一度はミラーレス・システムに完全移行したものの、やっぱりアカンと1年でデジタル一眼レフへ舞い戻ってきた2年前。その時、最初に購入したレンズが通称ゴーヨンと呼ばれる 500mm F4 という単焦点レンズ「AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR」でした。

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その後 300mm F4 をすぐ購入したり、1〜2年のうちに望遠、超広角、標準の各ズームレンズを購入しましたが、ゴーヨンFL は絶大な信頼を寄せることができるメインレンズ、自分にとって基準となるレンズであり続けています。

とは言え、ゴーヨンFLは俗に言う“大砲レンズ”の一つであり、重量もさることながらその大きさから、使う場所、使える場所を選んでしまいます。それが理由で、昨年末に 2本目の 500mm 単焦点レンズ「AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR」を購入しました。

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注文から半年以上入荷がなくて一度は諦めて別のものを買ったのに、思い直して無理して購入したため今なお懐は火の車であり、さらに購入した最も大きな理由が

「大型レンズが使えない(使うと周囲の迷惑になる)3密なサッカースタジアムやアメフト観戦でより良い写真を撮りたい」

というものだったのに、新型コロナウイルスによってJリーグは長らく中断となって再開の目処も立っていません。

無理くり50万出して買ったのに、まだ2試合180分しか使えてない…orz


という有り様で、

何のために無理して買ったんやー!┐(´д`)┌


と嘆きたいところもあります。いやホント。まぁ今になって買おうとしてもレンズ生産が止まっていて、さらに買えなくなったかもしれませんが。

とは言え、ゴーゴーロクPF は元々観客の多いサッカーやアメフトの試合で使う予定だっただけでなく、

気軽に持ち出せる、お散歩500mm


としても考えていましたし、実際そうなっていて購入以来、思っていた以上によく使っています。

そして、この2本を半年間併用してきて思うのは、

ゴーヨンとゴーゴーロクPF
2本の500mm単の使い勝手は随分違う


ということ。同じ 500mm 単焦点レンズでも方向性の違う2本。



そんな2本の 500mm を比較して思うところ、自分なりの使い方の違いを何点か記しておきたいと思います。


(1)条件によって決定的な被写界深度の差

500mm f/4E FL と 500mm f/5.6E PF の一番の明確な差は、言うまでもなく開放F値の差。F4 と F5.6。この開放F値の差は特に問題にならない時もあれば、大きく差の出る場合もあります。

開放F値の差が明確な差となる点は幾つかあり、絞り1段分違うということはシャッター速度や ISO感度も1段分違うので、暗所撮影時のシャッター速度や画質に影響を与えることがあるのは言うまでもありません。

ただ、それよりもレンズの差として感じるのが、絞り開放時の被写界深度。

飛行機を撮っている分には、絞り開放時の被写界深度が気になることはあまりありません。フェンス抜きも飛行機撮影の場合は二重フェンスというのはそう多くないので、フェンス一つなら絞り開放 F5.6 だからダメというようなことは稀でしょう。(F4 の方が良いのは間違い無いけど)

ところが、サーキット撮影では二重フェンス越しということが少なくありません。そうなった場合、絞り開放F値の1段の差がてきめんに違いを生む場合が多々あります。

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例えば、鈴鹿サーキット逆バンクDスタンド最下部から撮影する場合、二重フェンスのコース側フェンスにプロカメラマン用のフェンス穴が開いている場所を確保できれば良いのですが、SUPER GT のように人気のレースではなかなか空きませんし、少しズレたところから撮りたい時もあります。

500mm F4 のレンズならばフェンス穴が開いていない二重フェンス越しでも(後処理も含めて)まずまず撮影できますが、開放F5.6となると2つ目のフェンスの映り込みが厳しくなります。

また、最終コーナースタンド下からの撮影のように 500mm F4 でもコース側フェンスの映り込みがギリギリな場所では開放 F5.6 のレンズでは手も足も出ません。このように限られた条件ではあるものの、絞り開放F値の違い、即ち

被写界深度の差が撮影条件の柔軟性の差


に繋がることはあるため、いくら楽できたとしても 500mm f/5.6E PF を完全に 500mm f/4E FL の代わりにすることはできませんし、サーキット撮影では 500mm f/4E FL がファーストチョイスになります。

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もう一つ、被写界深度の差を必要とするのは、スポーツ撮影の場合。スポーツ写真も基本的には人物写真ですから、被写体を浮き立たせたいことが殆どです。

