ブラジル・ワールドカップ 2014 も昨日未明の決勝戦でドイツが優勝して終了。今日からはワールドカップのない朝を迎えて、いささか寂しい思いもあります。

今回のワールドカップはグループリーグを中心に面白い試合展開の多いワールドカップで、ここまで毎日毎晩/毎朝、白熱したゲームが見られたワールドカップも珍しいのではないかと思うくらいでしたから尚更です。

今回のワールドカップはドイツ優勝という結果に終わったわけですが、それまでの試合内容を見ていれば誰もが納得できるものでしょう。南米開催初の欧州国優勝という快挙であり、それもブラジル、アルゼンチンという南米の最強国をキッチリ破っての優勝ですから、文句の付けようがありません。

むしろ決勝トーナメント以降、メッシが封じられることの多かったアルゼンチンが堅い守りで決勝戦まで行き(元々守備の堅い国ですしね)、パラシオやイグアインが決定的なシーンを決めていれば…というところまで行ったのは、さすがでした。決勝戦も延長戦後半まで 0-0 ながら決して退屈しないゲームだったのは今大会を象徴していたように思います。

いずれにせよ、そんな大変面白い試合の多い、楽しいブラジル・ワールドカップの中で、残念なゲームを繰り広げたのは日本代表でありました。

プロである限り結果を残してこそナンボですから、日本代表がワールドカップで残した結果・内容については過程がどうであれ、結果を出せなかったことを批判されるのは当然です。

もちろん、選手やスタッフが頑張ったことに慰労の心はあれど、この結果で「よくやった」というのはプロに失礼であるでしょう。サッカー、スポーツ選手に限らず、社会人なら多くの場合、結果に対して給料をもらっているわけで、結果が出て初めて評価されるわけですから。

ただ、グループリーグ終了前後にあったような、鬼の首を取ったような感情的な批判や、この4年間を無駄、意味がなかったと言ってしまっている人は何なのだろう?と思わざるを得ません。

結果としてグループリーグ敗退だったからといって 8年前と同列に批判しているのは、日頃サッカーを見ない人たちならともかく、サッカー好き、サッカーファンを自称するならアホの極みとしか言いようがありません。

もちろん、国内のサッカーファンと一部評論家の中には日本サッカーや日本人サッカー選手が向上・進歩することに対して気にくわない、歪んだ見方をする人たちが少なからずいますから(明石家さんまなんかが良い例)、そういった糞野郎どもの批判は別としても、なんというか、サッカーファンか、そうでないかを問わず、

日本はまだプロリーグができて20年のサッカー発展途上国


ということを忘れているのではないかなぁ?と、今回のことを強く感じた次第です。


ザック・ジャパンの4年は期待と不安が交互に入れ替わる4年だったわけですが、昨秋2回目の欧州遠征あたりから何となくの楽観論、期待感が広まっていたところはあります。

個人的にも決して楽観はしてなかったり、ベスト8以上を目指せるとも思ってはいませんでしたが、内容も含めてもう少しやれるだろうと思っていただけに残念なところはあります。

中には、マスコミが前評判を煽った云々と批判する人たちもいますが、彼らは煽ってナンボ、売ってナンボの商売。売らんがために、視聴率とるために前評判を煽って煽って煽り倒すのは当然です。

スーパーでも百貨店でもコンビニでも、売ってる商品のキャッチコピーは良いアピールをするわけで、商品の横に「これは美味いかどうか判りません」「この商品は本当に効く条件は20%くらいです」などという宣伝文句は書かないのと同じ。

いずれにしても、そういった期待は自らが勝手に作り出したものであり、それに対して落胆はあっても、この4年を無駄というような批判、8年前に戻ったという批判、もっと言えば「一からやり直し」なんていう言葉は愚かとしか思えません。少なくとも、日本サッカーが4年前、8年前と同じレベルにあるとは思えません。

サッカーやスポーツだけではなく政治的なこともそうですが、日本人の悪い癖というか、1つ負けがあるとそれまでを全否定するような手のひら返しをする傾向というのは、決して進歩の方向を向きません。

反省と改善は必ずや必要ですし、その部分で日本サッカー協会に多少疑問を持つ部分は私とてないわけではないですが、負けるたびに「一からやり直し」では、いつまで経っても「日本のサッカー」は強くなっていかないでしょう。

特に、今回の日本代表批判においては選手たちが「自分たちのサッカー(をやる)」といっていたことに対して、ヌルすぎだ、ワールドカップでは自分たちのサッカーなんかではダメなんだ批判がよく見受けられましたが、

自分たちのサッカーをやることがダメなのではなく
自分たちのサッカーに全く実力がなかったことが敗因


なわけで、「自分たちのサッカー」「日本のサッカー」は強くなるためなら必要でしょう。

グループリーグ突破だけを考えるなら前回大会のように、ひたすら引きこもりサッカーを考えれば時々勝ち抜けることはあるでしょうが、それより上を目指せるかどうかは個人的に疑問です。

