「X-T1 って、良いカメラ?」と問われれば、
「良いカメラだよ」と答える。

本当にそう。
たぶん。
おそらく。
きっと。

客観的に見れば良いカメラだと思うし、世間のそういった評価にケチをつけるつもりは全くない。まあ、私が言う分においては多少、

「良いカメラだよ(棒)」

という感じがなくはない。まあ、棒読み加減なのは、ほんのちょっとだけ、だ。

少なくとも悪いカメラでは全くない。発売当初の値段に見合うかどうかは微妙だが。

いずれにせよ、自分にとっては X-E2 で盛り上がった Xシステムに対するテンションをクールダウンさせたカメラであるのも事実。良いカメラだと思いつつ、色々考えさせられたカメラでもある。

良い悪い、ではなく、富士フイルムの方向性であったり、ある種の限界であったり、自分と富士フイルム機との距離感について再考するカメラであった。

富士フイルムの底が見えた、なんて偉そうなことを言うつもりは全くないし、そんな上から目線のことは思いもしないけれど、従来機と違う方向性を踏み出した分、色々と「ああ、なるほどな、こういうやり方か」と感じるところは多かった。AF については「所詮この程度ね」と思ったけれども。

結果、今後は富士フイルム Xシステムへの投資は控えよう、と思わせたのも事実。その思いを抑えて、最後 XF23mm F1.4 R だけは買ったし、この先 XFレンズが買うことがないわけではないだろうけれど(防滴レンズは欲しい)、もう Xシステムに対して盛り上がるものは何もない。

X-T1_X-E2_10


そんなわけで、X-T1 については基本的には良いカメラだと思いつつ、どんどん心は冷めていったし、富士フイルムに対する期待も、ない。

だから、購入して2〜3週間くらいすると、X-T1 のことを記事にしようという気分が全くなくなって放置していた。書きかけの文章は沢山あるのだけれど、まとめる気もしなかった。

このままスルーでも良かったが、2ヶ月経っての感想を今書いておかないと何も書けなくなりそうなので、敢えて書いてみる。

異論反論は当然ある感想だし、富士フイルム信者には耐え難いことも書くかもしれないけれど、正直もうオブラートにくるむ気もしないので、率直に。



「そこまでテンションが落ちているなら、X-T1 は使ってないのか?」と聞かれれば、
「いま一番使っているカメラ」が答え。

X-T1 に対する熱いテンションみたいなものは全くないけれど、購入後、一番持ち出しているカメラになっている。いま普段使いの、一番の主力機。

GR とか PowerShot S100 しか持ち出せない時もあるけれど、相変わらず Xシステムを持ち出すことは多いし、X-E2 より X-T1 を持ち出すことの方がずっと多い。X-E2 との持ち出し比率は 2:1 〜 3:1 くらい。

ここ2ヶ月の撮影枚数的には 7割以上がこのカメラであり、シャッター回数も 2万回を超えているはず。

X-E2 と違ってペンタ部のある X-T1 は比較的コンパクトと言ってもやはり大きくなったこともあって、X-T1 を持ち歩くためだけにカメラバッグを2つも新調したくらいであり、それほど使っている。

ま、予定外の X-T1 を買うのに手持ちの他のミラーレス機もコンパクトデジカメも多数売って、普段使いのミラーレス機は Xマウントと Nikon 1 だけになったから、という理由も大きいけれど。



「なんだかんだ言っても、バッグを新調するほど気に入っているカメラなんだ?」と言われると、
「気に入ってもないし、好きでもない」と答える。

少なくとも、X-T1 に愛着は持てていない。
たぶん、今後も持てない気がする。

愛着なら X-E2 の方がずっと感じてる。今でも X-E2 は好きだ

というか、Xシステムはやっぱり X-E2 くらいのサイズ感とスタイルが一番だったと思う。それでいて、もう少しボディが薄くて、グリップがまともならば、最高。X-T1 を使っていると、そう思うことがしょっちゅうだ。

