以前、オリンパスが発売を予告していた 2倍テレコン MC-20 と、このところ噂に上がっていた E-M1 Mark II Ver.3 および E-M1X Ver.1.1 の新ファームウェアが発表されました。

M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20 | 関連アクセサリー | オリンパス
E-M1X (Ver1.1) / E-M1 Mark II (Ver3.0) ファームウェアアップデート公開

2倍テレコン MC-20 は、1.4倍テレコン MC-14 と同じく「これホントにテレコンなの?」というコンパクトさ、軽量さ。フルサイズ用望遠レンズの2倍テレコンともなれば随分とサイズ感があるものですが、相変わらずの小ささです。

画質の方も安心安定でしょう。もちろん、画質も AF 周りも 1.4倍テレコンと同程度とはいかないでしょうが、1.4倍テレコン MC-14 が

こんなに小さく軽いテレコンなのに、ほとんど画質劣化しないし、AF も(元が元だったけど)目に見えるほど落ち込むこともないし、どうなってんの?すげー


という手放しに称賛できる素晴らしいモノでしたから、2倍テレコンになったところで画質劣化はそれなりで抑えられるだろうなんて勝手に思っています。(AF 速度が低下するのは仕方ないでしょう)

MC-20 を試したこともないどころか、テレコンを付けられるレンズを1年前に両方とも売ってしまっているので今後使うこともないですが、MC-14 の経験上、外れはないように思えてしまいます :-)

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そして、E-M1 Mark II ファームウェア Ver.3。E-M1 Mark II に独立したページも作られていますし、Ver.3 リリースを記念したキャンペーンも行われています。

ファームウェアバージョン3.0 E-M1 Mark II | デジタル一眼カメラ OM-D | オリンパス
OM-D E-M1 Mark II Ver.3.0リリース記念 E-M1 Mark II PROレンズシリーズ 進化する機動力!キャンペーン

昨年2月にリリースされたメジャーバージョンアップ Ver.2.0 では(個人的に期待していた)AF 周りのアップデートが殆どなく、かなりガッカリしてメインシステムをデジタル一眼レフに戻す理由の一つになったのですが、今回の Ver.3 では

AF 周りにガッツリ手が入り
機能的にも素晴らしい改善点の数々


で、思わずテンションが上がって速攻アップデートしてしまいました :D

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ともあれ、ファームウェア・リリースページに記載されている Ver.3 ファームウェアの改善項目は、以下のとおり。

  • AFの性能を向上しました。
  • AF方式にC-AF+MF を追加しました。
  • AFターゲットモードに5×5を追加しました。
  • C-AF中央スタートモードとC-AF中央優先モードを追加しました。
  • 静止画の画質を改善しました。
  • 静止画撮影時の低感度画像処理に連写優先と解像優先を追加しました。
  • ISO感度設定にL100を追加しました。
  • 深度合成の撮影枚数を3〜15枚の間で変更できるようにしました。
  • カード書き込み中に再生や設定変更ができるようにしました。
  • 動画ピクチャーモードに「OM-Log400」を追加しました。
  • アートフィルターにネオノスタルジーを追加しました。
  • クイック画像選択機能を追加しました。
  • フリッカーレス撮影機能を追加しました。
  • LVブースト2にLV表示速度優先モードを追加しました。
  • カメラの画像処理エンジンを使い、Olympus Workspaceで高速にRAW現像処理する機能に対応しました

Firmware Update for OLYMPUS DIGITAL CAMERA [ E-M1 Mark II ]

いやぁ、素晴らしい。E-M1 Mark II 購入当初から「なんで、これがないのよ」「なんで、そういう動作しかできないのよ」という点が、今回多数改良されました。

これらの機能、動作が最初からあれば、せめて Ver.2 の時に搭載されていれば、メインシステムを E-M1 Mark II からデジタル一眼レフへ戻さなかったかもしれないのになぁ


とまでは思いませんが(^_^;)、E-M1 Mark II &マイクロフォーサーズを完全にコンパクトデジカメ代わりのサブシステムにまですることはなかったかもしれません。

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とりあえず、何と言っても

カード書き込み中に再生や設定変更ができるように


なったというのは素晴らしいです。って、他メーカーのユーザーからすると「何を今さら」「10年くらい遅れてる」という話ですが、オリンパスは E-M1X までそれができなかったのですから…

ま、カード書き込み中に再生や設定変更ができるようになったとはいえ、E-M1X ですらカード書き込み中の操作レスポンスが悪くて「できるようになったとはいえ、これは…」でしたから、処理能力が E-M1X より低い E-M1 Mark II では推して知るべしなのは仕方ないですね(´Д`)

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そして、個人的に一番ピックアップしたいのは、コレ↓
  • C-AF中央スタートモードとC-AF中央優先モードを追加しました。

スポーツ撮影など不規則に速く動く被写体の場合、1点のフォーカスエリアを完全に被写体に合わしきれない場合もあるので、周囲の測距点を含めたエリアでカバーしたいわけですが、フォーカスを開始して基本的に追い続ける測距点はただ1点でありたいわけです。周囲はあくまで補助。

キヤノンの「1点+上下左右」「1点+周囲」モードやニコンのダイナミックAF は、基本的にそういう考え方で作られています。

しかし、従来のオリンパス機は 5点、9点AF や全点AF では常に「測距開始点もカメラ任せ」にしかできず、顔にフォーカスを当てたいのに勝手に肩や胸などへフォーカスが行ってしまって、しっかりフォーカスしたいところを決めるには結局1点AFしか使えない、という状態でした。

