前にも書いたと思いますが、本ブログでは普段あまりサッカー関連、ガンバ大阪について書くことはしないようにしています。年に一、二度、シーズン終わりの感想とか、開幕前の期待?とか、そんな時くらいに抑えています。
というのも、書き出したら切りがないし、Jリーグ創設時からのガンバ大阪ファンではあるものの(地元クラブだったからね)、サッカーについて他人様に開陳できるほどの知識・経験もなく、薄っぺらいツッコミどころ満載になりがちだからでもあります😅
とはいえ、ヤットこと遠藤保仁選手のガンバ大阪からジュビロ磐田への移籍については、レンタルとはいえ衝撃をもって報道されたし、ガンバ大阪にとって(今のところ)今年一番大きなトピックなのは事実。
そんな移籍騒動も、最初の移籍報道が出て10日、正式発表があって1週間。この週末には早速ヤットは磐田でスタメンフル出場し(今ちゃんとの頻繁なパス交換は懐かしかった)、ガンバ大阪もヤットがいなくなってから2試合戦って連勝を7と伸ばしました。
ということで、そろそろ落ち着いた感がありますし、恒さまことガンバ大阪のレジェンドでもある宮本恒靖監督の手腕も含めて、今回の移籍について思うがままを書いておこうと思います。
というのも、書き出したら切りがないし、Jリーグ創設時からのガンバ大阪ファンではあるものの(地元クラブだったからね)、サッカーについて他人様に開陳できるほどの知識・経験もなく、薄っぺらいツッコミどころ満載になりがちだからでもあります😅
とはいえ、ヤットこと遠藤保仁選手のガンバ大阪からジュビロ磐田への移籍については、レンタルとはいえ衝撃をもって報道されたし、ガンバ大阪にとって(今のところ)今年一番大きなトピックなのは事実。
そんな移籍騒動も、最初の移籍報道が出て10日、正式発表があって1週間。この週末には早速ヤットは磐田でスタメンフル出場し(今ちゃんとの頻繁なパス交換は懐かしかった)、ガンバ大阪もヤットがいなくなってから2試合戦って連勝を7と伸ばしました。
ということで、そろそろ落ち着いた感がありますし、恒さまことガンバ大阪のレジェンドでもある宮本恒靖監督の手腕も含めて、今回の移籍について思うがままを書いておこうと思います。
ヤット移籍に対する個人的な感想を端的に言えば、
という感じであり、移籍自体についてはさほど驚きませんでした。
私自身、ヤットとガンバ大阪の契約が今年で切れる状況で、来季もガンバ大阪にいてくれるかどうかは微妙だと思っていました。
過去のヤットの発言を見聞きする限り、
という疑問がありましたし、そう思っていた人も少なくないんじゃないかと思います。
20年近くガンバ大阪の屋台骨であり、顔であったものの、ワンクラブマンでもないし、そのことにこだわってもいないのは明白でしたから、いつか指導者としてガンバ大阪に戻ってきてくれるとしても、ガンバ大阪で引退は微妙だなぁ、と。
(プロ1年目に横浜フリューゲルスが消滅することなく、ヤットもずっとフリューゲルスに所属できていたならワンクラブマンであったかもしれませんが、それはあまりにも意味のない仮定のこと)
そもそも、ガンバ大阪の歴史の中で、チームの有力選手がガンバ大阪所属のまま引退したのはレアケースですし、それこそガンバ一筋となるとミスターガンバこと松波正信元選手(現強化部長)くらいでしょう。
ユースあがりの生え抜き選手も大抵は主力選手のうちに移籍するか、引退が見えてきた中でカテゴリーを落としてでも現役を続ける選択肢をとっているので、それを思えばヤットの移籍はある意味ガンバ大阪主力選手の一般的な道と言っても良いはず。
今後、ずっとガンバ大阪所属のまま引退すると思える主力選手は宇佐美貴史選手くらいだろうし、それこそ彼が他クラブへ移籍なんてなったら、ヤットの移籍どころじゃない驚天動地なことですが、それでも先のことは判らないですからね。
なので、移籍そのものの驚きはなく、けれども、今季途中で移籍するタイミングには最初ビックリしました。でも、冷静に考えれば、割とすぐ納得のいくことでもありました。
移籍が正式発表される前後に、ガンバ大阪の報道には定評のない某スポーツ紙でヤットと恒さまの対立があるような記事が載ったり、取材なんか1ミリもしていないであろう夕刊紙が10倍くらいにして煽る記事があったものの、さすがにそれらは論外すぎるのでスルー。
