嘘か真か色々と噂の出ていたソニーの高速連写フラッグシップ機「α9」が、昨晩海外発表されましたね。

ソニー、プロ向けフルサイズミラーレス一眼カメラ「α9」発表 世界初のフルサイズExmor RSイメージセンサー搭載 - ITmedia LifeStyle
ソニー、積層型フルサイズCMOS搭載の「α9」を海外発表 - デジカメ Watch

【4/21 追記】国内発表もされました。
ソニー「α9」、日本で5月26日発売。約50万円 - デジカメ Watch
ソニーが「α9」を国内発表――5月下旬発売で実売50万円前後 - ITmedia LifeStyle

フルサイズ2,400万画素、AF 追従で秒間20コマ(電子シャッターだけど)を始め、スペックを見る限り D5、EOS 1D X Mark II を超えるモンスターであり、米国でニコンを落としてレンズ交換式カメラのシェア2位を奪取した勢いで、ニコン、キヤノンの金城湯池であったスポーツカメラマン、メディアの写真部を狙おうとする第一歩であることは間違いありません。

EVF も解像度が高いのに高速リフレッシュレートを実現していますし、連写時にブラックアウトしないのは魅力ですし、フォーカスエリア選択用にスティックがちゃんとあり、AE-LOCK ボタン以外に AFスタートボタンがあるのも良いです。

E-M1 Mark II は、親指 AF とフォーカスエリア選択の操作性だけでも動体相手の本気撮影機としては厳しい評価を下さざるを得ないですしね。(こればかりはファームウェアでどうもできないし)

ただ、スペックは凄くても実際の動体捕捉能力はさほどでもないのがミラーレス機の常であり、α9はどうでしょうかね。そこは興味津々です。

APS-C の α 4桁機で採用してきた「4Dフォーカス」がフルサイズ機初搭載らしいですが、はっきり言ってその α 4桁機と同じレベルの AF なら動体撮影のハイアマ、プロ向けとは到底言えないですし、誰も乗り換えようなんて思いませんから、どこまで進化できているのでしょうか。

えらい評判と提灯で持ち上げられた E-M1 Mark II の AF も、ミラーレス機としては大きく進化していますが、激しい動き相手だとニコン・キヤノンの同クラス以上の一眼レフ機との比較では正直微妙、というのが3週間使ってきた実感ですから、ソニーの本気を生暖かく見守りたいと思います :-)

また、ソニーマニアの方々やミラーレス教信者の皆さま方は「これで五輪やスポーツ撮影でもソニーが、ミラーレス機が〜」と、相変わらず能天気に言ってる方も多いようですが、現状は以下のようにハードルはまだまだ高いです。


  • まともな望遠レンズが殆どない、Eマウントには全くない
    (便利ズームの100-400出したけど、本気撮影用レンズはAマウントのサンニッパとゴーヨンしかないままではボディがいくら良くても論外)
  • ボディの信頼性、信用がない
    (信用も信頼も積み重ねていくものですが、少なくとも今までのαは柔い評判があるし、狭いスポーツの現場ではレンズのぶつかり合いを始め、ボディもレンズも簡単に壊れない頑丈さへの信用が絶対条件)
  • ボディは少し軽いけど、フルサイズゆえ望遠系のレンズは一眼レフ用に対して大して小さくも軽くもないので、システムとして軽量化される買い替え理由はない

というのがありますから、ソニーから仕事もらってるお抱えカメラマン、提携カメラマンは別として、スポーツの現場で写真撮って飯食ってるカメラマン、新聞社などのメディアがリスク負って乗り換えるメリットはゼロでしょう。

もっとも、このようなカメラを発表したからには、本気で撮影できる Eマウント超望遠レンズ群も出してくるのでしょう。さすがに古い Aマウントレンズの他は 100-400 だけでは戦力不足すぎます。

