今回 iPhone X に合わせて左右分離完全ワイヤレスタイプの Bluetooth イヤホンを購入して、以前一度は試して止めた Bluetooth イヤホンを使うことにしました。今回購入したのは、



ERATO VERSE。この製品を選んだ理由については、前回記しました。

ERATO VERSE 【前編】 〜初めてのケーブルレス完全ワイヤレスタイプ Bluetooth イヤホンにコレを選んだ理由

2〜3万円台の(今の Bluetooth イヤホンとしては)ハイエンドの製品でもなく、かといって激安中華イヤホンでもなく中庸の価格帯、そして完全ワイヤレスイヤホンを初期から製品を出していて VERSE が4製品目という “こなれた” 感にも期待しました。

ソニーや BOSE などの大手メーカーも今秋から完全ワイヤレスイヤホンに参入してきてますが、まだ第一世代な分、それらの次が出てきたあたりに買おうかと思う心算です。

ということで、先週初めに購入して、それから毎日使いつつ、使ってない時もエージングで鳴らしながら2週間が経ちました。

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(パッケージの中)

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(同梱物)


エージング前の最初に聴いた時の「うーん、このこもった感じの抜けの悪さは Bluetooth イヤホンだから仕方ないとはいえ…」と思ったのも、今では(多少なりとも)解消しています。

そして、1週間使ってきて感じるのは、やっぱり

スマホとだけでなく、左右の耳を結ぶケーブルのない開放感


です。やっぱりコレは良いですね。ワイヤレスゆえの音質云々はあるにせよ、魅力的です。

ということで、この ERATO VERSE を1週間使ってきたファーストインプレッションを、幾つかの点に分けて述べておきます。


(1)接続安定性

Bluetooth イヤホンで一番重要な接続安定性。これがイマイチだといくら音質が良くても台無しですが、当方の環境での ERATO VERSE は、
  • iPhone X とマスターである左耳との接続は全く問題なしの安定
  • マスターの左耳とスレーブの右耳の間が、たまに一瞬途切れる

という感じです。満員のラッシュアワーの電車に乗った状況では使っていないものの、屋外やカフェだけでなく、それなりの人数が乗っている電車の車内でも使っていましたが、iPhone X とマスターの左耳との間で接続が不安定になることはありませんでした。

昔の Bluetooth イヤホンの接続安定性に嫌気がさして使うのをやめてしまった私でも

これくらいなら十分使う気になる接続安定性


で安心しました :-D

たまに、右耳だけが一瞬途切れたり、途切れかけたりしますが、一番切れる状況でも頻度的には1時間に1〜2回、途切れたとしても1〜2秒くらいなので、個人的にはこれくらいなら完全ワイヤレスの代償として受け入れられることができます。



(2)音質

Bluetooth 伝送時に SBC より高音質の AAC に対応しているとはいえ、エージングもしていない使い始めの段階では正直なところ音質面では良い印象はなく、

うーん、ヌケは良くないし、高音は出てなくこもった感じが強いし、Bluetooth 転送時の音質劣化に加えて、やはり完全ワイヤレスでこの価格帯だとそれなりかな……


という感じでした。

ただ、1週間〜10日間、使っていない時も出来るだけ鳴らしてエージングを進めたところ、

こもった感じはそれなりに解消され、高音の出方もだいぶマシになったし、高音質とは言えなくても、それなりに聴ける音になったかな


という印象です。

もちろん、そこはそこそこ価格の完全ワイヤレスイヤホンですから、

有線イヤホンで言えば5〜7千円クラスの音質かな?


という感じでしょうか。

Bluetooth イヤホンというせいもあるけれど、解像感や分離感、高音のヌケなどは同価格帯の有線イヤホンと比べると落ちるし、1万円クラスまたはそれ以上のイヤホンを常用している人には、音質の差は明らかだと思います。

ただ、Bluetooth イヤホンを利用するということは、「ワイヤレスの利便性を享受する分、どれくらいの音質で妥協できるか?」でもありますから、投資金額含めて判断が分かれるところだと思います。私自身は現状納得できています。



(3)動画に対する音の遅延

iPhone X で撮影した動画はもちろん、動画配信サービスの Amazon プライムビデオ、DAZN、Abema TV、ニコニコ動画、Twitter 上の動画などを見ているかぎり、Youtube 以外の動画はリップシングがズレるほど遅延することはない印象です。

Bluetooth 伝送しているかぎり、ごく僅かに遅延に遅延しているのでしょうし、周囲の状況にも影響されることはあるのでしょうが、SBC で接続している時のようなズレは感じず、iPhone X で使っているかぎり、

