仕事絡みで色々頭の痛いことがあったり、体力的にも気分的にも余裕がないと、ブログを書くどころか、カメラ関連のニュースを追うのも面倒になるわけですが、病院の長い待ち時間の間に、久しぶりにチェック。

ただ、全然物欲は喚起されませんねぇ。半年前に一眼レフへ戻ったばかりで、そちらで必要な機材が揃いきっておらないばかりか、地震で壊れたメインのデスクトップ機のリプレースもまだですし……

あと、近年やたら脹脛が怠くなることが多いので、ふくらはぎマッサージャーが欲しいんですよね。レンズよりマッサージ機とか思う自分に、痛切な年寄り気分を感じます(/_;)



さて、Photokina 開幕ということで、最後まで発表のなかったカメラメーカーの発表が相次ぐ昨日でしたが、やはり注目は「ライカ、パナソニック、シグマが参加した Lマウントアライアンス」でしょうか。

この1ヶ月、ニコンやキヤノンのフルサイズ・ミラーレス機を始め、激動のデジタルカメラシーンでしたが、最後の最後にもう一発大物が出てきた感じです。

Lマウント:交換レンズ用ユニバーサルレンズマウント
ライカ、パナソニック、シグマの三社による戦略的協業「Lマウントアライアンス」 | SIGMA GLOBAL VISION


マイクロフォーサーズ系噂サイトの 4/3 Rumours あたりで「パナソニックがフルサイズに参戦するらしい」との噂が載ったのが先月。最初は信憑性が微妙でしたが、今月に入って確定的となり、最後はライカマウントの採用。

パナソニックとライカは長く提携していましたし、映像部門でプロ機材を作り続けていて、企業方針として BtoC より BtoB に傾注している現状、なおかつ商品開発できる体力のあるパナソニックがいつまでも極小センサーのマイクロフォーサーズにこだわる理由はないですから、自然な成り行きでしょう。

LmountLogo


キヤノン、ニコン、ソニーは独自マウントでやれるユーザー基盤や既存製品がありますが、従来シェアの小さなパナソニックが独自のフルサイズ規格を立ち上げるリスクよりライカと共通マウントを選んだのは納得しかありません。

(SNS 界隈でマウント径やらフランジバックの数字をアレコレ言うヲタクな方々をチラ見したりもしましたが、しっかり利益出せる商売をしていけるかどうかの判断の前には些細なことでしょう)

パナソニックもすぐにマイクロフォーサーズから手を引くわけにいかないのは言うまでもなく、新しい F1.7 通しの広角ズームを発表していますし、ライカも Lマウントだけでなく Sマウントのボディを発表したり、それぞれダブルマウント体制ですから、余計にリソースを集約する手段を選んだのは自然です。

【フォトキナ】パナソニック、35mmフルサイズミラーレス「S1R」「S1」開発発表 - デジカメ Watch
ライカ、中判デジタル一眼レフカメラS3 - デジカメ Watch

(パナソニックの S シリーズボディは Lマウントだけど、ライカの Sシリーズボディは従来どおり Sマウント用というのがややこしい ^^;)

さらにシグマが参入するということは、まず間違いなく FOVEON センサーのフルサイズ・ミラーレス機が出るということで、SAマウントボディ開発終了の宣言からも意気込みが伺えます。

SAマウントカメラ・レンズをご愛用の皆さまへ | レンズ | SIGMA|株式会社シグマ

Lマウントは既にライカのレンズはありますし、パナソニックとシグマはそれぞれ注力するレンズに違いがありますから、3社で良いレンズ補完関係になりそうです。来年時点で結構レンズが揃いそうなのも魅力的。

さらに SA→L マウントアダプターだけでなく、Lマウント参入ということで誰もが期待するであろう EF→L マウントアダプターも開発表明していることもあって、なかなか面白いことになりそうです。