特にチームスポーツの場合は複数の選手が入り乱れるシーンも多く、そこで主たる被写体の選手はしっかりピントが来て、背後や横にいる選手は少しでもピント範囲から外れて欲しいことも多くあります。また、背景となるスタンドの観客はもちろん、できるだけボケて欲しい。

500mm F4 の場合、400mm F2.8 や 600mm F4 ほど被写界深度が浅くないのですが、それでもまずまず満足できる被写界深度の浅さなのですが、500mm F5.6 となるとやっぱり物足りない。300mm f/4E PF やマイクロフォーサーズで 300mm F4 を使っていた時に近い物足りなさ。

それでも大型レンズは周りの迷惑になるような観客の多い状況では 500mm f/5.6E PF を選択するのがベストだと思っています。ただ、背景の観客のボケ方などを含めて被写界深度絡みではいつも物足りなさを感じます。飛行機撮影などでは殆ど気にならないのですが。

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開放F値の違いによる差でも暗所撮影での感度の差、例えば、ナイトゲームの撮影で「F4 のレンズなら ISO 6400 で足りるところを F5.6 のレンズだから ISO 10000超を使わざるを得ない」ことは、大して気になっていません。D5 を使っている限り、ISO 12800 くらいまでは許容範囲です。(もちろん感度が低いに越したことはないけど)

それよりも被写界深度の差の方が気になることは多く、スポーツ撮影で条件的に可能であれば(周囲に迷惑がない場合は)

楽できるゴーゴーロクより頑張ってゴーヨン持っていくか


と AF-S 500mm f/4E FL ED VR を選択する理由の一つになります。


(2)最大の違いはテレコン耐性その他、汎用性の差

前項でも述べたように、500mm f/4E FL と 500mm f/5.6E PF の一番の差は、開放F値の差。F4 と F5.6。たかが一段、されど一段。この差により使い回しの広さ、使い勝手に大きな差が生まれます。

デジタル一眼レフの AF は開放 F5.6 まで測距できるのが基本。最近の中上位機では F8 まで測距できる機種が増えましたが、F8 で測距可能な測距点はかなり限定されることが多いですし、フラッグシップ機の D5 ですら F5.6 と F8 では測距精度にかなり差があります。

はっきり言えば、いくら F8 まで AF 測距可能と言っても一眼レフでは

開放 F8 の組み合わせは非常用
できる限り使いたくない


のが正直なところ。フォーカス速度が遅くなるだけでなく迷う率はグッと高まるし、構図にも制約が出ます。

となると、条件次第ではありますが(暗所や限界までAF速度を必要する場面ではなければ)、
  • 500mm f/4E FL は x1.4 テレコンを入れるのにさほど躊躇しない
  • 500mm f/5.6E PF でテレコンはできるだけ使いたくない

という差ができます。

もっと言えば、
  • 500mm f/4E FL は x2 テレコンを入れても F8 AF が使える
  • 500mm f/5.6E PF で x2 テレコンを入れると AF が使えない

という、さらに大きな差もあります。

もちろん、テレコンを入れると 500mm f/4E FL x1.4 であっても AF 速度精度は明らかに落ち、暗所撮影や戦闘機の機動飛行での最接近時などではテレコンを入れると厳しくなります。描写面でも鮮鋭さは下がり、空気条件が悪ければ酷く落ちます。2倍テレコンでは尚更です。

とは言え、そういったマイナス面があったとしても

テレコンを入れられるか否かの差は大きい


と個人的には思っています。特に単焦点レンズであるだけに、テレコンの有無で画角の面で融通が利くのは便利です。

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ごく個人的な使い方の話になりますが、500mm f/5.6E PF の場合は、
  1. フルサイズ機で 500mm
  2. APS-C 機で 750mm

の二択になりがちで、x1.4 テレコンを持っていっても使うことは少ないです。

反面、500mm f/4E FL の場合は、
  1. フルサイズ機で 500mm
  2. フルサイズ機+x1.4テレコンで 700mm
  3. APS-C 機で 750mm
  4. フルサイズ機+x2テレコンで 1000mm
  5. APS-C 機+x1.4テレコンで 1,050mm
  6. APS-C 機+x2テレコンで 1,500mm

とバリエーション広く使っています。この選択肢の広さと 500mm f/5.6E PF のテレコン使用時の制約があって、

テレコン使う可能性が割とありそうだな、と思ったら、身軽なゴーゴーロクじゃなくゴーヨンを選択


ということが多いです。テレコン入れるか否か、それがどちらの 500mm を持ち出すか決める選択理由になります。

APS-C機と x2テレコン併用で 1,500mm という画角を AF で超遠距離撮影できる利点も含めて、テレコン耐性というか、テレコンを含めた画角のバリエーションは 500mm f/4E FL の大きな利点だと思っています。

