毎年恒例カメラの祭典 CP+ に向けて各社新カメラ、レンズの発表が相次ぐ昨今で、今日もペンタックスユーザー待望のフルサイズ一眼レフ K-1 が発表されたりもしていますが、キヤノンも先日の EOS-1D X Mark II に続いて、中級機 EOS 80D を本日午後発表しました。


キヤノン:EOS 80D:日本の瞬間を。
キヤノン:一眼レフカメラ/ミラーレスカメラ EOS 80D|概要

既にスペック概要はリークされていたのですが、従来機 70D と比べると、
  • ファインダー視野率:98%→100%
  • 画素数:2,020万画素→2,420万画素 (APS-C)
  • 画像エンジン:DIGIC 5+ → DIGIC 6
  • AF測距点:オールクロス19点→オールクロス45点
  • AF低輝度限界:-2.5EV → -3EV
  • F8 AF:非対応→最大27点対応
  • 測光センサー:63分割→7,560画素RGB+IR
  • AIサーボ機能の強化
  • 重さ:755g→730g
  • フリッカーレス撮影対応
  • 連射速度は変わらず秒7コマ
  • ピクチャースタイルにディテール重視追加(5Ds以降搭載)
  • 周辺光量・色収差に加えて歪曲収差補正も追加
  • タイムラプス、HDR 動画追加(4K動画非対応)
  • バリアングル液晶、Wi-Fi、NFC は搭載そのまま

といったあたりでしょうか。

基本的には、伝統的な EOS 二桁機を踏襲しつつ、下位機種に逆転されていた画素数や画像エンジン更新など順当なスペック引き上げとなっていますが(連写性能が1コマも上がらなかったのは残念)、目を惹くのは

AF 性能の強化


であり、特に気になるのは

F8対応AFが全45点中27点!!


ということ。

EOS-1D X Mark II のような全点 F8 AF 対応という凄まじさはないものの、測距点の半分以上が F8 AF 対応。それも中級機の二桁機が EOS 5D や 7D シリーズを押しのけて、そんなハイスペック AF を搭載するなんて…という衝撃はあります。

だって、EOS 7D Mark iI も 5D Mark III も中央1点+周辺4点のみですからね。

はっきり言って 7D Mark II ユーザーとしては羨ましい!


新型 EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM を使っていると、F8 AF は意外と使いたくなるんです。



ちょっと前までのレンズなら F5.6 のレンズに x1.4 テレコンかまして F8 で撮る、なんてのは緊急手段だったと思うのですが、最近のレンズはそうでもありません。

ニコンなら話題の超望遠レンズ AF-S VR 200-500mm F5.6 に x1.4 テレコンかまして撮ってる人も珍しくないですし、キヤノンなら一昨年発売された EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM に x1.4 テレコンかましても十分実用どころか、

「超望遠ズームにテレコン付けても、こんなにちゃんと写るの?」

って、発売日当日に試して思ったくらいです。


(意外と使える組み合わせ。万能望遠レンズの面目躍如?)


なにせ真っ当に焦点距離 500mm オーバーを確保しようと思うと、安価軽量なタムロン、シグマの 150-600mm にしろ、ニコン 200-500mm にしろ、それなりに大きく重いレンズが必要となります。

超望遠で飛び物を撮っていて、2kg 程度のレンズで重いとかwww というのは確かにありますが、EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM だと所謂 70-200mm F2.8 クラスのレンズと同じですからカメラバックも大型レンズ向けのものを使わなくて済み、機動性に優れた撮影体勢になるのは有難いところです。

超望遠ゆえ空気状態には大きく左右されますし、単焦点超望遠レンズと比べるとズームにテレコンでは、条件が少しでも悪化すると抜けの悪さは目に見えて落ちますが、冬場の良好な空気なら十分実用になりますし、普通のカメラバッグで持ち歩きながら焦点距離 560mm を確保できますし、画質も(F9 〜 F10 に絞れば)良好です。

ところが、5D Mark III にしろ、7D Mark II にしろ、1D X にしろ、F8 AF は中央1点+周囲4点の5点のみ(6D は非対応)。100-400II + x1.4 テレコンがいくら実用になると言っても、動体相手では日の丸構図にならざるをえませんから、トリミング前提にするか構図に制約を受け入れるか、です。

ですので、7D Mark II & 100-400II ユーザー的に EOS-1D X Mark II の発表で何が羨ましいかといったら、全点 F8 AF でした。ところが、80D がこの全45点中27点 F8 AF 対応ですよ。

「うーーーん、魅力的!!」

Itami Airport 2014.12.29 (6) JA8397 / JAL's B767-300


ただまぁ実際のところ、7D Mark II ユーザーとしては、そして EOS APS-C は二桁機をスルーして初代 7D まで買えなかった身としては、いくら F8 AF に魅力を感じても、なかなか手を出しづらいものはあります。
  • 連写速度が変わらず秒7コマ
  • スポット1点AFや領域拡大AFがない(かなり多用する)
  • 防塵防滴性能
  • 二桁機のマウント部の造り
  • 7D Mark II との操作性の差
  • SDカード・シングルスロット

ということを思うと、なかなか手を出しづらいところはあります。

カメラの場合、メカニカルやボディそのものの造りが値段の差に直結しますし、6D でもサンニッパにテレコン付けているとマウント部の強度がギリギリなんでは…?と思うことがありますから、防塵防滴性能ともども、やっぱり一桁機というのは感じます。

そういう意味では D500 なんていう 7D Mark II キラーも出ましたし(価格帯が若干違いますが…特に縦グリップを付けると)、

5D Mark IV の開発が一段落したら 7D Mark II Ver.2.0


的なファームウェア・アップデートが来てほしいものです。

F8 AF の拡大は不可能でしょうけれど、AI Servo の精度はもうちょっと上げてほしいものです。特に向かってくる被写体に対するサーボの挙動は、もう少しなんとかしてくれてもいいのではないかな、と。あとは高感度画質もねぇ。

まぁウチの 7D Mark II も今年中にはオーバーホール行きの可能性も高いので、使い続ける気になるだけの 7D Mark II アップデートもお願いしたいと思わせる 80D の発表でした :-)


(EOS 80D と初値と 7D Mark II の現行実売価格は大差ないことを思うと…)