先回記事に引き続き、無料 iPhone カーナビアプリ

これら3つのルート探索における癖、留意点を今回も記しておきたいと思います。(無料カーナビアプリのうち NAVIRO は常用していないため割愛。以前の記事参照)

前回は主に「Googleマップ」のルート探索機能の注意点を2点紹介しました。

Googleマップ、Yahoo!カーナビ、MapFan+ をカーナビアプリとして使う場合のルート探索上の注意点【前編】

今回は主に「MapFan+」のルート探索について、「Googleマップ」「Yahoo!カーナビ」など他のカーナビアプリと比較しつつ注意点を述べていきます。

前回同様、常用している中での実例なので関西エリアが中心の実例になっているため、首都圏その他の方には判りづらいかもしれないことを先にお断りしておきます。

また、ルート探索アルゴリズムは告知なく変更・改良されているものですから、当記事は記事執筆時点での話であることを予めご承知おきください。ここで指摘した問題は将来、きちんと改善されている可能性があります。




▼ MapFan+ は高速道路ではない自動車専用道路を使うルートを出さない時がある

カーナビアプリとして「MapFan+」を使うのに何がダメかといえば、やっぱりルート探索のアルゴリズムのダメさ。多くの人が指摘していたと思うのだけど、変わりません。その実例を以下に示します。

これは MapFan+ で「大阪北部から能登半島の輪島」までをルート探索した結果です。

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一見なにも問題なく、ごく普通のルートに見えますが、実は「はああああ?」と言いたくなるルートになっています。

能登半島の先端方面へ行くのに、関西・東海方面からだと北陸道金沢西ICを降りて「のと里山海道」(無料の自動車専用道路、旧能登有料道路)へ入っていくところまでは大きな問題はありません。(のと里山海道へ白尾ICから入るのではなく、高松ICから入るルートになっているのはおかしいけどね)

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ところが MapFan+ は「のと里山海道」を柳田ICで降りてしまい、その後は国道249号線から県道3号線で七尾湾側へ出て、再び国道249号線を北上してその後はひたすら県道1号線で輪島を目指すルートを採ります。

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のと里山海道は現在、輪島の手前にある能登空港まで整備されています(というか能登空港のために延伸された)。ですから、そこまでずっと信号のない快適なバイパスでサクッと行けるはずなのに、なぜか能登半島の付け根で早々に下道へ降りてしまいます。

MapFan+で検索した他のルート候補を見ても金沢へ来るまでにバリエーションがある程度で、どのルートも能登半島ではこのルートを通るようになっています。これは実際に走った経験があれば、「はああ?」というレベルで頭を疑うルート探索です。かなり時間をロスしています。

もちろん、他のカーナビアプリでこんなアホルートを出すアプリはありません。

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何を理由に途中で降りて一般道を走るルートを選択しているのか全く理解不能ですが、MapFan+ ではこういったことも超レアケースというわけではありません。



次に、神戸の西の郊外にある須磨海岸から姫路の郊外にあるセントラルパークまでのルート探索を MapFan+ で行ってみます。道路状況によっても多少異なりますが、有料道路使用時の候補4ルートが事実上、以下の2ルートのみだったりします。(以下の例は渋滞情報なしでルート探索)

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おかしいところは幾つもあって、
  • 誰しも最初に思いつく第二神明道路(有料道路)〜加古川バイパス経由の最短かつ(大渋滞でもない限り)最小所要時間のルートが出てこない
  • 第一候補のルートは須磨ICから第二神明に乗っているのに、山陽道経由の大回りコースを選択している
  • 有料道路利用で他にも経路はあるのに、有料道路使用設定にもかかわらず、ひたすら下道の経路が候補になっている

もちろん、他のアプリでは(渋滞状況にもよるが)たいていの場合は第一候補に第二神明道路〜加古川バイパス経由のコースが出てきます。

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ルート探索精度では安定性のある NAVITIME 系のアプリはもちろん、ここでは Google Maps も当然のルートを提示してきます。(左ドライブサポーターと右Googleマップでは、最後の播但連絡道の使い方に差が出ていてどちらもアリだが、ドライブサポーターの方が無駄がない)

Yahoo!カーナビで同ルート検索すると別の理由でオススメルートがダメなのですが、それについては次回記事で触れます。

また、上記の「須磨海岸→セントラルパーク」だと遠回り山陽道経由か国道2号線下道コースしか出なかったので、もう少し目的地を南に下げて第二神明道路〜加古川バイパスの延長線上にある姫路バイパスに近い姫路城に設定し、「須磨海岸→姫路城」でルート探索をしてみると…

