来週には Windows 10 が正式にリリースされ、アップデート予約している人にはリリース日より順次アップデート可能になるとアナウンスされています。私の Surface 3 も初期設定時に Windows 10 の予約を行っています。

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Surface 3 は登場前から「Windows 10 が出たら本気出す」的なことも言われていますが、他の環境で Windows 10 プレビュー版を試しているかぎり、

「Widnows 10 が出たところで劇的に Surface 3 が良くなるとも思えないけどなぁ」

というのが本音で、

「使いづらさやバグの一つでも解消してくれたら御の字」

程度に思って、大きな期待はしないで待っています。

先日の記事でも取り上げた MVNO SIM 利用でのモバイル回線接続が頻繁に使えなくなる糞バグが直ってるかどうかも気になります。よくまぁこんなので巷のメディアはモバイル機として持ち上げるわ、というレベルの基本的なダメさ加減ですからね。

MVNO系SIMを使うなら Surface 3 は様子見推奨の理由 〜カスタムAPN設定が消失する問題

ちなみに、Windows 10 ではスタートメニューの復活が盛んに言われているものの、個人的には Windows 7 までと 8 の良いとこ取りしようとして屋上屋を重ねただけにしか見えません。しかし、数ある Windows 10 の変更追加点の中のうち、

ようやく Windows も仮想デスクトップを採用したか!


というのは諸手を挙げて万歳です。

Mac から遅れること何年も経って遅すぎるんだよ、という気はしますが、画面サイズの小さな Surface 3 でデスクトップアプリを使う際には、これで随分と使いやすくなるだろうなあ…と、これだけは期待しています。Mac では画面の大小に関わらず、仮想デスクトップは私にとって必須ですからね。

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いずれにせよ、購入当日の記事から繰り返しているように、タブレットとノートパソコンの良いとこ取りの 2-in-1 なんていう理想郷はなく、かなりの中途半端デバイスですが、

中途半端であっても、かなり限定的であっても
タブレット兼ノートPCとして一定用途には使えなくはない


のもまた事実ですので、スマホを除く持ち歩きデバイスとしては今のところメインで持ち出しています。(いつまで忍耐が続くか判りませんがw)

そして、6月19日の発売と同時に購入した Suface 3 も使い始めて一ヶ月少々が経ちましたので、Windows 8.1時代の Surface 3 に改めて感じたことを色々追補、追記のつもりで箇条書きにまとめてみたいと思います。




  • タブレット(もできる)と思って使うとハード的にもソフト的にも不満しかないが、

    モバイル特化型変形ノートパソコンと思えば我慢できなくはない


    ただし、高すぎる値段、性能対価格の悪さだけは永遠に納得できそうにないし、とても他人に勧められるようなデバイスではないのは、一ヶ月使ってきた今なお変わらず。

  • 何度も書いてきたように、タブレットとしては重い、分厚い、アプリない、の三重苦を抱えているが、それ以上に

    今どきのタブレットにしてはレスポンスが悪すぎ!


    であり、我慢して使うにもそろそろ限界。とにかく、ちまちま微妙に待たされてばかりでサクサクさが皆無なのは、パソコンならともかくタブレットでは致命的

    「メールや SNS を見て、スケジュールに予定を書き込みつつ、訪問場所を地図で確認し、乗換案内を検索する」といった程度のことがスムースに流れ処理で、アプリの起動も切り替えも殆ど待ち時間なしでできないタブレットなんて今どき役立たずも同然。(それも10万円もするのに!)

