梅雨空真っ盛りと家庭の事情に仕事の絡みでなかなか撮影に出かけられず、新しい機材を買ったのにストレスが溜まるばかりですが、こればっかりは仕方ありません(´・ω・`)

そんな中、今日はニコンから「AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR」(以下、ゴーゴーロクPF)の開発発表がありました。

Nikon | ニュース | ニコンFXフォーマット対応の超望遠単焦点レンズ「AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR」を開発

いま造ってるで〜、というだけの発表ですから、重さ、大きさなどは全く記載がありませんが、300mm F4 を従来の3分の2程度、15cm 未満に収めた PF レンズを採用していますから、500mm F4 で 38cm 以上ある 500mm レンズがどこまで短く、軽くなるのか楽しみです。

サンニッパサイズの 25cm を切ってくるのは難しいと思いますが、もしそのレベルまで短くなれば、頑張って購入したいですね!

20cm 台前半なら観客席で使っても隣席の視界を遮らずに使える場合は多いので、APS-C + 300mm レンズで我慢しているところをフルサイズ+500mm レンズに切り替えられますからね。楽しみです!

(でも現実的には、長さは 30cm 切るくらい、重さは 2kg 強くらいでしょうかねぇ)

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さて、前回記事の後半として書いていたのですが、長くなったので分割にした話。ニコンの AF-C と言えば、昔から強力にアピールされているのが、ご自慢の「3D-トラッキング」。

防滴性能への信頼 〜ミラーレスからデジタル一眼レフに出戻って1ヶ月【D500編その2】

同じような機能はミラーレス機含めて各社あるわけですが、そこはそれ、メーカーとしての経験値の差が出るところでもあり、特にスポーツ撮影では顕著な差が出るように思います。

(中には、追尾系の AF を選択すると負荷が大きくなる分だけ処理落ち気味になったり、AF 速度精度が甘くなったりすることもカメラによってはありますし……)

と言いながら、買ったばかりのお試し撮影の時を除いて 3D-トラッキングは、ほとんど使っていませんでした。理由は簡単で、慣れていないから。

購入直後に試した時に「良さげだけど、なんか癖が強いな」と感じて、これは D500 に少し慣れてから実戦投入することにしよう、と。全く新しいカメラですから、最初は違っていても“ある程度読める”機能を使っていきたいわけです。

その方が今まで使ってきたカメラとの違いも判りやすく、理解も早まり、結果も出しやすいと考えたからでした。



キヤノン時代、スポーツ撮りは概ね「1点+上下左右AF」モードで撮っていました。基本的に 1点AF だけど、速く不規則に動く被写体相手だから上下左右の測距点を補助として使う 1 + 4 = 5点の AFエリアモード。

似たようなモードとして「1点+周囲AF」(1 + 8 = 9点)もあり、状況によりそちらも使っていました。モータースポーツ相手にではこのモードを多用してた記憶があります。(飛行機相手ではエリアAF、ラージエリア AF を使う方が多かったかも)

ですので、ニコンへ戻ってきても、まずは全体的に慣れるのを優先と考え、キヤノン時代に使っていたのに近い AFエリアモードで撮ることにして、ほぼ全ての被写体で、ダイナミックAF(25点)をメインに、必要に応じて一回り大きなダイナミックAF(72点)を併用するスタイルで撮っていました。

スペック上の測距点数は多いですけど、選択不可能な補助測距点も多いのがニコンの伝統なので、ダイナミックAF(25点)は実質キヤノンの「1点+周囲AF」に近い、一回り広い程度の感覚で使えています。(癖は違うけど)

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ただ、メーカーが変われば測距アルゴリズムも違うわけで、ニコンのダイナミックAF を使っていて少し気になっているのが、

AF ロックオンのカスタマイズで「横切りへの反応」を鈍感にしても、被写体の前にかぶってきた被写体へフォーカスを持って行かれる確率がキヤノン機より高い感じやなぁ


ということでした。

これは良い悪いではなく、メーカーの違いでそういうもんだ、という話ですが、サッカーを撮影する時に(プロカメラマンのように)ゴール脇から正面方向ではなく、観客席から横方向に撮ることの多い私としては、

もうちょっと乗り移りせずに粘ってほしいなぁ


というのが本音でもありました。

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そして 1ヶ月ほど使って多少 D500 に慣れた段階で、今まで使っていなかった 3D-トラッキングAF を本格的に使い始めました。

正直なところ、まだ 3D-トラッキングAF の癖も把握しきれていないし、対応もできていないのですが、サッカー撮りで数回使ってみてのファーストインプレは

前に他の選手が入り乱れても、しっかり食いつく追尾能力は凄い!
でもダイナミックAF と挙動が違いすぎて、慣れるのも併用するのも大変かも!?


という感じ。

とにかく被写体に一度しっかり食いついてからの逃さない度は素晴らしいし、処理落ちとかそういったことも勿論感じられない。サンヨンだとたまに AF が甘くなることがあるけど、それはダイナミックAF でも同じ。

以下の最初と最後のコマの間に、2〜3コマ目のような思いきり前に選手がかぶりまくる状況があったのだけど、しっかり 40番の選手を捕捉し続けてくれていました。(3コマ目と4コマ目の間は 0.5秒ほどの間がありますが AF ボタンは押しっぱなし)

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2コマ目3コマ目はもちろん、完全にかぶられている最後のコマも捨てる写真ではありますが、ダイナミックAF だと、とっくに手前の38番ないし白の19番の選手にフォーカスが引っ張られてしまう状況。だけど 3D-トラッキングAF は食いついたまま離さない。

これはあくまで一例で、他の状況でも同じことは常にあって、「実戦で使ってみると噂どおりの素晴らしさを実感するねぇ」と感心しました。追尾アルゴリズムは、過去使ってきた機材で最高の印象 :-)

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(ダイナミックAFで同じような被られ方だと鈍感設定でも2〜3コマ目にはピンが移る)


ですが、万事良いことだけではないのも、また事実。

使用頻度の多いダイナミックAF と挙動が少々異なる分、なかなか慣れられない。食いついて離さない度は断然 3D-トラッキング AF なのだけど、
  • 3D-トラッキングAF は全エリア対象なので、同系色の別の被写体に飛んでしまった場合は大きく外して戻らなくなることがある
    (ダイナミックAF 25点, 72点なら測距エリアの制限があるので、全く意図しないところまで測距点が行くことはない)

  • 選手が交錯して意図しない選手にフォーカスが当たってしまった場合、親指を AF ボタンから一瞬離して戻すことで AF をやり直すのは常にやる動作だけど、3D-トラッキングAF は AF やり直しまでの時間がダイナミック AF に比べて多めに必要な印象

というあたりがまだ慣れずにいます。

AF の食いつき方、連写している途中でフォーカスが少し甘くなる瞬間などの癖が 3D-トラッキングAF とダイナミックAF では微妙に違うのかなぁ?とも感じていて、被写体や場面に応じた両者の使い分けも含めて、

3D-トラッキングAF は強力だけど
癖を把握して使いこなすにはまだしばらくかかりそう


って感じです。

ま、趣味ですから、そういった未知の部分を少しずつ学んでいくのもまた楽し、であります。ユーザーがコントロールできない癖や不可解さはストレスですが、こういうのは慣れて使いこなしていく性質のものですからね :-)

いずれにせよ、3D-トラッキングの強力さは思っていた以上でしたので、これから使える被写体、状況を見定めて、他の AF モードと併用しながら、よりヒット率が上がるように頑張りたいですね。