Youtube 以外は動画を視聴する時も全く問題ない


遅延の少なさだと思います。この点はかなり心配していましたが、杞憂でした。

Youtube だけはリップシングがズレます。0.2〜0.3秒くらいでごくわずかですが、かなり違和感はあります。

ただ、Youtube で映像とズレない Bluetooth イヤホンがあるのか?というくらい、どのイヤホンでも遅延しますし、他の動画配信サービスに問題ないことを思うと Youtube 側の問題だと思っています。(なので Bluetooth イヤホンの遅延の問題で Youtube を例に取り上げるのはどうかな?と)

Youtube は動画として一番見る機会の多いサービスであることも多いですから厳しいところですが、Youtube 以外はほぼ問題なく、違和感なく使えているので、個人的には「Youtube が悪い」で片付けています :-)



(4)ゲームプレイ時の音の遅延

ゲームプレイ時の遅延はアプリ次第、負荷次第というところもあるのですが、幾つかのゲームをプレイしたところ、

若干のズレがあって違和感を感じるゲームが殆ど


だったので、このイヤホンをつけてのゲームプレイは止めておいたほうが良いように思います。(ゲームプレイでも全く問題ない Bluetooth イヤホンがあるのかどうか知りませんけれど)

PokeMori_ID
(どさくさに紛れて、ポケ森のフレンドコードを張っておくのでよろしゅう ^^)


「どうぶつの森」ですらセリフ表示から半呼吸くらいセリフ代わりの音が遅れますから、音ゲーはもちろん、ボイス付きのゲームプレイ時に使うのは厳しいと思います。



(5)バッテリー

公称値は音楽の連続再生時間が3時間ということですが、先日岐阜基地航空祭へ行くのに片道3時間ほど電車に乗り、その間の大半の時間を ERATO VERSE を付けて移動していたのですが、連続で2時間半ほど使っていましたが、バッテリー切れすることなく使えましたし、行き帰りの間にケースに入れて問題なく満充電にもなっていました。

長時間の連続再生はその時が初めてではなく、エージングのために聴いてもいないのに再生している時も含めて、何度も3時間くらいの連続再生をしていますが、少なくともそれに近い時間は連続再生できるのは確認しています。

ケースの方のバッテリーを使い果たすほど利用したことがないので、その点については判りませんが、これだけ持ってくれれば普段利用には全く問題ないかな、と。旅その他に出かける際でも3時間以上連続でイヤホンをしていることはないですからね。(耳が疲れるので休みたい)



(6)遮音性/音漏れ

カナル型イヤホンなので、基本的には遮音性にも優れていて、音漏れもほとんどない、はずなのですが、

付属のイヤピースではカナル型の割に意外と外音が聴こえる


印象ですね。外音を完全にシャットアウトして音漏れも全くないイヤホンを期待すると裏切られると思います。イヤピースを変えると遮音性も変わりますが、付属イヤピースで中程度の音量では周りの話し声やアナウンスがなんとなく聞こえるくらいです。

ですので、音漏れも完全にシャットアウトできてるわけではないので、開放型イヤホンみたいにシャカシャカ音漏れするようなことはないものの、ボリューム上げすぎると若干外へ漏れる感じはあります。ただ、通勤路線の電車内では騒音に消される程度だと思いますが。

遮音性が足りないと思う人は低反発ウレタン製のイヤーピースに変える方が良いと思います。だいぶ違います。ただ、音も少し変わるので好みはあると思います(個人的には音的に VERSE と合ってるとは思わない)。

なお、付属のイヤピースはサイズMのまま使っていますが(Lにすれば遮音性は高まるが少し窮屈なので)、低反発ウレタンのイヤピースだと L の方が自分の耳にあって他ではLサイズを使っています。




(7)使い勝手

とりあえず初めての左右独立完全ワイヤレスイヤホンでしたので、使い始めてから ERATO VERSE そのものとは関係なく

完全ワイヤレスってのは、完全に自由ってことだねぇ


というのを実感しています v(o^_^o)v

カバンをたすき掛けしたり背負ったり、たまに iPhone をネックストラップつけて下げたりする時でもイヤホンケーブルと一切干渉しない、というのは良いですし、何より身体の周囲にケーブルがない(左右イヤホンを結ぶのすらない)のは良いですね。

