ここ数年、「今年こそ WWDC 基調講演をスルーして寝るぞ」と思いつつも毎年リアルタイムで見てきましたが、ようやく今年は毎年6月のアップル祭りをスルー、卒業することができました :-)

近年 WWDC(世界開発者会議)の名前の通り、一般ユーザー向けの新製品発表みたいなことはなく、Mac向け OS X と iOS の新しいバージョンの紹介に終始し、それも順当進化に留まる範囲内で、今年もそうだろうと枕を高くして寝ていたら、やはりそうだったようです。

早朝に起きて Tlimeline を見ると、以前なら大量の未読ツイート数があったのですが、今朝は頑張って基調講演を観ている人が少なくなかったものの、拍子抜けするくらい WWDC 基調講演へのツイートが少なく、目玉の少なさが伺えました。

Apple - Apple Events - Special Event June 2014(基調講演ビデオ)

とまぁ、そんな WWDC 基調講演では例年通り、OS X 新版「Yosemite」と iOS 8 および関連ソフトウェアの発表のみであり、新ハードなどは一切なし。まあ、そんなものでしょう。

OS X 新版「Yosemite」にしても、iOS 8 にしても、小改良が盛り沢山という感じですし、事前リーク通りでもありますが、その中で敢えて目玉を感じるとすれば、

iOS 8 はアップル純正以外のソフトウェアキーボードが使えるように


なるということ。つまり ATOK などサードパーティの日本語 IME がリリースされる可能性が出てきました。これは一番の朗報ではないかと思います。

(iOS 7 の日本語 IME は昔と違ってかなり良くできていると思いますけどね)

iOS 8 は他にも(噂されていた)HomeKit、ヘルスケアなどの API 拡充、制限解放、機能追加が満載ですが、

アプリ毎のサンドボックスでセキュリティは確保しつつも
機能的にはどんどん Android 化が進む iOS


という印象はあります。ま、それしか進む道はないでしょうからね。

あとは開発者向けに新プログラミング言語「Swift」の導入が目玉ですが、一般ユーザーには特に関係ないでしょう。というか、また新言語か、って感じもしますが……

とりあえず、未明の WWDC 基調講演で発表された内容を自分的にまとめると以下のとおり。



  • OS X 10.10「Yosemite」発表。スーパーフラット UI 化、ダークモード搭載

  • OS X の通知センターにも Today ビューを追加(iOS 7 にあるもの)

  • OS X の通知センサーにサードパーティのウィジェットを追加可能に

  • Spotlight の進化、検索機能のインテリジェント化

  • 純正Mail アプリもアップデート。添付ファイルは iCloud Drive に保存可能および iCloud Drive 上のファイルをリンクとして相手に送れるようになった(MailDrop 機能)

  • 目玉の一つ、新機能「iClud Drive」。iCloud に保存した文書が Finder 上にフォルダ表示

  • iCloud Drive は Windows のエクスプローラーからもアクセス可能

  • Safari も高速化、省電力化。Spotlight との連動強化

  • Safari は WebGLやSPDY、HTML5 Premium Video Extensions などをサポート

  • Mac の近くに自分の iPhone / iPad がある時、ネットワーク一覧に自動表示される「Instant Hotspot」機能(テザリングが簡単に)

  • AirDrop 機能が強化され、同一 Wi-Fi ネットワーク上の Mac と iOS デバイス間でファイル編集状態を共有できる「Hand-off 機能」搭載(メールを iPhone / Mac で同時に編集していけるなど)

  • AirDrop 機能強化により、iPhone への着信が Mac の画面に発信者名とともに通知され、そのまま Mac で着信を受けて通話可能に
    (個人的にこれはかなり便利だ!)


