先週、日本でもサービス開始となった Amazon プライムフォト。Amazon プライム会員なら RAW も含めて写真ファイルは容量無制限というデジカメユーザー的には天国のようなサービスであり、早速私も写真データーのバックアップに使いまくっています。

1週間で 80GB 以上突っ込んでもアップロード速度は変わらず
安定した速度(当方環境で平均2MB/s程度)を維持している


ので、ストレスなく非常に快適に使えています。

AmazonPrimePhoto02


この1週間で 80GB 以上バックアップしましたが、上記のように概ね写真データーの無制限対象分として認識されています。(対象外のデーターは Adobe Camera RAW や Lightroom など現像ソフトのレシピファイルと、写真とは関係ない Kindle Personal Document の分)

ここ数日の転送時間を見ても(毎回測ってるわけでもなく気が向いた時のみ、測り方も別作業している片手間の適当計測です)、

時間帯転送量所要時間平均転送速度
0.4GB3分2.4MB/秒
昼前1.46GB12分2.03MB/秒
午前中1.71GB23分1.24MB/秒
4.9GB34分2.41MB/秒
午後7.7GB68分1.89MB/秒
正午すぎ6.25GB36分2.89MB/秒
4.72GB37分2.31MB/秒
夕方4.7GB34分2.3MB/秒


といった感じで、たまに少し遅くなることがあるものの、短期間に 80GB 以上を転送しているにも関わらず、速度規制されるようなこともなく、比較的安定しています。1GB くらいなら 10分前後で転送が終わります。

このあたりはさすが、クラウドのインフラ企業として各種有名サービスを支える Amazon 本家のサービスであり、現状は安心して使えています。もっと速い転送速度のサービスはありますが、写真データーだけとはいえ容量無制限でこの価格で、この安定した速度は圧倒的です。

むしろ、気をつけるべきは

大量転送しすぎて、プロバイダーの規制や警告を受けないように


しないといけません。光固定回線も Winny など一時期の P2P 流行り以降、あまりの大量アップロードは規制対象、警告対象になっています。

規制のしきい値は、1日の上り転送量が 30GB だったり 15GB だったり、プロバイダーによって異なりますし、転送を行う時間帯などでも変わってくると思いますが、Amazon Cloud Drive(プライムフォト)の転送速度が速くても、そちらで問題になることはありますので、ご注意ください。

また、クラウドストレージで一番重要な転送速度という点では全く不満はないのですが、Amazon Cloud Drive は大手クラウドストレージの中では機能的に最低限レベルですから、それをベースにしたプライムフォトも含めて、以下のような欠点があります。




  • パソコンからは Amazon Cloud Drive アプリをインストールしないと、フォルダのアップロードすらできない。
    (ブラウザではファイルアップロードのみ)

  • パソコンの専用アプリではダウンロードも丸ごと一括のみ、というシンプルにも程がある最小限機能さ。
    (ブラウザからはファイル個別、フォルダ毎にダウンロード可能)

    AmazonPrimePhoto06

  • Mac版 Amzon Cloud Drive アプリは次々とファイルをアップしていくと、そのうちアップロード速度が劇遅くなることがある。(改善策は別記事にて)

  • アップロードに失敗した後、失敗したファイルだけアップロードをリトライすることができない。
    (もう一度最初からアップロードを行うしかない。ただし、フォルダのアップロードなど複数ファイルのアップロードを再度行う場合、既にアップロード済みのファイルについてはスキップされるので、違和感はあるもののフォルダ全てのファイルをアップロードし直すことにはならない)

  • Amazon Cloud Drive としてのファイル関連機能はファイルの移動、削除、ファイル名変更、データー共有のためのリンク作成といった必要最小限の機能しかない。
    (共有リンクは作れるし、リンクの共有を停止することは可能だが、パスワード付きリンクなどの機能はない)

    AmazonPrimePhoto01

  • ファイル・フォルダの表示順序はファイル名、アップロード日付、サイズで並び変えることが可能だが、ブラウザを終了させるとその指定は忘れられてしまうので、常にファイル名の昇順に固定しておく、といったことができない。
    (項目をファイル名に表示したい場合はブラウザ起動のたびに、一覧の最上部にある「ファイル名」をクリックする必要がある)

  • フォルダ内のファイル容量、ファイル数などの情報を表示するプロパティ的な機能がない。

  • フォルダにあるファイル数、フォルダ数も自分の目で数えるしかない……

  • アップロードした写真は「写真&ビデオ」タブでサムネイル表示され、EXIF見て年別月別で自動区分されているものの、自動区分の月が間違っていたり、EXIFが取れないと1970年に区分される(UNIXtime ですな)など、色々と詰めの甘いところが散見される。

    AmazonPrimePhoto04
    (1月の写真が何故か2月扱い……)

  • そもそも EXIF を表示する機能がない。(ブラウザ上からもスマートフォンアプリ上からも)

  • 「写真&ビデオ」タブではアルバム作成機能もあるが、Cloud Drive 側(「すべてのファイル」タブ)と連携していないので、フォルダ内の写真をまとめてアルバム作成・追加する、といったことができない。

  • 「写真&ビデオ」タブから写真を表示させると、簡易写真編集機能もあるが、はっきり言ってかなり画像が荒れるので使いたくない……

    AmazonPrimePhoto05

  • パソコンのブラウザ上では「すべてのファイル」「写真&ビデオ」の2つのタブを用途に応じて切り替えて使うが、スマートフォンアプリは Amazon Cloud Drive アプリと Amazon Photos アプリの2つに分かれている。2つのアプリを用途に応じて、適宜使い分けることになる。

  • アプリ上でできることは写真編集機能がない、スマートフォンの他のアプリとの連携機能がある、といったことを除けば、ブラウザとほぼ同じ。

  • Amazon Photos アプリの月別自動整理も、ブラウザ上とはまた違うバグがあって分類がおかしくなる時がある……

  • 外部に向けたサービス API が用意されていないので(少なくとも日本向けは)、Amazon 純正アプリがどれだけ使いづらくてもサードパーティ製アプリが出ることがない。


といった感じで、

クラウドストレージとしては機能最小限だし
写真管理サービスとしての機能は随分物足りない


のは否めません。(後者に関しては Flickr を常用しているので余計にそう感じる)

クラウドドライブ、クラウドストレージとしてみた場合、使い勝手は OneDrive、Google Drive などと比べても落ちますし、写真ストレージとしても EXIF すら見られないようではまだまだ全然、と言わざるを得ません。

(それゆえに従来から容量が 10GB あった Amazon Cloud Drive を、今まで使う気になったことがなかった)

フォルダ単位の整理が基本になる Cloud Drive と、それに乗っかってる割にはファイル管理が別物になってしまっている「フォト&動画」タブが連携できていないので、

ウェブ上での画像整理、再生用途には使い勝手が良くない


ですね。フォルダ単位でアップロードしてからアルバムをまた別途、手動で作成するとか面倒すぎます。

AmazonPrimePhoto09


ただ、逆に言えば、

機能最小限だが、転送速度は安定しているので
バックアップ保管庫としてなら最適


であり、もっとハッキリ言えば、

バックアップ用途くらいにしか適してない


クラウド(フォト)ストレージと断言できます。

今まで機能的に微妙でイマイチ使いどころのなかった Amazon Cloud Drive でしたが、今回プライム会員なら「写真データーは容量無制限」となったことで、写真データーバックアップ保管庫としてピッタリのサービスになった、と1週間使っての結論です :-)