このところ忙しくてすっかり本ブログは放置気味で(写真日記ブログは何とか毎日更新)、ゴーゴーロクPF の話も書きかけのまま放置していましたが、一時的に復活で更新。

さて、ニコンの超望遠単焦点レンズ AF-S 500mm f/5.6E PF ED VR(以下、ゴーゴーロクPF)は昨年9月の発売から品薄が続き、今でも予約して取り寄せに1か月〜数か月かかるという人気レンズです。

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なにせ、PF レンズを使うことで 500mm 単焦点なのにレンズ長が 300mm 並みの短さ!70-200mm F2.8 クラスの軽さ!という画期的な超望遠レンズです。

超望遠単焦点レンズとして必須の「開放からキレる」レンズで巷の評判も上々。鳥、飛行機、モータースポーツなどを撮る人にとっては画期的なレンズと言ってもよく、人気になって品薄になるのも道理です。

ミラーレス時代に完全移行する前の一眼レフ向け NIKKOR レンズ渾身の一本ですし、これだけ軽いとむしろマウンドアダプターを付けてもミラーレス向けとも言えます。ミラーレスなら開放F値が暗くてもAFの制約は少ないですしね。


AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR - 概要 | NIKKORレンズ | ニコンイメージング

私はと言えば、1年前にニコンへ出戻った際にゴーヨンFL (AF-S 500mm f/4E FL ED VR) を購入しています。F値が1段明るい反面、大きさも重さも倍以上、ついでにお値段も倍(´Д`)



とはいえ、テレコン入れて使うことも少なくない&二重フェンス抜きもする、ことを考えると、1年前にこのゴーゴーロクPF があったとしてもゴーヨンFL を選んだでしょうが、軽くて短いゴーゴーロクPF は発表時から興味津々だったのは否定できません(^_^;)

いきなり買って試すには高すぎるレンズですが、折を見てレンタルしてでもゴーゴーロクPF を自分の撮影対象で試してみたい、と思っていました。

評判の高さはあちこちで語られていますが、

飛行機相手で絶賛されていてもスポーツ撮影では(AF 周りとか)判らないし、晴天日中メインの飛行機では全く問題なくてもナイター撮影ではF値の暗さも含めて妥協点を上回れるかどうかは、自分のシステムと撮影条件(と下手っぴな腕)で試すしかない


という思いがあったわけです。

E-M1 Mark II の時に味わったような「悪いことは一切言わない」提灯ライターカメラマンみたいなのは別としても、各自被写体が違えば、皆さん撮影スタイルも違うし、当方のような下手っぴは上手い人が腕でカバーできるようなこともできませんからね。

そんなわけで、少し前ですがゴーゴーロクこと AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR を借りてきました :-)

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3日間借りたのですが、年度末の仕事に忙殺されまくり中だったため実際に使ったのは1日半くらいだったのが残念。(天気も良くなかったし)

試し撮りがてら調節がてらの動物園、いつものスタジアムでのサッカー(ある意味本番)、テレコン装着時の挙動・画質を確認するための伊丹空港近郊からの遠距離飛行機撮影と、3つの被写体で試し撮りしてきました。

てなわけで、お試しで使ってみた感想を記しておきたいと思います。細かいところは次回にまわして、まず結論から。


常日頃、兄貴分とも言える ゴーヨン FL (AF-S 500mm f/4E FL ED VR) を使っている私から見て、このゴーゴーロクPF は

色々な意味で正しくミニ・ゴーヨン


と言えるレンズでありました。

今回アレコレ使いながらの印象、さらに撮影画像を背面液晶だけでなくパソコンに取り込んでのチェック、現像してみて、
  • 評判どおり絞り開放からビシッとキレる画質で、絞り開放常用に不安なし

  • AF もゴーヨンFL と同等とまでは言わないけれど(開放F値の違いがあるのでやむを得ない)、サッカー撮影でもほぼ満足できる速さと安定性

  • 手ぶれ補正もまずまず良く効く
    (VR は SPORTS モードでしか使っていないので、そのモードでの印象です。他のレンズでも VR は SPORTS モードでしか使っていないので)