ヤットも恒さまもプロ意識の高い人であり、熱いモノを秘めながらも状況をクールに分析判断するところは非常に似ている2人ですから、起用する方もされる方も、ある種の割り切りをもって接していただろうと推測します。
選手にとっては思うように起用してくれる監督が良い監督なわけで、そういう意味では不満はあったでしょうが、状況を考えれば「こういう状況も仕方ないし、だからもっと自分の活躍できる場を」とヤットが思っていたことは移籍会見全文を見れば感じ取れます。
■ 【G大阪】遠藤保仁、移籍会見全文。「新たなチャレンジにわくわく」将来の復帰希望も(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース
会見や信用できる記者による記事から、具体的に移籍を考え始めたのはこの夏で、9月の状況を鑑みて決断を下したのではないかと勝手に推測しています。(最終的には磐田が監督交代も込みだったことだろうけど)
移籍決断のキーポイントが何であったかは全く無関係の私が知る由もありませんが、一つは大卒新人、山本悠樹選手の台頭だったのではないかと思います。
フォーメーションに依って多少変わるものの、今季ボランチは井手口陽介選手と矢島慎也選手がファーストチョイスで、ヤットは矢島の2番手という評価だったのではないかと思われる起用でした。(今のガンバ大阪で井手口は居なくなったら守備崩壊するレベルの絶対的存在)
ところが矢島が怪我したのち、その代役として起用された山本悠樹選手がその穴を埋める以上の活躍を見せてくれました。ポジション的に派手な活躍はないものの、
と思う存在感だったのは、ガンバ大阪の試合を見ている人の一致した見解ではないだろうかと思います。即戦力が期待される大卒ルーキーとはいえ、まだ1年目と思えばこの先への期待は限りなく大きくなりました。
ガンバ大阪ユースから大きな期待を持ってトップ昇格してきたボランチ候補は幾人もいたけれど、なかなか J1 のスタメンを取りきることができず長い時間が過ぎましたが、スタメン起用ですぐ能力を発揮した山本選手にはその可能性を感じさせてくれます。
ガンバ大阪移籍3年目の矢島選手にとっては、レンタル移籍を経ながらようやく掴み取ったかに見えたスタメンが脅かされることになりましたが、チームとしては矢島、山本両選手が競争するレベルでいるのは(今季の過密日程を考えても)嬉しい話です。
ところが、山本選手の台頭により、今まで20年、ガンバ大阪の屋台骨であったヤットは3番手評価になったと言っても良いでしょう。矢島選手が怪我で抜けていた期間は(主にサブで)出番があったものの、矢島選手が戻ってきたら出番はさらに少なくなるのは予想できました。
もちろん、それでヤットの持つ能力が衰えたわけではなく、直近でも9月23日の名古屋戦における宇佐美の決勝ゴールはヤットから小野瀬への縦パスが起点であり、まさしく
と、観ていた人全てに思わせるシーンでした。
ただ、そういった活躍ができるにも関わらず、その日も残り15分に山本選手と代わっての途中出場であり、そういう起用が普通になっていたことに、ヤット自身ももどかしく感じていたことは想像に難くありません。
その頃までは怪我で離脱中だった矢島が復帰したのちの自分の扱いを考えれば、ヤットが願うようなスタメン出場というのはさらに難しくなるわけで、それを思えばヤットの移籍は止むを得なかった、驚く話でもなかった、と思っています。
ずっと見ている人なら判ると思いますが、ここ数年のヤットは素人目に見ても少しずつクオリティが下がっている部分がありました。止むを得ないことでもありますが、哀しい現実でもあります。
勘所に出すパスや試合の緩急をつけるプレーなどに衰えは見えなくても、フリーキックの精度は全盛期ほどは望めなく(近年のFK、CKは他の選手が蹴ることが多かった)、J1 のステージでは昔ほどボールを取られないヤットでもなくなりました。
あまり動かない印象と違って実は走行距離の多いヤット、調子の良い時は今も変わることはないのですが、季節によっては J1 のプレースピードで90分動くのが厳しく見える時もありましたし、一瞬の動きのレスポンスにも陰りを感じさせる時もあったように思えます。
