昨今珍しくもないし、あちこちで言われている光インターネット回線の IPv4 over IPv6 / IPoE 化を、当方もようやく先月実施しました。

本当なら昨年の年末年始あたりにやろうと思っていたのですが、年末から急に仕事がドタバタし始めて長らくペンティングしていたところ、友達が買ったのに使わないと言った IPv4 over IPv6 (DS Lite) 対応ルーターを買い取ったのをキッカケに、やっと行った次第。

IPv4 over IPv6 / IPoE 化のメリットを細かく説明すると長くなるので、誤解を恐れず色々省略して端的に言うと

従来から今も主流のインターネット回線契約の接続方式(PPPoE)では、自宅から光ファイバー回線を通ってインターネットへ出るところの接続口で認証処理と(IPアドレスの)変換処理する必要があり、固定回線の利用者多数の時間帯(19〜24時頃や週末)にはプロバイダーが用意するインターネット接続口の処理容量が足りずにネットの通信速度が低下することが多くなってきているのが現状。

けれど、インターネットへ出るための新しい接続方式(IPoE)を使えばインターネットへの接続口で認証処理も変換処理も不要、直接出られる接続口も混雑していないので(少なくとも今のところは)回避できて、混雑時間帯でも速度はあまり低下しない


というものです。



詳しい説明は以下のサイトでも読んでください。(IIJ の中の人の話だけど原則は全てのプロバイダーに共通する話)

てくろぐ: IIJmioひかりの混雑の理由とバイパス手段(IPoE・DS-Lite対応)

もう少し平易?な感じなら宣伝込み記事だけど、以下で。(細かい技術的な部分は略されてますが、そこまで知りたければ、自分で文献あたってどうぞであります)

IPv6対応で速くなる?「IPv6 IPoE + IPv4 over IPv6 接続サービス」って何者

インターネット利用時の速度は接続先サイトやサービスの処理速度にも影響されるので、全部が全部速度向上するわけではないですし、将来にわたって混雑しない保証はないのですが、少なくとも今のところ、ユーザーが関与できる速度改善としては自宅のルーターや回線サービスを IPv4 over IPv6 / IPoE 化すると劇的な改善があることが多いですし、

私自身、劇的な改善があった
週末の夜でも速度低下を感じることが皆無になった


ので(詳しくは後述)、

夜間のインターネット速度低下に不満のある人は、多少のコスト(機材代1万円強〜、場合によってはプロバイダの追加料金)と手間をかけても行う価値がある


と言いたいので、経験談を含めて軽く推しておきたいと思います。

(ただし、IPv4 over IPv6 / IPoE を使う場合、ソフトバンク光BB の IPv4 over IPv6 / IPoE サービスを除き、自宅サーバーを運用や固定IPサービス、特定プロトコル/ポートを利用するサービス、一部ゲームは使えなくなります)



自宅の光インターネット回線の IPv4 over IPv6 / IPoE 化ですが、各自の現状からそれなりの手間(+多少のコスト)をかける必要があります。

まず、IPv4 over IPv6 / IPoE を利用するのに必要なものは、2つ。
  1. IPv4 over IPv6 / IPoE を利用するための契約
  2. IPv4 over IPv6 / IPoE を利用するためのルーター

IPv4 over IPv6 / IPoE を利用するためには、従来の一般的なインターネット接続サービス(プロバイダー契約)では使えません。契約時に PPPoE アカウントとか PPPoE パスワードをもらう契約では使えません。

(IPv4 over IPv6 / IPoE サービス利用時はインターネットの接続に認証処理が不要なので、ルーターの設定にアカウントやパスワードを必要としません)

ですので、改めて IPv4 over IPv6 / IPoE サービスの契約を行う必要があります。

IPv4 over IPv6 / IPoE サービスは「v6プラス」「IPv6高速ハイブリッド IPv6 IPoE + IPv4」「transix」「IPv6オプション」「OCN v6アルファ」など、それぞれ色々な名称で呼ばれていますが、だいたい“v6”という名前が付いています。