  • 重すぎず軽すぎない適度な重さと、意外と細身で持ちやすく撮影時のホールディングも良い

  • 防滴性能も多分問題なし(期せずして雨中撮影する羽目になった)

というのが率直なところ。基本的に、スペック上の制約(開放F値の暗さ)を除けば、ほぼ不満の出ることはありませんでした。

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所有してきたサンニッパ、ゴーヨンと比べてみても

大口径超望遠レンズと変わらぬレベルで
絶対的な信用信頼が置けるレンズ


というのが、私自身の第一印象。

具体的に言えば、「このレンズ(とカメラ)を使っていてダメなら全て自分が悪い」と納得できるレンズ(機材)である、ということです。

カメラメーカー純正の大口径望遠単焦点レンズ、サンニッパやヨンニッパ、ゴーヨン、ロクヨンなどと同じく、このゴーゴーロクPF も、どんな時でも機材に対して言い訳する余地のない(少ない)レンズと言うことです。

これは私みたいな下手っぴで、すぐ自分に言い訳して妥協を重ねるような人間にとって重要なことです。特に、機材に対する言い訳を封じることで自分を追い込む意味でも、自分にとって大切なファクターだったりします(^_^;)

Tennoji Zoo 2019.3.30 (22)


そして、このゴーゴーロクPF の最もスペシャルなところは、

大口径超望遠単焦点レンズに劣らないクオリティなのに
手持ちで軽々振り回せる軽量さ
70-200mm F2.8 に近い運用が可能


ということ。もちろん、大口径超望遠レンズと比べれば開放F値は1段暗いのですが、それさえ許容できれば圧倒的な可搬性を得られるレンズです。

実際に使ってみると、その恩恵は堪らないものがありました。日頃、メインレンズとしてゴーヨンFL を使っているからこそ実感できるわけです。

Itami Airport 2019.3.31 (7)


兄貴分のゴーヨンなど大口径超望遠単焦点レンズに負けない画質や信頼性を持ちながら
  • 70-200mm F2.8 や 100-400mm クラスの望遠ズームレンズと同じ 1.5kg で、長時間振り回せる軽さ

  • レンズが軽いから私みたいな腕力なしの軟弱人間でも速い/不規則な動きの被写体を追いやすい

  • レンズ長が 23cm、フィルタ径が 95mm と「ちょっと太い」70-200mm F2.8 or 100-400mm という感じなので、70-200mm F2.8 を想定したカメラバッグに入れられる場合が多い

  • 70-200mm F2.8 クラスが入るバッグが使えるとカメラバッグ・バリエーションも大きく広がるし、大口径超望遠レンズと比べて持ち運び時の負担が圧倒的に違う
    (重さだけでなくサイズも違う=バッグが小さくて済む=バッグも軽くて済む)

  • 大口径超望遠レンズを使うと周囲から引かれそうな場所、周囲の人に迷惑がかかりそうな撮影ポジションでも本レンズならまだマシ、使えるシーンが増える
    (本レンズでも普通の人にとって大きなレンズですが、航空祭やサーキットでもなければ大口径超望遠レンズは周囲から引かれるのが普通ですからね)

こういった点があるのは、使っていて

このクオリティ、焦点距離で、この使い勝手の良さはホントにええなぁ


と痛感しました。

Tennoji Zoo 2019.3.30 (9)


例えば、サクラ×ヒコーキ狙いで遠距離から圧縮効果をもって撮りたい時、花見客がいっぱいいる中で大口径超望遠レンズを出して撮るのは気が引けるというか、空気読めないお馬鹿度が高くなりがちですし、場合によっては迷惑になることもあります。スタジアムなどのスポーツ観戦の観客席などでも同じです。

もちろん、このゴーゴーロクPF でも一般的には十分デカいレンズですが、兄貴分のゴーヨンと比べると圧迫感や周囲への邪魔具合は断然違います。長さも違いますが、口径(太さ)が全然違いますから、圧迫感、威圧感?は大きな差があります。