そう思うことが少しずつ増えていたのも事実。
逆に、試合の後半途中から出てくれば、状況を打破したり、決定的な場面を作れる選手なのは今でも変わりません。先に書いたように、つい先日も目の前で観たばかりです。
ベンチメンバーとなっても途中出場で頼れる、違いを見せられる選手がゆえ、彼がスタメンにこだわらずガンバ大阪に貢献してくれるなら理想でしたが、さすがにそれは無理だったわけで。
彼ほど偉大な、そして今でもやれる選手ならば、やはりスタメンにこだわりたいでしょうし、出場時間がある程度ないと衰える速度が速くなるようなことを言っていましたから、いくら20年いたクラブとはいえ、サブで短時間出場の我慢を強いられることが受け入れられないのは理解できます。
■ 「衰えるのは、全部よ。でもね…」遠藤保仁が明かしていた現役続行への確固たる道筋 | サッカーダイジェストWeb
どんな形でも最後までガンバ大阪にいて引退してくれれば、ファン、サポーターとしては理想ではありましたが、かと言ってスタメン出場、主力選手で居続けられるわけではありませんし、それを良しとしない彼との別れは止むを得ないことではあります。
今の宮本監督の採るサッカーが、今のヤットを活かせるサッカーとは少しズレもあるように思えますしね…
いずれにせよ、誤解を恐れずに言えば、
と、個人的には思っています。
ヤットのポテンシャルの高さがあったにせよ、彼が40歳になるまで追い越す選手が出てこなかったのはガンバ大阪がタイトルから遠ざかった一因だとも思っています。(もちろん賛否あると思いますが)
例えば、近年 No.1 クラブであり、今季は断トツに強すぎる川崎フロンターレを見ると、中村憲剛選手はクラブの中心選手であり柱とも言うべき選手ですが、彼が出場していなくても変わらず強い。精神的支柱であっても、プレー面では彼がいてもいなくても高いレベルで成り立っています。
ガンバ大阪もこの10年のうちに、少なくともこの5年のうちに、そうなるべきだったのですが、残念ながらヤット頼みの期間が長すぎました。いくら彼が偉大なプレーヤーだったとしても、長すぎた。
本来、2012年に J2 降格した年にチームの将来に向けた変革は始まって然るべき、と思っていました。1年で即 J1 復帰が至上命題だったため変革が遅れたのは止むを得なかったとしても、長谷川健太監督時代に「Next ヤット時代」への歩は少しでも進められるべきでした。
ところが、三冠制覇という偉業があった余波もあり、脱ヤットへの道筋どころか、長谷川健太監督時代は下手すると00年代後半よりヤット依存が散見される状況になり、それが今に至るまでツケがきていると確信しています。ここ5年タイトルを取れない要因の一つ、そう思っています。
いくら円熟味を増し、プレーにまだ輝きがあるとはいえ、彼も歳は重ねていくわけですから、30歳を過ぎてからも彼を脅かす、追い越せる選手が長く出てこなかった、というのは、彼の偉大さを示すと同時に、チームとしては決して喜ぶべきことではなかったでしょう。
加齢とともに昔ほどのクオリティは望めなくなった偉大なプレイヤーと新しく台頭してきた選手の交代は常にあることですし、むしろ、あるべき姿です。そういう意味では、ようやく、でもあります。
20年間、ガンバ大阪の中心選手として、柱として、顔として、遠藤保仁選手を様々に頼っていた呪縛(というと言葉は悪いかもだが)から脱却すべき時が来たことは、むしろ
ことになると、私は前向きに捉えています。
誰がいなくなってもガンバ大阪は存続し続けるし、J1 にいてタイトル争いをする有るべきところへ戻らなければならないのですから。
さて、恒さまこと宮本恒靖監督の指揮も2年が過ぎ、一昨年のシーズン途中で就任してからの3年目。契約最終年と言われています。
はっきり言って、個人的に今までの宮本監督の手腕に対して満足しているとは言い難いです。シーズン途中に就任した一昨年は、降格を逃れるだけで満足でしたし、9連勝フィニッシュで良かった良かった、でありました。
ただ、自身がキャンプからチームを作ることができ、前年度の9連勝フィニッシュもあって期待された去年の印象が悪すぎました。
