先週、夏向けと題した青春18きっぷの大阪発日帰り旅プランを幾つか紹介しました。

大阪発日帰り青春18きっぷ旅プラン 2016夏【前編】
大阪発日帰り青春18きっぷ旅プラン 2016夏【中編】
大阪発日帰り青春18きっぷ旅プラン 2016夏【後編】

この話を友達としていて、青春18きっぷを使う時にあまり知られていなかったり、ウッカリしがちな注意点を幾つか思い出したので、以下簡単に紹介しておきます。

なお、鉄ヲタの方、青春18きっぷマニアにとっては常識であることですので、あくまでライトユーザー向けです(^_^;)




【1】複数人利用の場合は途中駅からの参加、途中駅での離脱は可能

青春18きっぷは、ある時期から分割不可の5回分セット券になってしまって、複数人で使う場合はいささか使いづらくなりました。(昔は5枚分を1枚ずつ切り離して使えたので、チケット屋でも回数券のようにバラで売られていた)

5回分のチケットが1枚ずつ切り離せた頃は、出発駅が別々の複数人がグループで青春18きっぷを利用する場合でも事前にチケットを各人に渡しておけば済むことでしたし、途中で別れて行動もできましたが、1枚で5回分切り離し不可のチケットになってからは、そういったことはできなくなりました。

今の青春18きっぷを複数人で利用する場合、基本的には同じ行動をとらなければなりません。青春18きっぷの利用規約にも

複数人数の場合は同一行程となり、入出場の際には必ず青春18きっぷが必要です。


と書かれていますし、青春18きっぷ購入時に渡される「ご案内」にも最初に明記されています。

Seishun18_2016Summer16
(赤線部分に明記されている)


こう書かれると、グループで青春18きっぷを利用する場合は「みんなが集合できる駅に一旦集まってそこから青春18きっぷ利用開始して、みんなが同じ行動できる最後の駅で降りて青春18きっぷの利用は終了」と取れますが、実はそうではありません。

「複数人数の場合は同一行程となり」というルールにはもっと詳しい規約があり、JR各社の青春18きっぷの利用条件のページでは以下のように書かれています。

グループでご利用の場合は同一行程でのご旅行のみとなります。(グループでご利用の場合、本きっぷをお持ちのお客様以外のお客様は、集合駅まで(解散駅より後)は別に乗車券をお求めください。)

青春18きっぷ|お得なきっぷ詳細情報|JR東海

つまり、

一番遠い人が青春18きっぷを持って、そこへ他の人が合流できる


ということです。そして帰りも、一番遠い人が最後まで青春18きっぷを使い、途中でグループの各人が別れていくことが可能なわけです。

具体的に言えば、新宿のAさん、三鷹のBさん、相模原のCさんが長野県の清里へ青春18きっぷを使って日帰り旅行する場合、
  1. 新宿のAさんが青春18きっぷを持って新宿駅から中央線に乗る(切符に判子1個)
  2. Aさんが三鷹駅で降りて改札口を出てBさんと合流し、2人で青春18きっぷを使って改札を入る(切符に判子1個追加)
  3. 相模原のCさんは自分で買った切符(ICカード)で八王子へ横浜線で向かう
  4. Aさん、Bさんは青春18きっぷを使って中央線で三鷹から八王子へ向かい、八王子で再び改札を出る
  5. 八王子の改札外でAさん、Bさんと相模原から来たCさんが合流して、3人で青春18きっぷを使って改札を入る(切符に判子もう1個追加)
  6. 3人で清里へ向かい、以降は同一行程
  7. 帰りは逆に、八王子で3人で降りてCさんが別れ、次に三鷹で降りてBさんが別れ、青春18きっぷはAさんが最後まで使う

こういった形がとれます。

このルールは最初からそうだったかどうかは定かではなく、以前は私も誤解していたのですが、今はこういった途中合流、途中分離ができます。(以前、友達が JR へ確認の電話もしてくれた)