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やっぱり同じ(−_−;)


なので、出発地をさらに遠くして、「西宮駅→姫路城」でルート探索してみたところ、

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推奨ルートは相変わらず遠回りな中国道〜山陽道ルートですが、距離優先ルートで阪神高速神戸線〜第二神明〜加古川バイパスのルートを出すようになりました。

距離優先ルートだからといって高速道路利用設定なのに強制下道になる時とならない時の区切りが良くわかりませんし、なにより渋滞情報を加味していないにも関わらず最短距離の有料道路を使わないことも意味不明ですが、こういう摩訶不思議な(理解不可能な)ルート探索をすることもあるのが「MapFan+」です。


▼ MapFan+ は無駄に遠回りのルートを推奨することがある

MapFan+ のルート探索は有料道路利用時/一般道優先時のそれぞれで4コースずつ候補を出してきます。ところが、4コースずつ提示してくるとはいえ、全部違うルートバリエーションであることは稀で、たいていは重複ないし類似コースがあって実質は1つか2つ、多くても3つです。

そして、「どう考えてもこのルートだろ?」という距離も所要時間も少ない、他のアプリなら推奨として出してくるコースを第二候補以下にして、遠回りのルートをやたら推してくることがあります。

例えば、以前の記事でコメントいただいたように、大阪東部・南部から滋賀県方面(またはその先)へ向かう場合にも、第二京阪道路〜京滋バイパスという有料道路を通らずに名神高速道路を通る大回りルートを推奨コースとして提示してきます。(渋滞情報を入れずにルート探索しています)

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(候補4ルートのうち3ルートが大回りルート)

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(最短距離ルートの候補では第二京阪道路経由)


上記2つのルートの所要時間を見てもらった判るのですが、大回りの名神高速道路経由が1時間27分、距離が短い第二京阪道路〜京滋バイパス経由が1時間近くも遅い2時間23分になっています。(高速を降りるICが1つ異なりますが、渋滞がなければ10分も差は出ません)

もちろん、こんなことは(渋滞要因がなければ)絶対にありません。第二京阪道路および京滋バイパスは名神高速道路より制限速度は低いものの、距離的に2割近く違いますから、たいていの場合は第二京阪道路〜京滋バイパスの方が速いです。

(関西空港から京都へ向かうリムジンバスも事故渋滞などがなければ、近畿道→第二京阪のルートを通ります)

にもかかわらず、遠回りコースを推奨してくるのは理解に苦しみます。

他のルートでもたまにこのようなことが起きていて、所要時間が実際とは乖離する場面もあるため、こういった遠回りコースを推奨するのは、

「一部の有料道路・自動車専用道路は所要時間計算が一般道扱いになっているのでは?」

と推測したのですが(ここの例では第二京阪道路の所要時間計算が一般道扱いになっているのではないか?と)、実際にはそう単純でもなかったようです。

MapFan+ アプリの設定には、一般道と高速道路の所要時間計算のための時速設定ができる項目があります。

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初期設定では一般道 30km/h、高速 80km/h になっていますので、これを 60km/h、70km/h と差をなくしてルート探索してみたのですが、結果は同じでした。遠回りの名神高速道路経由が推奨ルートなど、候補4ルートのうち3ルートを占めており、最短距離ルートだけ第二京阪道路経由となりました。

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おまけに、この設定だと(距離が短いので当然ですが)第二京阪道路〜京滋バイパスの方が所要時間が短いにも関わらず、なぜか推奨ルートは時間も距離もかかる遠回りの名神高速道路経由になっています。(推奨の名神経由が1時間24分、最短距離の第二京阪経由が1時間17分)

こうなるともう

MapFan+ の推奨ルートの判断基準が訳わかんねえ〜


ですね。どういうアルゴリズムなのか全くもって不思議です。

さらに、上記の例では高速道路/有料道路でしたが、実は一般道でも同じようなことはあります。大阪府北部(万博公園)から鳥取砂丘へ一般道優先でルート探索した場合も第一候補の推奨ルートはコレ↓

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国道2号線から国道29号線という有りと言えば有りのルートなのですが、明らかに遠回りであり、第2、第3候補の

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こちらの方が一般的ですし、距離も短く、MapFan+ 自身が所要時間も短く算出しているのに、なぜ遠回りルートをイチ押しにするのかは先の例ともども謎です。ホント、謎すぎます>MapFan+ の推奨ルート選定


