例年、新型 iPhone が発表される9月の発表会では順当進化の Apple Watch Series 6 と最高コスパになった iPad Air。そして10月には iPhone 12 シリーズ、mini も増えての4機種そろい踏み。

残るは、6月の WWDC で発表予告されていた Apple Silicon 搭載の Mac。iPhone 12 で未発売の2機種が発売される週になっていよいよ、その Apple Silicon Mac が発表。

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今回発表されたのは、噂どおりの 11インチ MacBook Air と 13インチ MacBook Pro、それに Mac mini。

MacBook Air - Apple(日本)
13インチMacBook Pro - Apple(日本)
Mac mini - Apple(日本)

搭載されるチップは iPhone/iPad で使われている A14 の高性能版ですが、ネーミングは A14 なんとかではなく M1 チップ。漫才頂上決戦でも KORG のキーボードでもなく、Mac 用だから M1 でしょうね。ひねり無し。

とりあえず、発表会では

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ひたすらM1チップの高速性推しまくり


でしたが、比較対象は従来のラップトップ用チップであり、GPU が CPU 一体型でしたから、MacBook Air や 13" Pro、mini といった、元々のパフォーマンスが低めで、ディスクリート GPU を使っていなかったモデルから置き換えていくのは妥当なところでしょう。

ただ、Apple Silicon 一発目ということもあってか、

記念セール的な?値段控えめ設定


な印象は受けました。
  • Air は値段据え置きで Apple Silicon 以外の部分で改善山盛り
  • mini は値下げ
  • 13" Pro も仕様は違えど価格設定は低めから

というものになっています。

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ただまぁ、

アップルの完全新規ものは地雷リスクあり


という故事も、古くからのアップルユーザーの体験もございますので、価格やコスパはちょっと魅力的であっても人柱風味なのは考えねばなりません。マジで。ソフトウェアがどれだけネイティブ対応してくれるかによって全然パフォーマンスは違いますしね。



また、気になったのは、M1 チップの高速性の理由の一つが、メモリ混載チップであること。メインメモリが CPU/GPU などと一体になっている設計(もうCPUという言い方も適切ではないが)。その方が性能を出しやすいのは判りますが、

メモリはメインチップ統合だから
メモリ増設は絶対不可


です。最近の Mac は MacPro を除いてメモリ増設が不可だったり困難だったりするモデルばかりでしたが、Apple Silicon Mac では絶対不可です。

その上で 今回発表の3機種は全てメインメモリは 8GB または 16GB のどちらかを選択になっています。後から増設もできなきゃ、32GB にもできないのは注意が必要なところ。

SSD は Thunderbolt 接続の高速 SSD を付ければ、あとからストレスない速度のストレージを増設できますが、メモリの場合はそうはいかなくなります。

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また、mini も Air も 13" Pro も全て M1 チップでクロック数の表記もないので、差があまり判りません。特に Air は Retina かつ P3 / True Tone 対応の 13インチディスプレイになり、13" Pro との差は縮まったと言えるでしょう。

3機種の中で MacBook Air だけはファンレスなので、おそらく 13" Pro や mini が M1 チップのフルパワーを出せて、Air はファンレスの分だけ性能を抑えているのは想像できます。が、それがどれくらいかは今後の検証待ち。

いずれにせよ、性能面では

アップルが速い速い言うても実際のベンチマーク待ちやなあ。それにアプリの動作速度の問題もあるし(特に Intel エミュレーションで動かすアプリ)


というところはあります。

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(3機種ともデザインは従来踏襲)


ただ、先にも書いたようにお値段は魅力的。

MacBook Air はGPU が 1コア少なくて 256GB SSD から始まる安いモデルと、通常の8コアGPU のモデルの2通り(↓)。

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13インチ MacBook Pro は購入ページで2つ並んでいますけど、ストレージの容量が違うだけでカスタマイズで変更すればどちらも同一であり、今回は完全に1モデルです。

