1ヶ月前に iPhone X が手元に届いて iPhone 6s Plus から iPhone X に自宅で機種変したわけですが、1年半ぶりのセットアップは新鮮なものがありました。昔と違って iPhone を機種変時以外に初期化してセットアップし直すなんてことがないですからね。

さらに予備として置いておくか、それともサブの Android 機の買い替え資金捻出のために売却するかを迷っていた iPhone 6s Plus は年老いた家族のスマホデビューに使われることになり、超久しぶりに新規 Apple ID アカウント作成から完全新規セットアップをしてみたところ、色々思うところがありました。

おお、ここからもう機種変更・移行を簡単にしようとする手順がサポートされたのか!


と思うこともあれば、

セキュリティ絡みとはいえ、なんやこの面倒くささ。こんなの何も判らない初心者には敷居が高すぎるやろ……


と思うこともあり、最近の iOS はどんどんシンプルさが失われて(Android に比べて)iPhone が簡単とか言えない昨今ですが、久しぶりにアカウント作成からセットアップしてみると

下手するとスマホデビューは Android の方が簡単ちゃうか?


と思うくらいでした。そう思った理由を記しておきます。


1ヶ月ほど前に届いたばかりの iPhone X を開梱し、充電しながら電源がオンになって起動するのを待ちながら従来使ってきた iPhone 6s Plus を使っていると、突如 6s Plus の画面にこんなダイアログが。

iPhone2iPhone1


初めてだったので「え?なにこれ、怖いっ!」なんて思い…ませんでしたけれど、ビックリでした(^_^;)

iPhone 6s Plus に機種変した時の iOS 9 から現在は iOS 11 まで、iOS は2回アップデートしているので、この変更が iOS 10 からなのか、iOS 11 からなのか判りませんが、

一番最初に行う言語・キーボード設定や Apple ID 設定を
近くのiPhoneからコピーすることができる


ようになったみたいですね。

iPhone2iPhone2


大手キャリアの「端末はお安く買えるけど機種変更時に古い端末は回収するよ」プランでは、このように新旧使用端末を並べてセットアップを開始することはできないでしょうが、そうでない場合は一番最初の設定から、ある程度自動化できるのは良いです。

iOS 10 の時も iOS 11 の時も色々機能的な追加、進化は訴えてくるものの、こういうセットアップ面の進化、改善は何もリリースがないので、ビックリしちゃいます。というか、

使う機会は少なくてもセットアップ時の簡便さは重要


だと思うんですけどね。誰しもその端末に触れるファーストインプレッションなのですから。

iPhone2iPhone3


もっとも、この「すぐ近くにある端末から設定情報をコピーしてくる」機能は、本当にセットアップ最初期のところのみであって、Apple ID のパスワードを入れて iCloud のバックアップからリストアする、新規端末としてセットアップするあたりは、従来どおり行うことになります。

とはいえ、パスワードの再入力はセキュリティ上、当然ですし、上記の隣りの端末から初期設定情報をコピーすることと、iCloud のバックアップからリストアしてほぼ自動的に環境を戻せることの両方があれば、iPhone 同士の機種変更、機種移行は随分と楽になったと言えます。

iPhone2iPhone4
(相変わらずダミーでもSIM挿さないとセットアップさせてくれない)


さて、ここまで良い話なのですが、iPhone も Apple ID も新規に作っての家族のスマホデビューでは

PC、スマホのセットアップに散々慣れている私も
Apple ID にはウンザリ


でした。

Apple ID を作って iPhone を新規セットアップするところまでは良いのですけれど、Apple ID の「パスワードを忘れた時のための3つの質問と答え」を設定しないと無料アプリのダウンロードすらできない

App Store で無料アプリをダウンロードしたいだけなのに、何故そこまで必要なのか意味が判らない。だいたい、

なんで3つも質問と答えを入れなきゃならないのか


「3つ用意しておけば1つだけよりセキュリティ的に強固だろう」なんて素人くさい考え方、もうだいぶ古いでしょ!

3つの質問も質問文を自分で設定できずに選ぶことになるから、その人にとって適切な質問がないこともある。だいたい、3つの質問に対して入力した回答ををずっと覚えているかどうかも判らない。

MakingAppleID1


おまけに、今の iPhone / iPad は Apple ID の2ファクタ認証を設定しないと、いつまでも iPhone の通知画面に「2ファクタ認証を設定してください」という通知が出っ放しになるし、設定アプリを立ち上げたら一番最初あたりにも「2ファクタ認証を設定しろ」というメッセージが出る。

2ファクタ認証を強制するなら
3つの質問みたいな面倒なもん要らんやろ!


もうね、アホかボケかと。

実際 Google アカウントには、そんな3つの質問と答えみたいなアホなものは現在ない。逆に2ファクタ認証の選択肢は色々あるし、数字の PIN コードを入れることもない簡単さ、それでいて PIN コードを入れるのと結局は変わらない保護レベルである。

MakingAppleID3


もちろん、それぞれの手続きにどういう意味があるのかは判っていますし、セキュリティ上、ある程度(2ファクタ認証)は仕方ないのも理解しています。ただ、Apple の諸々のセキュリティ上の手続きは、その時々に付け足されてきたものが残っている状態で、変更のたびに設定してきた時はあまり苦になりませんでしたが、

アレもコレも一気にやるとなったら面倒くさいし判りづらい


ことこの上ないですし、これを初心者ができるとは思えない。

本来、簡単安心を推していたはずの iPhone / Apple が、こんな面倒臭い、初心者の壁みたいなことを作ってしまってどうするの?


と思いますね。

(それで結局キャリアショップなどで全くの他人、信頼して良いのかどうか判らない人に、ID からパスワードから全部設定を任せてやってもらわないといけない、という人が多い状況は、いささか本末転倒な話になっていると思います)


MakingAppleID2
(いつの間にか2ステップ確認が2ファクタ認証に変わっていたことも…)


はっきり言えば、

Apple ID の設定は屋上屋を重ねてきてるから
いい加減ここらで一新してシンプルにすべきでは?


と思います。

Google アカウントを作る方が遥かに簡単シンプルだし、それが結果的に Android の初期セットアップの方が楽なことにつながります。シンプルだからといって、決してセキュリティ的に弱いわけではないですから。

(そもそも、未だスマートフォンは持っていなくても Gmail アカウントは持ってる人も少なからずいますから、その場合、さらに敷居の差は広がります)

MakingAppleID4
(面倒な質問と答えなんて設定項目はない Google)


iPhone (iOS) も昔みたいなシンプルさがなくて、覚えることの多さは Android と大差ありません。iOS もスコット・フォーストールが退社してジョナサン・アイヴがソフトウェア・デザインまで牛耳るようになって gdgd になる一方。ID 周りも色々と屋上屋が重なってるし、ずっと使ってきた身でも時々確認しながらじゃないと進めないことがある。

OS レベルのセキュリティ的なことについては iOS を高く評価している私ですから、初心者には iPhone の方が…と未だ思わなくもないですけど、簡単さという点では変わりないし、完全に最初からのセットアップはむしろ Android の方が簡単。

もはや、

iPhone が楽というのは、もはや使う側が楽なのではなく、周りにいる教える側の iPhone ユーザーが楽なだけ


そう思う昨今です。(Android は端末が違うとホーム画面のアプリすら違うことも多いですからね)

とりあえずアップルは ID 周り、セキュリティ設定周りだけでも、もう少し整理すべきだと痛感した、この1ヶ月でした。

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