本年も Apple 恒例 iOS 関連新製品発表会が本日未明に開催されましたが、北関東の豪雨被害があまりにも衝撃的で iPhone だの iPad だのというニュースは吹っ飛んでしまう状況ですが、簡単に個人的な感想を記しておきたいと思います。

ちなみに、WWDC 基調講演や9月の新製品発表会を寝ないで起きてチェックし(昔は公式リアルタイム中継なんてなかった)、新しい iPhone 予約開始日には朝からヨドバシの行列に並び、発売日朝には値段関係なく一括払いで最上位モデルを購入……なんてのも今は昔。

去年に続いて発表会を見ることなく普通に寝ていましたし、iPhone 6s を予約することもありません。近年は情報もダダ漏れですし、驚きもないですからね……

新しい iPhone を絶対買わないというわけではありませんが、昔のように2年満期を待たずに機種変したり MNP するほど「今すぐ使いたい!」という機能もなく、未だ使っている iPhone 5s で大きな不満もないので、2年満期まで待つ気分です。

特に、現在大手キャリアはみんな基本料が高い「カケホーダイ」プランが必須になっていて、私のような電話はあまりしないけどパケットには余裕が欲しい人間は「安く月 7GB 使える旧プランをできるだけ引きずりたい、2年満期まで使いたい」と思っています。

以前も書きましたが、ドコモ iPhone も、au Android も両方月額3千円台前半でパケットが 7GB 使えるプランですから、いま普通に1台契約した時の月額費用で2台分、合計14GBのパケットが使い放題ですので、来春の2年満期までは手放せないところ。

月14GB、MVNO の契約を含めて 15GB 以上あると、出先でJリーグオンデマンドやモータースポーツのネット中継見るのも余裕。何をするのもパケット制限を気にせず使えるのは、端末がちょっと速いとか画面がデカいとかよりもずっと快適なので止められません。

昨年は iPhone はスルーだったものの、続いて発表された iPad Air 2 は全部入り SIMロックフリー版を買って無くてはならない愛機になっていますが、今回の新製品で特に欲しいというものはないので、まぁ前向きな雑感ではないですが、発表された新製品毎に少し書いてみます。




1)iPhone 6s / iPhone 6s Plus

iPhone 6s - Apple(日本)

メインの iPhone 6s / 6s Plus、今回のウリは噂どおり圧力センサーによるプレス操作「3D Touch」と、フィードバック専用の振動デバイス「Taptic Engine」ですね。それら技術を採用した、今春発表の新型 MacBook 搭載 TrackPad は素晴らしいものでした。

ただ、個人的には

素早く判りやすい操作が必要なスマホで 3D Touch はどこまで便利かなぁ?


と、いささか懐疑的です。長押しって結構面倒くさいですしね。

Peek とかクイックアクションを長押しで表示させるくらいなら、タップに対する素早いレスポンスで結果へ即座に辿り着ける、すぐに戻れる方がいいように思いますが、そこは使ってみないと判らないことではありましょう。別段使ってみたいというほどの魅力はないですが。

もっとも、「3D Touch」には若干懐疑的な私ですが、フィードバック振動デバイス「Taptic Engine」は素晴らしいもので今後色々と応用範囲が広がって無くてはならないものになっていくように思っています。

ただ、iPhone 5s でモーションプロセッサ M7 が搭載された時もそうですが、3D Touch も Taptic Engine も、それが目的じゃなく手段として UI に正しく使われるアプリが増えるのは、まだ少し先でしょう。

(個人的に 3D Touch も Taptic Engine も、iPad シリーズの方がより効果的な価値があると思えます)