ソニーやキヤノンを押しのけてフルサイズ機のトップシェアを奪うマウントになる未来はあまり想像できませんが、4極の一角、いや三つ巴の一角として存在感あるものになる気がします。



そんな、ひと通りフルサイズ・ミラーレス機が出揃った中で、噂すら殆どないのはリコーペンタックスとオリンパス、そして富士フイルムですが、そのうち富士フイルムは APS-C の X マウントだけでなく中判デジタルの GFX シリーズがあるので、フルサイズをやる意味はないのも当然です。

ボディもレンズも矢継ぎ早にリリースして充実する一途の X マウントだけでなく、GFX マウントへの注力具合も素晴らしいもので、自社のみでダブルマウントをここまでのスピード感で充実できるのは、やはり(写真事業とは別の)業績が絶好調で、カメラ事業にリソースを投入できる体力がある強みですね。

GFX50R


今回もレンジファインダースタイルの GFX に、1億画素の GFX が発表され、後者は中判デジタルでもボディ内手ぶれ補正と像面位相差AFに対応というエポックメイキングなものを入れてきて、富士フイルムの開発スピードには感心するばかりです。

35mmフルサイズの約1.7倍の大型センサーを搭載した中判ミラーレスデジタルカメラ「GFXシリーズ」レンジファインダースタイルのデザインで、775gの小型軽量ボディとシンプルな操作性を実現したモデルが登場!「FUJIFILM GFX 50R」新発売 : ニュースリリース | 富士フイルム
35mmフルサイズの約1.7倍の大型センサーを搭載した中判ミラーレスデジタルカメラ「GFXシリーズ」世界最高1億2百万画素センサーなどにより、世界最高峰の写真画質を実現するフラッグシップモデルのコンセプトを公開「GFX 100Megapixels Concept」 : ニュースリリース | 富士フイルム
大型センサー搭載の中判ミラーレスデジタルカメラ「GFXシリーズ」用交換レンズ 最新の開発ロードマップを公開 新たに3本のレンズを加えた、11本の充実したラインアップで、幅広い領域と多彩なスタイルでの撮影をサポート : ニュースリリース | 富士フイルム

プレスリリースのタイトルが長いのは富士フイルムのプレスリリース芸ですが、「35mmフルサイズの約1.7倍の大型センサー」を強調しまくるところは、昨今のフルサイズ・ミラーレス機参入ブームを意識してのことでしょう。微笑ましいです :-)



そんな中、リコーペンタックスとオリンパスに関しては今後どうするんだろうなぁ、というのはあります。この両社が独自マウントでフルサイズ・ミラーレス機参入というのは企業体力的に厳しい現状ですから。

オリンパスが来年初頭に E-M1 シリーズより更に上位機を出すという噂が確定的なものとして流れていますが、これだけ様々な方向性のあるフルサイズ・ミラーレス陣営ができあがってきた中で、20万円クラスの E-M1 Mark II より高いマイクロフォーサーズ・ボディを出して売れるとは思えないのです。

実はオリンパスも一足遅れて Lマウント参入ということならば、それはそれで納得できるわけですし、フルサイズ用レンズの特許を出していたのも納得になるわけですが、いずれにせよ、来年初頭のカメラはオリンパスのカメラの方向性を決めるものになりそうです。

ペンタックスに関してはリコー本体が大変な状況ですから、今後カメラ事業をどこまで続けていけるのか?というレベルな気がしますが、そんな中で(ペンタックスブランドではないけれど)GR III を発表したのは賞賛したいと思います。

ハイエンドコンパクトデジタルカメラ「RICOH GR III」を開発|RICOH IMAGING

GR ブログが再開した時から GR III が出るのは誰しも予想していたと思いますが、それにしても「一度終わったはずのものを、この状況でよく出せたなぁ」と拍手をせざるを得ません。