自身が今使っているネット契約が「NTT との光回線契約+どこかのプロバイダーとのインターネット接続契約」ならば、「どこかのプロバイダーとのインターネット接続契約」を上記の IPv4 over IPv6 / IPoE サービスに切り替える形になります。

契約上は併用できますし、オプション扱いだったりするので、今使ってる契約そのままに新たに回線契約(と後述するルーター)を追加して、1ヶ月だけ旧契約を残しておくというやり方もできます。

光回線含めてどこかのプロバイダー一括契約している場合(俗に言う光コラボレーションモデル)、IPv4 over IPv6 / IPoE サービス対応のプロバイダーであれば回線種別変更するか、IPv4 over IPv6 / IPoE サービスのオプションを申し込むことになります。(オプション代は安価または無料のことが多い)

最近は大手プロバイダーを概ね IPv4 over IPv6 / IPoE サービスに対応していますし(オプションもしくはサービス移行)、大手以外でも対応を始めているところが多いと思います。が、そうでない場合はプロバイダーを乗り換える必要があります。

(厳密にいえば IPv4 over IPv6 / IPoE の仕組みを提供しているのは VNE と呼ばれるサービス提供会社で、その数は少ないのですが、多くのプロバイダが VNE と提携して IPv4 over IPv6 / IPoE サービスプランを出しています)



IPv4 over IPv6 / IPoE サービスを利用するのに必要なもう一つは、IPv4 over IPv6 / IPoE サービス対応のルーター

IPv4 over IPv6 / IPoE サービスには、いくつかの方式があって、それぞれのプロバイダーが提供するサービスにより、
  • MAP-E
  • DS-Lite
  • 4rd/SAM

このいずれかになっています。(4rd/SAM はソフトバンク光BB のみ)

そして、

利用する IPv4 over IPv6 / IPoE 方式
MAP-E または DS-Lite に対応したルーターが必要


となります。

IPv4 over IPv6 / IPoE サービスのプロバイダーとの契約を光コラボモデル(NTT へのフレッツ光回線契約なしにプロバイダーとだけ契約するパターン)で行う場合は、対応したルーターはプロバイダーから貸与されることと思います。

その場合は、いま使っているルーターをプロバイダーから送られてくるルーターと置き換えて設定し直すだけです。(PPPoE アカウントの設定が不要なので、設定作業はむしろ簡単になる)



反面、「NTT とのフレッツ光回線契約+別途プロバイダーとのインターネット接続契約」という昔からのパターンで利用している人は、プロバイダーとのインターネット接続契約を IPv4 over IPv6 / IPoE に対応したサービスに変更した上で、いま使っているルーターが申し込む IPv4 over IPv6 / IPoE サービスの方式に対応していなければ、新しく IPv4 over IPv6 / IPoE サービスに対応したルーターを購入する必要があります。

さらに、電話をインターネットベースの「ひかり電話」に切り替えている場合、NTT から提供されたルーターと IPv4 over IPv6 / IPoE サービスに対応した新しいルーターを2台同時に運用する必要がある場合もあります。

当方の場合、「NTT とのフレッツ光回線契約+別途プロバイダーとのインターネット接続契約」であり、さらに「ひかり電話」も利用しており、元から使っている NTT の RT500MI が IPv4 over IPv6 / IPoE サービス方式のうち MAP-E には対応しているが DS-Lite には非対応で(記事執筆現在)、DS-Lite 利用の安価な IPv4 over IPv6 / IPoE サービス(excite MEC光 接続プラン TYPE-D)を使っているため、

myIPv6_2


という2段ルーター構成にならざるを得なくなっています。(譲ってもらった IPv4 over IPv6 / IPoE 対応ルーターが、ひかり電話に対応していれば1台で済むのですがそうではないため)

当方の場合、2段ルーターは毎度のことなので別段問題ないのですが、面倒と言えば面倒ですし、ネットやパソコンのことに詳しくない人がやるのは一苦労しかねないので、個人的には

