いつものことながら記事を書いている時と公開にはタイムラグがあるので、既に HP Spectre x360 は手元に到着していて仕事が切羽詰まって時間がない中、アレコレ言いたい愚痴を心の中で押さえ込みながら、初期設定から仕事の環境構築をしつつある状況であります。

HP Spectre x360【1】 〜久々購入の Windows ノートを Sprectre 360 に決めた理由
HP Spectre x360【2】 〜激重な HP 直販ショップで購入から発送まで

新しい Windows 機のセットアップにかかる時間は馬鹿になりませんからね……。仕組み上、Mac のように他で使ってる環境のバックアップからアプリケーションごと引っ張ってきて、レストアにかかる時間を短縮するというわけにもいきませんし。(Mac でもクリーンインストールした方が良いのは決まってるのですが、時間がない時の手段として使えるかどうかは大きい)

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などと書きかけていたのですが、前回記事で触れたとおり、大阪北部地震の震源地域に住んでいて家の内外、特に家の中はメチャクチャになってメインで使っていたパソコン(27インチ iMac)がとりあえず起動するけど、HDD がエラーを出す状態になって、少なくとも仕事には使えなくなりました。

バラして HDD 入れ替えて復旧作業をしている余裕も当面ないし、修理に出してお金かけるには古いので、とりあえず買ったばかりで、環境構築途上であった、この HP Spectre x360 が急遽メイン作業機として投入する状況になっています。効率は悪化するのですが、こういう状況ですから仕方ありません。

とりあえず、震度6弱の中でパソコンが全滅になったりせずノートパソコンはどれも無事で、NAS も RAID 1 でミラーしていたお陰で、1本がエラー出すようになっても復旧できるのは不幸中の幸いでした。メイン機もデーターは救えているので、この状況で文句言ったらバチが当たるでしょう。

ともあれ、月曜朝に大地震が来る前、週末 Spectre x360 が手元に届いて、梱包開けてから初期セットアップしていく過程に記したメモ書きや写真から Spectre x360 のファーストインプレッション的なものを箇条書きにまとめてみました。

▼ 梱包・内容物など

  • 通販だと運送会社や梱包具合が気になりますが、ヤマト運輸で配達してくれるのはとりあえず安心。ちゃんと指定時間通りに来ていただけて、梱包まわりは問題なし。外箱の中に緩衝材に挟まって固定荒れた製品箱がある一般的な梱包。
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    (到着時の外箱。納品書、保証書は外箱貼り付け方式)

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    (下の隙間部分にSpectre用ブリーフケースが付属)

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    (Spectre x360専用ブリーフケースはキツいくらいにサイズぴったり)

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    (専用ケースにはアクティブ・スタイラスペン収納部付き)

  • 製品箱は良いデザインで、蓋を開けたらすぐ本体が見えて、アクセサリー類は本体の下にある、某林檎から始まった最近よくあるパッケージング。外見は良いのだけど、アクセサリーボックスが薄いペラペラな仕切りで、そこらへんパッと見の真似で細部が甘いのもよくある。何よりマニュアル類がちょっとねぇ(後述)
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    (製品パッケージ)

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    (本体の上にセットアップマニュアルがあるが…)

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    (セットアップマニュアルは、このペラ紙1枚だけ。初心者にはキツいかも)

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    (本体下にはアクセサリー類が収納されているが、外側デザインと比べると手抜き)

  • 付属品は HP 独自方式のアクティブ・スタイラスペンと充電器&ケーブルのみ。充電器は USB PD 60W の電源アダプター。USB type C の充電ケーブルは充電器直付けなので充電専用ケーブル。

    ただ、充電器と AC コンセントの間は電源ケーブルの他にコンセント直結タイプのアダプターも用意されている。ケーブルが増えるのが嫌で、充電器はコンセント直結の方が良い私のような人には有り難い配慮です :-)
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    (スタイラスの電池は単5電池)

  • セットアップ手順の紙以外の付属ドキュメントには、いわゆるメーカーサービスや注意事項関係の書類以外に「速攻!HPパソコンナビ」という書籍が付属している。ただ、この書籍は初心者向け Windows 10 ガイドみたいなもので、マニュアル自体はオンラインマニュアルのみ。
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  • ▼ セットアップ・認証(Windows Hello)まわり

    • 買うたびに Windows のセットアップは楽になっていく印象だが、特に HP のパソコンはコンシューマーモデルでもプリインストールソフトウェアが最小限(マカフィーと幾つかの小規模ゲームくらい)なので、Windows 標準のセットアップ作業だけで概ね終わるので、かかる手間暇も最小限で楽。
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      (コルタナが喋って音声認識してくれる今時のWindows初期設定)

    • 本機の指紋認証は一回指当てただけで認証を通ることがまずない上に、何度もやり直すことが多いので iPhone や Huawei の指紋認証の速さに慣れているとストレスが溜まる。
      (それでも長いパスワード入力よりは遥かに速いので使うけど)