あとは
  • A9チップ搭載で CPU は70%、GPU は90%高速化
  • 4年ぶりにメインカメラの画素数が増加(インナーカメラも画素数増加)
  • 4K動画撮影可能になり、静止画撮影時に短い動画を撮る「Live Photos」機能も追加
  • Hey Siri と呼びかけての応答が常時可能になった(使ったことない)
  • Touch ID の指紋認証が高速化
  • LTE対応バンドは増加し、ドコモは下り最大262.5Mbps 対応になったが、相変わらず日本独自の 1.5GHz 帯には非対応(特に困らないと思うけど)
  • サイズは 6/6 Plus と同じではなく、両方とも若干大きくなった
  • 重さも1割増
  • 新色として品の良さげなピンク登場

といったところでしょうか。今までモデルチェンジのたびに薄くなることはあっても厚くなることがなかった iPhone でしたが、ここにきて、とうとう厚みが増してしまいましたね。

ただ、個人的には iPhone 6 以降の薄さよりも

背面カメラの出っ張りがどうにも好きになれない


ことが現行 iPhone に惹かれない理由の一つなので、来春2年満期を迎えたのちも MVNO に MNP してそのまま iPhone 5s を使い続けて iPhone 7 を待つ、というのはあるかもしれません。


2)iPad Pro

iPad Pro - Apple(日本)

これまた散々噂のあった 13インチ液晶 iPad が、噂どおり専用スタイラスペン「Apple Pencil」、専用キーボードカバー「Smart Keyboard」とともに発表されました。

個人的に一点驚いたのは、専用キーボードカバー「Smart Keyboard」は Bluetooth 接続ではなく Surface の Type Cover と同じように電気的に有線接続するタイプだということ。これは良いですね。キーボードもこの手の中ではタイプしやすそうです。

Suface Pen ならぬ Apple Pencil を用意したことも含めて、

アクセサリも含めてパッと見、アップル流 Surface


的なところはありますが、もちろん、パソコン OS の Windows を載せている Surface シリーズと、純粋にタブレットであるところの iPad シリーズの iPad Pro では全く別物です。

画面分割機能 Split View はモロパクリであっても、宣伝でクリエイティブツールを称していても、決してビジネスツールではありませんし、iOS ではビジネスツールには絶対なれませんから、あくまで「デカい iPad」ではあります。

ただ、スタイラスにせよ、キーボードにせよ、

今まで散々否定してきたものを、しれっと出すアップルの伝統芸


をまた見せられた感はありますし、特に Jobs が全否定したスタイラスを公式に用意したことは、個人的に Jobs の死後もっとも「Jobs のいない Apple」を感じさせます

iPhone ともども理想主義では成長が見込めない時代と言うことで仕方ないのでしょうけれど、尖ったコンセプトが全くなくなってビジネス機を出していく Apple を見るのはちょっとねぇ…。まぁ現代の IBM みたいな超大型IT企業ですからやむを得ませんけど。

とりあえず私が iPad Pro に興味あるのは、

iPad Pro が市場的に成り立つのか?Apple が続けていくのか?


ですね。タブレット市場の伸び悩みで iPad Air / mini ですら大きな成長となっていないのに、iPad Pro はかなりニッチになりかねませんから。

先ほども言ったように、いくら Surface シリーズっぽいアクセサリを用意したところで、

現状の iOS では絶対にビジネスツールには成り得ないし、
本気のクリエイティブツールになれるかも疑問


でしょう。あくまで下書きツールなのが現状ですし、大画面で高速な iPad を用意したから「ハイ、今日から本気ツールになれます」なんてことはないわけです。

画面分割は Surface 3 で便利に使ってますが、それがパソコン OS のデスクトップ環境のような便利さを得られるわけでもないですし、バックグラウンドへ持っていったアプリの持続性もまだ iOS では信用できません。

また、Windows タブレットと違って iPad 向けのアプリは豊富ですが、デスクトップ環境の代わりになるようなアプリが早々あるわけでもありません。

今回も Adobe が「Adobe Photoshop Fix」「Adobe Shape」という iPad Pro に向けた新アプリを発表しましたが、Adobe のタブレットアプリは“作っては止め”の繰り返しで長期に使い続けられる信用はありませんし、一部を除いて芳しい評価もないのが現実。