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(ゴーゴーロクPFとゴーヨンFL)


また、3kg 超のゴーヨンFL は一脚や三脚が使えない/周りの迷惑になる場合に手持ちで撮る場合だと、休み休みじゃないと(軟弱人間の私は)とても腕が持ちません。(ボディと合わせて 4.3kg くらいあるし)

航空自衛隊の航空祭なら十分休みがあって1回の飛行展示が15分程度なので腕は持ちますが、岩国フレンドリーシップデーのような次から次へと飛行展示が繰り出されて休む暇がないと、大口径超望遠レンズだと午後には腕がヘロヘロになっちゃいますが、ゴーゴーロクPF くらいの重さなら断然楽です。

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(でかいフードを外しても太さの違いが顕著)


また、高速シャッターが必要なサッカー撮影のナイトゲームに開放 F値が F5.6 の暗いレンズを使うということで不安があったのですが、

高感度に強い D5 との相性が抜群


で、十分実用になると感じました。

J1 の試合だと最低でも 1/1250〜1/1600秒以上で切らないと意図しない被写体ブレが量産されてしまうので、いくら F5.6 のレンズとはいえ、そのあたりのシャッター速度を設定します。となると ISO 10000 前後を使うことになります。

しかしながら、先にも述べたようにゴーゴーロクPF は、
  • 絞り開放からキレキレの画質
  • スポーツ撮影にも十分対応できる AF 速度、安定性

ですから、ISO 6400 以上の超高感度でも使える画質を出してくれる D5 なら実用的に使えます。

ナイトゲームでもピントがキッチリ来てる確率も高く、D500 で ISO 3200 あたりを使うよりずっとノイズは少ない分、後処理でアレコレする必要もなく、その点でも楽チンでしたね。

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それから、今回のサッカー撮影では試合開始頃から終了までずっと本降りの雨が降り続き、私は降っても小雨程度だと思って雨対策を持ってこなかったため、図らずも防滴性能を試す結果になりましたが、全く問題なしででした。

値段が倍違うゴーヨンと同じレベルの防滴性能かどうかは判りませんが、ちょっとやそっとでは全く問題なし、ということは実感できました :D

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いずれにせよ、画質や AF に対する信用、信頼は十分に感じられるものでした。開放F値が暗いことによる問題が出る場合もあるでしょうが、レンズ単体で使えば D5 のような高感度耐性の高いボディでナイトゲームのスポーツも対応できると判断できました。(絞り開放からの文句ない画質とAF性能のおかげ)

また、詳しくは次回に書きますが、テレコン付けても(多少条件は選ぶものの)十分使えるクオリティがあります。

そして、とにかく、1.5kg という軽さと 500mm にしては圧倒的な小ささは、

ゴーヨンと違って気軽に持ち出せる
周囲に気兼ねなく使える


という点で、本当に魅力的です。それでいて、廉価超望遠ズームとは一線を画す画質や AF 速度。

大口径超望遠レンズの入る大型カメラバッグではなく、

普通のカメラバッグで出かけられるのに
超望遠単焦点で求められるクオリティをこなせる


というのは、大口径超望遠レンズを使っているからこそ強く感じられる魅力です。

もちろん、両方あっても、ここぞという時、車移動であればゴーヨンを持ち出すことは間違いないのですが、
  • 公共交通機関移動だったり
  • 途中からレンタサイクルで移動だったり
  • 長い時間の手持ち撮影だったり
  • 出張ついでにちょっと撮影だったり

そういう時に、ゴーヨンと変わらない信頼を持って使える小型超望遠レンズというのは、ハッキリ言って魅力的すぎます……

(次回後編では些か細かいところで良い点と、ほんの少しの不満点をば)

(続き→) ゴーヨンユーザーから見るゴーゴーロクPF (Nikon AF-S 500mm f/5.6E PF ED VR) ファーストインプレ【後編】

りん