前半全然勝てず、若手大抜擢&3バックの大阪ダービー(ホーム)勝利がターニングポイントになったものの、タイトル争いに絡めないまま。ルヴァンカップは準決勝で惜しい敗退だったけれど、天皇杯で前年に続いて大学生に負けたこともあって印象が悪いものでした。
そして、今季。
オフの補強は色々な事情があったものの、ガンバ大阪にしては珍しいくらいの、ファン・サポーターが大満足するレベルの補強でしたから、去年の分も期待は高まるばかり。リーグ開幕戦で昨季優勝のマリノス撃破…といったところで、コロナ禍によるリーグ中断。
それは仕方ないし、リーグ再開後も結果としては割と好調で、7月が終わった時点では独走気配の川崎に次ぐ2位。なんとか食らいついて…と思っていたら、8月は負けがこんで9位まで転落。ルヴァンカップもグループリーグ敗退。
川崎独走まくりでリーグ優勝の目がほぼ潰えた9月になると、また勝ち星が積みあがって現在7連勝で4位。試合数の関係で2位も射程圏内というのが現在のところ。
正直なところ、
な印象。これだけの選手が揃っているなら…だけど、怪我人も多いので止むを得なかった部分もある。
ただ、ぶっちゃけ
という、もどかしさがあります。
去年からガンバ大阪のスローガンは GAMBAISM であり、ガンバ大阪らしいサッカー、攻撃サッカーを見せる、と言っていたけれど、それがコレなの?という思いは消えない。
GAMBAISM というなら00年代の楽しい攻撃サッカー、ポゼッションサッカー、パスサッカーじゃないの?と思うのだけど、私が考え違いしているのだろうか。
ガンバ大阪 U-23 のサッカーを見ていると GAMBAISM を体現していると感じられるだけに、トップのサッカーが GAMBAISM とは違うように見えてモヤモヤ感がある。
また、7月の4連勝の時も、今の7連勝の時もそうだが、
という試合が多いこともある。
試合は押されまくりだったけど勝ち点3をもぎ取った、というのは素晴らしいことだけど、そういう試合が多いと
みたいな印象が続いて、それでええんか?とも思う。
選手がハードワークしたプレーを見せてくれているからこそ勝てているわけだし、贅沢な話かもしれないけれど、どこか物足りないのも事実。宮本監督は今年が契約最終年だから結果にこだわるのは仕方ないとしても…である。
ま、それは00年代の(ある意味勝っても負けても)エンタメだったサッカーの捕らわれている自分が悪いのかもしれないが、だったら GAMBAISM なんて郷愁を煽るスローガンにしないでくれよ、と思う。
そういうことから、GAMBAISM から連想するサッカーよりは長谷川健太元監督のサッカーに近いことも含めて、今の宮本監督の手腕には決して満足していませんでした。
ただ、去年5月の大阪ダービーで成功した3バックが今季あまり機能していないのに拘り続けたのをようやく捨てられたし、ゲーム途中の選手交代も一時期よりは功を奏することが多くなったので、私の中でのイマイチな印象は少しずつ変わりつつあります。
さらに昨季以降、今回のことも含めて、
ことを思うと、さらに数年、ガンバ大阪の指揮を執ってもらって、(前向きな意味での)脱ヤットの責任も取ってもらわないといけない。
が宮本恒靖監督にはあるし、単にクラブのレジェンドというだけでない存在の大きさは、それを成し遂げるに相応しいと思っています。
多少批判的なことも言う私だけど、一応昔からのガンバ大阪ファンである者として、宮本監督、山口ヘッドコーチ、松代GKコーチという、楽しかったあの時代の選手がメインスタッフでタイトルを、リーグ優勝を取って欲しいと心から願っています。
ヤットの移籍という変革期において、新しいガンバ大阪のチーム作りに期待したいし、できれば GAMBAISM を見せて欲しいと思います。
来るべき時が来た
という感じであり、移籍自体についてはさほど驚きませんでした。
私自身、ヤットとガンバ大阪の契約が今年で切れる状況で、来季もガンバ大阪にいてくれるかどうかは微妙だと思っていました。
過去のヤットの発言を見聞きする限り、
名誉生え抜き扱いになっているヤットだけど、ずっとガンバ大阪にいたまま引退するかなぁ?
