最近 Twitter も以前ほどマメにチェックしていないというか、フォローしているアカウントの中でも飛行機などで自分が見習いたいと思える写真を撮る方々をリストに集約して見る以外は、友達とニュースアカウントをチラ見するくらいになってしまいました。
それは別にいいのですが、あまり見てない間に昨日から「モバイルバッテリーや予備バッテリーが飛行機内へ持ち込み不可になる」という話が Twitter 界隈を飛び交っていたようで、今朝になって友達より「そうなったら遠征とかどうしよう?」なんてメッセージも送られてきて、はて?いきなりなんで??と。
それは別にいいのですが、あまり見てない間に昨日から「モバイルバッテリーや予備バッテリーが飛行機内へ持ち込み不可になる」という話が Twitter 界隈を飛び交っていたようで、今朝になって友達より「そうなったら遠征とかどうしよう?」なんてメッセージも送られてきて、はて?いきなりなんで??と。
友達から話を聞くと、どうやら話題の元は AFP の↓この記事だったみたい。
■ リチウムイオン電池、旅客機での輸送禁止 国連機関 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
ここから誤解というか不明瞭な部分
をもとに、
という三段論法を展開した人がいたようで、そのツイートが一気に拡散されて、さらに諸々解釈が広がって、え?どうするの?という人が多くなったようですね。
で、AFP 記事のソース元は、以下の ICAO からのリリースになります。
■ ICAO Council Prohibits Lithium-Ion Cargo Shipments on Passenger Aircraft
この「旅客機でリチウムイオン電池の貨物輸送を禁止する」と題された記事ですが、タイトルを見てもわかるように Cargo Shipments、貨物(預け入れ荷物も含む)としての取り扱いについて言ってます。
私は専門家でもなんでもないですが、昨年からこの件のニュースがあって、その時に ICAO で検討されていた内容のサマリーをチラ見したりしてきたので、「モバイルバッテリーや予備バッテリーが飛行機内へ持ち込み禁止」という噂?には違和感を感じずにはいられませんでしたし、今回のリリースを見る限り、
わけで、ICAO がモバイルバッテリーや予備バッテリーの機内持ち込み全面禁止を決めた、というのは飛躍しすぎだと思います。
ICAO のリリース中にある肝心の部分、
を見てもわかるように、
「禁止するのは貨物(預け入れ荷物)としてリチウムイオン電池を運ぶことのみで、乗客や乗員が手荷物として機内に持ち込むパソコンに内蔵されているリチウムイオン電池は対象に含まれてない」
と書かれています。
「じゃあ、機内持ち込みのモバイルバッテリーや予備バッテリーはどうなんだよ!?」
となるわけですが、そこは曖昧にして、それを ICAO が明記していないということは、
になるわけです。ある意味、今までどおり。
(私自身、複数のノートパソコン用予備バッテリーを持ち込んだせいか念入りに検査された経験はありますし、海外の航空会社では跳ねられる場合もあったと聞きます)
加えて、この規制強化策はいきなり決まったことではなく、ずっと検討されてきて、昨秋にはほぼ固まっていました。(その時もニュースになっていた)
■ 昨秋 ICAO の検討委員会が出した内容の要約をまとめている PDF
リチウムイオン電池運送の規制は以前から再三繰り返されてきて、2011年のアシアナジャンボ機火災墜落事故以降は特に議論が高まり、2013年にもルール改定が行われています。今回の、さらなる規制強化についても昨年から度々話題になっています。
その中で航空貨物会社は荷主に対して 2016年度からのリチウムイオン電池運送に関する告知リリースを既に出してきていますが、旅客向けの航空会社は今のところ特にありません。
4月から規制するものを直前になっていきなり、というのは(少なくとも国内航空会社は)ないでしょう。昨年の時点で 2016年度からのルール変更はほぼ固まっていたのですから、4月から運送規約を変えるつもりなら既に何らかのリリースはあっても不思議じゃないと思います。
もちろん、「ICAO として禁止を強制するものはするけど、そうじゃないものは航空会社が各自責任を持ってどうぞ」でありますから、機内持ち込みについては従来通りのところもあれば、規制を強化する航空会社も出てくる可能性は否定できませんが、ICAO が世界基準として禁止したとは解釈できないと思います。
ちなみに、今までもバッテリー類の貨物室への預け入れ荷物は既に多くの航空会社が禁止していますし、機内持ち込みなら全部良いわけでもありません。