(換算 600mm F4 では、いくら被写界深度の深いマイクロフォーサーズでも、肩にフォーカスが行くと顔はピントは甘々になりすぎとなる)

きっと Ver.2 になったら…と思っていましたが叶わず、2年越しの今回 Ver.3 でようやく願っていた挙動が搭載されるようになりました\(^o^)/ 特設ページでも、わざわざサッカー写真を載せているということは、「ほれ、文句言ってた奴、試してみろ」ということなのかもしれません(笑)

C-AF の時だけというのは個人的に判りづらいのですが(S-AF と挙動が勝手に変わるのは好きじゃない)、エリアの中央測距点からスタートするモードだけでなく、C-AF の測距挙動として中央を優先するモードも選べるようで、こういったきめ細かな設定を用意するのはオリンパスらしいですね。

ちょこっと試しただけでは、測距開始時にせよ、開始後の乗り移りにせよ、意外と中央以外の点を選択されることが少なくない気がしますが、このあたりは実戦で試して癖を掴むしかないでしょう。

(E-M1 Mark II でスポーツ撮影するためのレンズがないし、飛行機では被写体がデカすぎ&距離があって試すのに相応しくないですので、サンヨンをレンタルしてサッカー撮影で試すしかないかな ^^;)

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他に、C-AF モードでもとっさの MF が可能になる「C-AF+MF の追加」も是非欲しかった機能。奥にピンが抜けてすぐ戻らない時、手前のフェンスにピンが来てしまった時、そういう時にすぐ MF で戻せるのは、動体撮影で必須の機能でしょう。

MF アシスト機能を自慢するより、動体撮影を謳うなら C-AF でもフォーカスリングを常時使えるようにしてくれや


と思ってましたが、これも達成されました\(^o^)/

また、AF ターゲットモードが従来は 1点、5点(1点+上下左右)、9点(1点+周囲)と来て、その次はいきなり全点になっていたのが、ラージエリア的な 25点を用意されたのも良いですね。飛行機などでは使いやすいモードです(^-^)

(E-M1X の自由な測距点形状が設定できる機能はあれば便利かもだけど、個人的には特に必須ではないので、今回搭載されなくてもガッカリはないです)

こちらもようやくの「フリッカーレス撮影」に、「ISO感度設定にL100を追加」も嬉しいですね!(*^▽^*)

特に ISO 100 設定は有難いです。ISO 200 ベースは流し撮りの時に ND フィルターを使っても日中だと下げきれないことがあって ISO LOW を多用してますし、普段のスナップ撮影でも画質的に日中は ISO LOW を常用しているので、低感度の選択肢が増えるのは有難いです。

そんな ISO LOW を常用する私ですから、「静止画撮影時の低感度画像処理に連写優先と解像優先を追加」というのも大変嬉しい機能追加です\(^o^)/ E-M1 Mark II で動体撮影をすることはもう少ないので、普段は是非とも「解像優先」を常用していきたいと思います(^^)

あと、使う機会は少ないのですが「LVブースト2にLV表示速度優先モードを追加」というのも嬉しいですね。LVブースト2 ではタイムラグが大きくて花火などではいささか使いづらくて1にしていたのですが、今年撮る機会があればLVブースト2を使ってみたいです。

他に使う追加機能と言えば「クイック画像選択機能」くらいですが(AF低輝度限界-6EV は F1.2 のレンズを持ってないし、買う予定もないので無関係)、もう十分これらだけでも

かなり満足度の高い機能追加


であることは間違いありません。いやホント、Ver.2 の時に欲しかったなぁ……

もちろん、追加された機能でも「もうちょっと…」という部分は出てくるでしょうし、「AFの性能を向上」「静止画の画質を改善」というのは今後使い続けて感じられるかどうかになりますが、機能追加の部分だけでも大満足です。

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個人的にはメインシステムをフルサイズのデジタル一眼レフシステムに戻したため、E-M1 Mark II とは(1年前までと違って)気楽な気持ちで付き合うようになったので、昔みたいにシビアに思うこともないし、今後についても強くリクエストするようなこともないのですが、とりあえず

なぜメニューを EVF に表示させないのか?


ということだけは、将来改善してもらいたいと思います。EVF を覗いたままメニュー操作できない、メニューボタンを押すと背面液晶でしか表示できないのは不思議です。

オリンパス機の時代遅れ問題のうち、「バッファ書き込みしながら画像再生できない」問題が解決し、「スパゲッティメニュー」「パソコンに繋げないとファームウェア更新できない」問題は諦めているので、せめて「EVF なのにメニュー操作が EVF でできない」点は改善していただけたら、と思います。

あとは、少し試したかぎり C-AF で照度が落ちると AF 速度がかなり低下する/迷うのはさほど変わってない気もするので、AF 周りで改善を望むとしたらそこらへんでしょうかねぇ。

【追記】
コメントで指摘されて気づきましたが、縦横位置別の測距点記憶が今回のアップデートで入っていませんね。E-M1X では実現されているのに何故でしょう?これは動体撮影関係なく、普段からなくてストレスを感じている欠落機能なので、早いところ実現して欲しいですね。

[006475]カメラのファームウェアアップデート方法を教えてください。(設定バックアップ機能のあるカメラ/オリンパスデジタルカメラアップデーター使用) | オリンパス


(12-40mm F2.8 PRO とのレンズキットが安いなぁ)