という疑問がありましたし、そう思っていた人も少なくないんじゃないかと思います。
20年近くガンバ大阪の屋台骨であり、顔であったものの、ワンクラブマンでもないし、そのことにこだわってもいないのは明白でしたから、いつか指導者としてガンバ大阪に戻ってきてくれるとしても、ガンバ大阪で引退は微妙だなぁ、と。
(プロ1年目に横浜フリューゲルスが消滅することなく、ヤットもずっとフリューゲルスに所属できていたならワンクラブマンであったかもしれませんが、それはあまりにも意味のない仮定のこと)
そもそも、ガンバ大阪の歴史の中で、チームの有力選手がガンバ大阪所属のまま引退したのはレアケースですし、それこそガンバ一筋となるとミスターガンバこと松波正信元選手(現強化部長)くらいでしょう。
ユースあがりの生え抜き選手も大抵は主力選手のうちに移籍するか、引退が見えてきた中でカテゴリーを落としてでも現役を続ける選択肢をとっているので、それを思えばヤットの移籍はある意味ガンバ大阪主力選手の一般的な道と言っても良いはず。
今後、ずっとガンバ大阪所属のまま引退すると思える主力選手は宇佐美貴史選手くらいだろうし、それこそ彼が他クラブへ移籍なんてなったら、ヤットの移籍どころじゃない驚天動地なことですが、それでも先のことは判らないですからね。
なので、移籍そのものの驚きはなく、けれども、今季途中で移籍するタイミングには最初ビックリしました。でも、冷静に考えれば、割とすぐ納得のいくことでもありました。
移籍が正式発表される前後に、ガンバ大阪の報道には定評のない某スポーツ紙でヤットと恒さまの対立があるような記事が載ったり、取材なんか1ミリもしていないであろう夕刊紙が10倍くらいにして煽る記事があったものの、さすがにそれらは論外すぎるのでスルー。
ヤットも恒さまもプロ意識の高い人であり、熱いモノを秘めながらも状況をクールに分析判断するところは非常に似ている2人ですから、起用する方もされる方も、ある種の割り切りをもって接していただろうと推測します。
選手にとっては思うように起用してくれる監督が良い監督なわけで、そういう意味では不満はあったでしょうが、状況を考えれば「こういう状況も仕方ないし、だからもっと自分の活躍できる場を」とヤットが思っていたことは移籍会見全文を見れば感じ取れます。
■ 【G大阪】遠藤保仁、移籍会見全文。「新たなチャレンジにわくわく」将来の復帰希望も(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース
会見や信用できる記者による記事から、具体的に移籍を考え始めたのはこの夏で、9月の状況を鑑みて決断を下したのではないかと勝手に推測しています。(最終的には磐田が監督交代も込みだったことだろうけど)
移籍決断のキーポイントが何であったかは全く無関係の私が知る由もありませんが、一つは大卒新人、山本悠樹選手の台頭だったのではないかと思います。
フォーメーションに依って多少変わるものの、今季ボランチは井手口陽介選手と矢島慎也選手がファーストチョイスで、ヤットは矢島の2番手という評価だったのではないかと思われる起用でした。(今のガンバ大阪で井手口は居なくなったら守備崩壊するレベルの絶対的存在)
ところが矢島が怪我したのち、その代役として起用された山本悠樹選手がその穴を埋める以上の活躍を見せてくれました。ポジション的に派手な活躍はないものの、
矢島が戻ってきてもファーストチョイスは山本君で良いのでは?
