富士フイルム X-S10 を購入してちょうど1ヶ月経った頃、KAMLAN 50mm F1.1 II という MF レンズを購入しました。KAMLAN というのは Machang Optical という台湾メーカーのレンズブランド。

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LOAWA とか 7Artisans、TTartisan といった最近存在感を高めてきた中国系レンズブランドの一つですが、元々そちら方面にほとんど興味のなかった私は、KAMLAN というのは教えてもらうまで知らないブランドでした。

中華レンズと呼ばれる中国系ブランドのレンズは極めて安価であったり、もしくは仕様が特徴的であったり、(値段を考えれば)クオリティも良くなってきて一部では評判ではあるものの、そのほとんどがマニュアルフォーカスのレンズ。

その昔、ミラーレス機でマニュアルフォーカスがやりやすい(MF アシスト機能がある)からと、マウントアダプター遊びに少し手を出したものの、

やっぱり MF でちまちまフォーカス合わせて楽しむなんて自分には合わないわ、無理!


と、キッパリ諦めてから5〜6年以上経ちます。

1年少々前まで所有していたマイクロフォーサーズでもマウントアダプター遊び、MF レンズ購入は行わなかったですし、今回富士フイルム機に戻ってきて X-S10 購入の際にも MF レンズに手を出すつもりは皆無、考えもしませんでした。

そんな私が、予定外に購入してしまい、そしてハマってしまったと言っても良いのが、この KAMLAN 50mm F1.1 II。


(富士用以外にソニー、キヤノンEF-M、m4/3用がある)


マイナーなブランドの MF レンズだけど、作例とかは意外とあちこちの写真サイトで既に紹介されているので、こんな場末ブログよりそれらのサイトを見ていただければ、と思います。

KamLan(カムラン) 50mm F1.1 II 実写レビュー | フォトヨドバシ
特別企画:中華レンズの味わい深い世界(その2) - デジカメ Watch
新製品:KAMLAN50mmF1.1IIレビューその1 2019/07/12 : 中川光学研究室ブログ

カメラやレンズは道具であって目的ではないと思っている私ですが、とはいえ、撮っていて楽しいか楽しくないかは、結果を得るためにも重要なことであります。そのことで言えば、私にとって KAMLAN 50mm F1.1 II は、

撮ってるだけで楽しいレンズ


でした。自分にとって本来合わないはずのマニュアルフォーカスレンズなのに、撮っていても楽しいし、撮影結果を見ても楽しいレンズ☺️



X-S10 を購入した理由、目的は以前長々と買いたように、お気楽撮影、お出かけスナップ。基本的に「楽」が目的だから、安い MF レンズの存在は知っていても out of 眼中、購入を考えたこともありませんでした。

それでいて、また KAMLAN というブランドを知らなかったにも関わらず本レンズを知ったのは、多くの製品レビューも手がけるプロカメラマン豊田慶記氏から直接オススメされたこと。私が一定の信頼を置ける数少ないカメラ系レビュワーである氏の言葉だったので、とりあえずググって諸々リサーチ。

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で、確かに良さげで興味は出たものの、如何せん一度は手を切った MF レンズ。手を出すかどうかはかなり迷いました。ただ、その時 Amazon もヨドバシにも在庫がなかったため、毎度な以下のパターンが発動。

とりあえずヨドで店頭決済の取り寄せ注文して、入荷してから考えるか


きっと入荷は1ヶ月くらいかかるだろうし、ゆっくり悩もう…と思ったら、あっという間に入荷。さすがヨドバシ、とは思うものの、まだ何も気持ちは決まっておらず、おまけに年始から XF35mmF1.4 R、XF10-24mmF4 R OIS を連続で買ったばかり。

「MF レンズだし、X-S10 は気に入ったとはいえ、いきなり何本もレンズを買うのもなぁ…」と思いつつも、1週間の取り置き期限ギリギリまで悩んだ末に購入。

ネット上の作例などを見て写りに惹かれたこともあったし、数値だけのこととはいえ、F1.1 という初めての値にも惹かれました。(35mm判換算では F1.5 相当だから被写界深度的には初めてではないのだけど)