    • 指紋リーダーは Apple や DELL のように電源ボタン一体の方が便利だが、本機は電源ボタンが左側面、指紋リーダーが右側面に分かれていて、スリープ解除時に両方手をやる必要があって使い勝手はイマイチ。一体型でスムースに認証できるタイプに慣れていると、Spectre x360 の指紋認証は認識率含めて遅れてる印象

    • 顔認証は登録の時点から全くダメダメで使うのを諦めた。他の Windows Hello 搭載機でも同じだったので、やっぱり使えない機能で、顔認証だけでなく指紋認証搭載機にしておいて良かった。
      (iPhone X の顔認証とは比較するのも失礼なレベル)

    • 起動が速すぎて BIOS 設定を開くのに苦労した。ESC 連打からの F10 のタイミングを掴むのに一苦労(慣れれば難しくない)


    ▼ キーボード

    • キーボードの感触はボディ底面側に厚みがある割にはストロークが浅く、またキータッチの感触もチャチで、モバイル系ノートパソコンであることを割り引いても決して良いとは言えない(こればかりは個人の好みだけど)

    • キーピッチは 19mm と余裕あるので問題なし

    • 国産メーカー機と違って日本語キーボードでもスペースキーがある程度の幅が確保されているのは嬉しい(極狭スペースキーは嫌い)

    • 初期設定ではファンクションキーが機能キー扱いになっていて F1 〜 F12 は fn キー 併用になっている仕様。私は好みではないので、BIOS でファンクションキーは本来の F1〜F12 キーにして、機能キーを使う時は fn キー併用に変更

    • 右下のカーソルキーが小さいだけでなく、ポジションがメインキー部分から微妙にずれてるので使いづらい

    • キーボードの右端、Backspace や Enter キーの右側に Home/End, Page Up/Down の機能キーの列があるのは予想通り使いづらい。
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      使い始め直後からミス連発なので、予定どおり AutoHotKey で home キーを BackSpace に、pg up/dn キーを Enter キーに割り当てて対処。
      (個人的に Home とか Page Up/Down は別のキーボードショートカットで賄えることが多くて無くても困らないので)

    • A キーの左側が Control じゃなく CapsLock キーという糞配列も、ChangeKey でレジストリ書き換えして CapsLock キーを Control に変えて問題なし
      (CapsLock なんて要らない派。スマホだと欲しいけどパソコンでは不要)


    ▼ タッチパッド(イメージパッド)

    • タッチパッドはちょっと感度が良すぎるのか、誤タップしてしまうことが多い。設定で感度を下げても誤タップ、誤選択の頻度はあまり変わらない印象。
      (感度下げると誤タップ頻度はあまり変わらないけどカーソル移動のスムースさは少々落ちる)

    • タッチパッドのスクロールでバッファが残って行きすぎることが多くて使いづらかったが、こちらは設定で調整して対処。

    • タッチパッドの3本指、4本指での機能割り当てカスタマイズができないのが辛い。3本指でコルタナなんて出す必要はないから、3本指スワイプでスクリーン切り替えとか他の機能に割り当てたい。


    ▼ 画面・スリープ・バッテリー関連

    • スリープ状態から液晶パネルを開けても、キーボードを押してもスリープが解除できないことが間々ある。その時は電源ボタンを軽く押してやらねば解除できないようで、ちょっとしたことだけど手間。ってか、ノートパソコンなのになんでやねん、って感じ。

    • USB Type-C だけでなく USB Type-A の両方あるのは自分の要求仕様で、Type-C しかないマシンより使い勝手は確実に良い。が、充電端子は左側面に欲しい人だけど Type-C は2端子あっても右側面しかないのでちょっと不便。

    • ディスプレイは光沢タイプなので外光反射はそれなりにある。安物ノートパソコンみたいな盛大な反射しまくりはないけれど、配慮されてる感はない。

    • 2-in-1 は使わなくても、やっぱりタッチ対応の画面は、とっさに手が出るときに便利。タッチパッドの使い勝手がイマイチで、タッチの方が便利な時があったりする。

    • 画面輝度やコントラストは、はっきり言って物足りない。一般的な室内照度下において、輝度最大にしてちょうどくらい。輝度は上げすぎない私でそう思うのだから、明るくしたい人によっては最大輝度でも不満があると思う。少なくとも使い古した MacBook Air や MacBook Pro の最大輝度より落ちるレベル。

    • バッテリー駆動時のデフォルト輝度は最大から4段階落ちで真ん中より上だったが、到底使う気にならない暗さで、これをバッテリー駆動時の基準にされてもなぁ、という印象。

    • 画面輝度を上から2番目にして、高パフォーマンスモードでネットワークもストレージアクセスもそこそこ使いながらの作業で4時間使ってバッテリーが半分くらい消費。公称値16時間45分は到底保つとは思えないが、自分の使い方で実測8〜10時間くらいはもってくれるかなぁという印象。
      (バッテリー駆動時の画面輝度をデフォルト値に下げればもっと保つだろうけど、そこまで無理して使いたくない)