と思う存在感だったのは、ガンバ大阪の試合を見ている人の一致した見解ではないだろうかと思います。即戦力が期待される大卒ルーキーとはいえ、まだ1年目と思えばこの先への期待は限りなく大きくなりました。
ガンバ大阪ユースから大きな期待を持ってトップ昇格してきたボランチ候補は幾人もいたけれど、なかなか J1 のスタメンを取りきることができず長い時間が過ぎましたが、スタメン起用ですぐ能力を発揮した山本選手にはその可能性を感じさせてくれます。
ガンバ大阪移籍3年目の矢島選手にとっては、レンタル移籍を経ながらようやく掴み取ったかに見えたスタメンが脅かされることになりましたが、チームとしては矢島、山本両選手が競争するレベルでいるのは(今季の過密日程を考えても)嬉しい話です。
ところが、山本選手の台頭により、今まで20年、ガンバ大阪の屋台骨であったヤットは3番手評価になったと言っても良いでしょう。矢島選手が怪我で抜けていた期間は(主にサブで)出番があったものの、矢島選手が戻ってきたら出番はさらに少なくなるのは予想できました。
もちろん、それでヤットの持つ能力が衰えたわけではなく、直近でも9月23日の名古屋戦における宇佐美の決勝ゴールはヤットから小野瀬への縦パスが起点であり、まさしく
おお、さすがヤットらしいキラーパス!途中出場でも存在感あるわ〜
と、観ていた人全てに思わせるシーンでした。
ただ、そういった活躍ができるにも関わらず、その日も残り15分に山本選手と代わっての途中出場であり、そういう起用が普通になっていたことに、ヤット自身ももどかしく感じていたことは想像に難くありません。
その頃までは怪我で離脱中だった矢島が復帰したのちの自分の扱いを考えれば、ヤットが願うようなスタメン出場というのはさらに難しくなるわけで、それを思えばヤットの移籍は止むを得なかった、驚く話でもなかった、と思っています。
ずっと見ている人なら判ると思いますが、ここ数年のヤットは素人目に見ても少しずつクオリティが下がっている部分がありました。止むを得ないことでもありますが、哀しい現実でもあります。
勘所に出すパスや試合の緩急をつけるプレーなどに衰えは見えなくても、フリーキックの精度は全盛期ほどは望めなく(近年のFK、CKは他の選手が蹴ることが多かった)、J1 のステージでは昔ほどボールを取られないヤットでもなくなりました。
あまり動かない印象と違って実は走行距離の多いヤット、調子の良い時は今も変わることはないのですが、季節によっては J1 のプレースピードで90分動くのが厳しく見える時もありましたし、一瞬の動きのレスポンスにも陰りを感じさせる時もあったように思えます。
昔のヤットだと、あんなことはなかった(あっても記憶に残らない程度だった)のになぁ
そう思うことが少しずつ増えていたのも事実。
逆に、試合の後半途中から出てくれば、状況を打破したり、決定的な場面を作れる選手なのは今でも変わりません。先に書いたように、つい先日も目の前で観たばかりです。
ベンチメンバーとなっても途中出場で頼れる、違いを見せられる選手がゆえ、彼がスタメンにこだわらずガンバ大阪に貢献してくれるなら理想でしたが、さすがにそれは無理だったわけで。
彼ほど偉大な、そして今でもやれる選手ならば、やはりスタメンにこだわりたいでしょうし、出場時間がある程度ないと衰える速度が速くなるようなことを言っていましたから、いくら20年いたクラブとはいえ、サブで短時間出場の我慢を強いられることが受け入れられないのは理解できます。
■ 「衰えるのは、全部よ。でもね…」遠藤保仁が明かしていた現役続行への確固たる道筋 | サッカーダイジェストWeb
どんな形でも最後までガンバ大阪にいて引退してくれれば、ファン、サポーターとしては理想ではありましたが、かと言ってスタメン出場、主力選手で居続けられるわけではありませんし、それを良しとしない彼との別れは止むを得ないことではあります。
今の宮本監督の採るサッカーが、今のヤットを活かせるサッカーとは少しズレもあるように思えますしね…
いずれにせよ、誤解を恐れずに言えば、
ガンバ大阪は脱ヤットが遅すぎた