そして新しい刺激も欲しかったし、何よりも、

3万円を切る安さだから、ダメ元でもいいか


と、思い切れる価格が最後の一押しでした。やっぱり価格重要。

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(パッケージングも純正より良い感じ…)

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(簡単な取説とクロス付属)


でまぁ、速攻でハマりました

なんなら梅田ヨドバシ1階のインターネット注文引き取り口で購入して、その階下にあるスタバでラテ買って、向かいの吹き抜けパブリックスペースで暖かいラテを飲みつつレンズ取り出して試し撮りした時点で、

ほえ〜、こりゃ良いレンズかも〜


と、いきなり好印象。なんかこう撮りたくなるレンズで、想像以上にマニュアルフォーカスしやすいレンズという印象でした。

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(いきなり梅淀の前で試し撮り😓)


この KAMLAN 50mm F1.1 II、どの純正 XF レンズより安いけれど、ズッシリとした重みと剛性感のある非常に良い造り。パッケージからして純正レンズより良くて、「とても3万円未満とは思えんなぁ」というのが第一印象。

重いのは軽量化を一切考えてない、価格的に剛性と軽さを両立する部材を使えないからでもあるので全てが良いわけではないでしょうし、公称値 563g という重さは X-S10 より 100g 程度重いので、X-S10 とのバランスが悪いわけではないものの、X-T 一桁機の方がベターかな、という感じはあります。

ただ、私自身はメインシステムでボディより遥かに重いレンズばかり使っているので、レンズヘビーなバランスは嫌いじゃないですし、そのことがネガティブにはなっていません。

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F1.1 と明るく被写界深度が薄いレンズに相応しい質感のピントリングに、雰囲気ある描写も素晴らしく(一部条件では難点もある)、また決して高精細と言えない X-S10 でもピントの山が見えるのが良いです。

私がマニュアルフォーカスする場合、MF アシストとしてフォーカスピーキングのレッド(弱)を使っているのですが、ちょっと富士のピーキングは信用しきれないので、これくらいピントが掴みやすいレンズだと安心して使えますし、「これが 500万画素、900万画素の EVF だと、もっと心地良いだろうなぁ」と思わせるものです。

マニュアルフォーカスだから…という心配は購入して撮り始めてすぐに杞憂と判った、なんてことはないですが、撮りやすさをすぐに感じたこともあり、

少々重めを許容できれば
MFレンズ初めての1本に良いのかも…


なんて思っちゃいましたね。お手頃価格で、MF しやすく、描写も(欠点がないわけではないけど)魅力的で、純正レンズにはない付加価値もありますから。

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ちなみに、レンズの良し悪しとか、味とか、そんなモノはさっぱり判らないし、細かいところまで目がいかない私ですが、ド素人でも判る部分といえば、
  • APS-C とはいえ F1.1 なので結構なボケ量だし、ボケの形が綺麗

  • 開放付近からビシッキリッな解像感ではないけど、フワフワユルユルな描写ではなく適度に柔らかめで実用的な描写
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  • 絞れば解像感はちゃんと上がって均質性も上がる
    X-S10Testshot_2155

  • 逆光耐性は低めで、光源との角度によってはフレアも派手目なゴーストも出る

  • ハイライト付近でパープルフリンジが盛大に出まくる
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  • ピントリングは浅い被写界深度に適した重さと回転角があるが、絞りリングも同じように重く回転角もあって、こちらは使いにくい。

  • 絞りリングもフォーカスリングも回転方向が純正 XF レンズと逆(だから純正XFレンズをMFレンズとして混在使用するとややこしい💦)

  • 動画対応優先で、絞りリングにクリックがない。

  • リアキャップの形状が純正レンズとは随分と異なり、本レンズのリアキャップをXF レンズに付けても緩々、逆もまたきっちり閉まらないので、ちょっと併用しづらい。
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これらくらいでしょうか。機能面では防塵防滴がないとかありますが、そういうのを望むレンズでもないでしょう。

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逆光耐性の弱さはともかく、ハイライト付近のフリンジが派手に出るのだけは、ちょっと難点と感じています。これも味だとか言う人たちもいますが、オールドレンズの味わいとかは結局一ミリも判らなかった私にはそんな懐の広さまで持ち合わせていません。