万が一、iPad Pro が 2-in-1 的なゾーンを志向しているとするならば、Windows の 2-in-1 デバイスが結局パソコンでしかなくてタブレットとしてカスなのと同様、iPad Pro も結局タブレットでしかないのに…というニッチ商品になるでしょう。

私も、タブレットとして使い物にならない Surface 3 がいくら鈍重でウンコだと批判しても、また Surface Pro シリーズにも色々欠点があったとしても、そして iPad Air 2 が手持ちの中で一番好きなデバイスだったとしても、仕事道具として選ぶなら iPad Pro より Surface シリーズです。

iPad Pro では世の中のタッチパネル搭載パソコンの代わりにはなりませんし、タッチパネル搭載 MacBook の代わりにも成り得ません。タブレット向け限定版じゃないフル機能のソフトが使えないかぎり、パソコンの代わりにはなりません。

アップルも iPad Pro でタッチパネル搭載パソコンの代わりを目指しているとは思えませんが、じゃあどこを目指してるの?という点を見ると、よく判らないんですよね。タブレットとして使い物にならなくても、まだ 2-in-1 Windows パソコンの方が狙いはハッキリしてるように思います。


3)iPad mini 4

iPad mini 4 - Apple(日本)

Apple TV や iPhone 6s、iPad Pro に隠れて、ひっそり発表された mini 4 ですが、

大幅改善されて手抜き感が少なくなった iPad mini 4


は、もっと注目されて良いと思います。

従来の iPad mini 2/3 はハッキリ言って 7〜8インチタブレットとしては重かったし、画面がデカい割には薄くもなかった。おまけに iPad mini 3 は昨年発表なのにチップ世代は古かった。で、たいして安くもなかった。

10インチ iPad が Air で劇的な軽量薄型化に成功して、Air 2 で馬鹿みたいに高速化したのに比べると、iPad mini 3 は魅力に欠けるタブレットだったと思っていました。それが mini 4 で、やっとマシになりました。
  • 200×134.7×7.5mm → 203.2×134.8×6.1mm と iPad Air 2 並みの薄さに
  • 重さも 331g→298.8g(Wi-Fi モデル)と、このクラスとしてまずまずの重量に
  • 相変わらずチップは一世代古いままだが、A7→A8 になって iPhone 6 並みの性能に(iPad Air 2 とは速度差があるままだが Split View は利用可能)
  • カメラも iPad Air 2 と同じく800万画素に
  • 相変わらず iPad mini 2 は併売

という内容で、チップ世代が一世代古いままであるものの、これなら現行 iPad 世代らしい内容です。

個人的には iPad Air 2 が大いに気に入っていますし、小さなサイズのタブレットとしての iPad mini は自分にはデカすぎる、7インチ Android タブレットの方が好みなので自分で買うことはありませんが、友人知人のタブレット選びで薦めるのを躊躇する部分がなくなったのは歓迎です。

基調講演では殆どスルー扱いだったようですし、相変わらず本気度は足りませんが、「よく見ると、すごく良くなってる」感のあるデバイスだと思います。それこそ、iPhone 6s よりもね。


4)新型 Apple TV

Apple TV - Apple(日本)

そうヒットすることもなく、忘れられそうになりつつも捨てられることなく、ちょくちょくモデルチェンジする Apple TV。2年ぶり4回目のモデルチェンジですが、前回はマイナーチェンジ(Rev.A 扱い)なので、これが第4世代です。

HDD 搭載の初代から iOS ベースになって HDD を捨てた第二世代で大きく変化した Apple TV は、第三世代および前回のマイナーチェンジではメモリや出力規格の機能強化に留まりましたが、今回はメジャーアップデートといった大幅変更。
  • 8GB だった内部ストレージは 32/64GB へ
  • 512MB と最低限だったメモリは 2GB へ
  • OS 名称が初代から続いていた Apple TV Software から tvOS へ
  • Siri 対応(ただしビデオ操作のみ対応で検索などは不可)
  • Apple TV 専用 AppStore 対応
  • リモコンに Siri 用マイクのみならず、加速度センサーとジャイロスコープを内蔵
    (Wii リモコンのようなストラップ付き)
  • サードパーティ製ゲームコントローラも利用可能
  • 搭載 CPU は iPhone 6、iPad mini 4 と同じ A8
  • 電源は iOS デバイスと同じ Lightning 端子による USB 給電に
  • 第2、第3世代より一回り大きく重くなった

