先日の前編では今年もガンバ大阪ナビスコ杯優勝するぞ!と書いてみたものの結果は完敗で、鹿島のここ一番の強さを見せつけられたというか、遠征して負けて帰るほど哀しいものはありません……

最近このブログはすっかり物欲消化ブログになってしまってサッカー関連のことは書いていませんが、色々理由はあってもJリーグが今季から再導入した2ステージ制は最悪ですね。スケジュールが厳しくなっただけで、ステージ毎の優勝が大して盛り上がってるとも思えないし(特に2ndは結局年間順位の方が気になる…)、微妙感溢れすぎです。

そして、2ステージ制による強行日程の煽りを一番食らってるのが、あちこち勝ち進んだガンバ大阪。ナビスコ杯での選手の疲労感ありありの姿を見ると、これでJリーグはアジア制覇のために後押ししてるとか何とか言われても「ふざけんな、バーカ」としか言えません。

とまぁ、そんな具合だったので今年の決勝でプレー写真を撮ることをせず、 7D Mark II を点検修理に出すのを優先したのは正解だったようです。今年は最前列じゃなくて、前に背の高い(座高の高い)人が座って、視界が辛かったですしね……

EOS7D2AYear_GambaNabisco


などと愚痴を吐きつつ、話を本題に戻して EOS 7D Mark II。発売から1年経って、最近の販売ランキングを見ると(集計する業者にも依りますが)EOS 6D や EOS 5D Mark III より下にいることが多く、元々ニッチ向けで一通り需要が回るとこんなもんかなあ、という感はあります。

もっとも、割り切って使えない人を除いて評判は総じて良く、私も前編で書いたとおり満足していますし、1年で十分元を取った感じです。

EOS 7D Mark II 発売・購入から一年使ってきた雑感【前編】 〜限られた懐で超望遠動体撮影するための良いツール

前編では1年間使ってきての実感として

  1. 長玉レンズが買えない、懐が寂しい身にピッタリの望遠動体撮影ツール

  2. キヤノンにしては珍しく?若干じゃじゃ馬というか乗りこなしを要求するカメラ

  3. 一部を除いて期待通りで満足だけど、連写機で中級機ゆえの耐久性が不安


という3点を挙げました。最初と最後の2点については前回述べましたので、最後のもう1点をつらつらと書いてみたいと思います。



【キヤノンにしては珍しく?若干じゃじゃ馬というか乗りこなしを要求するカメラ】


7D Mark II はスペック上、一見高バランス機に見えて、確かに画質面を除けば高いバランスのカメラだと思うのですが、万能機かと言われるとそうでもない、使っていると「やや得手不得手のあるカメラではないか?」というのが私が一年間使ってきた印象です。

(そういう意味で、発売から1年経った今、EOS 6D や 5D Mark III の方が売れるのも納得できます。というか、5D Mark III はモデル末期なのにこの売れ行きで満足感も高いとなると、Mark IV でキヤノンお得意の売れてるから手抜きモデルチェンジが炸裂しそうな不安……)

得手不得手と書くとちょっと語弊があるかもしれません。望遠動体撮影に関してあまりにもスペックも使いごごちも満足感が大きく、そういった 7D Mark II のポテンシャルが 100% 発揮できない場面ではフツーの APS-C 機になるので、相対的な評価が低くなるだけでしょう。

ただ、画質面ではフルサイズ機とは明らかな差がありますし、同じ APS-C 機でも1年前まで使っていた富士フィルム X-T1 と比べて画質面では低い評価をせざるを得ないのは今でも変わりません。

X-T1 の画質に慣れ親しんでいた分、7D Mark II を使い始めた時の画質評価は、

画質も初代 7D から確実に進化してるけど、5年分には物足りないなぁ


というものでしたし、1年経っても評価は同じ。

特に暗部ノイズに関しては ISO 400 程度でも「うぇっ、こんなに汚いんかい…」と感じる場面もあって、今でも撮り方でどう補おうか試行錯誤しています。

サッカーのナイトゲームのように最初から高感度撮影で一定の画質落ちを妥協せざるを得ない時は問題ないのですが(ISO 2000くらいまでは十分妥協範囲)、晴天日中下でも陰になった部分にノイズ乗りまくってるのを見ると、やはり「画質的にはもう一声欲しかった」というのが変わらぬ本音です。

高感度画質についても、個人的には

  • 〜 ISO 400:暗部ノイズさえ気をつければ、まずまず安心
  • 〜 ISO 1250:適正露出なら問題なしだが、暗部ノイズは目立ってくる
  • 〜 ISO 2000:細部は怪しくなるし、ノイズも目立ってくるが、適正露出で後処理ほぼ不要なら許容範囲
  • 〜 ISO 3200:細部はかなり甘くなって不明瞭な部分も出てくるが、夜間など仕方ない場面なら使うし、ISO Auto 設定の上限
  • 〜 ISO 6400:機械、建築物相手なら非常用として使えなくもないが、スポーツ(人相手)は非常用としても厳しい。少しでも後処理で弄ると破綻する。
  • ISO 8000〜 :非常用でも使いたくない


という感じで、同世代他社 APS-C 機に比べて若干見劣りするかなあ、という思いは拭えません。

「高感度で良い画質欲しければフルサイズ使えよ!」ということになるわけですが、前編で書いたように長玉レンズが買えない身にとっては APS-C の画角が欲しいわけですからねぇ。

いずれにしても現在の APS-C 機としては画質的にはそう高いものではなく、かといって実用に困るほどでもないのが 7D Mark II。それでも、できるだけ良い画質を確保するために、