    正直言って、フル機能 Windows が使えるという一点を除けば、タブレットとしての実用性は 1〜2万円の激安 Android タブレットと大差ないレベル、と言いきって良い。

    iPad Air や真っ当な Android タブレットを使っていれば、タブレットとしての Surface 3 はストレスが溜まるだけで糞タブレットである。これが Windows 10 で変わるのか否か…(期待はできない)

  • パソコンとして使っていても、ちょくちょく妙な待ち時間があるのは、遅い Atom プロセッサに遅い eMMC ストレージを使っている故であり、

    レスポンスや処理速度の感覚は3〜5万円の
    廉価 Windows タブレットと大きな差はないなぁ


    というのが、ファーストインプレから今に至るまでの変わらぬ実感。最新 Atom といっても、特に速くなった感はない。

  • しかし、廉価タブレットは概ねどれも 8インチ画面であり、デスクトップアプリを使うには画面が狭すぎて極めて限定的にしか使う気にならなかったが(タブレット的に使うストアアプリはロクなものが揃ってないし)、

    10.8インチ画面ならデスクトップアプリも実用的に使える


    ので、その点において 8インチクラスの廉価 Windows タブレットとは(たとえレスポンス/処理速度は同じでも)大きな差があるし、Windows マシンとしての使い勝手は比較にならないほど実用的である。

  • 一般向けには LTE版しか売らないくせに、先日書いたように MVNO SIM では接続できないバグが放置されたままなのに加え、

    iPhone/iPad/Macを探す、Androidデバイスマネージャーに
    相当する、紛失・盗難時のリモートコントロール機能が使えない


    のは、モバイル回線内蔵版のメリットの半分を失ってるも同然。

    この機能があるからこそ、iPad や Nexus タブレットでも LTE 版を使ってきているし、忘れ物した経験があれば、この機能による安心感は絶大なのだが、Surface 3 は片手落ちすぎる。

    というか、米国では Windows Phone で同じサービスがあるわけだが、なぜ日本の Surface でやらないのか。これだけ後発で出してきて、手抜きばかりで嫌になる。


といったところが、ぶっちゃけた主な印象ですね。

以下、細かい気になったところを挙げていくと……

  • プラチナバンドが使えないドコモ系 MVNO SIM を入れた場合のエリアカバー感は、ビル内の奥まったところや地下街は厳しいが、それ以外は特に問題を感じていない。プラチナバンドが使えなくてもドコモは 2GHz 帯が主力エリアのせいか、au iPhone 5 の時と違ってエリアカバー不足をあまり感じない。(MVNO SIM では前述の問題はあるが)

  • しばらく使っていなくて完全なスリープ状態になると、ログイン画面になるまで少し待たされる。Type Cover 開いてキーボードを叩くだけでは起きてこないことがある。

  • 完全なスリープ状態から起きてからのログイン直後数十秒〜1分程度、また再起動後の数分間は同期プロセスその他の各種処理が走って、レスポンスが非常に悪くて実作業に入れないことも多い。出してすぐ使えるべきモバイルデバイスとしては失格。

  • タブレットとしてはソフトウェア面を除いても、重い、ぶ厚い、液晶画面の反射や指紋が目立つとダメダメであるが、Type Cover と合わせても「ギリギリでタブレット感覚で持ち歩ける」かな、と思う。いやホント、ギリギリ。

  • Type Cover はタイプ感触は褒められたものではないが、モバイルキーボードとしてはまずまず。何より斜めに傾けられるのは長時間タイピングには良い。反面、打鍵時の振動が気になるけれど。

  • Surface は Type Cover 込みで使わなければわざわざ Surface を買う意味がないし、Type Cover を使えば、ただのタッチ対応ノートパソコンになりがち、という悩ましさは永遠に解消されないが、そもそもタブレットとしては糞なので、タッチ対応軽量ノートパソコンとして割り切るのが賢明という判断に。
    (便利だけどタイプ感はイマイチな Type Cover よりもっとマシな Bluetooth キーボードを使え、という人もいるけど、それなら Surface 3 なんて出来の悪いタブレットもどきのミニノートパソコンを使う意味がないと思う)

  • 両手で Surface 3 両サイドを掴んだまま背面スタンドをパチッと閉じると、スタンドとボディの間に指または手の皮を挟むことがあり、たいそう痛い思いをする。(二度やった… ^^;)

