先週 E-M1 Mark II を再び修理に出して、また周囲の友人から「大変だねー」「凹んでるでしょ」と同情されている私ですが、

同情するなら金をくれ、せめてフリーズしないカメラをくれ


と言いつつ、「仕方ないなー、オリンパス機を買ってしまったのは俺だからなー」と諦め気分が先に来ている昨今です。だからと言って納得も許容もできませんけど。

こういう状況だと「変えて失敗だった?」「後悔してる?」とも言われますが、E-M1 Mark II の AF や画質については購入前の期待に達していなくても、それはそれで想定の範囲内で、そのことでマウント変えたことが失敗云々はないです。本気試さないと判らないことはいっぱいありますからね。

ただ、半年内に買ったカメラが2台とも不良という品質管理がウンコとしか思えない状況(他メーカーで不良修理は殆どなかったのに)や修理部門が微妙すぎるのは想定外で、

オリンパスって宣伝の大言壮語癖はあっても、もっと真面目に物作りするメーカーというイメージがあったんだけどなぁ(´Д` )


と、そこだけは誤算でした。過去にサブ機として買ったり、レンタルで使ったことはあってもそれだけでは判らず、本気で使い込んでみないと判らないことは多い、つくづくそう思います。

ですから、オリンパスの品質コントロールだとか修理部門の適当さとか、そういったメーカーとして一番重要なところの印象が最低なことを別にすれば、E-M1 Mark II と M.ZUIKO PRO レンズそのものには悪い印象ばかりでなく、好印象もちゃんとあります。

E-M1 Mark II をメインに据えて良かったこと


も幾つかは感じているので、その点について記していこうと思います。

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まず一つ目、当たり前ですけど、

小型軽量さによる様々なストレス削減


これはホント実感しています。

逆に言うと、小型軽量のために犠牲もあるわけで、それを許容できるかどうかはその人次第ですし、こればかりは実際に使ってみないと判らない、各自が身軽さとそのために犠牲にするものの妥協点が見えてこないと思います。



▼ 徒歩移動時の体力消耗を最小限にできる軽さ


小型軽量化はメインシステムをマイクロフォーサーズにしてみた最も大きな目的でもありますし、マイクロフォーサーズから小型軽量を除いたら何が残るのか?というくらい、マイクロフォーサーズ・システム最大の長所です。画角に対する小型軽量さの恩恵は実感しています。

撮影ポイント(近く)まで車で行って、そこで撮ってまた移動は車、ということなら別にカメラやレンズの重量を大して気にすることはありません。(重いレンズを振り回す時の腕力、握力は要るけど。背筋力も?)

また体力のあるうちなら、十数kg の荷物を背負って丸一日動くのも頑張れるでしょう。重さの苦労より言い訳の効かない機材で撮ることが第一。昔はそうしていました。

とはいえ、体力が落ちてくると、重量を背負って撮影ポイントを歩いて移動しまくるのは厳しくなります。今はまだ 10kg くらいのカメラ重量なら、やればできなくはないですし、去年までやっていましたが、確実に億劫になりますし、移動で体力を使えば撮影にも影響します。
  • 疲れて移動が億劫になって、途中で撮影ポイントを移動せずに妥協すると、あとから不満を残す結果になったりもします。
  • 重い荷物を背負って動くのが1日だけなら良いとしても、遠征とかでは2日目以降に疲れが蓄積して影響が出ます。
  • 日帰りだったとしても、翌日が仕事だったらやはり影響が出ます。
  • 戦闘機やスポーツ、モータースポーツのように動体視力や反射神経、被写体の追従を必要とする撮影の場合、確実に疲労はヒット率に影響します。(余裕のない下手くそだから余計に影響大)

とまぁ、何をヤワなことを言ってるんだ的なことばかりですが、虚弱体質の引きこもりジジイは弱音を吐くのが常であります。楽して得られるものはないと判っていても、低きに流れ、楽に流れたくなります(>_<)

画質の問題はあるにせよ(画質に妥協しても)、機材は小型軽量に越したことがない


と思うことも増えてくるのです。(ここでは、体を鍛えろよ、という本質的な解はひとまず置いときますw)