以下は JAL の例ですが、
と明記されています。
■ JAL国内線 - 持ち込み・お預けに制限のあるお手荷物
■ 特にお問い合わせの多い危険物の代表例 (PDF)
バッテリーで 100Wh、160Wh と言うと、100Wh ですら Amazon とかで通常市販されている中で一番大容量なモバイルバッテリーになるくらいの容量です。
一般的に大容量と言われる 1万mAh クラスのバッテリー、例えば、
私が幾つも持ってるモバイルバッテリーの中で、一番大きな 13400mAh の↑このモバイルバッテリーで「48.24Wh」。
そう思うと、100Wh というバッテリーですら普通の人が普段持ち歩くとは思えないくらいの大容量であることが分かりますし、デジタルカメラの予備バッテリーくらいでは現行機内持ち込み基準の規制には遠いのも分かります。(気になるのはキヤノン EOS-1D や、ニコン D一桁の大型バッテリーくらいでしょう)
いずれにせよ、少なくとも ICAO がモバイルバッテリーや予備バッテリーを機内持ち込み禁止にした、というのは短絡的すぎると思います。
もちろん、今回再び規制が強化されるなかで、上記のような、各航空会社で定められたルールをより厳守してもらう方向になるでしょうし、航空会社によっては規制が強化される可能性も否定できません。が、ICAO の発表で4月から全面禁止なんてことは言っていないはず。
(外国のエアライン搭乗時には、モバイルバッテリーを絶縁袋に入れておくとかした方が良くなるのかもしれませんが…)
とまぁ、こう言っていて、いきなり規制がかかったら赤っ恥ですが、少なくとも国内線はそんなことしたら新幹線に客を奪われるのは目に見えているので、さすがにないでしょう。
ちなみに、電池やバッテリーがこれだけ規制されるのは航空貨物の火災の原因になっているからで、
して航空事故になる危険性を下げようとするためです。
自動消火装置の消化剤が、リチウムイオン電池の発火火災には効きにくいという記事も目にしたことはありますから、対策を講じられるまでの 2018年まで規制強化しようというのは止むをえない措置でしょうね。
■ スマホ予備電池、預けないで 航空機貨物室で発火の恐れ:朝日新聞デジタル
■ ICAO Training on Lithium Batteries(去年7月の ICAO 資料 PDF)
■ リチウムイオン電池、旅客機での輸送禁止 国連機関 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
ここから誤解というか不明瞭な部分
乗客や乗員が手荷物として機内に持ち込むパソコンに内蔵されているリチウムイオン電池は対象外
をもとに、
- パソコンに内蔵されているリチウムイオン電池は対象外
- 電子機器に内蔵していない、独立したモバイルバッテリーや予備バッテリーは規制対象!?
- 4月からモバイルバッテリーや予備バッテリーは機内持ち込みも不可になる!!
という三段論法を展開した人がいたようで、そのツイートが一気に拡散されて、さらに諸々解釈が広がって、え?どうするの?という人が多くなったようですね。
で、AFP 記事のソース元は、以下の ICAO からのリリースになります。
■ ICAO Council Prohibits Lithium-Ion Cargo Shipments on Passenger Aircraft
この「旅客機でリチウムイオン電池の貨物輸送を禁止する」と題された記事ですが、タイトルを見てもわかるように Cargo Shipments、貨物(預け入れ荷物も含む)としての取り扱いについて言ってます。
私は専門家でもなんでもないですが、昨年からこの件のニュースがあって、その時に ICAO で検討されていた内容のサマリーをチラ見したりしてきたので、「モバイルバッテリーや予備バッテリーが飛行機内へ持ち込み禁止」という噂?には違和感を感じずにはいられませんでしたし、今回のリリースを見る限り、
機内持ち込みについて変更を求めることは書かれていない
わけで、ICAO がモバイルバッテリーや予備バッテリーの機内持ち込み全面禁止を決めた、というのは飛躍しすぎだと思います。
ICAO のリリース中にある肝心の部分、
It pertains only to Lithium-ion batteries shipped as cargo on passenger aircraft, and not to those contained in personal electronic devices carried by passengers or crew.
