカメラの一つなのは間違いないと思いますし、個人的には強く勧めたいところだけど、いくら富士フイルム機として独特の部分が薄まった X-S10 とはいえ、良くも悪くも「富士フイルム機らしさ」はしっかり保持されているので、

他の富士フイルム機と比べると随分と「普通」だけど、まだ多少、人を選ぶところはあるかなぁ


という印象は X-S10 でも変わりません。やはり、キヤノンやソニーなどとは(色々な意味で)やっぱり違うポジションにいるカメラだと思うのです。(そこが魅力だけど)

私自身が購入から半年経って、X-S10 に対して相変わらず絶賛「風味」であるのは変わらないけれど、素直に諸手を挙げて賛辞だけできるかといえば、そこまで言い切れない微妙な思いもあります。

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実際、この春に一人「そんなに気に入ってるなら私も X-S10 買おうかな?」と言ってきた、レンズ交換式カメラを買うのは初めてという友達がいたのですが、目的とか使い方を話していて結局ソニー(α6400)を勧めました。

本人的にはWズームレンズキットだけでなく、他の趣味と絡めてマクロレンズも買いたい予定のようでしたし、興味が深まればもう少し進んでも良さげな雰囲気でしたので、中望遠以下の単焦点レンズが充実している富士フイルムは十分にアリでした。動体を撮る予定はないようでしたから尚更。

ここで「X-S10 の持った感じが良かった」「フジ機のデザインは好き」という見た目の好みがあるなら、ソニーなど他社は勧めず、「X-S10 買うのが良いよ!」と安心して背中を押せたのですが、そういう感じでもなく。

(一部のカメラ×一部の被写体相手という組み合わせを除けば性能機能的に大外れはない現在、初めてのカメラ選びでは、見た目やデザインの好み、持った感じやボタン類を触った感じの好印象があれば、それが最優先されるべきと思ってます)

もちろん、フィルムシミュレーションに代表される富士フイルム機の絵作りが気に入ったという理由なら文句なしですけれど、そういうところは他のカメラを使った経験があって初めて判ることでもあり、それを理由にする人へアドバイスなどそもそも不要です。

で、あまりカメラに詳しくない、撮る意欲はあっても詳しい仕組みまで突っ込む気のない他人に購入アドバイスするとなると、やっぱり X-S10 というか富士フイルム機を勧めるのは躊躇ったというか、無難にソニーとかかなぁ、と😓

個人的に X-S10 を勧めきれなかった要因の一つとして、

AE/AFに信頼を置ききれない


ところもありました。

その点において今のソニー機(具体的にはα6400)の方が「難しいことを考えず、確実に撮れることを最初のステップとする」点において良いかなぁ、と判断したわけです。

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私自身、半年使ってきて一番 X-S10 にストレスを感じていること

今時のカメラにしては AE が暴れる割に
EVF や背面液晶で確認して調整しにくい


ことだったりします。過去に何度か書いていますが、
  • ちょっと構図が動いただけで露出が想定以上に変わってしまったり
  • EVF や背面液晶の出来がイマイチすぎて色や露出の見え味の調整に使いづらい
  • 特に背面液晶は構図確認と設定確認以外に使えたものではない

という不満は、半年経っても何ら変わってません。「廉価機でもあるし仕方ない」と私は割り切っていますが、他人に勧めるかどうかとなると話は別。

また、AF に関しても、

AF-S は通常十分速く精度も問題ないけれど、なんでここでピンボケなの?ということが時々起きる


こともあって、不満とまでは言わないけれど信頼できるかといえば「うーん…」なんですよね。

これが AF-C なら時々外したところで「まぁ仕方ない」になりますし、そもそも X-S10(というか富士フイルム機)に AF-C の信頼性を求めて買ってないですから、AF-C への信頼ができなくて動体相手では使いたいカメラじゃないと判断しても、X-S10 への評価が変わることはありません。

ただ、2020年の最新ミラーレス機としては、

そろそろ AF-S で大外しはないようにしてもらわないとなぁ


と思うわけです。

私としても X-S10 はお気楽撮影カメラとして購入して、その辺をシビアに見ながら撮っているわけでもないですし、何より EVF や背面液晶がそれなり&富士フイルム機の再生画面の最大拡大倍率が相変わらず低いこともあって、撮影後のピント確認もイマイチし難いですから(微妙な甘ピン確認は、ほぼ無理)、AF を信用して撮り切るしかない。

ですから、AF-S で気楽にお出かけ撮影して、帰ってから画像を見て「うーん、ここでピント外してきたかなぁ…」ということがあると、余計に微妙な思いは高まるのです😩

(念のためにスマホでも撮っておいて良かったわ〜、となると存在意義に関わるわけで😓)

X-S10_43
(買ったけど貼らないままの保護フィルム…)


そんなわけで X-S10 の AE, AF については少々思うところはあり、それをサポートする EVF、背面液晶が廉価機らしい質だけに、ちょっともどかしく思ったり、ストレスを感じることはあります。

(AWB も「3種類ある割にはちょっと…」と思ってますが、昔使っていた時のように救いようのない WB にはならないのでストレスまでは感じてません)

その他、操作性の類いでも細々としたところで思うところはあれど、殊更マイナス点として挙げるようなことは殆どなく、敢えて書いておきたいこととしては、
  • アイカップがなく斜光線が防げず、アイポイントが低くて眼鏡ユーザーには使いづらい EVF
  • モードダイアルがあってカスタムモードがあるのは良いけれど、反面フィルムシミュレーション毎のカスタマイズができなくなっているのは不便
  • 独特のセンサー、現像アルゴリズムによる絵作りが、遠景描写でちょっと「コレじゃない」感になるのは昔から変わってない

くらいですかね。(レンズについてはまた別記事で)

何度も書いているように、廉価機ですし、値段を考えれば妥協して十分付き合えるカメラ、欠点以上に魅力を感じていられるカメラです。

お気楽お散歩カメラとして
お出かけスナップ用カメラとして
サイズ感とポテンシャルが高バランス


なカメラという評価は購入直後から変わっていませんし、今後もお気楽お出かけ撮影には愛用していくカメラであることは変わりません。

(動体撮影を諦めてスナップ撮影用途に特化してからの E-M1 Mark II 使用時の心地よさも思い返されて、時々マイクロフォーサーズ復帰も頭に過りますが、出てくる絵は富士フイルム機が好みですから思い止まれています😅)

ただ、値段やコスパ的な評価とは関係なく、ぶっちゃけて言うと、

愛機と呼ぶには、もう一歩


足りなかったかなぁ、と思うところです。フジの絵作りには惚れていますが、カメラとしては信頼して心地良く使えるカメラとまでは行けていない。

そもそも廉価機にマイナス点があってもそれを感じさせないほど愛着が湧くカメラを望むのは酷だと判っていますし、何度も書くように、十分に良いカメラで、この値段でこの内容を考えると文句なしに近いカメラ。

なのに、あと一歩を言いたくなるのも、そう言いたくなるくらい製品として良いことの裏返しですけれども。

いずれにせよ、半年使ってきて X-S10 に対して率直に思うのは、

すごく良いけど、すごく、ほんの少し惜しい


そんなもどかしさ、かもしれません。