といった内容で、こちらも噂どおり

Apple TV がビデオだけのものではなくなった


わけで、iOS と同じように諸々のアプリが利用可能になり、またゲームプラットフォームの一つとして伸ばしていくつもりのようです。

私も Apple TV は持っていますが、元々あまりテレビという端末を見ることがなく、オンデマンド映像もほとんどパソコンかタブレットで見る人なので、Apple TV も完全に埃をかぶっている状態ですから、新しい Apple TV を買うことはきっとないでしょう。

ただ、どんなアプリが出てくるのか?というのは割と興味津々です。単純に iOS に出ているアプリの Apple TV 版だったり、マルチプラットフォーム開発のゲームタイトルの Apple TV 版が出てくるのは予想されますが、そうじゃない Apple TV ならではのアプリというのが出てくるのかどうか。

ある意味、だれもまだ成功していない「インテリジェント TV」のベースステーションになれるのかどうか、そこは興味深いですし、今回発表のデバイスでは一番面白そうです。

今回もまた Apple TV はパッとしなかった、という可能性の方が高いですけど X-)




とまぁ、ダラダラと書きましたが、細かに見て行くと良さげな、面白そうな点はあるのですけど、自分として今すぐ買いたいものがないのは残念というか、幸いというか。

iPad もメインの iPad Air シリーズに新製品なしで意外な気がしましたが、愛機 iPad Air 2 が現行のままなのは、ちょっと嬉しいところではあります(^^)。今の iPad Air 2 は、個人的に大きな欠点が見当たらないですしね。(バッテリーの保ちが以前よりやや短いことくらい)

ま、それにしても iPhone も今や(税込みで)最低 10万前後〜ですからねぇ。お金に余裕のない身では、うっかり買えません。(昔は最上位モデルでも 9万弱でしたから)

正直言って、それだけのお金を使うなら今は新しいレンズ……よりも、今はあちこちへの遠征費用(サッカーも航空祭もモータースポーツも)に充てたいですね。そう言ったことより新しいスマートフォンを買うほどの魅力が昔はありましたが、今はないですね。

手持ちの iPhone 5s も2世代落ちになりましたし、周りに iPhone 6 / Plus ユーザーが目立つようになって「まだ小さな iPhone で頑張ってるの?」状態になっていますが、ホントそんなに不満がないんですよね……

使うアプリも殆ど決まっているし、処理速度が遅いと感じるわけでもなく、画面は小さいけど手にスッポリ収まるサイズは 6 よりも気に入っているし、前述のような安いプランで使えていることによる買い替えない理由はあっても、積極的に買い替える理由がないわけです。(バッテリーはヘタってきたが)

もし買い替えるとしたら、6 や 6s じゃなくて思いきって大画面の 6 Plus / 6s Plus にしてもいいかな…と思っていますが、Android スマホに小さな端末がないことを思うと、5s のサイズ感は維持したい気もしますし、来春、2年縛りが明けるときには悩むでしょう。

でも、今はもうスマホに金はあまり使いたくないし(過去に散々注ぎ込んだし)、6s の新機能に特に魅力感じないので、結局来春は iPhone 6 の一括ゼロとか激安案件に飛びつきそうな気がしますね(^_^;)

アメリカで始まった SIMロックフリーの iPhone Upgrade Program が日本でも始まるようなことがあると、MVNO SIM との組み合わせで、日本のケータイ市場も大きな変動を迎えるでしょうし、私も月4千円くらいなら考えちゃうと思います。



(相変わらず本体発売より先に売ってるケースがたくさん…… ^^;)