とはいえ、それを差し引いても十分魅力的なレンズだと思っています。これが純正 XF50mm F1.0 R WR のように高価なレンズであれば、ちょっと無いわ〜と思うでしょうけど、税込2万円台の F1.1 なレンズですからね、文句を言う気にもなれません。後からレタッチで軽減できる部分もありますし。

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いずれにせよ、

マニュアルフォーカスで被写体とゆっくり向き合って撮るって良いねえ…


と、今までにないことを感じさせてくれたレンズで、すっかりお気に入りになっています☺️

あまりこのレンジの単焦点レンズを買ったことはないのですが、35mm判換算で 75mm 相当のこういったレンズですから、身近な人を撮るポートレートにはちょうど良いですし、今までにない新鮮さもあって、

手近なものを適当に撮ってるだけで楽しい


ですね。

浅い被写界深度に気をつけて、適度な重さのフォーカスリングを回し、色々気をつけながら撮る。その行為がとても心地良い。そう感じています。

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マニュアルフォーカス時代からカメラを使ってきた人や、今でもそうしている人にとっては何を今さらなのでしょうけれど、私自身はこのレンズと触れたことで、初めてそんな気持ちにさせてくれています。

5年前まで富士フイルム機を使っていた時を始め、過去のミラーレス機所有時代、むかしマウントアダプター遊びを試していた時とは、明らかに異なる心持ちになっています。

そんな心境変化について、我ながら何故だろう?と自分でも不思議でしたが、一つだけ思い当たることがあります。

昨年後半、コロナ禍で半分の月日で日程を消化しなければならなかったJリーグ。過密日程の中、私も観戦し、そして撮影していました。過密日程で月に1万枚以上のペースでシャッターを切り、多くの写真を「次の試合が来るまでに片付けなきゃ」と頑張って整理して、現像して…

仕事でもなく、単に好きでやってる撮影、被写体ですけど、そのペースを半年間続けていて、さすがに疲れました。(そういう意味でもプロカメラマンは本当に凄いといつも思ってます)

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撮影が嫌になるということはなかったけれど、カメラにも自分にも一瞬を見逃してはいけない集中力と速さを要求する撮影を90分続けることを、週1以上のペースで繰り返すのは楽じゃなかったです。歳をとってきて、動体視力と反射神経が落ちてきているだけに、撮りきれないもどかしさもストレスも募ります。

そんな状況が、メインシステムの機材を使う時の必死こいた撮影とは真逆の、ゆっくり被写体と向き合う、向き合わざるを得ない世界を心地良く感じさせたのだと思います。

0.01秒でも速くピントを合わせるための AF、秒十数コマの連写で、激しく不規則に動いて被り被られの被写体を狙って撮るのは、アドレナリンが必要な、ある種快感になる時も多いのですが、そればかりでは疲れます。

写真の上手い下手、被写体がどうこう、そんなこと関係なく、撮ることで純粋に癒される。このレンズを手にして撮っていて、そんな気にもさせてくれました。

ファインダーを覗いて撮ることそのものが目的。私にとって「行為」でしかなかった撮ることそのものが楽しくて、目的になる。もう随分と忘れかけていた気がしました。

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とまぁ、最後はポエムになってしまいましたが😅お気楽撮影、お出かけスナップのために買った X-S10 は、このレンズと出会って、撮ることを楽しむ「癒しの撮影」も目的に追加された気がします。

……なんて書いていても、1ヶ月後には「やっぱりオレに MF なんて合わないわ!」と言ってるかもしれないのが私ですけど、今回はなんか長く付き合えそうな気もします☺️

マウントアダプター遊びに再度手を出すつもりはありませんが、なんかマニュアルフォーカスで撮ることが楽しいというか、意外とすぐ嫌になることはなさそうだったので、今後は MF レンズの購入も選択肢に入ってきました。

というか、KAMLAN 50mm F1.1 II 購入から1週間後に、もう1本 MF レンズを追加購入してしまいました。それについては次回に。

8年ぶり2度目のXF35mmF1.4 R & WR じゃない方のXF10-24mmF4 R OIS 〜2度目のXマウント生活を彩るレンズたち(その1)


(LAOWAのレンズ2本にも興味…使いこなせる気はしないけど😅)