撮影時には「軽いレンズはブレやすくてあまり好きじゃない…」とか「画質はセンサーサイズとレンズのサイズ・重さと比例するんだよ」と思っていても、体力がついてこなければどうしようもありません。特に夏場は、重い荷物を持って歩くのは体力がゴリゴリ削られます。

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今までも
  • 背負わずに済むローリングカメラバッグ導入
    (振動によるレンズへの影響?そんなことより体力確保)
  • 機材を最小限にして軽量化
    (レンズを望遠単焦点と広角 or 標準のレンズ2本だけ+テレコンにしておく。もしくは望遠単焦点1本勝負でボディはフルサイズとAPS-C機の2台とか)

というようなことはやってきたのですが、マイクロフォーサーズシステムに変えたら、そんなことがどうでも良くなるくらいに小型軽量化されたのは間違いありません。さすが、レンズ交換式コンパクトデジカメ。

今まで最小構成として、
  • バッテリーグリップ付きデジタル一眼レフボディ1台
  • 望遠単焦点レンズ(300mm F2.8)
  • テレコン1〜2個
  • 広角 or 標準 F4通しズームレンズ

で 5kg 近くあったわけで、それらに加えてカメラバッグ重量(これが結構ある)や一脚、予備バッテリーその他、ペットボトルの水などの携行品を入れると 7〜8kg。

ここから広角 or 標準 F4通しズームレンズを削ったり、逆にカメラボディをもう1台加えたり、遠征時には望遠ズームレンズも含めた体制で 10kg 弱くらいだったり色々と変わってきますが、それなりの重量です。

ところが E-M1 Mark II とマイクロフォーサーズ機材になって、
  • E-M1 Mark II +バッテリーグリップ
  • 12-40, 40-150, 300 の PRO レンズ3本
  • x1.4 テレコン

と、一通りのレンズを持って行っても 4kg 弱。(広角レンズはまだ買ってない。というか、現状この先不透明感では買えない ^^;)

デジタル一眼レフ時代より多くなった予備バッテリーやカメラバッグその他携行品を合わせても 6kg くらいか+α程度(カメラバッグも一回り小さい分、軽い)。予備ボディとして E-M10 Mark II を持って行っても、旧来からすれば重量の増加は誤差みたいなもんです。

以前も書きましたが、12-40mm F2.8 PRO の軽さ(384g)、これホンマにテレコンなの?という 100g ちょいしかない軽さ、小ささの 1.4倍テレコン MC-14 は驚異的とも言えます。


▼ 重さより便利な小ささ


とまぁ今までは重さのことばかり述べてきましたが、マイクロフォーサーズシステムの小型軽量さという点では、実際に使ってみると

重さ軽減よりも小型化の恩恵の方が大きい


と思っています。マイクロフォーサーズではボディだけでなくレンズも(画角に対して)小型化されるという利点は大きいです。

撮影のためにカメラだけを持っていく時も小型化のメリットはありますが、最も実感するのは仕事道具(出張荷物)の隙間にカメラを押し込んで持ち出す時

カメラバッグではないバッグの隙間にカメラを入れる時が
マイクロフォーサーズは便利だな〜と最も実感できる瞬間


です。いや、ホントに。

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(こうやって撮ると小さくなさそうに見えるのだけど…)


マイクロフォーサーズだけを使っている人からは E-M1 Mark II や PRO レンズはデカいと言われますが、一眼レフ・システムからすれば断然小さいので、その差は圧倒的です。

E-M10 Mark II + 14-42mm EZ パンケーキズームなら「ちょっと大きめ EVF 付きコンパクトデジカメ」的なサイズ感ですが、E-M1 Mark II + 12-40mm F2.8 PRO だって一眼レフ中級機にそれなりの標準ズームレンズを入れることを思えば断然小さい。

望遠レンズの 40-150mm F2.8 PRO にせよ、300mm F4 IS PRO にせよ、デカいことはデカいけど、一眼レフで同じ画角をそれなりのレンズとともに持ち歩くことに比べれば、だいぶ楽。

というか、カメラバッグじゃないバッグの片隅、隙間に入れやすい。APS-C 機と 70-200 or 100-400ズームと比べれば一回り以上細身なのは、隙間入れる度としてメリットは高いです。