  • iPhone/iPad で指紋認証に慣れきっていると、パスワードを入れてのロック解除は面倒くさい以上に、出先では不安を感じるようになった。

  • Instant Go 対応製品は初めてだったが、Instant Go 製品では無操作時の画面ライトオフ時間とスリープまでの時間が共通化されて別々に設定できないというウンコ仕様なので、ちょっと切れそうになった。ホント糞。

  • 手書きメモやお絵かきする人以外は Surface Pen マジ要らない。痛感。

  • Windows に最適なポインティングデバイスは、やっぱりマウス。改めて実感。前にも書いたが Type Cover のタッチパッドは小さいだけでなく、反応の鈍さも含めて使い勝手は最低の部類。これが1万5千円以上もするのかと思うと、ちょっとね…

  • メモリ 2GB と 4GB の差は処理速度としてあまり実感できないが、アプリの切り替えでの待たされ感で差を感じる。特に Office や写真編集系の重いアプリを複数使っていると差は明らか。といっても、タブレットとしてみると、アプリの切り替えがモッサリすぎるのは変わらないが。

  • メインPC で作業している Lightroom の一部フォルダ(コレクション)をカタログに切り出して、Surface 3 上の Lightroom CC で作業しているが、Lightroom のフル機能使えるけどモッサリ過ぎ。プレビューの拡大縮小すら操作から動作までワンテンポ間が空き、使っていてイラッとする。
    はっきり言って、写真のセレクト(フラグやレーティング付け)とトリミング、水平補正などの基本的な処理なら、iPad Air 2 の Lightroom mobile の方が遙かに軽快で素早く処理できていく。
    (Lightroom のカタログだけ持ち込んでいるので、オリジナルファイルなしのプレビュー編集だから Atom でもそう重くはないと踏んだのだが、1枚〜数枚編集するなら RAW でも我慢できても、多くの枚数を取捨選択・編集するのは JPEG とかプレビュー画像ベースでも厳しい)

  • 電子書籍リーダーとしては、紀伊國屋書店 Kinoppy など極めて一部のストアを除いて使い物にならない

  • それでも USB 端子が事実上2つあってメモリカードリーダーと外付け SSD/HDD を両方同時に挿してバックアップできたり、フル機能の Photoshop / Digital Photo Professional が使えるのは便利だけどね……
    (Android は言わずもがな、iPad でも色々と画像編集アプリは買って使っているが決定打はないので。Pixelmator は良いアプリだし、Photoshop Touch も悪くはないのだけど…)

  • Windows 8.1 では縦画面にするとデスクトップのウィンドウが大きくズレて、横位置にしてもそのままになって使いづらいし、仮想キーボードを開いた場合も同じ。これが Windows 10 でどこまで解決するやら…

  • ストアアプリの SNS系アプリや RSS リーダーアプリなどの多くはウェブサイトを開く時に、相変わらずアプリ内表示ではなく外部ブラウザ(IE)を開くために、Android 以上に「戻る」ボタンが欲しい。Windows 10 で採用されなかった一番残念なことかも知れない。

  • Windows ストアは未だに重いし、アプリが不安定だし、アプリのダウンロードサイズも書いてないし、アプリ内課金に関する表示もロクにないし、アプリの最終更新日時もないし、

  • 相変わらず Windows にはデスクトップアプリも含めて、安定かつ心地よく使える VNC クライアントがないのが辛い。

  • 我慢要らずのタブレット、とか書かれた記事を見ると、ライターの掲げた提灯を蹴り飛ばしたくなる(笑)


この一ヶ月でメモをしてきた内容をまとめてると、こういったところでしょうか。後半は Surface 3 の感想というよりは、Windows 8.1 +タブレットの感想ですが。

いずれにせよ、正直言って、

Windows の機能、本物の Office が必要ないかぎり
タブレットとしてはiPad Air 2に外部キーボード買った方が断然良い


と言い切れるし、

小型軽量ノートパソコンとして考えているなら
コストパフォーマンスの点から別の選択肢を考えた方が良い


と思う。

過去に、「2-in-1 なんて理想郷はない」と書いたけれど、ぶっちゃけ夢物語に終わっているのは事実なので、タブレットとしては実用外に近いし、ノートパソコンとしても値段に比して我慢が必要。

