2015年モデルの Kindle Paperwhite に買い替えて、到着当日にファーストインプレッションを書きましたが、それから半月、色々思いつつも従来モデル同様、いや、それ以上に愛用しています。

新 Kindle Paperwhite (2015) ファーストインプレ 〜パッと見で判る解像度の違いだが、その差は悩ましい

もっとも、従来モデル以上に愛用しているのは同時期に使い始めた Surface 3 が電子書籍リーダーとしては全く役立たずなので、移動中など出先の電子書籍リーダーとして Kindle の持ち出し頻度が高まった故と言えます。

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また、今回の Kindle Paperwhite は私にとって初めての「広告あり」(キャンペーン情報付き)モデルであり、それについても感想を記事にしましたが、半月使い続けた今も「無料アプリの広告が金払って消せるなら払う主義の私でも許容範囲の広告」という思いは変わっていません。

Kindle 端末を買い替えて初めて“キャンペーン情報つき”(広告表示あり)モデルにしてみた感想

ともあれ、ぶっちゃけ購入当初は

「んー、確かに高解像度になっていて細かい文字は見やすいけど、別に買い替えなくても良かったかもなー」

と思っていたのですが、その後色々と使ってみると、

コミックでは高解像度に対応したデーターなら、従来機と明らかな差を感じる


ということが判り、こういう利点があるなら買い替えて良かったかな、と思っています。

ただし、配信される書籍データーが Kindle Voyager / Paperwhite 2015年版に沿った高解像度の電子インク端末向けに最適化されていないと従来機と変わらない、という大きな問題があり、現状は従来機と差を感じるコミック書籍もあまり多くないのも事実。

私自身も自炊した書籍データーを Paperwhite 2015年版に最適化して比べてみて初めて、従来 Paperwhite とは読みやすさが随分と違うことを実感し、そこで初めて新しい高解像度版 Paperwhite のポテンシャルを感じたくらいです。

逆に言えば、電子インク端末本来の役割であるテキストものの通常書籍を読むだけであったり、解像度が高くないデーターのコミック書籍を読むかぎりは、従来機でもそう悪くないし、買い替えるほどかは微妙かもしれないな、と思っています。

そのことも含めて、半月使い続けた今の感想を箇条書きで以下まとめてみます。




  • リフロー可能な一般書籍では、確かに文字は綺麗になったけれど、従来 Paperwhite に比べて文字の綺麗さがどれくらい向上したと感じるかは表示するフォントサイズに依る

    フォントサイズを小さくしているなら読みやすさは断然向上しているが、ある程度フォントを大きくしていると解像度向上による文字の綺麗さ、読みやすさは「従来型と大差ないかも」と感じるレベルになる。

    個人的に「高解像度化した新型 Paperwhite の方が読みやすい」と感じるのは、フォントサイズ設定で小さい方から3段階まで。それ以上のフォントサイズにしていると、新型の高解像度化による文字の綺麗さの差は小さくなると感じる。

    (ただし、同じフォントサイズ設定でも新型 Paperwhite の方がやや小さめのフォントサイズに変更されている)

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    (Kindle Paperwhite 2015年版:フォントサイズ最小から3段目)

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    (Kindle Paperwhite 2013年版:フォントサイズ最小から3段目)

  • コミックの場合、Voyager / Paperwhite 2015 の高解像度に対応した書籍データーがあれば断然読みやすくなるし、個人的には電子インク端末でコミックを読む気になる。(細かい線が潰れにくく、トーンの感じも良くなり、セリフやルビが明らかに読みやすい)

    しかし、従来 Paperwhite の解像度で作られた書籍データーの場合は、新型 Paperwhite でも当然変わらない。(配信データーにはそういうものが多い)

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    (コミックの配信データーでは大差ない、色味の違いしかない場合も多い)


  • 自炊した書籍や PDF から変換する場合も、Voyager / Paperwhite 2015 の高解像度に最適化したデーターを作ると、従来機とは明らかな見やすさ/読みやすさの差が出てくる。

    が、従来 Paperwhite に最適化して作ったデーターの場合は当然ながら差がないので、最適化した書籍データーを作り直す必要はある。

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    (Kindle Paperwhite 2015年版)

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    (Kindle Paperwhite 2013年版)

  • 定評ある山口真弘氏のレビュー記事では、プロセッサ強化より高解像度化による負荷の方が大きく、ページ送りがもたつくことがあると書かれているが、個人的には普通にページ送りしている分には特に差は気にならない。(コミックでも)
    しかしながら、複数ページをパラパラとめくるときに処理が追いつかないことがあるのは多少気になるのは事実。

  • 従来 Paperwhite ではストレージ容量 4GB のうち 8割以上消費するくらい書籍をダウンロードして詰め込むと何をやるにも重くなって、書籍のコレクション追加作業だけでも待たされまくってストレスが溜まったが、新型 Paperwhite ではそのようなことはない。(電子インク端末ならではのモッサリさはあるけど)

  • 同じ電子インク端末でも電子インクの色味が毎回少しずつ異なるが、2013年モデルと新型モデルを比べると、2013年モデルより青い。Voyager ほどじゃないけれど、初代 Paperwhite に近い印象。(どちらが良いかは好みでもあるし、慣れでもある)

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    (左:2015年版、右:2013年版)