と、個人的には思っています。
ヤットのポテンシャルの高さがあったにせよ、彼が40歳になるまで追い越す選手が出てこなかったのはガンバ大阪がタイトルから遠ざかった一因だとも思っています。(もちろん賛否あると思いますが)
例えば、近年 No.1 クラブであり、今季は断トツに強すぎる川崎フロンターレを見ると、中村憲剛選手はクラブの中心選手であり柱とも言うべき選手ですが、彼が出場していなくても変わらず強い。精神的支柱であっても、プレー面では彼がいてもいなくても高いレベルで成り立っています。
ガンバ大阪もこの10年のうちに、少なくともこの5年のうちに、そうなるべきだったのですが、残念ながらヤット頼みの期間が長すぎました。いくら彼が偉大なプレーヤーだったとしても、長すぎた。
本来、2012年に J2 降格した年にチームの将来に向けた変革は始まって然るべき、と思っていました。1年で即 J1 復帰が至上命題だったため変革が遅れたのは止むを得なかったとしても、長谷川健太監督時代に「Next ヤット時代」への歩は少しでも進められるべきでした。
ところが、三冠制覇という偉業があった余波もあり、脱ヤットへの道筋どころか、長谷川健太監督時代は下手すると00年代後半よりヤット依存が散見される状況になり、それが今に至るまでツケがきていると確信しています。ここ5年タイトルを取れない要因の一つ、そう思っています。
いくら円熟味を増し、プレーにまだ輝きがあるとはいえ、彼も歳は重ねていくわけですから、30歳を過ぎてからも彼を脅かす、追い越せる選手が長く出てこなかった、というのは、彼の偉大さを示すと同時に、チームとしては決して喜ぶべきことではなかったでしょう。
加齢とともに昔ほどのクオリティは望めなくなった偉大なプレイヤーと新しく台頭してきた選手の交代は常にあることですし、むしろ、あるべき姿です。そういう意味では、ようやく、でもあります。
20年間、ガンバ大阪の中心選手として、柱として、顔として、遠藤保仁選手を様々に頼っていた呪縛(というと言葉は悪いかもだが)から脱却すべき時が来たことは、むしろ
ガンバ大阪の新時代に進むキッカケ
ことになると、私は前向きに捉えています。
誰がいなくなってもガンバ大阪は存続し続けるし、J1 にいてタイトル争いをする有るべきところへ戻らなければならないのですから。
さて、恒さまこと宮本恒靖監督の指揮も2年が過ぎ、一昨年のシーズン途中で就任してからの3年目。契約最終年と言われています。
はっきり言って、個人的に今までの宮本監督の手腕に対して満足しているとは言い難いです。シーズン途中に就任した一昨年は、降格を逃れるだけで満足でしたし、9連勝フィニッシュで良かった良かった、でありました。
ただ、自身がキャンプからチームを作ることができ、前年度の9連勝フィニッシュもあって期待された去年の印象が悪すぎました。
前半全然勝てず、若手大抜擢&3バックの大阪ダービー(ホーム)勝利がターニングポイントになったものの、タイトル争いに絡めないまま。ルヴァンカップは準決勝で惜しい敗退だったけれど、天皇杯で前年に続いて大学生に負けたこともあって印象が悪いものでした。
そして、今季。
オフの補強は色々な事情があったものの、ガンバ大阪にしては珍しいくらいの、ファン・サポーターが大満足するレベルの補強でしたから、去年の分も期待は高まるばかり。リーグ開幕戦で昨季優勝のマリノス撃破…といったところで、コロナ禍によるリーグ中断。
それは仕方ないし、リーグ再開後も結果としては割と好調で、7月が終わった時点では独走気配の川崎に次ぐ2位。なんとか食らいついて…と思っていたら、8月は負けがこんで9位まで転落。ルヴァンカップもグループリーグ敗退。
川崎独走まくりでリーグ優勝の目がほぼ潰えた9月になると、また勝ち星が積みあがって現在7連勝で4位。試合数の関係で2位も射程圏内というのが現在のところ。
正直なところ、
結果だけなら可もなく不可もなし
な印象。これだけの選手が揃っているなら…だけど、怪我人も多いので止むを得なかった部分もある。
ただ、ぶっちゃけ
やってるサッカーは GAMBAISM なの?
