先日、私と同じく長年 iPad Air 2 を使っていた友人の Air 2 が新型 iPad 発表数時間前に突然死して、慌てて閉店間際の Apple Store に駆け込んで(もう旧型になった)9.7" iPad を買ってしまう事件?がありました。

「新しい製品が出ても買った物の価値は変わらない」などと寝言をいう人がいますが、新モデルが出れば旧型の価値は明らかに下がるわけで、購入から数時間後に新モデル発表というのは、なかなかキツい話です。購入から数日で新モデル発表という事例はありましたが、購入数時間後というのは周りで初めてのケースでした(^_^;)

新型 iPad が発表された当日に連絡してきましたが、Apple Store へ行く前にひと言連絡くれれば…と思いつつ、「Apple Store は返品が効くはずだから何とか返品して新型を買い換えるべきやで、頑ばれ!」としか言いようがなく……

New iPad 2018


と、書いていたのですが(2週間くらい前に書き始めた記事なので ^^;)、その後どうしたのかな?と思っていたら、

旧型 9.7" iPad を返品して、iPad Pro 10.5" と iPhone X を買っちゃいました


というメールがやってきて、ビックリ!!(◎_◎;)

iPad Air 2 から廉価 9.7" iPad に買い換えて「ちょっと厚いですよね」と言っていたから「iPad Pro なら Air 2 と同じ薄さだよ」と言ったのは私ですし(6月に新型が出るかも?とも伝えたけど)、「iPhone も古いので買い換えたいけど、iPhone X は高いので…」と言った彼に、「無駄に高いから背中は押せないけど、2年でなく3年使うと思えば今までと同じようなもんかも」「ちょうど年度末だから探せば安いところがあるかも?」と言ったのも私(^_^;)

ですけど、まさか両方一気に行くとは思わなかったので驚きました。ってか、私も刺激されてしまいますね(^_^;)

iPadKeyboard201802Anker07


てなことで、不定期に記している Pro じゃない iPad の私の使い方の話。今回は大多数の人には無関係だけど、わたし的には必須のアプリである ssh です。

ってか、もはや Pro じゃないとか Pro だとか関係ない話になりましたが、なんとなくタイトルはそのままで。

ちなみに、ssh?なにそれ美味しいの?という人は、この記事は 120%不要なので、もっと有意義なサイトを見に行きましょう :-)

さて、iPhone / iPad で使えるターミナルアプリは AppStore 初期の頃からかなり豊富にリリースされ、その後淘汰が進み、メジャーどころはそこそこレベルの高い、実用的に使えるアプリが揃っています。

ただ、初期の iOS はサードパーティ製アプリがマルチタスクに対応できなかったので、アプリを切り替えた途端に接続が切れ、コンソールとにらめっこするしかない状況でしたが、今は(制限付きながら)マルチタスクが問題なくでき、特に iOS 11 + iPad ではマルチウィンドウで使えるので、そこそこ使える環境になりました。

IPadSSH01
(ssh とプログラミングエディタで Split View)


とはいえ、バックグラウンドに回して放っておくと(たいていの場合は)接続セッションが切れるのは、プログラミングエディタが使えるレベルにあっても満足には遠いのと合わせて、その手のお仕事を iPad で行うのに最も大きな障害、ストレスです。

ですので、iOS のバックグラウンドアプリのタスク継続時間制限を回避するため、たいていの iOS 向け ssh アプリには

アプリをバックグラウンドに回してから3分が経ってセッション接続が切れる前に通知してくれる機能

が付いています。

また、iOS 11 からは Split View / Slide Over の2画面同時表示を使うことで、この制約はだいぶ回避しやすくなりました。(後述)

そうはいっても厄介なことは厄介な制約なので「Android のようにバックグラウンドタスクが自由だと良いんだよねぇ(でも Android はタブレット向けのアプリの質・量が…)」と思っていたら、Android も徐々に制約が厳しくなっていているので、iOS も Android も逆方向から同じような落とし所へ向かってるのかもしれません。

IPadSSH02
(Termius のバックグラウンド制限時間通知)