  • 高解像度化したせいか、フロントライトの明るさは同じ設定値でも 2013年モデルの Paperwhite より少し低い印象。2013年モデルと同じ明るさを感じようと思うと、2段階程度プラスしてやる印象。

  • 高解像度化したせいなのか、電子インクのコントラスト特性なのか判らないが、コミックの自炊データーを 2015年版に最適化する時は、出力解像度を高解像度化するだけでなく、ガンマ補正などで少し濃いめに出力しないと読みにくくなる。

  • ブラウザは、いつになったら体験版が付かなくなるのか(笑)
    書籍ファイル(mobi ファイル)をダウンロードする際、ファイル名が日本語だったり一部記号があるとダウンロードできない前時代的な仕様くらいはいい加減直してほしいものだが……


といった感じでしょうか。

解像感比較の写真については適当撮りなので、ちゃんとしたレビュー記事に掲載のものを参照していただくなど割り引いてもらいたいのですが、テキストものの一般書籍でもコミックでも確かに差はあります。

ただ、今から購入される方はともかくとして、1万円強(プライム会員)ないし1万5千円近く出して買い替えるとなると、なかなか微妙というか、使い方次第だと思います。

ぶっちゃけ、個人的には

文字メインの一般書籍だけを読んでいて、フォントサイズを大きめに設定している人は、従来 Paperwhite から買い替える必要は少ない

と言ってしまって良いように感じました。特に一定年齢以上の人は、フォントサイズ設定を大きめにしている人も多いと思いますので、その際には見た目の差はスペック上の解像度の差ほど感じられないでしょう。

買い替える意味が出てくるフォントサイズの基準(しきい値)は個々人の好みがあって難しいところですが、フォントサイズの小さい方から4段階目あたりがボーダーラインのように思います。

フォントサイズ設定の小さい方から3段階目までは上記の写真でも示したように、よく見ると結構差がありますし、普通に本を読む距離で見てもパッと見以上に読書ストレスの差があると感じています。

ただ、フォントサイズ設定が小さい方から5段階目くらいまで拡大していると、従来機でも漢字の細かいところ、小さなルビの文字の判別が十分にできますので、2015年版で高解像度化されたからといって読書ストレスに大きな差はないと思っています。

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コミック書籍に関しては先にも述べたように「高解像度の電子インク端末に最適化された書籍データーがあれば明らかな差がある」わけですが、高解像度に最適化されていないデーターなら従来機と差はありません。

そして

現状、Kindle ストアで購入して配信されるコミックは
従来機と差のない(判りづらい)書籍データーも多い


ため、「コミックを電子インク端末で読みたいなら Voyager / Paperwhite 2015 に買い替えるのが良い」とは現状言い切れないですね、わたし的には。(これについては Kindle/Amazon 側だけで対応できないことも多いのでしょう)

逆に、高解像度でスキャンした自炊データーを持っていて、Voyager や Paperwhite 2015 の解像度 (1072x1448 pixels) および画面特性に最適化したデーターを作り直せる環境と気力があるなら、コミックを読むための電子インク端末として買い替えるのはアリだと思います。

少なくとも

最適化されたデーターがあれば、コミックを読む気になる電子インク端末


ですし、実際私は新しい Paperwhite 2015 を買ってからコミックをよく読んでいます。(自炊したのを最適化し直して読み返してるのが多いのですが)

従来の Paperwhite でもコミックが読めなくはなかったのですが、細かいところや台詞、ルビの読めなさがストレスになって、あまりコミックを読まなくなりました。けれど、今回の Paperwhite はコミックを読み続けていくように思います。

電子インク端末でコミックを読む人はかなり少数派でしょうし、私もコミックは基本的に液晶端末で読むべきモノだと思っていますが、バックライトのない電子インク端末は液晶端末よりも目への負担が随分小さいですから、電子インク端末で読めるものなら読みたいのです。

(特に就寝前に液晶端末を眺め続けると睡眠に悪い液晶があることは色々な調査で示されていますから、就寝前読書は紙書籍か電子インク端末に限ります)

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ということで、新しい Kindle Paperwhite 2015年版へ買い替えて半月の感想をダラダラと述べてきましたが、

高解像度化されたけど、背中押しまくれるほどの差があるかは微妙


っていうのが本音。

もちろん、今から Kindle 電子インク端末を買う人なら、安さだけが取り柄で漢字もきっちり表現できない廉価 Kindle を買うより断然 Paperwhite にすべきですが、じゃあ従来の Paperwhite から買い替えた方が良いかどうかは前述のとおり、悩ましいところです。

初代 Paperwhite を初期に買ったなら2年半以上、前モデルの Paperwhite でも発売から1年半以上が経っているので、熱心に使っていれば適度な買い換え時かも知れませんし、プライム会員で1万円強にて買えるなら悪くないでしょう。

ただ、そうでもなければ、買い換えは様子見でもいいように思いますし、実際に高解像度化された Paperwhite 2015 なり、Voyager なりを見てから判断で良いのではないかと。少なくとも、飛びつくほどじゃなかったな、と思いますね。

本当なら、薄く軽い Voyager が値下がりして1万5千円くらいになってくれるのが理想なんですけど、需要が減っても上がることのないだろう電子インク端末は、なかなか値下がりもしないでしょうからねぇ……

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