最低限スポーツ撮影の標準レンズであるヨンニッパ(400mm F2.8)は1年後の平昌冬季五輪、ロシアW杯に間に合うように出してこなければ誰も α9 を使ってくれないでしょうし、東京五輪までには Aマウントの 300mm F2.8、500mm F4 を Eマウントで最新技術込みでリニューアルし、600mm F4 や 800mm F5.6 も揃えてきて初めて道具が揃って土俵に立てる状態ですから、今後を見守りたいところです。

あと、チラッとツイート検索してみたら誤解してる人もいるようですが、今回の新型センサー「Exmor RS」は積層型センサーと称していてもシグマのように RGB 3層が積層になっているわけではなく、普通のベイヤーセンサーで回路周りが CMOS に統合、積層されているものなので誤解なきよう。

とまぁ何かケチをつけているようにも見える記事になってしまいましたが、個人的には楽しみですし、興味も津々です。フラッグシップ機ということで、EVF はかなり奢られていて良さそうですしねぇ。E-M1 Mark II を使っていても改めて思いましたが、

ミラーレス機の動体撮影は EVF 次第


そう言ってもいいですから。AF も大事ですが、まず被写体をしっかり追えることは何よりも重要です。

ただ、それなりに素晴らしい E-M1 Mark II の EVF も、やはり解像度という点では厳しく、光学ファインダーの見え味とは比較しようもないですし(見え方という点はまだ X-T1 の方が良かったかな)、何より

ちゃんとお金かけてそうだから、ハードに連写したり機能の組み合わせで、ご自慢の EVF リフレッシュレートが落ちて「こりゃダメだ」状態になる E-M1 Mark II とは違うんだろうなあ


とは思いますし、期待したいところです。

なにせ、フラッグシップ機で、それなりの価格ですから

ミラーレス機にありがちな CPU 目一杯からの処理落ち


なんてないと思いたいです。あったら、プロ向けとか言えないですから。

あとは電子シャッターによる弊害が完全に解消されてるかどうかは、非常に気になります。そこが完全解消されていないと、スポーツの現場では使ってもらえないので、きっと大丈夫なのでしょう。

α9では従来機に比べてセンサーからの読み出し速度が 20倍らしいですが、E-M1 Mark II は何倍でしたっけ?公表してたかな?どこかのサイトで測って E-M1 と比べて4倍だったらしいですが、α9は桁違いなので、解消してるのでしょうね。

少なくとも E-M1 Mark II では電子シャッターにおけるローリングシャッター歪みは、ボールスポーツ撮ってれば余裕で出ます。趣味の適当撮りなら良いかもしれませんが、商売で使ってもらいたい、後世に残したい写真を撮るためには使えません。趣味でも本気なら使いたくないですからね。

20170416GambaAtNagai
(先日の大阪ダービーでの藤春選手の先取点ゴールシーンの一部切り出し)


3週間、E-M1 Mark II を色々な被写体相手に使っていて「もしかして AF の追従性、C-AF の精度・速度は、ミラーシャッター時より電子シャッター時の方が少し良くないか?」という疑惑を感じているので、電子シャッターでの歪みはなかなか相反する問題となって悩ましいので、α9はそんなことないんだろうなあ、と思っています :)

とまぁ、こういった「本気撮影向けのミラーレス高速連写機」が出てしまうと E-M1 Mark II は一気に色褪せてしまうわけですが(高感度耐性に天地の差があるしね!)、そもそも価格レンジが全く違いますし、

マイクロフォーサーズはレンズ交換式コンパクトカメラ


だと思っていますので、比較しても仕方ない話です。

私自身、α9への興味は大いにありますが、さすがに今度はシステム移行できません(笑)。それに α9 とレンズ一式揃えるなら、価格・重量・サイズともに大差ないニコンかキヤノンの一眼レフに戻るでしょうからねえ :D



(こうなるとα99の立場は…Aマウント機は光学ファインダーに戻せばいいのに)