  • iOS 8 も発表。

  • 通知バーがインタラクティブ化され、メールの返信が通知バーでできる

  • 純正メールアプリも、他のメールを見ながらメールを書いていく機能やスワイプで様々な操作が可能に

  • iOS の Spotlight も強化され、ググらずともアクセスできる対象(Wikipedia とか)が増えたという触れ込みも

  • OS X (Yosemite) と iPhone との連動と同じく、iPhone への着信を iPad でも通知され、そのまま受け取って会話可能に

  • マイク長押しで短い音声メッセージやビデオを録画し、そのまま添付可能な「Tap to Talk」機能

  • もちろん、iCloud Drive にも対応、iCloud はイントラ版も用意される

  • 事前に噂のあった新 API「HealthKit」。対応するアプリから得た心拍、血圧など健康情報をまとめて管理、フィットネスアプリから取得したバイタルデータを病院アプリへ送って診断ということも可能に

  • こちらも噂のあった「HomeKit」。iOS 端末で自宅の鍵や照明、監視カメラの管理などができるように

  • 写真アプリに「スマート編集」機能が追加。明るさ、コントラスト、ハイライト/シャドウや彩度などが細かく編集可能に

  • 写真やビデオを編集したものも全て iCloud に保存可能な「iCloud Photo Library」。iCloud は従来通り 5GB まで無料(iOS のバックアップ、iCloud Drive などの利用を全て合わせた容量)。

  • iCloud の有料追加ストレージは、20GB で月 $0.99、200GB で月 $3.99 と値下げ(最大 1TB)

  • 新API 「PhotoKit」により、サードパーティ製アプリがカメラロール内の写真を直接加工できたり、サードパーティ製カメラアプリが露出、フォーカス、ホワイトバランスなどのカメラコントロールが可能に

  • 音楽認識 Shazam が Siri に統合され、Siri に音楽を聴かせて楽曲認識から iTunes での購入まで可能に

  • 共有機能「Family Sharing」で、写真などのメディアを家族 6人までと共有したり、同じクレジットカードで決算できる。子供のデバイスから親にアプリを買って良いか?の許可を送って管理することが可能。

  • アプリ間の通信・連携をサポートする拡張機能 Extensibility。写真アプリから他のフィルタアプリを呼び出しが可能になったり、Safari から翻訳アプリを呼び出してインライン表示可能になるなど

  • アップル純正以外のソフトウェアキーボードが利用可能に

  • iOS でも通知センターにサードパーティのウィジェットが追加可能に

  • Touch ID もサードパーティに開放され、サードパーティ製アプリでも指紋認証が可能に

  • AppStore で複数アプリのまとめ買い割引販売なども可能に

  • iPhone 5s 世代の A7 プロセッサ向けに設計した Metal API でグラフィックの大幅高速化、SpriteKit やSceneKit などゲーム系の API の追加


  • 新プログラミング言語「Swift」。Swift は従来の Objective-C / C と同じランタイムを使用し、併存可能。Cocoa / Cocoa Touch ネイティブ。


とまぁ、こんな感じでしょうか。Gmail で見たわー、Android で使ってるわー、というものが散見されますが、最近の iOS はそんな感じですから、今年もまた、といったところでしょうか。

まあ、細かく見ていくと色々と便利なことが増えていますが、また重くなるのかどうか、昔ほどの安定度が欠けてきているのがどうなるのかが心配ではあります。

あとはまぁ、IME 周りの開放で「ATOK for iOS」がリリースされるかどうか。既に ATOKPad も出してきたジャストシステムですからきっとリリースすると思いますが、iOS 向けβ版は ATOK Passport のプレミアム会員だけ、みたいなことをしそうな気が…

それから最後に iOS 8 へアップグレードできる機種は以下のとおり。
  • iPhone 4S
  • iPhone 5
  • iPhone 5s
  • iPhone 5c
  • iPad 2
  • iPad with Retina Display(第三世代、第四世代 iPad)
  • iPad Air
  • iPad mini
  • iPad mini with Retina Display

iPhone は 4S 以降、iPad は第二世代以降ですので、iOS 7 がある程度動く機種はサポートされるようです。もちろん、従来通り iOS 8 の新機能が全部使えるのは iPhone 6 だけで過去機種は一部または多くの新機能が使えないこともあるかと思います。

このくらいですかね。

Apple - OS X Yosemite - Overview
Apple - iOS 8 - Overview