スペイン式ポゼッションパスサッカーの時代が終焉を迎えたと言っても、じゃあドイツのようなサッカーがそのまま日本にできるか?ドイツと同じようなサッカーをやって遙かに体格の良い国々と真っ向から戦い勝てる日が来るか?というと、それはどうかなぁ?という気がします。

(もちろん、ドイツやオランダといった国のサッカー、サッカーシステムに学ぶべき点は多々あるのは言うまでもありませんが)

日本代表は日本人で構成されるわけですから、移民の国になって体格の良い人種の選手がそれなりの構成比率になるようなことがない限り、体格では他地域の国々のチームに不利を覆すことはないわけです。筋骨隆々に鍛え上げることはサッカー選手にとって決して良いことではありませんしね。

少なくとも今回の大会、面白い試合が多い中で、周りのサッカーにあまり興味のない友人たちの反応の中で

「サッカーは格闘技みたいなところがあるんだねぇ」

という言葉を複数の人から言われましたし、実際に生で、陸上トラックのない専用スタジアムでサッカーを見れば、そういった側面があることは実感できます。

そういった競技の中で、日本サッカーが目指すべきは何かと言えば、体格負けしないサッカーでしかないでしょう。体格負けしない、というのは体格で互角になるということではなく、体格で勝負しないサッカーを目指すということ。

サッカー先進国である欧州や南米の良いところを学ぶ必要はありますが、日本人であることの違い、日本人の体格の違いを考えないと無意味です。

(欧州アフリカの国々の選手に当たり勝つ体格と身長があってフィードもできる CB を欲することは良く言われますが、日本人からコンスタントにそんな選手が生まれる可能性を考えれば、そこに頼ることはできないでしょう)

無論、単純なポゼッションパスサッカーからは修正変更は必要でしょうし、守備のシステムを見直す必要もあるでしょうが、日本のサッカーがパスサッカー、攻撃志向のサッカーをやると決めたのに、今回の結果一つで方向転換していては、何をやっても身につくことはできないし、日本のサッカーというものを造り上げることはできません。

前回の南アフリカ大会は、4年間やってきたサッカーを直前になって一転させ、ディフェンシブなカウンターサッカーに変えてグループリーグを突破しました。ワールドカップを率いるプロの監督としては見事な手腕でありましたが、4年間の過程を結果に結びつけられなかったという点では前回大会の方がそう言えるでしょう。

(だからこそ、岡田元代表監督は「自分たちのサッカー」批判ができる唯一の人物ではあります)

今回、日本のサッカーは全く通用しなかったわけですが、それは世界的なレベルでパスサッカーがダメとかどうとかいう以前に、日本のサッカーレベルがそれを語る域に達してないわけで、したり顔で「もうポゼッション・パスサッカーの時代じゃないんだよ、日本もやめるべきだ」と言う前に、やることやって、まず日本が求めるパスサッカーをさらに高める方が先の話です。

ワールドカップでこういう結果になったのだから反省すべき点はしなければならないし、世界のサッカーも変わっていく現状で従来と全く同じではいけないでしょうが、

唯一回の大会で日本が目指すサッカーを大きく変えてしまうより
通用しなかった「自分たちのサッカー」をより高める方が先


だと、今回のワールドカップを見て思います。

強い国、ベスト8以上へ行ける国には「自分たちのサッカー」があります。ドイツにせよ、オランダにせよ、低迷期があってそこを乗り越えてきています。日本は未だ低迷期などという以前のレベルです。

ワールドカップ 4大会連続進出、前回2度目のグループリーグ突破ということがあったとしても、今回のワールドカップで1勝もできなかったのに出場 4.5枠ももらっているユルユルのアジア予選を勝ち抜いてるだけです。

まだ日本はサッカー発展途上国。そのことを肝に銘じて、4年先、8年先、12年先を見据えて、そしてきっと自分は生きてないであろう次回の日本開催時のワールドカップで優勝できるように、一本筋を通した日本人に適しながら世界に通用する “日本サッカー” を作っていって欲しいと思っています。

サッカーに限らないことですが、一足飛びにトップレベルになれるなんてことはありません。三歩進んで二歩下がる。その下がった時に負けない、ふらつかないことが大切ではないかな、と思うのです。



ともあれ、一時の批判を見ていると、主力選手から「優勝を狙う」という意気込みが「奢りだった」的な批判にすりかわっていたりして、マスコミや一部の評論家は(ちょっと悪くなると)日本代表叩きを盛んにやるのはいつものことだし、サッカーに限らない話ですが、なんだかなぁ……と閉口すること多しでした。

だいたい、最初から負けを想定して戦う選手なんかいないわけで、戦う彼らが「優勝」という言葉を口にしても問題ないのです。むしろ、優勝という言葉を意気込みじゃなく楽観材料として感じた受け手が馬鹿なだけ。