ですから、出発駅の違う(私鉄が最寄り駅の人もいるでしょう)複数人が青春18きっぷ旅をする場合にも、全員の合流駅まで必ずしもみんなが個別に料金を払う必要はなく、一番効率の良いやり方を見つければ、少しは節約することができます。

(場合によっては大阪から東京へ行くのに、名古屋から合流という形も採れますしね)

ただ、このやり方を使う場合の難点として

合流解散で必ず下車して改札を出なければならない


ですから、そのたびに列車を1本やり過ごすことになります。時間的にタイトな行程では使えません。

あと、合流して人が増えるときは有人改札を抜ける場合にその旨をはっきり言って追加の判子を捺してもらう、無駄な判子を誤って捺されないようにしましょう :D


【2】普通車指定席やグリーン車自由席は乗れるしオススメだけど、グリーン車指定席は乗れない

首都圏では普通電車(快速電車)にグリーン自由席があり、青春18きっぷでも別途普通列車グリーン券があれば利用可能です。西から首都圏への長距離移動時には、静岡県の長時間ロングシート攻撃に疲れきった時に、熱海からついグリーン車に乗ってしまうことも多いです。というか、個人的にはもう定番です(^_^;)

普通列車グリーン車:JR東日本

首都圏のグリーン車の料金は、距離、平日・土休日、購入タイミングによって細かく分かれますが、モバイル Suica グリーン券なら 50km の利用でも平日980円、土休日780円なので、熱海から東京まで2時間、ロングシートではなく真っ当なシートでゆっくりできるなら安いものかと思います。乗り継いでもグリーン車に乗り続けられますしね(^^)

青春18きっぷでは、首都圏その他の都市部でも朝晩に運行される「ライナー」系の乗車整理券が必要な座席定員制列車、新千歳空港と札幌・小樽を結ぶ快速エアポートの普通車指定席「Uシート」、瀬戸大橋線を走る快速マリンライナーの普通車指定席にも乗ることができます。

過去の青春18きっぷ旅でもマインライナーを通る経路は何度か紹介していますが、マインライナーは朝晩時間帯などで混むことが多く、坂出駅などの途中駅からの乗車はもちろん、岡山駅や高松駅の始発駅でも直前乗車だと座れない時もたまにあるので、帰り道で疲れている時には 520円出して確実に座りたくなる時があります(^_^;)

安く旅するのが目的でもある青春18きっぷ旅ですが、たまには指定席、グリーン自由席を使うプチ贅沢もありだと個人的には思っています。疲労も違うし、時には気分転換にもなります。

ただ、注意すべきは表題のとおり、

青春18きっぷでは普通車指定席やグリーン車自由席は乗れるが
普通電車でもグリーン車指定席には乗れない


ということ。グリーン車指定席に乗るなら、その区間は別途乗車券も買わなければなりません。

普通電車のグリーン車指定席というのは希少なのですが、拙い知識で知っている例と言えば、
  • 瀬戸大橋線・快速マリンライナーの2階席
  • 中央線・中央ライナー/青梅ライナーの一部車両
  • 一部のホリデー系臨時列車

くらいでしょうか。首都圏にはちょくちょく臨時列車でもあるそうですが、西日本では快速マリンライナーが有名な例ですね。

瀬戸大橋を通る快速マリンライナーの2階席はなかなかの絶景であり、青春18きっぷ旅でも是非乗ってみたいところですが、グリーン車指定席ですので残念ながらできません。(1階席は普通車指定席なので青春18きっぷでも乗れる。1階といっても通常車両より低いけど)

ただ、よく晴れた日の快速マリンライナー2階席は追加料金払うだけの価値はあると個人的には思うので、

「天気が良いなら1回くらいは、岡山から坂出までの運賃 1,110円とグリーン車指定席 980円の合計2千円払ってでも乗ってみるべし」

という感じはします。特に最前列4席は鉄ちゃん、子どもさんの大好きな前方視界広がるパノラマ席で、料金は通常のグリーン指定席と同じなのでオススメです。(チケット的には、マリンライナー(パノラマ)という別列車扱い)