を見てもわかるように、
「禁止するのは貨物(預け入れ荷物)としてリチウムイオン電池を運ぶことのみで、乗客や乗員が手荷物として機内に持ち込むパソコンに内蔵されているリチウムイオン電池は対象に含まれてない」
と書かれています。
「じゃあ、機内持ち込みのモバイルバッテリーや予備バッテリーはどうなんだよ!?」
となるわけですが、そこは曖昧にして、それを ICAO が明記していないということは、
機内持ち込みのモバイルバッテリーや予備バッテリーは航空会社次第
になるわけです。ある意味、今までどおり。
(私自身、複数のノートパソコン用予備バッテリーを持ち込んだせいか念入りに検査された経験はありますし、海外の航空会社では跳ねられる場合もあったと聞きます)
加えて、この規制強化策はいきなり決まったことではなく、ずっと検討されてきて、昨秋にはほぼ固まっていました。(その時もニュースになっていた)
■ 昨秋 ICAO の検討委員会が出した内容の要約をまとめている PDF
リチウムイオン電池運送の規制は以前から再三繰り返されてきて、2011年のアシアナジャンボ機火災墜落事故以降は特に議論が高まり、2013年にもルール改定が行われています。今回の、さらなる規制強化についても昨年から度々話題になっています。
その中で航空貨物会社は荷主に対して 2016年度からのリチウムイオン電池運送に関する告知リリースを既に出してきていますが、旅客向けの航空会社は今のところ特にありません。
4月から規制するものを直前になっていきなり、というのは(少なくとも国内航空会社は)ないでしょう。昨年の時点で 2016年度からのルール変更はほぼ固まっていたのですから、4月から運送規約を変えるつもりなら既に何らかのリリースはあっても不思議じゃないと思います。
もちろん、「ICAO として禁止を強制するものはするけど、そうじゃないものは航空会社が各自責任を持ってどうぞ」でありますから、機内持ち込みについては従来通りのところもあれば、規制を強化する航空会社も出てくる可能性は否定できませんが、ICAO が世界基準として禁止したとは解釈できないと思います。
☆
ちなみに、今までもバッテリー類の貨物室への預け入れ荷物は既に多くの航空会社が禁止していますし、機内持ち込みなら全部良いわけでもありません。
以下は JAL の例ですが、
- リチウム電池(リチウム含有量が2g以下)またはリチウム・イオン電池(ワット時定格量が160Wh以下)を内蔵した電子機器は機内持ち込み、預け入れ荷物とも可能、個数制限なし
- 電子機器の予備リチウム電池で、使い捨てタイプ、リチウム含有量が2g以下でショートしないように個別に保護してあるものは、預け入れ荷物は不可だが機内持ち込み可能で個数制限なし
(リチウム含有量が2g超の場合は一切不可) - 電子機器の予備リチウムイオン電池で、充電式タイプ、ワット時定格量が100Wh以下で、ショートしないように個別に保護してあるものは、預け入れ荷物は不可だが機内持ち込み可能で個数制限なし
- 電子機器の予備リチウムイオン電池で、充電式タイプ、ワット時定格量が100〜160Wh以下で、ショートしないように個別に保護してあるものは、預け入れ荷物は不可だが機内持ち込み可能で2個まで
と明記されています。
■ JAL国内線 - 持ち込み・お預けに制限のあるお手荷物
■ 特にお問い合わせの多い危険物の代表例 (PDF)
バッテリーで 100Wh、160Wh と言うと、100Wh ですら Amazon とかで通常市販されている中で一番大容量なモバイルバッテリーになるくらいの容量です。
一般的に大容量と言われる 1万mAh クラスのバッテリー、例えば、
私が幾つも持ってるモバイルバッテリーの中で、一番大きな 13400mAh の↑このモバイルバッテリーで「48.24Wh」。
そう思うと、100Wh というバッテリーですら普通の人が普段持ち歩くとは思えないくらいの大容量であることが分かりますし、デジタルカメラの予備バッテリーくらいでは現行機内持ち込み基準の規制には遠いのも分かります。(気になるのはキヤノン EOS-1D や、ニコン D一桁の大型バッテリーくらいでしょう)
☆
いずれにせよ、少なくとも ICAO がモバイルバッテリーや予備バッテリーを機内持ち込み禁止にした、というのは短絡的すぎると思います。
もちろん、今回再び規制が強化されるなかで、上記のような、各航空会社で定められたルールをより厳守してもらう方向になるでしょうし、航空会社によっては規制が強化される可能性も否定できません。が、ICAO の発表で4月から全面禁止なんてことは言っていないはず。
(外国のエアライン搭乗時には、モバイルバッテリーを絶縁袋に入れておくとかした方が良くなるのかもしれませんが…)
とまぁ、こう言っていて、いきなり規制がかかったら赤っ恥ですが、少なくとも国内線はそんなことしたら新幹線に客を奪われるのは目に見えているので、さすがにないでしょう。
ちなみに、電池やバッテリーがこれだけ規制されるのは航空貨物の火災の原因になっているからで、
- 与圧、温度コントロールが最小限の貨物室では、室温が大きく変動する
- 条件によっては、室温が下がった時に空気中の水蒸気が凝結(冷えたコップに水滴が付く現象)
- バッテリーが水分でショート&発火
して航空事故になる危険性を下げようとするためです。
自動消火装置の消化剤が、リチウムイオン電池の発火火災には効きにくいという記事も目にしたことはありますから、対策を講じられるまでの 2018年まで規制強化しようというのは止むをえない措置でしょうね。
■ スマホ予備電池、預けないで 航空機貨物室で発火の恐れ:朝日新聞デジタル
■ ICAO Training on Lithium Batteries(去年7月の ICAO 資料 PDF)
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