面倒を避けるなら光コラボモデルの
IPv4 over IPv6 / IPoE サービスがベター


だと思います。

プロバイダーを乗り換える時に面倒ですけど、設定その他を面倒だから避けたいと思う人なら、プロバイダーの乗り換えなんてあまり考えないでしょうから……(何かを融通しようと思うと手間暇が増えるのは仕方ないし、逆もまた真なり)


(当方が譲り受けた IPoE 対応ルーター。型落ちなので安い)


最初に書いたとおり、私が今回 IPv4 over IPv6 / IPoE 対応を行ったキッカケは、知人から新品の IPv4 over IPv6 / IPoE 対応のルーターを譲ってもらったことでしたが、その知人宅も

「NTT とのフレッツ光回線契約+別途プロバイダーとのインターネット接続契約+ひかり電話」

で、IPv4 over IPv6 / IPoE 対応のルーター(WXR-1900DHP3)を買ってはみたものの、2段ルーターにならざるを得ないパターンで、私が設定をやってあげようかと言ったものの「面倒なのは嫌」ということで、ルーターを買い取った次第。

まぁ、私自身もルーター複数個の設定とか仕事なら鼻歌交じりでやるものの、自分のことになると「金にもならんのに面倒だねぇ」と思うわけで(^_^;)、致し方ないのかもしれません。

もっとも、知人からルーターを買い取ることをしなければ、ルーターはヤマハの RTX830 か NVR510 にする予定でしたから、その場合は無線 LAN 飛ばすのに、やはり2段ルーター構成になるはずでしたので、ウチにルーターが2個3個あるのは変わらないのですけどね……



さて、長々と IPv4 over IPv6 / IPoE 化にまつわる話をしてきましたが、導入した結果を以下に載せておきます。

IPv4 over IPv6 / IPoE サービスとしては最も安い「excite MEC光 接続プラン TYPE-D」(月額700円、光回線使用料別途)の無料お試しプランを使ってみたところ、9月の三連休前夜の金曜夜という激混み時間帯で、

myIPv6_3


この速度。途中で経由している古いハブがボトルネックになってるっぽいので、自宅内の LAN 機器、ケーブル類を取り回し含めて改善すれば、もっと速度向上するでしょう。

同時刻に無線 LAN で繋がる iPhone で計測しても

myIPv6_4


これ。混雑時間帯でこれくらい出ていれば何の不満もありません。

午前中などすいている時間帯だと無線LAN 経由の iPhone で計測しても

myIPv6_5


これくらいは出るので、特に工夫していない状況ではだいたい MAX 値に近いのではないでしょうか。

従来から契約しているインターネットプロバイダは Asahi-Net と固定 IP サービスを使うための BB.excite の2つを契約していますが、BB.excite は安価な料金(月額500円)のせいか、こちら側を使うと激遅くて、週末の最混雑時間帯(21〜23時ごろ)は 1Mbps 前後まで落ち込むことが不通にありました。

光回線なのに格安 SIM の携帯電話回線と変わらない速度とは是如何に
ワンコイン回線はワンコインなりの速度だねぇ


と思っていましたが、Asahi-Net 側でも最混雑時間帯に 2〜3Mbps まで落ち込むことは珍しくなかったので、ある種諦めはありました。

が、最混雑時間帯に激遅になっていた同じ BB.excite でも

月額たった200円プラスするだけで
最混雑時間帯の速度が100倍(笑)


というのは言い過ぎかもしれませんが、実際そうでした。

もちろん、

この速さがいつまで続くやら


というのは、ネットワーク回線の過去の歴史ではあるわけですが、とりあえず今は、そして今しばらくは、IPv4 over IPv6 / IPoE 化で安価にストレスない十分以上の速度を満喫できそうであります。

自宅サーバーとか一部オンラインゲームとかは不可能になりますが、個人的には AWS や GCP という安価に使えるサーバーがある今となっては自宅サーバーを置く気はもうないですし、ゲームもほとんどやらないので、そのあたりに支障がなければおススメです。

こういうのは早めに手を出した方がお得?期間が長くなりますので、夜間や週末の自宅インターネット速度に不満を感じている人は IPv4 over IPv6 / IPoE 化を考えてみる価値があると思います。

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