ともあれ、iOS 環境ではそこそこ良質なものが揃っている ssh コンソールアプリですが、まずは他環境でもリリースされている「Termius」(旧名 Serverauditor)を使ってみることが始めるのが一番良いかと思います。

Termius
Termius (App Store)
Termius - SSH client (Mac App Store)
Termius - SSH, Mosh and Telnet client (Google Play)
Termius - SSH Client (Chrome ウェブストア)

Termius は有料課金しない無料利用のままでも通常用途では不足ない機能を持っているので、まずはコレから始めて、不足がなければ Termius の無料利用だけで事足りると思います。

また、iPhone/iPad だけでなく Mac や Android、Chrome アプリまで用意されているので、複数の環境で同じような使い勝手で統一したい人には良いアプリでもあります。

IPadSSH03
(Termius。配色は変更済み。外付キーボード付けていても機能の仮想キーは表示される)


また、Termius はアプリ内課金で Premium にすると他の SSH アプリにはない機能も含まれ、特に
  • デバイス間の設定を同期する機能
  • アプリをバックグラウンドに回して3分が過ぎ、iOS によりアプリが終了させられても、次にアプリを開いた際にセッションを自動復元する機能

は魅力的なのですが、Termius Premium の課金は ssh アプリにしては珍しく買い切り制ではなく年額課金 3,400円(記事執筆現在)なので、ちょっと手を出しづらいです。

(Termius は Android 版の Premium アプリ apk ファイルが違法流通してしまっていたので、その対策も含めて年額制になってしまったのは仕方ないかもですね)

また、無料版でも十分使えるこの Termius ですが、最大の欠点として無料版、Premium版問わず、

Termius は日本語入力ができない


ことがあります。(これが高い年額課金までできない理由)

ssh アプリでサーバーにログインして、コメントなど日本語入力、編集をすることがあるなら、Termius は使えません。他のアプリで日本語入力がキチンと可能なものを選ぶ必要があります。(一見、日本語入力は可能でもカーソルや表示が崩れるアプリもあります)

IPadSSH04
(ボタン一つで多くの機能キーが表示される Termius)


Termius は無料でも素晴らしく使えるアプリなのですが、その他色々ある iOS 向け ssh アプリを選ぶポイントとしては、人それぞれながら、
  • パスコードロック機能および Touch ID や Face ID によるロック解除が可能
  • アプリをバックグラウンドに回した場合、バックグラウンドタスクの5分制限を通知してくれる機能
  • 日本語入力、編集が正常にできる
  • アプリ内で公開鍵作成が可能
  • ポートフォワーディングなどの付加機能が可能
  • ssh で作業する時に便利なキーを入力しやすいオプションキーが表示される、またそれが使いやすい
  • 複数セッションが接続可能/同じサイトに複数セッションを接続できるかどうか
  • 複数デバイス間で同じアプリを使った場合に設定を同期できる機能
  • emacs 使いなら Control + Space の挙動

といったあたりが挙げられるでしょうか。これらのポイントで各自が必要な機能をカバーできているかどうか、になると思います。

これらを全部満たす ssh アプリはないと思いますが、総合的に見て「Prompt 2」が一番近いと思うので、1,800円出せる人なら Prompt 2 が良いかもしれません。アプリとしては高いですが、日本製ですので日本語まわりの融通は一番効きます。

(個人的に1,800円は高くないと思うアプリですが、Prompt は Ver.1 の時に良い思いをしなかったので 2 は購入していませんので、Prompt 2 については何も言えないので悪しからず)

Prompt 2
Prompt 2 (App Store)

で、こんな記事を書いておきながら何ですが、iPad 向けの ssh アプリ比較記事は下記の記事が大変参考になると思います。

iPad Pro 10.5を買ったのでSSHクライアントアプリを選ぼう - xckb的雑記帳

上記記事の作者が求める機能と私の優先したい機能は違うので、オススメは必ずしも同じではありませんが、ちゃんと使ってまとまって比較されているので、日本語の ssh アプリ比較記事では最良だと思います。