X-T1 は良いカメラだろう。私自身、X-E2 を持ち出したいと思っても、レンズとのバランス、EVF、チルト液晶……そういった理由で、つい X-T1 を選択してしまうことが少なくない。本意でなくとも X-E2 より X-T1 をチョイスしてしまう良さが X-T1 にはある

でも、X-T1 に関しては「Xマウント機として、どこかしら何か違う感」を感じ続けている。優秀なカメラかもしれない。でも、愛着は湧かないし、好きでもない。一番使っているけれど。矛盾。

X-E2 はホントに惜しいカメラだと思う。単なる X-E1 のブラッシュアップ機として X-E1 のガワを流用するだけでなく、+αがあれば…ね。X-E2 にチルト液晶があるだけでも、かなり違った、はず。



「そんな好きでもないカメラを、趣味なのに仕方なく使っているのか?」と聞かれたら、
「好きなカメラと、使う/使えるカメラは別」と答えるしかない。

私にとって X-T1 はただの撮影器具になった。道具として(一定カテゴリーに対しては)優秀な道具。X-E2 より撮影において便利な点があるから使っているだけ。ある意味、EOS と同じ。

けれど、“ただの撮影器具” というのは決して悪い意味ではない。カメラそのものが趣味の人ではないし、カメラヲタクじゃないからカメラ本体を愛でる趣味もない。私にとってカメラは、純粋に優秀な道具であれば、それでいい。

でも、EOS より秀でているところはあっても撮影に関して EOS ほど信用はできないし、信頼できるほどの年月も経っていない。そして変遷の早いミラーレス機である限り、信頼できるほどの年月を使っていくこともないだろうと思う。



「X-T1 に満足してないの?」と聞かれれば、
「画質と色には満足している」と答える。
「画質と色と EVF 以外は不満だらけ」と言うかもしれないけれど。

結局、2ヶ月買ってきて満足しているところは、根本的に X-E2 と変わっていない

撮影機能が増えて、EVF などの撮影時能力が上がって、アクセサリー類は豊富で、確かに撮影時の快適さは良くなったけれど、評判と裏腹に操作性で欠落しているところも、動体捕捉能力の低さも、そして色やジャスピン来た時の画質に大満足なところも、何も変わっていない。

あくまで better than X-E2 であって、撮れる物、撮って出てきた物は変わらない。

でも、X-T1 を手にして知ってしまうと、やはり使ってしまう。ただ、そこにアクセサリー類への投資も含めて 20万出す価値があったかどうかは(私にとっては)微妙だが。

ま、静止体だけを相手に撮ってるだけの人が一眼レフの代わりに使おうとして選ぶような場合は満足できるかもしれないし、そこは人それぞれだ。



「AF や連写は良くなってるんじゃないの?」と聞かれたとしたら
「止まっている物相手なら文句なしじゃないかな」と答える。

AF-C に関しては、動体相手のテストでカメラやレンズを動かすこともなく合焦率がどうとかいう無意味なテストをやっても実戦ではアテにはならんと思うが、それをどう判断するかは各自の考え方次第。それに動体と言っても、置きピンで撮れる物なら AF-C は関係ないしね。

だいたい、AF 以前に、望遠レンズが図体がデカいだけの1本だけではどうにもね。私は「動き物相手には使えんカメラ」と判断しているし、動き物相手なら買っちゃいけないカメラだと感じてるけど、他人の判断は知らないし、興味ない。

まあ、多点AF ができない時点で推して知るべしでしょう。外観と同じく前世紀的カメラの操作感を実現するのに一役買っているのかもしれませんが。



「操作性が良いって、言われるよね?」
「どこの平行世界の話ですか?」

十字キーの糞さ加減、AF-Lボタンの遠さ、縦グリップ時の操作性崩壊、レンズによって違う操作体系、細かいところで統一性のない挙動……

アナログダイアルがたくさんあれば操作性が良いとか笑止。見た目で売るにしても、デジタルカメラはデジタルカメラ。デジタルカメラが、デジタル部の操作性を疎かにして操作性が良いも何もない。私はそう思う。他人は知らん。