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Mac mini も2つ並んでいる両モデルともストレージの容量違いで、こちらも単一モデル。お値段は Intel チップのラストモデルから比べて確かにお安くなっています。ってか、元々 mini はこれくらいか、もっと安い時期もありましたからね…

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13" MacBook Pro と Mac mini については、仕様のページで今回の M1 チップモデルと旧来の Intel チップモデルが比較できるようになっています。(Intel チップ搭載 Air は販売終了)

ただ、搭載メモリやストレージが違うので単純に価格を見て比較はできないのですけど、わざと安く見えるようにしてあるようにも見えます(笑)

13インチMacBook Pro - 仕様 - Apple(日本)
Mac mini - 仕様 - Apple(日本)

まぁ個人的には

メモリ 16GB までだし、ソフトウェアの Apple Silicon ネイティブ対応がどうなるか判らない時点では、買ってもサブ機扱いだから優先度は低いなぁ


と思っていますが、性能やソフトウェアの対応状況によっては

メインのパソコン買い替えの後に、3機種のいずれかを(お遊び用と割り切って)買っても良いかな?


とは思う価格です。

16インチ MacBook Pro か iMac の買い替えを夏くらいから考えていたのですが、Apple Silicon のこともあって様子見していたので、これでまずメインのパソコン買い替えから手は打てます。

今回の発表では、ディスクリート GPU や大容量メモリ搭載時の Apple Silicon Mac はどうするつもりなのかは全く見えないし、それら上位クラスの Mac で従来どおりに使えるようになるのはまだ数年かかると思ったので、Intel Mac 買えます。

(でも 16" MBP の CPU が第10世代 Core i に置き換わる噂はどうなったんや…)

ただ、16" MBP を買ったら mini を、iMac を買ったら Air か 13" MBP を買うという選択肢はありかな、と。

メインで使うパソコンにするには Adobe が Lightroom Classic と Photoshop を Apple Silicon に対応させて安定して動くようにしてもらわないと話にならないですから、それにはまだ数年様子見の方向。

Adobe は Lightroom が第一弾対応らしいですが、使っているのは Lightroom Classic なので、あまり期待してないんですよねぇ。(マイクロソフト Office の Apple Silicon 対応については心配していないけど、Adobe はそれでなくてもバグ多いし…)

個人的に「サブ機として買うとすれば」と思ってカスタマイズ・シミュレーションしてみたのが、以下のとおり。メモリ 16GB、ストレージ 512GB で統一してあります

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(MacBook Airの場合)

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(13" MacBook Proの場合)

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(Mac miniの場合)


このところずっと、自分用パソコンで買う場合には、メモリ 16GB、ストレージ 1TB SSD が最低ラインなのですが、サブ機でコスパ考えると、メモリ 16GB は譲れなくてもストレージは 512GB で良いか(増設可能だし)、という感じでカスタマイズしたのが上記。

ファンレスの Air とファン込みの 13" Pro / mini で、どれくらいのパフォーマンス差があるか判りませんが、ディスプレイなどの差が縮まった分、Air には魅力を感じますね。



という感じの3ヶ月連続 Apple Event のラストを飾る Apple Silicon Mac 発表会でしたが、SNS の Timeline を見ていると iPhone 発表会と違って起きている人の少なさ!

いい加減大した進化もない iPhone の発表会よりずっと興味深いものだと思うのですが、やっぱりみんなパソコンには関心がない時代になったのでしょうねえ。

それにしても、Mac の発表で他社と比べて速さを強調し、パフォーマンス推しというのは、昔からの アップルユーザーとしては何となく違和感、Apple らしからぬ感じもしました。

Mac の発表といえば、パフォーマンスは PC より落ちるところをデザインやら UI やらを強調しまくってケムにまくのが真骨頂だったはずなんですがねえ。最近 iPhone もそうですが、アップルも随分と変わった(普通になった)と言うことでしょうか。

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あとは最後の one more thing が、昔からのアップルユーザーとしては懐かしい CM パロディだったのがよかったですね :-)

stay safe, stay well, hava a great day.


(ひとまずは最後のIntel Macかなぁ)