    • いわゆるオフィスソフトを使っていて、さほど負荷をかけていなければファンが回ることはないが、再起動後から数十秒〜1分、セットアップ中、ソフトウェアのインストール中/アップデート中など、十数秒以上の負荷がかかるとファンが回り始める。

    • ファンは最大に回っても「サーーッ」という乾いた音が少々する程度。静かな部屋の中では聞こえるが、気になるほどではない(個人的な印象)。移動の車内、機内、環境音のするオフィスなどではファン音が気になることはないと言えるレベル。

    • 急速充電は便利。30分で0→50%充電だけでなく、継ぎ足し充電でも速さを感じるので満足。


    ▼ デザイン・サイズ感など

    • デザインは購入ポイントの一つだったと言っても良いが、ボディ外観はデザインには疎い私には何とも表現しようがない、写真でもうまく色が出ない独特の色合いで結構気に入っている。
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    • ただ、今時のモバイルノートパソコンとしては、やや厚め(13.6〜15.5mm)、そしてやや重め(1.29kg)、というのは判っていたけれど、今までの 1.1kg だったノートパソコンからしても重さを感じる。もっとも当初購入予定だった、同じ 13インチの MacBook Pro と比べると同じような厚み、重さだけど。
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      (MacBook Air と比べると明らかに厚みがあるし、厚みを感じさせるボディ)

    • ただ、今どきの狭額縁画面なので、13インチ画面だけど一昔前の 11インチMacBook Air と横幅は変わらず、底面積的にも画面サイズほどの差はないのは良いね。
      HP_SpectreX360_26A

    • キーボードが外れないクラムシェルと 2-in-1 タブレットPC の合いの子のような 2in1 コンバーチブルタイプで、宣伝では「4つのモード」で使える、なんて言っているが、テントモードは立ち方が割と不安定なので外では使いたくないし、スタンドモードはキーボードが底面にあるので、やっぱりこう言う使い方は抵抗感がある。
      HP_SpectreX360_27A

      タブレットとして使う場合もやっぱりキーボードが底面にあることと、タブレットとしては結構分厚く重いので、正直使う気になれるかというと微妙。結局は「普通にノートパソコン」として使うのが一番という印象。今後模索して変わる可能性はないとは言わないが、Windows 自体がタブレットにやる気がどこまで残ってるのか?って感じもする。

    • ただ、画面ががっつり開く、180°なんて余裕、というのは便利な時もあるので◯

    • ボディ底面側の滑り止めはしっかりしていてキータイプしていて微妙に動くようなことはないが、液晶側は剛性感が物足りない。ちょっとしたことで画面が揺れ、タッチした時の揺れの収まり方も弱くて、ちょっと微妙だし不安。(狭額縁だから仕方ないのかもだけど)


    ざっとこんなものでしょうか。とりあえず「こんなの使ってられんわ」的なことはなくて安心しています。事前に店頭モデルをちょっと確認したとはいえ、自分で買って使い始めると店頭では判断できないアレコレは出てきてしまいますからね。

    ただ、デザイン面は気に入っているものの、作業するにあたって最も重要な「ディスプレイ」「キーボード」「タッチパッド」というユーザーインターフェース部分については、ダメとは言わないが満足とも言えないというのが第一印象です。

    ちょっと厳しいかもですが、慣れていない部分があるとしても、
    • キーボードの配列はツールでカスタマイズ必須
    • タッチパッドは誤タップ多めの妙な感度がストレス
    • ディスプレイの質もそれなり

    という感じで、このあたりは「まー、こんなもんか」というのが本音ですね。

    タッチパッドに関しては、

    Mac の非常に使い勝手の良い、感度調整も絶妙な TrackPad に慣れていると Windows 機のタッチパッドで満足できるものはない


    と思うので、Spectre x360 が特に悪いとも思いませんし、ディスプレイについても同じですけれども、満足してもいないものを良くは書けませんので。

    あと、マニュアルが PDF だけなのは別に良いとしても、

    PDF マニュアルの内容が冒頭のハードウェア外観や各種ポート位置の説明のみ Spectre x360 用で、それ以外は HP の現世代パソコン共通の内容で、あちこちの機能説明に、≪(一部機種のみ)≫という注意書きが追加されているが、それが自分のマシンに当てはまるかどうかがサッパリ判らない


    こういう点は、海外メーカーらしい不親切さです。

    「速攻!HPパソコンナビ」という書籍は初心者には良いかもだけど、それ以前に「このマシンでは何ができて、何ができないのか」という肝心なところがマニュアルから明確に判らないのは困りものです。(オリンパスのカメラのマニュアルと一緒)

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    とまぁ、そんな感じのファーストインプレでしたが、次はしばらく使ってみてから感じた点を述べてみる予定です。ディスプレイのプライバシーモードや持ち歩いた時、出先で使ってみての印象などを記していこうと思います。


    (モバイルマウスはWedgeかArc。小ささはWedgeだけど薄さと使い勝手はArc)