「そんなに不満があるなら、使っていて/撮ってて楽しい?」と問われたなら、
「止まっている物相手のミラーレス機としては快適」と答える。

楽しいか楽しくないかは関係なく、楽かどうかは関係ある。あくまで better than X-E2。

最大の売りである EVF も最初はこれを覗いて撮るのが楽しかったけれど、慣れれば単なる道具。ま、それでも現時点ではこれが最上解のミラーレス機のファインダーなのかな、と思う。

でも、ピントを追い込むのに拡大モードを使える EVF の利点は絶大だけど、通常表示なら X-T1 でもピントの山は OVF(光学ファインダー)の方がまだ見やすいと感じる。通常状態なら X-T1 より同じ APS-C の EOS 7D の方が MF しやすい。

もちろん EVF には拡大機能があるから微妙なフォーカスが追い込みやすいが、MF モードだとワンタッチ AF ボタンは遠いし、拡大モードのまま撮影できないし(AF だとできるのにねぇ)、不満は多い。ちなみに解像度が足りないので、2画面モードは結局使ってない。

いずれにしても、個人的にはアナログダイアルなんかより前後ダイアルできっちり操作できて、本体グリップや背面ボタンをちゃんとしてくれていた方が心地よく使えていたのは間違いない。X-E2 を使うと、それを実感する。

人それぞれだろうけど、私はアナログカメラに何の郷愁もない。それゆえ、アナログダイアルに大きな優位性は感じない。むしろあらゆる設定を保存できるカスタム設定の方がずっと実用的だ。時代が進むのに、過去を振り返っても無意味だしね。



「X-E2 と X-T1、どちらが好き?」と聞かれれば
「X-E2」と即答。

「なのに、X-T1 の方を使うの?」と聞かれたなら
「そこが難しい」と言うしかない。

そこが、X-T1 に対して一番モヤモヤしている部分。



「X-T1 を買って良かったか?」と問われれば、
「買わなければ判らなかった」と答える。

答えになってないけれど、結局コレに尽きる。

私にとっては、X-T1 が動体相手に対して用をなさないなら X-E2 で十分だった、と思っている。コンパクトだし、出てくる絵は同じ。普段のスナップの適当撮りなら、むしろ X-E2 の方が良い。チルト液晶はないけれど。

季節柄のマクロ撮影、MF だと X-T1 の EVF が魅力的だが、X-E2 でもできないわけじゃない。X-E2 までは望遠レンズや大柄なレンズを付けるとグリップが X-T1 以上に(後付けも含めて)糞ったれだけど、動き物を撮らないなら我慢の範疇。

私が富士フイルム機を使う/使える範囲を考えた時に、アクセサリー類を含めて 20万出して X-T1 を買う必要があったか?という点を冷静に判断すれば、多分なかった。X-T1 を買う金を他に投資しておいた方が良かっただろう。

ただ、X-T1 を予約して買っていなかったとしても、どうしても欲しくなって、なんだかんだで買っていたのは間違いない。少なくとも特定場面でフルに使わない限りは、良いカメラだしね。

そして、こういう思いをしている今を知っていたとしても、かなり悩んで結局買ったと思う。正直言って、思いの外つまらないカメラだけど、(AF-C や望遠で撮る物を除いては)道具としては優秀。

だから、結局のところ、私にとって X-T1 を買わない選択はなかったのだと思う。

それに、買わなければ判らなかったことに対して投資したことに後悔はない。



「結局、X-T1 って何なの?」と言われたならば、
「富士フィルムの表現する色と、今の XFレンズを愉しむために一番のカメラ」と答える。

今だけのカメラ、今だけのカメラシステムでしょうから先を考えちゃあいけない。



もし、「X-T1 を買いたいんだけど、どう?」と聞かれたら、
「好きにすれば?」と言う。

他人の決断を止める理由はないし、止めなきゃならないカメラではないから。でも、将来先細りでも泣かない覚悟は必要だよ、とは言うかもしれない。

私は X-E1 を買う時点でその覚悟はしていたから、この先富士フイルムがフルサイズに傾注することになったとしても、将来コンシューマーカメラ事業から手を引くようなことがあっても全然構わない。それくらい割り切っている。

