水曜日は iPhone 12 シリーズ発表でガジェット関連の話題が持っていかれている中、デジタルカメラもニコンから Z6 II、Z7 II 、キヤノンは EOS Kiss M2 と言った正統後継機が発表されていました。パナソニックの新型ならぬ新形デジカメ LUMIX BGH1 の海外発表も。

Z 7II - 概要 | ミラーレスカメラ | ニコンイメージング
Z 6II - 概要 | ミラーレスカメラ | ニコンイメージング
キヤノン:EOS Kiss M2|概要

さらに、木曜日遅くには富士フイルムから新シリーズの X-S10 が発表されていました。

FUJIFILM X-S10 | Cameras | 富士フイルム Xシリーズ & GFX

X-S10 は夜10時か11時くらいにリリースが出てたと思うんですが、海外の何かのイベントにあわせたんでしょうか。変な時間に流れていてビックリでした。

あと、いつも思うんですけど、

カメラメーカーは、なんで割と同じ日、時期に発表したがるんですかねぇ


CP+ や Fotokina のような大きなイベント前なら判りますが、なーんにもない10月。各メーカーとも日を変えた方が、それなりに取り上げられたり、読み手やユーザーの印象にも残るでしょうに…。ソニーはそのあたりもちょっと違う印象ですが。



ともあれ、それぞれにちょっと思うところを少々戯言として記しておきます。ちなみに、今週のデジカメ関連ニュースで久しぶりに興味を惹いたのは新製品とは別のことですが、それについても最後に。



(1)キヤノン EOS Kiss M2

EOSKissM2_Release

キヤノン:EOS Kiss M2|概要

瞳サーボAFに対応含めた AF 改善ということらしいですが、最新の画像エンジン DIGIC X を採用せず古いままで、ボディ内手振れ補正も入れず、といったスーパーマイナーチェンジ状態を見ても、

実売価格テコ入れモデルチェンジ


と言う印象しかないです。ですので、特に記すべきこともないです。

ぶっちゃけ、多少売り上げは立っても利益がたいして上がらないマウントを維持し続ける意味、ミラーレスで複数マウントを維持していく余裕は、キヤノンにもなくなってきていると思いますから、こんなモデルチェンジも仕方ないのでしょう。EF-M マウントのフェードアウトも止む無しかと。


(2)ニコン Z6 II、Z7 II

Z7II_Release

Z 7II - 概要 | ミラーレスカメラ | ニコンイメージング
Z 6II - 概要 | ミラーレスカメラ | ニコンイメージング

ニコンの2機種については、とりあえずニコンに

新境地 #とは?


と言いたくなりますね。煽りキャッチコピーを入れた予告広告までしておいて、結局はドマイナーチェンジモデル。

いや、マイナーチェンジは良いんですよ。評判の悪かったメディアスロットを CFExpress + SD にダブルスロット化して、初代機で評判の悪かったネガを潰す。キヤノンの EOS R/RP の時と同じで「一眼レフでできていることを何故しなくなったの?」というのは、ニコンも多かったですから。

バッテリーグリップもようやくマトモになりました。初代の時は、まさかのシャッターボタンなしで、シングルスロットともども「ニコンは50万円のカメラに何を考えてるんや?」って感じでしたが、正気を取り戻したようで何よりです。

だからこそ、『Zは、新境地へ』などというキャッチコピーで、ユーザーに「マイナーチェンジじゃなく結構進化するんだ?」などと過大な期待を抱かせなければ、今は堅実なアップデートだよね、と納得されたと思うのに、煽るから反動もあるわけで…こういう宣伝方法は嫌悪感しかないです。

Z6II_Release


ともあれ、初代の不評部分をできるだけ直しつつ、画像エンジンを2個積みして力技で AF その他の処理能力を上げたモデルと言って良いのでしょう。

ただ、画像エンジンを2個積みして頑張っても、連続撮影可能コマ数はキヤノン EOS R5/R6 と同じくらいに追いついただけであり(キヤノンの仕様表にあるのはSDでのコマ数)、他も見ても、ソニー、キヤノンに少し近づいた、一部は追いついたくらいの印象(あくまでスペック上ですが)。