オリンパスの E-M1 Mark II の公式サイトやパンフレットにも、

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こういったお笑いロクヨン比較もされていますが(購入したサンヨンの箱に恥ずかしげもなく 600mm と書いてあったのは苦笑以外の何物でもないw)、確かに画角だけみれば望遠側画角の小型化メリットは大きいものがあります。

私自身、600mm レンジのレンズ一本の場合で APS-C 機を使った場合と比較しても
  • 7D Mark II + 300mm F2.8 + x1.4 テレコンで 4kg 弱
  • E-M1 Mark II + 300mm F4 で 2kg

と半分近くまで軽くなりましたし、望遠域での小型軽量さという点だけを見れば効果はとても大きいものがあります。(動体相手の AF や画質に超えられない差があるので、単純に重さ大きさだけを比較するのは片手落ちなのは言うまでもなく)

ミラーレス機は一眼レフより小型化できるとは言うものの、望遠系のレンズはミラーがあろうがなかろうがセンサーサイズ次第であり、大型センサー機ではミラーレスであろうと望遠レンズが大きくなるのに対して、マイクロフォーサーズでは小さなセンサーゆえ、望遠レンズも含めてレンズが小型化でき、ボディとレンズのバランスも取れます。

そういう意味では本来、望遠側の画角を使う人間こそ、マイクロフォーサーズの小型軽量化の恩恵を受けても良いはずです。ただ、動体相手の AF のことを思うと、望遠でも止まりものなら…という印象は拭えません。個人的には、望遠域でこそ小型軽量さが活かせるはずのマイクロフォーサーズで期待するほどのメリットを感じられないのは残念なところです。


▼ 機内持ち込み荷物の制限が気にならない


マイクロフォーサーズに切り替えることでの機材システムの小型軽量化では、単に体力確保というだけでなく、飛行機を使う場合の

機内持ち込み重量・サイズ制限に余裕ができる


ということが、今回の乗り換え理由の一つでした。

望遠〜超望遠システムを遠征に持って行く場合、LCC や大手キャリアでも地方路線のプロペラ機、リージョナルジェット機を利用する際には結構深刻な問題です。

つい最近でも、LCC ではジェットスターに続いてバニラ・エアも機内持ち込み荷物の重量 7kg 制限になることが発表されました。(ジェットスターは「フレックスBiz」オプションを適用することで+αの機内持ち込みが可能になります)

機内持込手荷物条件改訂のお知らせ(2017年10月29日から) | バニラエア Vanilla Air - 国内 海外 レジャー・リゾート路線のLCC 格安航空券の検索・予約

海外に比べれば荷物の扱いがまだマシな国内線でもカメラ機材を預け入れ荷物に入れるのはリスキーで、(ペリカンのような厳重なハードケースに入れない限り)機内持ち込み荷物にしたいものですが、全て込みで 7kg となると望遠レンズを含めた一眼レフシステムではかなり厳しいです。(バッグやアクセサリー類の機内持ち込み一切の重量を含めての限度ですからね)

大手キャリアと違って LCC では大きな手荷物があると搭乗口でサイズも重量もしっかり測られることが常になっていますので、重量を超えるリスクは冒せません。(罰金みたいに割高な追加預け入れ荷物料金を取られて、機内持ち込みの荷物の一部を預けることになります)

また、ANA, JAL の大手キャリアの国内線でも大型機、中型機なら大きめのカメラバッグを持ち込めるのですが、地方路線のプロペラ機や ERJ, CRJ などの小型ジェット機では機内持ち込み荷物のサイズ制限が厳しくなります。

手荷物[国内線]|ご旅行の準備[国内線]|ANA
機内にお持ち込み可能なお手荷物(お手荷物) - JAL国内線

座席数 100席以上の飛行機では「3辺の合計が 115cm 以内(55cm×40cm×25cm 以内)」のルールが適用されますが、100席未満の飛行機では「3辺の合計が 100cm 以内(45cm×35cm×20cm 以内)」という制限が適用されます。