なお、

青春18きっぷ時期のマリンライナー普通車指定席は売り切れることがある


ので、JR Cyberstation で空席状況を確認の上、事前に購入するなり、出発駅や途中駅で購入しておくか、e5489 サイト(JRおでかけネット)のオンライン購入をしておくのが良いと思います。特に、土休日の特定時間帯の列車は早めに売り切れます。

JR CYBER STATION 空席案内
e5489のご案内:JRおでかけネット

青春18きっぷでは乗れないグリーン車指定席はお盆時期でもなければ売り切れることはないのですが(平日ならガラガラ)、パノラマ席は4席しかないので土休日は列車によって売り切れていることがあります。


【3】JRに乗ってるつもりが何気に通過してしまう JR ではない路線の無賃乗車に注意

国鉄の時代から地方路線、不採算路線の廃止、第三セクター移管が進み、さらに新幹線延伸で在来線の基幹路線が第三セクター化して青春18きっぷが使えなくなり、一昔前に比べると青春18きっぷで長距離旅というのもかなり辛くなりました。

関西地方からの青春18きっぷ旅で言えば、北陸方面金沢から先が第三セクター化されて富山、新潟へ抜けられなくなったのは非常に痛いところです。朝7時半に出れば夜には新潟に着けて、新潟で一泊してから翌日は磐梯方面なり秋田から田沢湖、十和田湖方面へ行くなり、さらには大阪から新潟1泊で函館まで行けたのも今は昔。

とまぁ、そんな愚痴を言っても仕方ありませんが、青春18きっぷで注意したいのが「JR に乗ってるつもりで第三セクター区間を通っている」ということ。

もちろん、第三セクター区間は一部の特例を除いて青春18きっぷで乗れませんから、通過するだけでも料金を払わなければなりません。

(青春18きっぷで第三セクターに乗車できる特例区間は利用条件のページ に明記されています。青い森鉄道線の「青森〜八戸」間、「青森〜野辺地」間及び「八戸〜野辺地」間、あいの風とやま鉄道線の「高岡〜富山」間、IRいしかわ鉄道線の「金沢〜津幡」間のように三セク化で孤立したJR路線への通過のみが特例化されています)

たいていの第三セクター区間は普通電車で JR から乗り継ぐ場合、JR との境界駅で列車の乗り換えが必要です。ですから、意図したキセルでもない限り、ここから青春18きっぷが使えない、ということが判らなくはないはずです。

ところが、中には

JR の普通電車に乗ったまま、第三セクター区間を通過している


という場所もあります。

そういった場所で最も有名なのは、紀勢本線(快速みえ)に乗る場合の伊勢鉄道(川原田〜津)ではないかと思います。快速みえだと、サクッと短い区間をノンストップで通過するので、判ってない人は気づかないこともあるかと思います。

青春18きっぷ期間中はその旨の車内アナウンスがあったはずなので、全く気づかないことはないと思いますが、車掌さんに言って伊勢鉄道分の料金(記事執筆時は510円)を払って無賃乗車はしないようにしましょう。

他にも JR の電車でそのまま第三セクターというのは、
  • 越後湯沢〜直江津間(途中の六日町〜犀潟間が北越鉄道)
  • 鹿児島中央・隈之城〜新八代(途中の川内〜八代間が肥薩おれんじ鉄道)
  • 飯山線(長野駅〜豊野駅がしなの鉄道北しなの線)
  • 花輪線(盛岡駅〜好摩駅がIGRいわて銀河鉄道線)
  • 予土線(窪川駅〜若井駅が土佐くろしお鉄道)

あたりもあって、北越鉄道なんかはアナウンスだけでなく検札もあったように記憶していますし、だいたいは出発駅でアナウンスがあるところも多いのですが、花輪線や予土線みたいに短区間でも面倒なことが起きないように第三セクターのきっぷは買いましょう。