おまけに、定評ある DPReview の Z6 II 初期レビューで、

What's interesting is (on the face of it) how little the application of dual processors brings to the camera
(興味深いのは、(表面上は)デュアルプロセッサーのアプリケーションがカメラにもたらす影響がいかに小さいかということだ)


と書かれてしまってるのを見ると、

初期設計からのデュアルプロセッサ前提じゃなく、屋上屋を重ねて力技でやっても限界はあるよねえ


と納得してしまいます。

Z7II_Release2


ぶっちゃけ、センサーが同じままでは改善するにも限界のあるポイントは少なくないですから、ある程度は仕方ないでしょう。オリンパスもそうですが、このあたりは今後も含めてニコンの厳しいところです。

上記 DPReview の記事でも書かれていますが、ニコンは決して多くないリソースを次の新しいセンサー前提の開発に振り向けているだろうことは想像に難くありませんから、今回は仕方ないと思えます。仕方ないで済む時間的余裕があるかどうかは別ですが。


(初期価格は特に高くない印象)


とはいえ、ソニー、キヤノンに対して完全に遅れてしまったミラーレス機での AF 性能が、力技でどこまで改善されているか?AF も今はセンサーとの合わせ技ですので簡単にはいかないでしょうけど、興味深く結果を待ちたいと思います。見え味はミラーレス機の中で圧倒的だけど動体を追うには厳しすぎた EVF も改善されているようですし。

Nikon Rumours とかでは「Z8?Z9? はα9 II のような高性能 AF にブラックアウトフリー EVF に 4600万画素、8K 動画で〜」などと期待だけの噂が書かれていますが、AF 含めて技術は一朝一夕には進化しないので、今回の Z7 II / Z6 II で動体撮影まわりがどれだけ進化したのかは楽しみにしておきたいと思います。

First set of rumored Nikon Z9 mirrorless camera specifications - Nikon Rumors


(3)ニコンZ ミラーレス用 400mm/600mm 超望遠レンズ予告

NikonZLensRoadMapVer3

NIKKOR Z レンズラインナップ Ver. 3.0(~2022年) (PDF)

10月からニコンプロフェッショナルサービス (NPS) のサービス内容が改定され、プロサービスなのに試用機貸与だけでなく修理代替機も出さなくなった、と少し前に話題となりましたが(その後、修理代替機貸し出しは復活)、その時思ったのは、

経営的に厳しいとはいえ、NPS のサービスをそこまで低下させるということは、もうニコンはプロ向け製品をキヤノンやソニーと伍していくのは諦めたのかな?
ニコンは今後マスを狙うことなく、利益重視のこだわりのハイアマ路線で、ある意味ペンタックスと同じような方向性になるのかな?でも企業存続のためには、それもありかもね。


だったのですが、Z6 II、Z7 II 発表と同時に Zレンズロードマップが改訂され、400mm / 600mm の超望遠単焦点レンズが掲載されました。

400mm / 600mm の超望遠単焦点レンズをロードマップに掲げたことは、

ミラーレス機でもハイエンド・プロ市場は諦めないし、Z のフラッグシップ機を出すぜ


という意思表示でもあります。さすがに、何もしないうちに諦めるわけはないですわな。諦めたらそこで試合終了ですし。

ただ、レンズロードマップは前回と異なり、2022年までのレンズロードマップになりましたので、一応 2年後あたりを目処にしているということでしょう。

とはいえ、最近まともに予定どおりレンズ発売できないことの多いニコンですから

Z超望遠単はパリ五輪(2024年)向け


と思っていた方が良いのかもしれません😓2年後に発表、発売は3年後…

というか、いま知ったのですけど Zレンズ用のテレコンって x1.4 も x2 も 8万円するんですね……テレコンで8万、2本で16万……世の中インフレしてないのに、カメラ業界だけはインフレですなぁ(´Д` )


(4)富士フイルム X-S10

X-S10_Release

FUJIFILM X-S10 | Cameras | 富士フイルム Xシリーズ & GFX

X-S の型番はレンズ一体式デジカメの型番だった気がするのですが、富士フイルム X マウント新シリーズ機。 防塵防滴ではないけど、小さなボディにボディ内手ぶれ補正を入れて(富士フイルムにしては)そこそこの廉価機。

とはいえ、小型機、廉価機なら従来のシリーズにもあったし、そもそも小型機ならば X-E4 を待ってる人が多いと思うのに(X-E1, X-E2 ユーザーだった私も X-E シリーズは大好き)、何ゆえ新シリーズ??