また、それだけでなく、意外と重要なのが

ケーブルがポケットやカバンの中でスパゲッティになっていて
使う前にケーブルを整えるような面倒がない


ということもあります。毎回ではなくても、こういう経験、誰しもあると思うのですが、完全ワイヤレスだとそれがありません。(左右耳の間もケーブルレスですし)

ケースからイヤホン取り出して耳に装着してスイッチ押して iPhone と接続する一手間はあっても、絡まったケーブルをちゃんとして耳に装着するより早いですからねぇ :-)

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反面、誰しも思う

こんな耳栓タイプ、何かの拍子に落ちるかもしれない


という恐れは確かありますし、私も使い始めは恐る恐るでした。ただ、私の場合はつけ始めて数日もすると、あまり気にならなくなりました。イヤーピースがしっかり耳にフィットしていれば、そう簡単に落ちるものではないですから。

もちろん、人にぶつかれたり何かの拍子で落ちる可能性は否めないですし、私も純正イヤーピースだと左耳だけ少し装着感が弱いので、そこは気にしながら使っています。前述の低反発ウレタン製のイヤーピースに替えると、遮音性が良くなるだけでなく、抜け落ちそう感もだいぶ減るので、気になる人はそちらを使えば良いと思います。

また、

有線イヤホンのカナル型イヤホンより大きく重いので
多少耳の中へ大きなものを入れている感はある


のは否めないですね。ケーブルレスの自由さの代償です。

また、ERATO VERSE そのものの使い勝手について感じるのは、以下の点。
  • 完全ワイヤレスイヤホンの中では小さく軽い方なので、思っていたよりは耳への負担は少なくて2〜3時間ならつけていられる

  • ボリューム操作、一時停止・再生開始、曲のスキップ&バック、通話応答・終了など基本的な操作が左右耳のイヤホンにあるボタン一つで可能なので、機能面では満足

  • 有線イヤホンと比べて音量小さめ

  • ケースを取り出す時に揺らしながら手前に取ると自動的に電源オンらしいけど、よほど意識しないとオンにならない
    (ボタンを押すだけだから別に自動的に電源オンに鳴らなくても全く困らないけれど)

  • 見た目は耳栓だが、白いのが垂れ下がってる「うどん」よりは圧倒的にマシ

  • 充電兼用の付属ケースはポケットにも余裕で入れられるサイズで重くもないので、全く負担になっていない

こんなところでしょうか。

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ということで、初めての完全ワイヤレスイヤホンの感想としては、

多少犠牲にするものがあっても、ケーブルレスの心地よさは良いねぇ


と実感してます。

有線イヤホンと比べてると、
  • 音質
  • イヤホンの重さ・大きさ
  • 充電の必要性

という点で劣るわけですが、反面、
  • 身体にまとわりつくケーブルの煩わしさから解放
  • 7 以降の iPhone なら変換アダプターからも解放
  • ケーブルがポケットやカバンの中で絡まっていて、使う前にケーブルを整える面倒くささからも解放

という「自由」「心地よさ」があります。

現時点ではアレもコレも全部の利点を享受することはできませんから、「どっちを選ぶか?」は、その人次第です。

音質最重視という人には向かないので、上位モデルの Apollo 7s なり他のハイエンド Bluetooth イヤホンを選ぶか、いっそ今はまだ有線イヤホンのままの方が良いと思います。利便性が高い分、音質と値段のコストパフォーマンスは、どうしても落ちますからね。

ただ、私自身 ERATO VERSE を使ってみて、

これくらいの音質、重さ、使い勝手のイヤホンなら
多少妥協しても完全ワイヤレスの利便性を選びたい


と思いました。

だから、昔は「使ってられるか」と見切りをつけた Bluetooth イヤホンも、今回は使い続けると思います :-D

唯一、使い始めて気になった点は、iPhone X がワイヤレス充電になって、イヤホンも完全ワイヤレスになってくると、イヤホンケースを充電する時はワイヤード充電なのは、いささか画竜点睛を欠く感じになってきたなあ…と、iPhone X の Qi 充電器の前で microUSB 充電しながら思ってしまったりするわけです(>_<)

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そういう意味では来年 Apple が出す純正ワイヤレス充電器が、iPhone 8/X も AirPods のケースも、Apple Watch もまとめて充電できるタイプ、というのは理に適ってる気がします :)

次世代では他の完全ワイアレスイヤホンのケースも Qi 充電をサポートすることを期待したいですね。(すっかり Qi ワイヤレス充電にハマってる ^^;)

ERATO VERSE 【前編】 〜初めてのケーブルレス完全ワイヤレスタイプ Bluetooth イヤホンにコレを選んだ理由