ワールドカップの経験不足を露呈したと思える監督の戦術や、キャンプ地の剪定やコンディショニングといった上層部のワールドカップに向けた決定に対する批判より、期待を満たさなかった感情的な批判ばかり目に付いたのは、つくづく残念でした。


また、「ぬるい親善試合をホームでやり過ぎる」とか批判も多くありました。確かにそれは同意できるのですが、ことがそう簡単じゃないのは少し考えれば判ることです。

さらに、それに絡めてスポンサー批判(要は親善試合のスポンサーであるキリン批判)も見受けられて、それがサッカーファン、サッカー好きを自称する人間から出ているのを見ると、ホントなんだかなー、と感じてしまう。

当たり前の話だが、スポンサーあっての日本代表です。日本代表を強くするのにも、日本サッカーを維持強化していくのも「金」。口やアイデアだけでは強くできません。

そして、日本は極東に位置する国であり、欧州主要リーグで活躍する選手が来日するのはかなり大変なこと、ということを忘れて無節操な批判をしても意味がありません。

少なくとも日本ホームの親善試合に強国がわざわざ来るのはデメリットはあっても、メリットは少ない。欧州リーグで活躍する選手の多い欧州やアフリカの国々は、日本と試合するくらいなら、もっと移動や時差なしに日本レベルの国と試合することは容易いわけです。

逆に、日本がアウェイ欧州で試合することは強化にメリットは多いでしょうが、遠征費など支出する金は多けれど収入は少なくなります。入場料収入、グッズ収入もなければ、時差があればゴールデンタイムに試合中継ができないから放映権料も低くなる。

そして、スポンサーとしてもアウェイの親善試合は露出度が低くなります。スポンサーが金を落としてくれるのは、それなりに見返りがあってのこと。海外での強化試合を増やせ増やせという人は多いし、私もそうなれば良いと思うけれども、じゃあ、それでスポンサーが降りたり、スポンサー料が下がってもええのか?という話。

もう一つ言えば、親善試合をする日程にも限りがあります。FIFA の定めた国際Aマッチデーは年間十数日だし、そのうち公式戦に取られる日も多い。それ以外の日にクラブが選手を送り出すことは欧州クラブは嫌がるし、日本のクラブだって気持ちは同じ(誰が選手の給料を払ってるか考えれば優先順位は当然の話)。

私自身、正直なんだかなーな親善試合も多いし、関西で日本代表の試合をやっていても親善試合なら観に行く気がしないことも多いです。けれど、それでもある程度ホームの親善試合が必要であること、一種の「興行」が必要なことは少し考えれば(考えなくても)判りそうなものです。

だいたいからして、そういう批判をする人たちのどれだけが、日本のサッカー界に何かお金を落としているか?という話です。それに比べれば、キリンは昔から日本代表をサポートしてくれてるし、多額の金も払ってくれている。ナビスコと並んで感謝感謝である。

もちろん、改善すべき点の一つであるから、キリンと妥協点を探る必要はあるだろうし、魅力ある対戦相手の選定にはもう少し頑張って欲しいけれども(でも相手のあることだしねぇ)、無節操な批判は疑問を感じざるを得ません。



いずれにせよ、日本のサッカーはまだまだ発展途上。少しずつ前に進むしかないし、今回の結果は残念だし、批判すべきはあると思うけれども、しかし、この4年で前に進んでいなかったとは思いません。

けれど、誰もが実力が足りなかった。選手だけでなく、監督も、協会も。

個人的には日本サッカー協会が「プロ」の時代の人間に変わっていく頃にならなければ、進まないことも多いだろうと思う。プロリーグ発足から 20年少々。ようやく監督の世代交代が進みつつある。さらにその上へ波及するまでにはもう少し時間はかかるでしょう。

一歩一歩やっていくしかない、と思う。

Football20140715


とりあえずワールドカップも終わって、Jリーグが好きな、日本のサッカーを愛する一人としては、今週末から待ちに待った J1 が再開するという楽しみもあります。既に天皇杯もスタートして、先週末には我らがガンバ大阪も初戦(2回戦)を無事に突破しています。

(ちなみに今年の天皇杯は、決勝戦が恒例の来年元旦ではなく、12月13日に行われます)

J1 中断期間中は仙台遠征も含めてナビスコ杯もありましたし、J2 リーグの観戦にも行きましたが、やはり応援しているクラブの試合が毎週末にないと寂しいものがあります。やっぱりサッカー(スポーツ)は生で見てこそ、でもありますしね :-)

日本代表をどうこう言うのなら、J1 でも J2 でも J3 でも JFL でも、少しでも日本のサッカーを観に行ってお金を落として欲しいと思いますけどね。自国のプロリーグの発展なしに強くなることはないですから。