(APS-C の)Xマウントシステムは、おそらく自分にとって最初で最後の富士フィルム機システムのつもりだし、いま手元にあるレンズやボディが将来目減りするようなことはないのだから、この先5年、いや3年使えたら十分。

EF マウントのように(体力が続く限り)使い続けたいとか思っていないので、自分にとってもっと魅力的なシステムが出れば乗り換える可能性はある。

けれど、今のところそれはないし、動きモノ以外には強い魅力感じるシステムだから、このまましばらく使い続けて行ければ、先がどうであろうとどうでもいいや、と思っています。



だから「X-T1 を友達に薦める?」と聞かれたら、
「富士フィルム機を自ら買いたいと思えない人に薦めるようなカメラじゃない」と答える。

これは従来機から同じ。Xシステムのカメラは自らが理由をもって選ぶ人以外に薦められるものではないと思っている。画質や色に特徴はあるけれど、癖は強いし、先は見えないし、汎用性としては他メーカーに劣る部分があるうえ、とにかく高い。

この描写、このレンズでこの値段は安いと思うよ、などと言う人がいるけれど、そう言える/感じ取れる人が買うものであって、X-T1 がなんかよく判らない人に勧めるカメラではないだろうと思う。

もちろん、自ら買いたいと思えるなら、機能や画質ではなく、レトロっぽいデザインに惚れても、アナログダイアルがいっぱいある感じに惚れても問題ないのは言うまでもない。

まあ、デジカメなんて、こだわり屋さんと特定用途以外は、見た目で決めても問題ない昨今でしょうよ。

XF23mm_02


とまぁ、以上 X-T1 を2ヶ月使ってきての本音をぶちまけてみました。細かいことをあーだこーだ言うのは面倒くさいので、色々細かく思うところを書き留めたメモをまとめるのは止めました。

X-T1 ユーザーはもちろん、そうじゃない人も含めて色々思うところはあるでしょうし、愛着持っている人にとっては「なんやこれ」と言いたくなる文章でもあるでしょう。でもまぁ、当たり障りのない感想を書いても意味はないし、そんなのは雑誌でもウェブ媒体でもあちこちにあるしね。

いずれにせよ、結構辛辣に書いた部分もあるものの、本当にどうしようもなかったら即売りしてるわけで、これだけ使っていると言うことは、

愛着は持てないけれど道具としてはまずまず


だと思っていると言うことです。気に入ってる、とまでは言えないですが。

ちょっと偉そうな物言いですけれど、出費した金額に対して満足とか納得とかはしていませんからねぇ。

そういう点では冷静に振り返ってみると、

X-T1 に対する期待値が高すぎたかなぁ


というのはあります。宣伝や富士フイルムの力の入れように知らず知らず煽られていたというか、中身が X-E2 と判っていながらも、富士フイルム 80周年記念モデルというからには…なんて、心の奥底で思っていたのかもしれません。

期待したのは自分なので他人のせいにするつもりはありませんが、あれだけ自信満々に宣伝するならもうちょっとあって欲しかったな、という物足りなさはあります。

ま、メーカーの宣伝、メーカーお抱えカメラマンの言うことはどこのメーカーでも同じですから、信用しちゃあならんのですが。


ということで、これをつらつら書いている時に、もうちょっと書こうと思ったことがあったので 【1】 としましたが、忘れてしまって思い出せないので、【2】があるかどうか判りません。ひとまずはこれで。


 
(4月になって X-T1 のムックが複数出るみたいですね)