(いま、これを書いている瞬間にバックグラウンドでセキュリティソフトの定義更新プロセスが走ったせいか、エディタへの文字入力が止まって、数文字程度だがタイプしたはずの文字が欠落してしまった。非力ゆえに、そういうことがちょくちょくある)

今どきの iPad Air や真っ当な Android タブレットでできるようなサクサクと幾つかのアプリを切り替えて、必要な情報を閲覧し、まとめていくようなことはできないか、できても廉価パソコン的モッサリさが目立ちます。

Office ソフトは Windows ゆえにフル機能の Office が使えてプリインストールされている大きな利点があるが、あくまで Type Cover などの外部キーボード、ポインティングデバイスがあってこそ使える“普通の Office”であり、タッチ操作可能なストアアプリ版 Office は機能限定版で、iOS版、Android版と大差ない

そのことと、Windows ストアアプリが今なお質量ともにかなり低いこと(非実用的と言っても良いレベル)を思えば、

タブレットとして Windows という選択肢はないし
ノートパソコンとしてのコスパの悪さだけが目立つ


と言わざるを得ない。

(Google Calendar 対応アプリは非常に少なく、Gmail 対応アプリは皆無、Google Maps 閲覧アプリもブラウザで表示されるものをアプリ化しただけでタッチ操作で快適に使えるものは皆無。幾つかある地図アプリも乗換案内アプリも iOS/Android の同名アプリと比較するのも烏滸がましいレベルなのは変わらない。SNS系も同様)

この状況が Windows 10 で変わるならば、変わるまで一年は必要だろうし、それを期待するなら今 Surface 3 を買う必要はなく Surface 4 を待つべき。ま、ストアアプリについては、Windows 8.1 でも同じようなことを言っていたけど。

特にコストパフォーマンスについては、いくら円安と言っても未だに納得しがたい部分があり、

これが6万円なら納得できるが、10万でこれはねぇ…


というのが、購入前から変わることのない思いです。使う前からもそう思っていましたが、使い始めてから尚更そう思います。米国価格が上位モデルで $599、2〜3年前なら日本でも6万円だったでしょうから、それなら妥当なところです。

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それでも買ったからには、結構持ち歩いて使っています。持ち出し先での使い方によって iPad Air 2 と使い分けています。従来ノートパソコンを持って出かけていた状況の時はもちろん、iPad + Bluetooth キーボードを持ち出していたような場合も Surface 3 + Type Cover にしています。

色々言ってもやっぱりフル機能のパソコンである利点はあるので、iPad Air 2 に比べてタブレットとしては全面的に足りないことばかりでも&iPad Air 2 に比べるとレスポンスが圧倒的に劣っていても、Surface 3 + Type Cover の利点は小さくありません。

反面、タブレットとして使うことが主な時は Surface 3 を持って出ることはありません。これは永久にないでしょう。何度も書いてきたようにアプリの無さだけでなく、使い勝手の点でもタブレットとしてあらゆるダメな Surface 3 を持っていく理由はありません。

正直どこまで Surface 3 + Type Cover で我慢できるか判りませんし、電子書籍リーダーとしては壊滅的に使えないのは、この手のデバイスとして個人的に辛い点です。

先日購入した新型 Kindle Paperwhite とのペアで持ち出すことも多いのですが、コミックは Kindle より他の電子書籍ストアで購入してるモノが多いので満足はできていません)

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何度でも言いますが、タブレットとして使う気ならハードウェア的にもソフトウェア的にも選択肢としては「ない」デバイス。さらにノートパソコンとしてもコストパフォーマンスが悪い。

2-in-1 という理想を追いかけて、未だ遠く達せていないデバイス。それが Surface 3 。

一ヶ月使ってきて、やっぱりその思いは変わりません。ちょっと洒落た、高いネットブックみたいなもんです(;´д`)