▼ MapFan+ は細道・抜け道をあまり使わず、一般道優先ルート探索でもポイントで有料道路を使う経路候補を出す

MapFan+ のルート探索は基本的に主要道優先アルゴリズムなのか、酷い渋滞要因がないかぎり細道・抜け道を使わない傾向にありますし、大きな通りを優先するようです。Google Maps とは反対の傾向にあると言ってもいいでしょう。

そのことが、ルート探索結果で候補を8コースも提示しても同じようなルートばかりで実質的なバリエーションに欠ける原因だと感じていますが、他の2つ「Google マップ」「Yahoo!カーナビ」と比べると安心して楽に運転できるルートが多いので、好む人もいるでしょう。

また、他のアプリで一般道優先ルート探索とすると、多くの場合「一般道だけしか通らないルート」を探索することが多いのですが、MapFan+ の場合「ここだけは肝だから有料道路を使いたいよな」というところを使ったルートを提示してくることが間々あります。

面倒臭いので(^_^;)、前項最後に示した「大阪府北部(万博公園)から鳥取砂丘」へ一般道優先でルート探索した結果をまた例にとりますが、前述のとおり推奨ルートは何故それを推すのかよく分からないルートでしたが、最短距離コースアルゴリズムで得た第二候補は↓以下のルート

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これは、大阪北部→鳥取へ一般道で行く場合の正解ルートと言ってもいい経路です。(R173→R372→r77→R176→北近畿豊岡道→R9→…)

正解だと言うポイントになるのは、「基本的に一般道を通るけど北近畿豊岡道の有料区間、遠坂トンネルを金払って通る」という点。たった 310円ですが、効果絶大なので払って通りたいところです。

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他のカーナビアプリでも一般道優先ないし類似の設定でもこのルートを提示することは多いのですが、たいていは北近畿豊岡道を使っても有料区間の遠坂トンネル部分(青垣IC〜山東IC)は下道を通るコースになっています。

遠坂トンネルがこのあたりでは(播但連絡道路に次いで)早くに整備されたことからも判るように、遠坂峠を通る旧道はかなりしんどい道です。峠だけを攻めに行くならともかく、大阪から山陰方面へ行く途中でわざわざ通るような道ではありません。疲れて、時間が何倍もかかるだけです。

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「一般道優先」「有料道路を極力使わない」という設定で、どういった場合に「仕方なく有料道路を通る」べきなのかは人それぞれ基準が違うでしょうが、300円で大きな時間短縮が得られるなら、それくらい使うルートも示してほしいな、と思います。(NAVITIME系アプリのように「無料」という設定なら話は別)

遠坂トンネルも遠坂峠も通らない迂回ルートとなると、せっかくの北近畿豊岡道の無料区間も利用できなくなって時間的には大きなロスになりますから、通ることによる大きなコストパフォーマンスが見込めますしね。

そこまでの判断をカーナビにどこまで求めるのは酷かもしれませんが、それくらいはやってほしいなあ、と思いますね。まぁ一番やってくれそうな Google Maps さんは「高速道路を使わない、有料道路を使う」設定にしても遠坂トンネルは高速道路扱いのようで(北近畿豊岡道だし)通ってくれませんけどね…

(余談ですが、遠坂トンネルは本来もう償還期限を迎えて無料化されているはずでした。ところが無料区間として北近畿豊岡道をトンネルの前後に造って、それに合わせて遠坂トンネルも改修工事を行ったため、償還期限が20年近く延びました。高速の無料区間を作って償還期限が来たはずの有料トンネルの無料化が20年延期…あの辺の法律の不思議さです)


というわけで、今回は「MapFan+」のルート探索アルゴリズムの意味不明さをやり玉に挙げましたが、ホント時々「なんでこうなるの?」というルートを提示してくれます。

もちろん、多くの場合はそれなりに無難なルートを提示してくるのですが、それでも最初の事例で「のと里山海道」へ乗るインターチェンジが「誰がどう見てもその IC だろ?」というインターチェンジより1つ先から入るルートを提示するなど、細かいところでも「なんで???」というのが多いです。

Google Maps も Yahoo!カーナビも MapFan+ ほどではないけれど今ひとつ微妙なところはありますが、MapFan+ は他と併用しないとちょっと信用できないですね(^_^;)

(どうしてもカーナビアプリに頼って運転したければ素直に有料課金して NAVITIME 系アプリを使え、って感じなのは前から言ってますが)

さて次回は、残る「Yahoo!カーナビ」のルート探索の癖を中心に述べたいと思います。3つの無料カーナビアプリの中では一番実用的ですが、オススメルートはかなりの曲者です。

(続き)→ Googleマップ、Yahoo!カーナビ、MapFan+ をカーナビアプリとして使う場合のルート探索上の注意点【後編】

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