少し前から確定情報のように「噂」が流れていましたが、ソニーαミラーレス機 Eマウント向けの廉価超望遠ズームレンズ 200-600mm と、ヨンニッパ (400mm F2.8) に続く超望遠単焦点レンズであるロクヨン (600mm F4) が海外で発表になりました。

FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS | SEL200600G | Sony UK
FE 600mm F4 GM OSS | SEL600F40GM | Sony UK

動画含めたレビューが早速載っていて詳しいのは、例によって DPreview。

Sony announces 200-600mm F5.6-6.3 G OSS and 600mm F4 GM OSS lenses: Digital Photography Review

ソニーαシステムの場合、海外発表が先行することはよくあることで、近日中に国内発表もあるのでしょう。600mm F4 は開発発表という噂でしたが、200-600mm 同様に8月発売。ヨンニッパの時のように発表から発売まで1年ということはなくて良いですね。

FE600mmF4GM_1


ロクヨン (600mm F4) は他社同様にメーカーの威信をかけたレンズであり、画質、品質はもちろん、AF 速度精度もニコン/キヤノンユーザーを乗り換えさせる気にさせるポテンシャルがないと話にならないので、その内容については何も心配はないはず。

おまけに、みんなビックリな超軽量ヨンニッパ (400mm F2.8) を発売したら、キヤノンが「実はウチも用意していたんだよ」とばかり、さらに軽量なヨンニッパと、ソニーがまだ出せなかったロクヨンを超軽量化して速攻で発表発売した去年でしたが、今回は

意地でキヤノンのロクヨンより軽く


した感があって良いですね。3,040g!キヤノンの III型ロクヨンもそうですが、ウチのゴーヨン (500mm F4) より軽いんですからねぇ(´Д` )

FE600mmF4GM_2
(MTF曲線の上辺張り付き具合も気合い入ってます)


FE 超望遠単焦点はファンクションボタンも多くて、ここまで要るんかいな?というくらいにありますね。個人的にはあまりボタンが多すぎても、とっさの操作時に誤操作しやすくない?と思いますけど、レンズも多機能化が進み、また超望遠レンズでは左手のレンズ側で操作できた方が便利なことが多いですからね。

(個人的に、ニコンの超望遠レンズのボタン側での機能割り当てがキヤノンと違ってコレという機能に割り当てできないのが悩みだったりしますしね…)

FE600mmF4GM_3


お値段も $13,000 とヨンニッパ+ $1,000 というところで、だいたい予想範囲内でしょうか。キヤノンの最新型もそうですが、すっかり軽自動車が余裕で買える価格になってしまいましたが……

でもって、ある意味噂段階ではロクヨンよりも注目されていた 200-600mm ですが、こちらも「マジか!」という仕様を入れてきました。



200-600mm という焦点距離はニコンの人気超望遠ズーム 200-500mm やタムロン/シグマの 150-600mm を意識したのは間違いないですし、価格的にも 200-500mm が純正レンズとしては安価なことへの対抗でしょう。が、実に良い対抗意識です(^_^)

FE200-600G_1


ソニーのレンズ、特に G/GM レンズは「モノは良いけどお値段高め」というか、従来の同スペック帯他社純正レンズの値段を上回ってくる印象があり、200-600mm もニコン 200-500mm と比べると少々お高めですが、$2,000 という価格(日本では20万円台半ば〜後半?)はテレ端の延長や GM じゃないけど G レンズと思えば、

ソニーにしてはリーズナブルな価格!


なんて思えてしまいます(^_^;)

さらには従来の、ニコン 200-500mm やタムロン/シグマの 150-600mm と決定的に違う点として、

鏡胴がビヨーンと伸びないインナーズーム!


という、このクラス初の仕様。いやー、これは素晴らしいですね!!\(^ω^)/

インナーズームにすると収納時の長さが大きくなりがちですが、鏡胴が伸びないのは中長期的な性能保持の点からも、そして防塵防滴の観点からも個人的には大歓迎仕様です。いくら防塵防滴に配慮とか言われても、鏡胴が伸びるレンズを雨中で使うのは少々躊躇うときもあります。

このクラスの超望遠ズームは安価さも重要なポイントですから、その点は仕方ないと思っていましたが、値段に強気なソニーさんは、価格的に多少不利になろうが、良い仕様でやってきますね。これは人気出そうです :-)

FE200-600G_2
(流石に MTF 曲線はそれなり)


ボディ性能が良くて超望遠レンズが揃い始めても、百万円台後半という超高価なヨンニッパとロクヨンだけでは買える人は限られますが、100-400mm や 200-600mm という高すぎない超望遠レンズがあることでユーザーの裾野は広がり、先々に繋がります。

ぶっちゃけ、150/200-500/600mm の安価で便利な超望遠ズーム(の画質やAF速度)では我慢できない人たちが、各自の懐次第ながら、頑張って高価な超望遠単焦点レンズへ進んで行くわけですから、予備軍を増やせば増やすほど、単価や利幅のデカい商品を買ってくれる人が増えるのは間違いないわけです :-D

この手の超望遠ズームレンズは便利で安価な反面、タムロン/シグマの 150-600mm はもちろん、ニコンの 200-500mm でもテレ側の画質はそれなりに割り引く必要がありますし、AF速度も超望遠単焦点レンズと比べると、もう一声ということもあります。

ですから最新の超望遠ズームレンズとして
  • どこまでテレ側、テレ端の画質を確保できているか
  • AF速度はどうなのか?