  • 高速シャッター速度が必要な被写体でも、シャッター速度を必要以上に上げすぎず=ISO感度をなるべく低く抑える
  • かといって、微ブレが目立つカメラでもあるので、ブレは腕と努力と体力で押さえ込む
  • 露出やコントラストを適切に撮って後処理を最小限にする、時には暗部ノイズを目立たなくさせるような露出で撮って後で調整する
  • JPEG 撮影時はホワイトバランスもしっかり現場でとる
  • 等倍で見ればフルサイズのような画質は望めないのだから、被写体をできるだけ大きく撮る(可能ならば)


といった、当たり前と言えば当たり前のことをしっかりやらなきゃならないカメラであり、その上で

適切な設定、撮り方かどうかで画質の落差の大きいカメラ


という印象です。
画素数が増えて画素ピッチが狭くなったせいか、適当に撮るとこれほどしっぺ返し食らう EOS も初めてな気がするくらいです。初代 7D に比べて +200万画素ですが、やたら微ブレに厳しくなった気もします。

「おお、良いね!」と思える場合と、「なんじゃこりゃ」と思う場合の差、良い出来と悪い出来の落差、すなわち自分がどれほどちゃんと撮ったかの差が出やすいと感じています。

しっかり撮ればポテンシャルを十分引き出せるのは言う間でもないのですが、油断して気を抜いて撮るとかなり酷い写真になることも多々あって、シビアさは感じます。

自分を律するという意味では悪くないのですが。富士フイルム機だと、画質面では割とカメラに助けられていたところが大きかったなぁ、気楽に撮れたなあ、と思うのもまた事実です(^_^;)

EOS7D2AYear_BlueImpulse


EOS 7D Mark II のウリである AF に関しても画質面と同じく、意外と奥が深いというか手強いところがあって、

下手くそが助けてもらえる AF ポテンシャルを持つけど、助けてもらうためには被写体・撮影環境にあった設定が必要

というのが、この1年間 7D Mark II の AF を使っていてきて痛感していることです。

1D X 譲りという謳い文句はとてもそのまま鵜呑みにできませんし、使っていて何となく

AF のポテンシャルは凄いけど、ピーク能力を発揮できるレンジが狭い


印象があります。それゆえ、6つの AF モードを始め、被写体に応じた AF の設定次第でヒット率に影響があると感じています。

ま、この印象はあくまで私みたいな下手っぴな人間の印象であり、被写体がどんな動きをしても狙ったフォーカスフレームから外さず追える人なら標準 mode 1 だけで十分なのでしょう。それで概ね色々こなせる能力はあると思います。

ただ、当方は年齢とともに動体視力も反射神経も確実に低下し、体力・腕力も低下して、サンニッパあたりの決して重いと言えないレンズ(ボディ、テレコン込み 4kg 強)でも、1分ほど被写体を追っていると被写体追従がふらつくことがあるので、そういった場合も含めて「機械によるヘルプ」は重要です。

そこで重要になるのは 7D Mark II の AF 設定(と、レンズの設定)。
  • 被写体の種類・動き
  • その被写体を撮るにあたって自分が被写体をどう外すことが多いか
  • その日の体調

の3要素を鑑みて、うまくハマれば 7D Mark II の AF は自分のダメな部分をフォローしてくれるくらいになりますし、適当に設定したらそれなり、になります。

例えば、Jリーグをスタンドから撮る時には色々試して結局 mode 4 に落ち着いているのですが、パラメーターはその日の調子で少し動かしています。あくまで私個人の話ですが、「今日はどうも調子よくないな」と感じた時は被写体追従特性を -1 にする方が、結果的に使える写真が増えることが多いのでそうしています。

被写体の動きが激しい時、被写体追従特性を下げると明らかにレリーズ一発目のジャスピン率が下がるのですが、被写体の動きに微妙について行けない時も粘ってくれるので、調子が悪くてどちらにせよ撮りきれない1枚目を捨てて2枚目以降で救う率を上げる、という考え方です。(趣味でやってるので、そのあたりは許容範囲ということで ^^;)

測距エリアモードについても、スポーツについては殆ど領域拡大AF(上下左右)ですが、他ジャンルではゾーンAFや1点、スポット1点AFも多用しますし、特に狭い部分にピントを合わせに行くスポット1点AFは止め絵では重宝してます。

ただ、ゾーンAF は便利というだけで安易に使ってしまうと 70〜80点はクリアできても90点以上は狙えないかなあ、と思う昨今なので、露出とともに使いどころは考えていかなきゃな、と思っています。

あと、これもごく個人的な印象でしかないのですが、

「もしかして広角側の画角での合焦精度は微妙?」

という思いも抱いています。どうも望遠レンズを使っている時ほど信用できないんですよね。私の使い方が悪いだけかも知れませんが。

Kokura Racecourse 2015.8.1 (19) final corner at 6R MDN T2000


というわけで、この1年間に自分がどれほど EOS 7D Mark II のポテンシャルを引き出せた写真が撮れていたかは我ながら疑問ですが(;´д`)

若干じゃじゃ馬な、撮り手に要求されるモノも多いカメラ


かなぁ、というのが1年間使ってきた印象の一つでもあります。

キヤノンが宣伝するような動体向け万能カメラという側面がありつつも、そのポテンシャルを引き出すレンジは他の中級機より狭くて、撮り手次第、キヤノンのカメラの中では珍しくピーキーさのあるカメラじゃないかなぁ、という思いとともに使っています。

まぁ、単なる私の思い込み、な感想ですけどね :-D


(望遠メインかつ安価にフルレンジ揃えられるこのセットは個人的にお薦め)