という、もどかしさがあります。
去年からガンバ大阪のスローガンは GAMBAISM であり、ガンバ大阪らしいサッカー、攻撃サッカーを見せる、と言っていたけれど、それがコレなの?という思いは消えない。
GAMBAISM というなら00年代の楽しい攻撃サッカー、ポゼッションサッカー、パスサッカーじゃないの?と思うのだけど、私が考え違いしているのだろうか。
ガンバ大阪 U-23 のサッカーを見ていると GAMBAISM を体現していると感じられるだけに、トップのサッカーが GAMBAISM とは違うように見えてモヤモヤ感がある。
また、7月の4連勝の時も、今の7連勝の時もそうだが、
勝ったけど内容は…
という試合が多いこともある。
試合は押されまくりだったけど勝ち点3をもぎ取った、というのは素晴らしいことだけど、そういう試合が多いと
何か知らんけど、今日も勝ったわ\(^o^)/
みたいな印象が続いて、それでええんか?とも思う。
選手がハードワークしたプレーを見せてくれているからこそ勝てているわけだし、贅沢な話かもしれないけれど、どこか物足りないのも事実。宮本監督は今年が契約最終年だから結果にこだわるのは仕方ないとしても…である。
ま、それは00年代の(ある意味勝っても負けても)エンタメだったサッカーの捕らわれている自分が悪いのかもしれないが、だったら GAMBAISM なんて郷愁を煽るスローガンにしないでくれよ、と思う。
そういうことから、GAMBAISM から連想するサッカーよりは長谷川健太元監督のサッカーに近いことも含めて、今の宮本監督の手腕には決して満足していませんでした。
ただ、去年5月の大阪ダービーで成功した3バックが今季あまり機能していないのに拘り続けたのをようやく捨てられたし、ゲーム途中の選手交代も一時期よりは功を奏することが多くなったので、私の中でのイマイチな印象は少しずつ変わりつつあります。
さらに昨季以降、今回のことも含めて、
長年どの監督もしてこなかった
脱ヤットを成し遂げた
脱ヤットを成し遂げた
ことを思うと、さらに数年、ガンバ大阪の指揮を執ってもらって、(前向きな意味での)脱ヤットの責任も取ってもらわないといけない。
ヤットのいない新しいガンバ大阪
のチーム作りを行う責任
のチーム作りを行う責任
が宮本恒靖監督にはあるし、単にクラブのレジェンドというだけでない存在の大きさは、それを成し遂げるに相応しいと思っています。
多少批判的なことも言う私だけど、一応昔からのガンバ大阪ファンである者として、宮本監督、山口ヘッドコーチ、松代GKコーチという、楽しかったあの時代の選手がメインスタッフでタイトルを、リーグ優勝を取って欲しいと心から願っています。
ヤットの移籍という変革期において、新しいガンバ大阪のチーム作りに期待したいし、できれば GAMBAISM を見せて欲しいと思います。