iPhone X でホームボタン廃止とともに導入された顔認証システム Face ID に対しては幾分否定的な意見もあるようですが、先日の記事で書いたとおり、個人的には高く評価しています。

ロック解除時の Face ID についてはまだ完全に満足と言える出来ではありませんが、アプリ起動時のロック解除などのシーンでは指をホームボタンに持っていく必要がなく、手に持って見ている状態で勝手に認証してくれるので、もう手放せないです。

反面、何度も書いてきていたとおり、ロック解除時には必ずしも端末を手に持って正対しているわけではないこともあり、指紋認証 Touch ID と比べると以下のような不満はあります。
  1. ランドスケープモード(横置き)だと認証できない
  2. 顔認証できる距離の範囲が狭く、眼鏡ユーザーとしては眼鏡を外している時に画面を近づけてみていると認証できないし、机に置いたままの iPhone X を少し離れて見た時も遠すぎて認証できない
  3. iPhone X と顔の距離が適切であっても、iPhone X の画面と顔との角度がつきすぎていると認証できない(水平側の角度は40°くらい?の許容度があるが、垂直側の許容範囲はかなり狭い)
  4. ロック解除したらスワイプなしにホーム画面へ行くオプションがない(Touch ID ではあったのに…)

机に平置きしている状態でホームボタンに指を置けば指紋認証されていた Touch ID と比べると、iPhone X を置いている時にはちょっと不便です。


(なので、iPhone X を縦置きして充電できる Qi スタンドは愛用中だし…)


どこでも iPhone を縦置きできる折り畳み小型スタンドも愛用中)


ただ、iPhone X を縦置きスタンドに置いていたとしても、iPhone との角度によっては「画面を注視しているかどうか? 」という判定に跳ねられることが時々あります。

また、

Face ID 認証にありがちな微妙な認証の間


も「画面を注視しているかどうか?」の判定のせいですので、このあたりの Face ID の不満を多少なりとも解消できれば良いかと思って、Face ID の設定で

「Face ID を使用するには注視が必要」をオフに


してみました。



この「Face ID を使用するには注視が必要」設定はデフォルトでオンになっていますが、オフにしようとすると以下のような警告が表示されます。

FaceID20180207C


要はセキュリティレベルが落ちるよということであり、純粋に顔の形の認証だけ、目で iPhone X を見ていなくても良いわけですから、

家族が寝顔で勝手に iPhone X のロックを外せる


ようになるわけです。

寝てる間に奥様が勝手に指紋認証してスマートフォンの中身を検査された知人がいますが(奥様は何かの番組で知ったらしい)、Face ID の画面注視要件はそれを防ぐためとも言えるので、そのリスクがある人はオフにしないほうが良いでしょう :-)

FaceID20180207BFaceID20180207A


ま、それはさておき、「Face ID を使用するには注視が必要」をオフにして、もっと楽に Face ID が使えるようになるかと微妙に期待していましたが、実際に数日使ってみた率直な感想は、
  • 若干だけ認証速度は上がる(たまにある微妙な「間」が減る)
  • しかし使い勝手は変わらず、特に良くなる印象はない
  • 少しくらい認証可能な角度に余裕が出ると思ったけどそんなことはなかった(残念)
  • むしろ若干の副作用もある

ので、セキュリティレベルが下がることを思えばメリットは少ないと判断して、結局元に(「Face ID を使用するには注視が必要」設定をオンに)戻しました。

iPhone X のロックを解除したいと思う時はほぼ必ず iPhone X を見ているのですから、iPhone X の画面を視線をやらなくてもロックが外れる、ということ自体に意義を感じているのではなく、

視線感知がなくなった分、顔認証時の iPhone X と顔の位置関係の制限が緩くなってくれればいいなぁ


と思ったのですが、実際に使ってみると

視線感知をオフにしても、顔認証時の iPhone と顔の距離・角度制約が緩くなった印象はもてなかった


ですね。

注視しなくてもロック解除されるので ギリギリの角度あたりでは若干緩和されてる部分がないとは言えない気もしますが、正直言って普段使いで制約が緩和されて使いやすくなった印象はありませんでした。

「Face ID を使用するには注視が必要」設定のオフとオンを繰り返しながら、机の上に iPhone X を置いた状態で、顔との距離や角度を色々変えてみましたが、大差ないというか、実用的な距離、角度で差はありませんでした。これは縦置きしての水平角度でも変わりません。

FaceID20180207D


また、iPhone X には「画面注視認識機能」というものがあり(初期設定でオン)、ユーザーが iPhone X を見ている時は使っているものと判定して、一定時間の無操作で画面を暗くしたり自動スリープする機能をキャンセルしたり、通話音の音量を下げたりしてくれます。

ところが、「Face ID を使用するには注視が必要」をオフにして「画面注視認識機能」をオンにしたままで、顔認証できる範囲に iPhone X があると、
  • iPhone X を見てないのに画面をずっと見てると判定して、一向にスリープもせず、画面は明るく煌々と点きっぱなしになる
  • 画面を見ていると判定されるので、通知音が自動的に小さくなって聞き落とす時がある

こんなちょっとした副作用が発生するので、「Face ID を使用するには注視が必要」をオフにする時は「画面注視認識機能」もオフにする方が良いですね。

いずれにせよ、元々あまり期待はしていなかったものの、私の使い方では「Face ID を使用するには注視が必要」 をオフにしても使い勝手が変わらなかったので、素直にオンのまま使い続けることにしました。

Face ID 顔認証の距離や角度的な制約は、前面カメラや TrueDepth カメラのハードウェア的な制約があるのでソフトウェアだけでの改善は難しいでしょうが、ランドスケープモードの認証も含めて、もう少しでも Face ID の利用制約が緩和されることを願っています。

もうちょっと認証時の顔との距離や角度の制約が緩くなれば、Touch ID より圧倒的に便利になると思うんですけどねえ。(今でも便利だけど)

まぁ Touch ID も第一世代の時は認証の「間」があったり、認証精度も今ほどではなかったので、次モデル以降は改善されると思いますが、ソフトウェアで改善できることはやって欲しいところです。

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