後述するとおり AF-S 500mm f/5.6E PF ED VR がそのサイズに比して如何に素晴らしくとも、前項の被写界深度のことと合わせて 500mm F4 レンズを代用できない点であり、両方必要と思わせる点でもあります。


(3)AF 速度はほぼ互角、違いは…

500mm f/4E FL でも 500mm f/5.6E PF でもサッカーなどスポーツ撮影が自分にとってまず第一。となれば、AF性能が最重要項目の一つになるわけで、ボディのみならずレンズにも AF 性能は要求されます。

500mm f/4E FL に関してはメーカーの威信をかけた超望遠単焦点レンズの一つであり、全く文句のないものですが、お値段半分、サイズも重量も半分の 500mm f/5.6E PF も AF速度精度は見劣りしないレベルです。

同じく小型軽量を志向した初代PFレンズの 300mm f/4E PF の AF 性能は正直なところ凡庸で、最近の望遠単焦点レンズとしてみればはっきり期待外れのAF速度でしたが、500mm f/5.6E PF はレンタルして試した時に満足できるもので、購入を決意した理由の最も大きな要因でした。

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とはいえ、500mm f/4E FL と 500mm f/5.6E PF の両者の AF で差がある点を挙げるならば、
  • ダイナミックAF やゾーンAF で被写体の背景にフォーカスが抜けたり、交錯する別の選手へフォーカスが切り替わってしまう頻度が 500mm f/5.6E PF の方がやや多め
  • 500mm f/4E FL の方が夕方以降、暗所の撮影に強い

ということでしょうか。

前者については開放F値の差による被写体深度の差が AF の挙動に影響を与えているのかな?と思っていますが、不規則に速く動く被写体を追う時には気になると言えば気になります。

暗所での AF についても、これは開放F値の差が直結することですので、それはもう小型軽量化とのバーターですから言っても仕方ない話でしょう。

ともあれ、条件を選ばない 500mm f/4E FL の AF の方を信頼していますが、明確に優劣がつくのは限られた条件のみであり、それも「両者を比べれば」というレベルで、500mm f/5.6E PF の AF 性能も十分に高いレベルにあると感じています。


(4)3kg vs 1.5kg / 39cm vs 24cm

AF-S 500mm f/4E FL ED VR は重さ 3.09kg、太さ 14cm、長さ 38.7cm。AF-S 500mm f/5.6E PF ED VR は重さ 1.46kg、太さ 10.6cm、長さ 23.7cm。

数字でも大きな差が明確ですが、実際のレンズを比較してみると大人と子供みたいな差があります。

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500mm f/4E FL はいわゆる “大砲レンズ” と称されるレンズの一つで、世間一般から見れば「危ない人だから近づいちゃいけません」と言われてもおかしくないサイズ(重さ)であります。航空祭とかではもっと大きなレンズに埋もれがちですが(>_<)

それに比べれば 500mm f/5.6E PF は 70-200mm F2.8 クラスのレンズよりちょっと長くて、ちょっと太いレベル。世間一般からすれば「大きなレンズ」ではありますが、カメラ界的にはちょっと大きめ程度であり、20〜25L クラスのバッグにも十分入るお手頃サイズ。

どちらが良いと言うよりも、

「気合いの入るレンズ」と
「気軽に持ち出せるレンズ」


という感じ。

同じ500mmでも接し方や心構えが全く違う2本であり、前項までの話とは別に、撮りに行くときの心構え次第でレンズを選択するところもあります。

また、それぞれのレンズサイズ・重量の明らかな違いから、
  • (航空祭以外で)手持ち撮影するなら 500mm f/5.6E PF
  • 一脚、三脚使うなら 500mm f/4E FL

という使い分けも当然あります。

ただ、航空祭だけでなくスポーツ撮影でも場合によっては手持ちゴーヨンということもあるので、私の場合は手持ち撮影しなきゃならないから必ずゴーゴーロクPF という選択にはならないですね。

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いずれにしても、ゴーゴーロクPF を購入したことでゴーヨンFL を持ち出す機会が減ったということはなく、むしろ

ゴーゴーロクPF購入で
500mm単を持ち出す機会が増えた


と言える、この半年です。

購入前から「お散歩がてらに 500mm」ということもあるかな?と思っていましたが、思っていた以上にそういうことはありましたね。私自身が望遠バカなので、散歩のちょうど良い相棒になってくれました。ズームレンズより楽ですしw