というのは、大変興味があります。ソニーやキヤノンの 100-400mm みたいにテレ側画質もイケるレンズだったりすると、飛びもの、動体撮影界隈でもαへの移行ブームが激しくなるかもしれません……

(個人的には、今またミラーレス機に買い替えたことところで、自分の被写体において撮るバリエーションや結果が大きく変わることはないと判断しているので、まだ数年様子見ですね。ポートレートとか風景とかだとメリットは大きいでしょうが、光学ファインダーのメリットも大きい分野ですので)

FE200-600G_3


ともあれ、ソニーの Eマウントレンズは長らく望遠レンズのラインナップがさっぱりでしたが(一眼レフαマウント向け望遠単焦点レンズも全くリニューアルしていなかった)、一昨年夏の 100-400mm、昨夏の 400mm F2.8 に続き、今回も

両方とも気合い入ったレンズ


であることは間違いないですし、スペックだけでも「このレンズならでは」感もあって、

超望遠カテゴリーでもミラーレスで制覇


していこうとする意気込みが伺えます。

(ロクヨンだけでなくテレ端 F6.3 の 200-600mm ですら2倍テレコン対応、AF が効くというのはミラーレス機ならではですね)

なにせ、超望遠レンズを必要とする撮影カテゴリーの機材単価は高い(レンズだけでなくボディもハイスペックなモノが必要)だけでなく、世界的に法人需要が高いカテゴリーです。

ミラーレス機のボディ性能が優位にあるうちにキヤノンとニコンが独占していた金城湯池に食い込み、あわよくばごっそり持って行こうとするのは、今後先細りしかないカメラ業界で生き残るために当然の施策でしょう。

また、今回ロクヨンだけでなく一般ユーザー向けの 200-600mm をリリースするのも、このジャンルで存在感を高め、しっかり根付いて行こうという方針の表れ。高価な超望遠単焦点と適価な超望遠ズームをンバランスよく発売していくのは上手いです。

実際 SNS を見ていると、飛行機撮影界隈の人たちは去年からαに買い替え/買い増した人も多く、本気で検討している人はさらに多そうな印象です。鳥屋さんでもヨンニッパ発売以降はチラホラ見かけるようになってきたと聞きました。

サーキットでもそこそこ見かけます。サーキットの場合は、
  1. レース撮影目的の超望遠レンズな人たち
  2. 観戦メインでカメラは高倍率ズーム、そこそこの望遠ズームな人たち
  3. レースクイーンを撮影するポートレート体制の人たち

が入り混じっていて(レース撮影とレースクイーン撮影両方の人も多い)、2番目の人はミラーレス機な人も多いですし、ポートレートな3番目の人は本当にαユーザーが多くなりました。そしてレース撮影メインの人も、今後αユーザーが増えて行くのは間違いないでしょう。200-600mm とか魅力的ですしねぇ。

ただ、スポーツ撮影の現場では、スポーツ撮影の標準レンズとも言えるヨンニッパこと 400mm F2.8 が去年発売されましたが、正直まだまだな印象。

Jリーグの試合を撮ってるプロカメラマンのレンズ動向は嫌でもチェックしているけど、まだαはレア中のレア。ヨンニッパが発売されてからは見ることはあるけど、稀。

(私が住んでいるところ、ホームスタジアムが地方(大阪)だから、メディア関連のカメラマンの機材も在京メディアと比べるとタイムラグがあるからかもしれない。実際「向こう(東京本社)に機材が行きわたってからこっちに来るんだよ」などと愚痴られたこともあるし)

ソニーとしては、この牙城を崩しに行ってるわけですし、ボディやレンズ性能およびレンズラインナップはだいぶ整ってきたので、今後が注目したいところです。今シーズンはともかく、来シーズンには「ちょっと違う」白レンズを見かけるようになるかもしれません。

プロユースの場合、特にスポーツ関係では、単なる性能やプロサポート体制があるだけでなく、ワールドワイドに細かなサポートの度合いが一番必要なことですから、東京五輪で、どれだけその体制を整え、使ってもらうように貸し出しを始めアピールできるかがポイントでしょうね。