ただ、上記記事は昨年の記事ですが既に記事内容と現状が変わっているところがあって、有料版のお値段が異なっている他、上記記事でもオススメしている

評判の良かった vSSH がなくなった


ことには注意が必要です。(他にも一時期不安定風味だった Termius は今は安定して使えています)

vSSH は単にアプリを取り下げたのではなく AppStore のアカウントどころか、開発元のウェブサイトも消えているので、おそらく復活はないのだろうと思います。無料の Lite版、有料版ともに評判良かっただけに残念です。



そんな私自身はどうしてるのかと言うと、
  • コンソール上で日本語の入ったファイルを編集する可能性がある時、他アプリをあまり使わないか、使うとしてもコンソールで作業するのが主の時には「Shelly Pro」(アプリ内課金)
  • 他アプリを使いながらコンソール作業がサブ的な状況は「Termius」無料版

この2つを使い分けています。

Shelly - SSH Client (App Store)
IPadSSH05
(Shelly の画面も配色はデフォルトから変更済み。好みが判りますね ^^;)


Shelly Pro はお値段も安価(記事執筆現在 480円)で日本語ファイルを扱っても問題ない、概ね求める機能の多くがサポートされていて個人的にもお勧めしたいのですが、残念ながら

バックグラウンド時間切れ事前通知機能がない


のが致命的な欠点なので、なかなかお勧めし難いところがあります。

前述のように iOS ではアプリをバックグラウンドに回すと最大3分で iOS によりアプリはサスペンド状態にさせられてしまい、ssh の接続セッションが切られてしまいます。

意識していれば 3分のタイムリミットまでに Shelly Pro アプリへ戻ってくるのは容易いことなのですが、ブラウザで調べごとをしたり、別アプリでコード修正をしていたりすると、気がつけば 3分経過していてセッション切れてた!ということは意外とあります。

IPadSSH01
(Split Viewを常用すると、もう少し広い画面が欲しくなる ^^;)


ですので時間切れ通知機能がないと、なかなか人には勧めにくいですし、私自身、作業の内容によって Termius と使い分けています。(特には両方を同時に使っていることもあります)

ただ、最初の方で書いたように iOS 11 のスプリットビュー/スライドオーバー機能を使えば、2画面同時表示の片方を Shelly アプリにしておくことでアプリがサスペンド状態にされ、ssh のセッションが切られることもありません。

IPadSSH06
(メインアプリの上にSlide OverでShellyを載せても接続は維持される)


従来だと別アプリを使う時には ssh アプリはバックグラウンドに回していたのですが、今はスプリットビュー機能で画面分割して、画面の4分の3は別アプリだけど、残る画面の4分の1は Shelly Pro を表示しておく、といった形で使えます。

ですので iOS 11 にするまでは Termius メインだったのですが、今はどちらかというと Shelly Pro をメインに使っています。

また、Termius は年額3千円以上の Premium 版にしない限りアプリのセキュリティロック解除に指紋認証や顔認証が使えないのですが、Shelly は買い切り 480円の Pro版で指紋認証や顔認証対応のアプリロックができるのも大きな理由です。モバイルでは、できるだけパスコードは入れたくないですからねぇ。

IPadSSH07
(Termius の年額3,400円は……以前は半額以下だった気が)


ただ、Shelly Pro は「バックグラウンド時間切れ通知機能」がないだけでなく、
  • 画面スクロールするにはスクロールモードにしないといけない、など操作性に少々癖がある
    (スクロールモードのまま作業できるので一度切り替えれば問題ない)
  • Split View で Shelly の画面サイズを大きくしたり、Split View を解除して Shelly だけにした時に、コンソールの表示リドローをしてくれないので、表示内容が偏ったまま

といった細かなマイナス点もあるので、愛用している割には「これがオススメ!」とは言い切れないのがもどかしいです(^_^;)

ですが、アプリ内課金の Pro版も買いきりでお値段も安いですし、日本語を扱う際にも心配がないので、

バックグラウンド時間切れ通知機能がない
のが許せる人にはオススメ!


と言っておきたいと思います :-)

というわけで、私の ssh アプリは Shelly Pro を、iOS 11 からのマルチタスキング機能による助けもあって、今はメインの ssh アプリとして愛用しています。そして、Termius 無料版もサブとして使い分けています :-)