個人的に Photokina 開幕に向けた様々な発表の中で、一番気になったのは GR III ですが、それについてはまた別途。

GR III_Release1


あとは L マウントの陰に隠れていますが、シグマから 5本のレンズが発表され、待ち望まれていた 70-200mm F2.8 も発表されました。

SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSM | Sports 開発発表 | プロダクト | SIGMA|株式会社シグマ

新しい 70-200mm F2.8 DG OS HSM は Art じゃなく Sport シリーズで来たか!と思って仕様を見ると、重さ 1.8kg!贅沢すぎるレンズ構成にフィルター径 82mm を思うと、その重さは仕方ないのかもしれないけれど……それじゃあ Sports じゃなく Art では?と。

70-200mm F2.8 がメインまたは一番大きなレンズとして持って行く場合には 1.8kg でも全然問題ないでしょうが、300mm 以上のレンズ、特に超望遠単焦点レンズと一緒に持って行くとなると、この重さはなかなか厳しいですね。

この秋冬に揃えるレンズとして 70-200mm F2.8 も購入対象になっていますが、この重さでは対象外になってしまいそうです。ちょっと期待していたのですが(´Д` )

SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports 開発発表および発売日決定のお知らせ | プロダクト | SIGMA|株式会社シグマ
SIGMA 28mm F1.4 DG HSM | Art 開発発表 | プロダクト | SIGMA|株式会社シグマ
SIGMA 40mm F1.4 DG HSM |Art 開発発表 | プロダクト | SIGMA|株式会社シグマ
SIGMA 56mm F1.4 DC DN | Contemporary 開発発表 | プロダクト | SIGMA|株式会社シグマ

他には、むかし使っていたこともある 50-500mm がリニューアルされて 60-600mm で登場したのは興味深いですね。画質は高倍率ズームでしかなかったですが(特に真ん中よりテレ側)、望遠馬鹿には本当に便利なレンズでありました。

新しい 60-600mm の謳い文句は

10倍という高いズーム比でありながら、150-600mm F5-6.3 DG OS HSM | Sportsと同等の高画質を実現


ということですから、謳い文句分を差し引いても随分と画質は良くなっていそうですし、レンズ構成的に贅沢になっています。

ただまぁ、その分お値段だけでなく重さもかなり増加していて、70-200mm F2.8 以上に、ここら辺の便利レンズを(価格はともかく)重さに糸目をつけずに作って需要とつり合うのかどうか、知りたいところです。

(あと、超望遠レンズの割には三脚座位置が後ろすぎてバランス悪そうなのが、かなり気になります。鏡胴がビヨーンと長く伸びるだけに)



あと Photokina 絡みのニュースで気になったのが、

ソニーの瞳 AF が動物の瞳対応になるよ


という発表。次はそうくるだろうな、と思っていましたが、意外と早かった。

【フォトキナ】ソニー、瞳AFの動物対応を予告 - デジカメ Watch

フルサイズ・ミラーレス機としては 1.5〜2世代先を行くソニーが、今回の Photokina 前には比較的大人しめだったのは、

ニコンのフルサイズ・ミラーレス機も、キヤノンのフルサイズ・ミラーレス機も想定内で、急いで手を打つ必要はないわ


という余裕でしょうけれど(去年の D850 対抗機として α7R III のことを思えば…)、先行者としてのレンズ充実ぶりのアピールと、あと12本出す予告とともに、α7 シリーズのキラー機能だった瞳 AF も、フォロワーに追いつかれない進化を出してくるのは、さすがですね。

ポートレートだけでなく動物写真でも瞳 AF が使えるようになると、さらにマウント移行者が増えるかもしれませんし、きっと動物対応の瞳AF 搭載時にはロクヨン(600mm F4)の発表もあるのかもしれません。

今春にデジタル一眼レフへ戻る時にαマウントも迷いつつ(連れ合いが使ってるので共通化できるメリットもあった)、どうしても操作性が手に合わなくて候補外になりましたが、このあたり一歩先、二歩先を行く感は魅力的でありますね。



(α7R III も随分と値下がりしてきてコスパがかなり良さげに)