と噂段階では思ったのですが、リーク情報時からボディ写真を見て納得しました。X-S10 は

富士フイルムのカメラが好きな人向けではなく
他社ユーザーを誘い込むためのカメラ


なんですね。今までの富士フイルムのカメラにおけるアイデンティティだった露出補正や ISO、シャッター速度の独立ダイアルがない。代わりにフレキシブルなダイアル2つにモードダイアル。

個人的には富士フイルム独特の操作性も嫌いではなかったです。アナログを経験してない純正デジカメユーザーですけど、富士の操作性は「カメラを操作する楽しさ」というのがあったので、それはそれで良いものだと思ってました。

ただ、一般的には「モードダイアルすらない」のは敬遠される一因になっていたし、特に移行するハードルにもなっていたでしょう。私自身はモードダイアルは要らない派、別のダイアル付けろや派なのですが(だからD5, D500は好き)、そもそもモードすらないのは一見さんお断りな感もなくはない。

今回の X-S10 はそれをなくして、一般的なカメラの操作性を持って富士フイルムの魅力を伝える製品なんだろうなぁ、と納得できました。操作性以外は富士フイルムの良さが詰まったカメラ見たいですしね。

新製品レビュー:FUJIFILM X-S10 - デジカメ Watch

2〜3年ほど前に、他の機材の金策のために泣く泣く X マウントシステムを手放したものの未練はあり、

そう遠くない将来、諸々の衰えで超望遠レンズ付けた一眼レフどころか、ミラーレスでも納得できる動体撮影ができなくなったら、富士フイルムに戻って適当スナップ撮影人生でも送るかな


なんて思っているのですが、X-S10 みたいなカメラを見ると、それまで待てなくなりそうで悩ましいですねえ…😅


(5)ニコン Z5/Z50 メーカー公認格安レンズレンタル

月額制レンタルモール『airCloset Mall』で、10月12日よりミラーレスカメラ「ニコン Z 5」「ニコン Z 50」のレンタルサービスを開始|ニコンIJのプレスリリース
airCloset Mall(エアクロモール) - メーカー公認レンタルモール

今週のデジタルカメラ界隈のニュースで新製品より気になった、というか、久々に

お、こりゃ良さそう!


と思ったのが、このニコン Z5、Z50のメーカー公認格安レンタル。
  • Z50 ダブルズームキットが月 6,900円
  • Z5 レンズキットが月 9,900円

どちらも1泊2日や2泊3日のレンタル料金ではなく、1ヶ月のレンタル料金!激安!!(税抜料金だけど関係ない)

私も在阪の機材レンタルサービスや某有名カメラ店のレンタルサービスを利用することはあります。AF-S 500mm f/5.6E PF ED VR もレンタルして実戦で試して確認してから予約しましたし、ブログには特に書いてないけど、年に数回、気になった製品とかをレンタルしてます。

ただ、実際に機材レンタルしている身からすると、このレンタル料金は破格も破格。

こんなレンタル料金見たら、もう普通の機材レンタルできへんやん…メーカー公認だから怪しさもないだろうし…


ほんま、こんな感じ。レンタルで使った後に差額で機材買い取りも可能とかありますが、それは元の販売料金が高め(標準価格)だからあまり旨味はないけど、レンタル料金としては魅力的すぎます。

ま、手持ちのレンズは Fマウントレンズしかないので、Z50 なり Z5 をレンタルして手持ちレンズを使おうとしたらマウントアダプターを買わなきゃならないジレンマはありますが、それを別にしても魅力的。

Z5Rental


ただ、さすがに人気なのか、Z5 の方はニュース記事になって2日くらいで入荷待ちになっていました。Z50 の方は記事執筆現在まだ在庫有りですね。

私自身、現状なかなかどこか行くことが難しいですが、紅葉の季節の適当お気楽スナップくらいはこのレンタルで使ってみたいなぁ、と思っています。

正直、Z6 II、Z7 II よりずっとインパクトありました😅


とまぁ、今週のデジタルカメラ関連はこれくらいですかね。今週というか、さすがにもうしばらく新製品ないでしょ?ガンバ大阪のチケット代その他で金欠なのに、あまり魅力ある製品が出されてもねえ…