WWDC が基調講演が終わって各ワークショップが開催されており、また開発者にはいち早く iOS 10 プレビュー版が提供されています(一般向けβ版は7月提供予定)。それらは守秘義務がありますが、一般公開されているドキュメントを見ても基調講演で触れられていなかったことがあります。

2分で判るくらい小粒な WWDC 基調講演 iOS 10, macOS, watchOS 次期バージョン発表まとめ

以下、WWDC 基調講演後の上記記事では書いてなかった、その後明らかになった注目したい iOS 10 の変更点を幾つか備忘録的にまとめておきます。




▼ プリインストールされた純正アプリの多くが削除(非表示)可能に

以下の Apple U.S. サポートページ(英語)にて明らかになっています。

Remove built-in apps from the Home screen on your iOS device with iOS 10 beta - Apple Support

【追記】後日のインタビュー記事で、実際にプリインストールアプリが削除されるのではなく、ホーム画面からアプリアイコンが削除できるだけで実質的には非表示状態になるとのこと。
「iOS 10」のプリインストールアプリは削除できるのではなく非表示になる──Apple幹部が説明 - ITmedia Mobile

削除できるアプリは以下の通り。

iOS10removeAppList


このうち、注意書きのあるアプリとして
  • Contact(連絡先)アプリが削除できるのは iPhone のみ。連絡先アプリを削除すると連絡先の内容は失われるし、他のアプリからも連絡先情報は得られなくなる
  • Music(ミュージック)アプリを削除すると、CarPlay も使えなくなる
  • News(ニュース)アプリが削除できるようになるのは、iOS 10 β版の最後の方になる
  • Apple Watch とペアリングしている iPhone から Watch アプリを削除しようとすると、Watch アプリを削除する前に Apple Watch をアンペアリングするように警告される

と書いてありますし、他にも
  • PodCasts アプリを削除したら CarPlay で PodCast は聞けなくなる
  • Stocks(株式)、Weather(天気)アプリを削除したら、通知センターや Apple Watch でも情報は表示できなくなる
  • Calculator(電卓)アプリを消したら、コントロールセンターの電卓マークも表示されなくなる

なども書いてますが、当たり前ですね。

削除した純正プリインストールアプリは、他のアプリ同様、AppStore からダウンロードして再インストールできますが、他のアプリ同様、アプリを削除する際にデーターも削除されるので、iCloud その他にバックアップ、同期していなければ、アプリ削除とともにデーターも失われます。


▼ iPhone と iPad の一部のモデルでカメラの RAW 撮影が可能に

  • iOS の画像取り扱いフレームワーク Core Image framework (CoreImage.framework) で RAW 画像が扱えるようになった
  • Core Image の新機能に対応すれば、カメラアプリで RAW 撮影・保存が可能になる
  • RAW 撮影可能なのは外側カメラのみ
  • RAW 画像の取り扱いには A8, A9 チップと対応カメラモジュールが必要であり、RAW 撮影可能な機種は iPhone 6s, 6s Plus, SE, 9.7インチ iPad Pro のみ

RAW 画像の取り扱いに関しては、以下のアップルの開発者向けドキュメントに概要の記載があります。(Core Image の項目)

iOS 10.0 (What's New in iOS)


▼ GameCenter アプリがなくなる

アプリが iOS 10 では削除されるものの、GameCenter の機能(GameKit)やクラウドサービスそのものは維持されていくようです。前項で示した開発者向けドキュメントの GameKit の項に明記されています。


▼ Apple TV を持っていなくても、iPad が HomeKit 対応の家電デバイスのハブになることができる

iOS 10 では Apple デバイスが家電デバイスのコントロールセンターとして使えるように HomeKit の拡張、そして新しく Home アプリを追加することが発表されました。

基調講演では、その HomeKit 対応の家電機器コントロールハブ(Home Hub)は Apple TV が担い、iPhone や Apple Watch から Apple TV を通して家電機器をコントロールすると説明されていたものの、実際には Apple TV だけでなく iPad も Home Hub になることが可能のようです。

iOS 10.0 (What's New in iOS)

上記ドキュメントの HomeKit の項で

In iOS 10, iPad can be configured to provide remote access to accessories, run automation triggers, and enable shared user permissions.


と書かれており、Apple TV でなくても iPad が家にあれば HomeKit 対応機器を外部からリモートコントロールできるようです。(iPad の対応機種は明記されていない)


▼ 2016年末までに iOS アプリの通信には HTTPS 接続が必須になる

常時暗号化された https を使うようにしよう、という流れは既に Google が「https じゃないサイトは将来的に検索時のランク下げる方向」と言い出した時から止まらないですから「サードパーティアプリも https 使えるようにしろ、そうでなきゃ AppStore の審査を通さなくする」のは止むをえないでしょう。


今後、他にも色々と出てきそうですが、基調講演直後に書いた記事の補足として現状確認されているのはこれくらいでしょうか。

2分で判るくらい小粒な WWDC 基調講演 iOS 10, macOS, watchOS 次期バージョン発表まとめ