一眼レフシステムで超望遠単焦点レンズを持っていく場合はもちろん、そうでない場合もボディ2台にレンズ3〜4本となると「3辺の合計が 100cm 以内(45cm×35cm×20cm 以内)」という制限が結構辛くなります。それだけの機材が入るバッグだと、小型機のサイズ制限を超えてしまう場合が殆どなのです。

羽田空港発着便なら小さくても B737、A320 以上の機材ですから小型機の機内持ち込み荷物サイズ制限を気にすることは少ないと思いますが、伊丹空港だと幹線路線以外はダウンサイジングが進み、JAL 系だと J-AIR の CRJ/ERJ ばかりで 100席未満の飛行機ばかり。航空祭の遠征時などはかなり気を使うことになります。

(羽田から出発しても乗り継ぎで道内便、離島便になれば、プロペラ機などになって小型機の機内持ち込み荷物サイズ制限を受けることになります)

その点、マイクロフォーサーズ・システムなら画角対比のサイズ、重量は圧倒的に小さいですから、飛行機利用の遠征時における機内持ち込み重量・サイズに対するストレスは大きく減ります。

現時点はこの目論見が役立つ時が来るのかどうか判りませんが、長く使うようなことになれば年に一度や二度はその恩恵を感じることもあるでしょう。(今までは予定してる遠征も含めて、車か新幹線、飛行機は中型機移動ばかりですけど)


▼ 機材の小型軽量化による悩み


マイクロフォーサーズ移行で機材が小型軽量化したのは良いのですが、困っていることもあって、

今まで使っていたカメラバッグの多くが使えない


ということ。

手持ちのカメラバッグの多くは、マイクロフォーサーズではボディとレンズをあらゆる入れまくってもスカスカです(^_^;)。大は小を兼ねると言っても、大きなバッグはバッグ自体に重量があるので、大きなバッグを使うのはせっかくの機材の軽量化をスポイルします。


(最近はこのクラスのカメラバッグばかり買ってた……)


今の機材に見合ったカメラバッグを物色しているのですが、今のところコレという物も見つからず、昔まだ一眼レフを使い始めて数年くらいの間に買ったカメラバッグを押入れの奥から引っ張り出して使ってます。

そもそも Airport International など大型機材向けの Thinktankphoto エアポートシリーズ、グラス・リモを始め、ロープロやバンガード、タムラックなどのバッグが押入れから溢れ、部屋の半畳分くらいを占拠して積み上がっている状態ですので、これ以上カメラバッグを買うのも気が引けるのです(^_^;)

まぁ、奥の方に長らく使ってないカメラバッグがまだまだ隠されてるはずなので、そこから発掘すれば色々と今のシステムに使い回しできるバッグが出てくると思ってはいますが……(笑)

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(アスファルトとコンクリートに囲まれたサーキットの夏は心底暑い💦)


いずれにしても、小型軽量なマイクロフォーサーズ・システムは夏場の撮影における体力確保、行動半径拡大がそれなりに見込めそうな気はしています。

先日の SUPER GT 公式テスト@鈴鹿サーキットでも、真夏に近い蒸し暑さで朝8時から夕方16時半まで丸一日、サーキットのあちこちで撮影して歩き倒しましたが(スプーンまでは行かなかったけど)、ヘトヘトに疲れきるところまで行かず、帰りの車の運転も苦になりませんでした。

去年の公式テストより蒸し暑かったのに疲れはマシだったのは

やっぱり機材軽量化のおかげだろうなあ


と思っています。(夕方は足が棒になりかけたけど ^^;)

夏場は重い荷物を背負うのが嫌で機材を最小限構成にすべく、「アレも持って行かない、コレも止めとこ」となるのですが、

マイクロフォーサーズ・システムだと、体力確保のための機材軽量化で、持っていくレンズを減らさなくても良いのが一番メリットだよなー


とも思っています。

これで動体相手の AF が真っ当で高感度画質ももう一声良ければ、望遠レンズシステムとして素晴らしいものではありますが、そうもいかないところは残念でありますけど X-)


ちょこちょこ合間に書き足しながらでしたので、小型軽量化のメリットの話だけでダラダラと長く書いてしまいましたが、いつものことなのでご容赦を。次回は小型軽量化以外に、買って良かった点を幾つか。