そんなわけで、サイズや重さがあまりにも違うので同じ 500mm 単焦点でも完全に使い分けができている、あまり重複感のない2本という印象です。


(5)断然の信頼感と、小型軽量でも感じる信頼感

いわゆる “大砲レンズ” と称される大口径望遠・超望遠レンズは、それぞれのメーカーが造り得る最高の描写、最速のAF、信頼性、耐久性が備わったレンズなのは言うまでもありません。

その描写は、私みたいなクソ素人がひと目見ただけでも、1枚撮っただけでも並みのレンズとは格の違いを実感するレンズであり、その被写界深度の薄さ、ボケ量の多さも含めて、ある意味判りやすく凄さを感じ取れるレンズでもあります。

その手のレンズの一本である AF-S 500mm f/4E FL ED VR は、私にとって端的に言えば、

このレンズで撮ってダメなら諦められる
このレンズで撮ってダメならオレが悪い


そう思えるレンズ。

クリアな晴天日中順光条件ならこんな馬鹿高いレンズは不要かもしれないけど、空気状態や光線条件がよくなかったり、被写体の動きが激しかったり、撮影条件が悪くなればなるほど差が出る、高い値段を出しただけのことはあると実感できるレンズ。高いんだから当たり前とも言うし、良い意味で値段相応。

加えて言えば、

どんな状況でも言い訳のできないレンズが1本でも手元にあるのは幸せ


だと思っています。特に私みたいにすぐ自分の技量を棚にあげがちな人間には、責任転嫁なんて絶対にできないレンズがあるのは基準としても大切です。

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方や、AF-S 500mm f/5.6E PF ED VR。500mm f/4E FL と比べて開放F値が一段暗いというだけでなく、特殊な PF レンズを使用し徹底した小型軽量さを突き詰めたオンリーワンの 500mm 短焦点レンズ。

癖のある PF レンズを使っているにも関わらず、初代 PF レンズである AF-S 300mm f/4E PF ED VR でずっと感じていた「望遠単焦点としては凡庸な描写」「逆光時に後処理しようもないフレア、コントラストの低下」ということが本レンズでは完全に払拭されているのは称賛に値すると思っています。

開放F値が F5.6 と暗いものの、お値段はそれなりの価格であるわけで、

描写も50万という値段なりのことはあるわ
50万もするんだからこれくらいは当然よね


の両方が言えるのですが、いずれにしても

小型軽量に特化しているとは言え
超望遠単焦点らしい写り、信頼感


はあると感じていて、500mm f/4E FL と同じとまではいかなくても十分に信頼できるレンズとして扱っています。特に解像感という点では非常に近しいレベルです。

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ただ、500mm f/5.6E PF も十分信頼できるとは言え、500mm f/4E FL により信頼を寄せる理由は、上記 1〜3 に挙げた少しずつの優位性、条件を選ばないユーティリティ性であり、また描写の面では逆光など一部条件と、解像性能は近しくても描写の繊細さという点で 500mm f/4E FL に軍配が上がること故であります。

と言っても、それが 500mm f/5.6E PF の信頼性に疑問を感じるようなことではなく、両方のレンズを所有して比べて高い次元での差であり、500mm f/5.6E PF も十分に信頼して使えていますので、念のため。

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以上、2本の 500mm 短焦点レンズ、AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR と AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR の両者を半年使ってきての印象、それぞれのレンズの特徴、自分なりの使い分けを記してみました。

どちらか1本となれば、やはり使い勝手の幅が広くて信頼しかないゴーヨンを選ぶことになるのでしょうが、だからと言って「このサイズ、重さで 500mm」という魅力を知ってしまった今、ゴーゴーロクPF を手放すのも難しいですね。ホント、魅力の異なる2本です。

現在手元にあるニコンFマウントのレンズは 5本のレンズ+テレコン2個で、そのたった5本しかないレンズのうち2本が 500mm 単焦点レンズというレンズ構成の極端さは自覚しており、

70-200mm F2.8 とか 100-400mm とか、500mm 超望遠単を2本も買う前に、もっと買うべきレンズがあったんとちゃうかなぁ?


という気持ちもありましたし、今もなくはないのですが、自分が撮影する/したい被写体と撮影条件を考えれば必要だと判断して購入し、半年経った今は

ゴーヨン持っていても、ゴーゴーロクPF を買ってよかったわ☺️


としか思っていません😁

あとは、なるべく早く撮影に行けるようになることを願うばかりですね…