ってか、第三セクターは殆どのところは赤字ですから、しっかり払うものは払って寄与しておかないと、ますます廃線一直線になりますしね。

他にも、中央線や総武線からの営団地下鉄東西線や埼京線からの東京りんかい鉄道、筑肥線からの福岡市地下鉄みたいな乗り入れ線もありますが、これについては判らないという人はいないと思うので略します。

それにしても、青春18きっぷも本当にルールが複雑化しましたね……


【4】青春18きっぷ北海道新幹線オプション券の発売期間に注意

今春開業した北海道新幹線。開業記念式典のブルーインパルスを撮りに行ったついでに、函館駅の歓迎式典を見たり(出くわしたり)、新函館北斗からの開業3番列車に乗ったりもしたので、そのことを記事にもしようかと思っていたのですが、写真もろとも完全放置であります(^_^;)

20160326HakodateStation

20160326BlueImpulse


ともあれ、前項で第三セクター化によって青春18きっぷが使えなくなった区間が増えている話をしましたが、北海道新幹線開通で青函トンネル区間の在来線列車もなくなり、従来は青函トンネル区間だけは青春18きっぷで特急に乗ることができた特例もなくなりました。

そして代わりに「北海道新幹線オプション券」なるものが発売され、2,300円払えば青春18きっぷでも奥津軽いまべつ〜木古内間だけは北海道新幹線に乗せてやるぞ、という特例ができました。有料ながらこれで青春18きっぷを使って北海道へ渡ることが維持されました。

ただ、北海道新幹線開業時に自分でも調べたのですが、以前の特急特例時から厳しかった乗り継ぎがさらに酷くなっていて、青春18きっぷで北海道へ渡るのはなかなか厳しい状況になっていますが…。そのあたりは以下のページに詳しいです。

北海道新幹線は料金が高いだけでなく18きっぷオプション券の接続がクソすぎる→三厩+竜飛岬&津軽鉄道乗りつぶしには使える! : さざなみ壊変

そして、開業後に北海道新幹線の評判やらなんやらを調べていた時に大ボケかました方の事例で気づいたのですが、青春18きっぷ北海道新幹線オプション券は青春18きっぷと同じ販売期間ですから、

青春18きっぷの販売期間終了から利用期間終了までの10日間は
青春18きっぷ北海道新幹線オプション券は買えない


わけです。青春18きっぷ北海道新幹線オプション券を買うつもりなら青春18きっぷと一緒に買うか、青春18きっぷ販売終了までに買わなければならないのです。

春なら4月1日〜10日、夏なら9月1日〜10日、冬なら1月1日〜10日は「青春18きっぷは利用できるけれど販売は終了している」期間ですから、この間は青春18きっぷは使えても、もう青春18きっぷ北海道新幹線オプション券は買えません。

4月に入って気づいて「失敗した〜」と嘆いている方を見て、そう言えばそうだ、これはミスりやすい、と思って載せておきました :D

ただ、個人的に思うのは、もはやこうなってしまっては、

青春18きっぷ北海道新幹線オプション券に 2,300円払うくらいなら
えきねっと「お先にトクだ値」の新青森〜新函館北斗 4,470円買えば良いんじゃね?


と思うわけです。

えきねっと(JR東日本)|えきねっとトクだ値>東北・山形・秋田・北海道新幹線の対象列車・価格

えきねっとの「お先にトクだ値」は2週間前までに買わなければなりませんが、最近の北海道は先にホテルを押さえておかないと厳しいことも多く、以前のように気の向くまま青春18きっぷでぶらり旅で行くのも難しい昨今ですから、事前に予定しているなら「お先にトクだ値」を買っておくのもアリでしょう。

石勝線「新得〜新夕張」間ほどではないにせよ、今回の北海道新幹線での前後の乗り継ぎの悪さを考えると、北海道へ渡るのが目的なら「お先にトクだ値」の新青森〜新函館北斗を買った方がずっと幸せになれると思うんですよね。

もちろん、青春18きっぷにこだわる旅なら話は別ですが、青春18きっぷ北海道新幹線オプション券まで買って新幹線乗って北海道行くならもう別に一緒だろ…と、快速「海峡」世代は思ったりするわけです(笑)